あさげ
あさげは、永谷園が開発・発売している即席味噌汁の名称、および登録商標(第2127836号ほか)[1]、シリーズ[2]。永谷園の主力商品である[3][4]。CMでの「うまいねえ、これでインスタントかい?」という5代目柳家小さんの台詞で知られる[5][6]。商品名の「あさげ」は朝食を意味する「朝餉(あさげ、「餉(げ)」はご飯や食事を意味する)」が由来[要出典]。
概要
[編集]フリーズドライ製法を使用したインスタント味噌汁で、『あさげ』・『ゆうげ』・『ひるげ』の3ブランドが存在する。具材は板麩・わかめ・ネギを使用[7]し、みそは『あさげ』は米みそのブレンド、『ゆうげ』は白みそ、『ひるげ』は豆みそ(赤だし)を使用している[8]。
名古屋テレビのローカルワイド番組「ドデスカ!」の2015年(平成27年)8月5日放送分で、取材に応じた永谷園は「3種類の販売割合は『あさげ』60%『ゆうげ』30%『ひるげ』10%となっており、『ひるげ』は東海地方のみの販売となっている」としているが[9]、当該商品の公式サイトにおいて、『ひるげ』が地域限定商品であるとする事実はない。
発売から売り上げトップを走っており[10]、2012年(平成24年)度の売り上げは99億円で即席みそ汁市場でトップ、シェアは18.5%と2位の旭松食品『生みそずい』の32億円、シェア6.1%を大きく引き離している[11]。
歴史
[編集]即席みそ汁は1960年代から発売されていたものの、熱風乾燥を使用したもので味は落ちていた[7][12]。永谷嘉男は、おいしい味噌汁を販売すれば、ヒットすると考えていた[2]。そこで能登原隆史をプロジェクトリーダーに据え、開発を開始[2]。従来商品にあった乾燥臭を取り、生みその風味に近づけるために、全国のみそを取り寄せるが、乾燥臭はとれず、当時、インスタントコーヒーに使用されていたフリーズドライ製法に注目[2]。それにより風味の再現に成功するが、製造コストが上がった[2]。そこで、高級感を出すために今まで名前のなかった即席みそ汁に『あさげ』と名付けた[2]。当時の即席みそ汁1食10円に対して1食20円を想定していたが[2][10]、発売前にオイルショックが発生し、さらに製造コストが高騰、1食40円となる[2]。
1974年(昭和49年)2月『あさげ』を発売[12]。能登原は一度味わえば、うまさがわかると考え、全国で試食販売等を行い味をアピールする[13]。同時にCMでは落語家の5代目柳家小さんと子役の高田とも子を起用し小さんの「おいしいね」という台詞に対して、高田の「まだ飲んでないもん」と返すいうコミカルなCMを放送した[2][14]。のちにこのCMは1975年度[15]のACC賞を受賞している[14]。『あさげ』は風味で他社製品に対して優位に立ち[16]、初年度には14億円、翌年には36億円を売り上げるヒット商品となる[2][13]。他社が追随できないように1975年(昭和50年)6月に『ゆうげ』、1976年(昭和51年)2月に『ひるげ』を発売[2]。
その後1981年(昭和56年)に旭松食品が生みそタイプの即席みそ汁『生みそずい』を発売し、ヒットする[17]。永谷園も1985年(昭和60年)に『あさげ』シリーズの生みそタイプの商品を発売し、追従する[17]。1988年(昭和63年)にはカップタイプ、1993年(平成5年)に弁当用タイプと商品を投入[12]。1995年(平成7年)日本食糧新聞社の第14回 食品ヒット大賞『ロングセラー賞』受賞[18]。2004年(平成16年)には、中国名『朝餉味噌湯』として中国に進出している[19]。2007年(平成19年)に生みそタイプで麦麹を使用した『あさげ 麦みそ』を発売[12]。粉末タイプでは鰹節をみそに練りこむというリニューアルを行う[20]。2016年(平成28年)1月21日 シリーズ初となる『あさげ減塩』発売[21]。
商品一覧
[編集]- あさげ
- あさげ 6袋入 - 2008年(平成20年)にもリニューアルを行い4食大袋から6食入り変更した[23]。
- 生みそタイプみそ汁 あさげ
- 生みそタイプみそ汁あさげ 麦みそ
- 生みそタイプみそ汁 あさげミニ
- お弁当用あさげ
- 生タイプみそ汁あさげ 徳用10食入
- 粉末あさげ 1食タイプ
- 生みそタイプみそ汁 あさげ減塩
- ゆうげ
- ゆうげ 6袋入[23]
- 生みそタイプみそ汁 ゆうげ
- 生みそタイプみそ汁 ゆうげミニ
- 生タイプみそ汁ゆうげ 徳用10食入
- ひるげ
- ひるげ 6袋入[23]
- 生みそタイプみそ汁 ひるげ
- 生タイプみそ汁ひるげ 徳用10食入
- カップタイプ
コンビニエンスストア向け商品[10]。
- カップ入生みそタイプみそ汁 あさげ
- カップ入生みそタイプみそ汁 ゆうげ
- カップ入生みそタイプみそ汁 ひるげ
- カップみそ汁生みそタイプあさげ とん汁
- カップみそ汁生みそタイプあさげ なめこ
- カップみそ汁生みそタイプあさげ あさり
- カップみそ汁生みそタイプあさげ とうふ わかめ入り
- カップみそ汁生みそタイプあさげ 長ねぎ
- カップみそ汁生みそタイプあさげ 海苔
出典
[編集]- ^ 独立行政法人工業所有権情報・研修館の商標出願・登録情報を確認。
- ^ a b c d e f g h i j k 日経産業新聞1981年11月11日 20面
- ^ “永谷園/4~6月、営業利益30%減、純利益43%減”. メーカーニュース. 2015年9月17日閲覧。
- ^ 『2014年食品マーケティング便覧』総市場分析編、富士経済、2013年、232頁、ISBN 978-4-8349-1655-3
- ^ “柳家花緑が祖父小さん継ぎ「あさげ」CM”. ニッカンスポーツ. 2015年9月17日閲覧。
- ^ 『酒類食品統計月報』2008年9月号 日刊経済通信社 29頁
- ^ a b “永谷園の舞台裏|CM・楽しむ|永谷園”. 永谷園. 2015年9月13日閲覧。
- ^ “永谷園”. 永谷園. 2015年9月13日閲覧。
- ^ “東海地方の「赤だし」好きに、メーカーや定食チェーンはどう対応している?(全文表示) - ニュース - Jタウンネット 東京都”. Jタウンネット. 2015年9月17日閲覧。
- ^ a b c 読売新聞2010年1月5日朝刊 15面
- ^ 『2014年食品マーケティング便覧』No.1、富士経済、2013年、216頁、ISBN 978-4-8349-1649-2
- ^ a b c d “あさげ ニッポン・ロングセラー考”. NTTコムウェア. 2015年9月13日閲覧。
- ^ a b 能登原1983、99頁
- ^ a b 能登原1983、100頁
- ^ “avex io : ~ACC50周年企画DVDシリーズ~ もう一度観たい 日本の CM50年”. 2015年9月16日閲覧。
- ^ 日経MJ2013年6月17日 2面
- ^ a b 日経流通新聞1987年12月24日 20面
- ^ “沿革|会社情報|永谷園”. 永谷園. 2015年9月16日閲覧。
- ^ 日経産業新聞2004年10月14日 6面
- ^ 日本経済新聞2007年9月6日朝刊 35面
- ^ “永谷園/塩分25%カット「生みそタイプみそ汁 あさげ減塩」”. メーカーニュース. 2016年2月14日閲覧。
- ^ “即席みそ汁|商品情報|永谷園”. 永谷園. 2015年9月17日閲覧。
- ^ a b c 『総合食品』2009年5月号 総合食品研究所 38頁
参考文献
[編集]- 能登原隆史『辞令「ぶらぶら社員を命ず」 : 永谷園ヒット商品開発の秘密』サンケイ出版、1983年。ISBN 4-383-02253-7。