グローバル教育

グローバル教育(グローバルきょういく、: global education)は、地球的課題の理解と解決し、地球市民育成のための教育である。

概要

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用語の誕生・歴史

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「グローバル教育」という用語は、1960年代後半[1] - 1970年代の米国において作られ、提唱された。

ベトナム戦争の実質的な敗北を受けて、アメリカ中心主義を見直し、国際社会全体の中で教育を考えようという運動であった。

その後、グローバル教育はイギリスなど欧州諸国に受け継がれた。イギリスでは「ワールド・スタディーズ」という用語も同義で用いられた。

定義・概念

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  • 現在において、確立された定義はないが、共通認識としては「地球社会を相互依存システムとして捉え、地球規模の問題の解決を図る人材育成」を目的としている[2]
  • グローバル教育の創始者であるアンダーソンやベッカーは、1979年 - 1980年当時「グローバル教育とは、内容や主題、学問領域で定義できる領域ではなく、むしろそれは、グローバル化する世界に対して適切に反応できるように新しい教育を創造する努力や運動」とし、非常に曖昧な定義づけであった。
    その後、ユネスコの国際理解教育を始めとする、さまざまな教育領域がお互いに影響・連携・融合しあい、ゆるやかに「グローバル教育」として形成されていき、現在では「地球規模の問題を取り扱うすべての分野と領域」を包括する概念といえる[1]
  • 2002年の「欧州グローバル教育会議」では「世界の現実に対して全ての人々の眼と心を開かせ、全ての人のためにより大きな正義、平等、人権が必要であることへの気付きを促すこと」と定義づけられ、「オーストラリア グローバル教育プロジェクト」では「学生が地球市民として多文化共生社会の実現に貢献できる人材育成」と定義づけられた[3]

詳細

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3つの要素

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グローバル教育は、では大きく3つの方向性(「地球的視野」「地球規模の問題」「参加・体験・対話型学習」)が認めれる[1][4]

  • 地球的視野

グローバル教育においては「地球的視野」が最優先・最重要とされる。

「地球的視野とは何か」を問い、「地球的視野に立った教育」を行い、「地球的視野を促進していく」ことがグローバル教育における中心であると考えられる。

  • 地球規模の問題

グローバル教育は「地球規模の問題」を扱い、取り組む。

「地球規模の問題を取り扱うすべての分野と領域を包括する概念」という性質上、絶えず新しいテーマが加えられ多様化し生成変化しているので、扱うテーマは多岐にわたっている。現時点では、環境、開発、平和、人権、多文化、経済、テクノロジー、マスメディア、シチズンシップ、健康、人種、ジェンダーなどが中心テーマと考えられるが、今後もテーマは増え続けていくことが予想される[1]

  • 参加・体験・対話型学習

グローバル教育は、参加・体験・対話型の「アクティビティ」を重視する。

国際理解教育との違い

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  • 国際理解教育」と「グローバル教育」においては、「国家」の取り扱いが異なる[5]
    • 国際理解教育においては、国際社会における「国家」の枠組みが基本概念になる。
    • グローバル教育においては、国家の枠組みを超え、「国家の利益」でなく「地球の利益」を優先する。
  • 「グローバル教育」の中には「国際理解教育」が含まれている[6]

参考文献

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  • 山西優二「グローバル教育」『開発教育キーワード51』開発教育協議会、2002年。
  • 魚住忠久『グローバル教育-地球人・地球市民を育てる』黎明書房、1995年。
  • グラハム・パイク、ディヴィッド・セルビー著、中川喜代子監修、阿久澤麻理子訳『地球市民を育む学習』明石書店、1997年。

関連項目

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脚注

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  1. ^ a b c d 常磐大学R4.3.6閲覧
  2. ^ 京都教育大学教育実践研究紀要15号R4.3.6閲覧
  3. ^ 大学教育研究ジャーナル第12号R4.3.6閲覧
  4. ^ NPO法人全国国際教育協会 私たちが進めるグローバル教育とはR4.3.7閲覧
  5. ^ 石野沙織「グローバル教育を視点とした教科書分析の一考察 : 小学校第6学年社会科最終単元を対象として」『教育実践研究紀要』第15号、京都教育大学教育支援センター、2015年3月、33-42頁、ISSN 1346-4604NAID 120006397544 
  6. ^ 前田洋一, 西村公孝「グローバル社会時代に必要な資質・能力の分析」『鳴門教育大学研究紀要』第28号、鳴門教育大学、2013年3月、126-135頁、doi:10.24727/00027833ISSN 1880-7194NAID 120006553982