ゴールデン・レトリバー
原産地 | イギリス | |||||||||||||||||||||
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保護 | イギリス | |||||||||||||||||||||
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イヌ (Canis lupus familiaris) |
ゴールデン・レトリーバー(ゴールデン・レトリバーとも、Golden Retriever[1])は、イギリス原産の大型犬である[1][2]。
誰に対しても友好的である犬種のため、番犬には向かない[3]。ペットとして広く愛好されているが、あくまでも人間とは違う生物であるため、飼育の際には「人を咬む」など人間が予期しない行動を取る可能性も覚えておく必要がある。
歴史
[編集]19世紀中頃、スコットランドのダッドリー・マーシュバンクス伯爵(後のツウィードマウス卿)が交配により作出したのが起源である。1865年、ダッドリー・マーシュバンクス伯爵は小型のニューファンドランド犬と掛け合わせた黒のウェイビーコーテッド・レトリーバーから生まれた、1頭のウェーブ掛かった黄色の被毛に覆われた「ヌー」を購入した。
ダッドリー・マーシュバンクス伯爵は「ヌー」及び「ベル」を掛け合わせ、4頭の牝が生まれた。その内の1頭「カウスリップ」を基に、ダッドリー・マーシュバンクス伯爵は20年以上ブリーディングした。ウェイビーコーテッド・レトリーバー、アイリッシュ・セッター、後のブラッドハウンドとの交雑を何回か行い、新しい犬種としてゴールデン・レトリーバーを確立した。
1903年、英国ケネルクラブはゴールデンレトリーバーを「フラットコート=ゴールデン」として初めて登録した。1911年にはフラットコーテッド・レトリーバーとは別の単独の犬種として認められ、「ゴールデン又はイエロー・レトリーバー」と呼ばれ、数年後には「イエロー」という語は削除された。
1938年、ゴールデン・レトリーバー・クラブ・オブ・アメリカ(GRCA)が設立された[4]。当該クラブは現在5000人の会員を擁し、アメリカンケネルクラブ(AKC)傘下の最大犬種クラブの1つとなっている。
外見
[編集]個体によって、明るいクリーム色から暗い赤金色まで多彩な毛色を持つ。飾り毛は他の部分より明るい色で長く、ボディ前部、胸腹部、四肢後部及び尾下部を覆う。
ダブルコートといい、羽毛のように柔らかく短いアンダーコート(下毛)及び弾力性のある長いトップコート(上毛)の二種類の毛がある。アンダーコートは防水性が高く、気温の低い季節でも冷水内で活動するのに適する。また体温調整の役目も担い、気温が上昇すると抜け落ち、低下すると再び生える。
均整の取れた体付きであり、オスは体高58-61 cm、体重29-34 kg、メスは体高54-57 cm、体重24-29 kgで、理想的な体長と体高の比率は11:10である。
頭部は割合に大きく、鼻は黒又は茶がかった黒色、耳は頬に沿って垂れ、アーモンド形の目を持つ。
性格
[編集]- 賢さ及び忠誠心を兼ね備え、穏和な性格の犬種であるためペットとして広く愛好されている。また、活発な性格で探究心がある。元来、水鳥猟でハンターが撃ち落とした獲物を陸地に持ち返る(=retrieve)役割を担う犬であり[1]、合図に忠実に従い、俊敏に行動し、水草の生い茂る湖の中を遠くまで泳いで鳥を持ち返る猟犬として、何時間も猟場で活動することが可能な猟犬である。
- 「信頼できる性格」「飼い主と共に働くことを喜びとする」犬種で、「賢い、温和、知的、親しげ、確実」と表現される。
- 人間に同調する能力を持つため、家族が静かにしているときには静かにし、遊ぶときには一緒に大いにはしゃいで遊ぶ。
- 主人が願っていることを察知し、常時主人に気に入られようと努力する。
- 家族と一緒に行動できることを喜びとし、孤独を嫌う。
- 忍耐力が非常に強く、細やかな気配りができて、楽天的。
- 自信を兼ね備え、信頼できる個性を持つ。
- 一般的には、しつけやすく、子どもから老人まで誰にでも扱いやすい犬種とされている。ただし、事故も発生しており、2017年3月には生後10か月の女児が飼い犬の屋内犬(4歳、オス、体重約37 kg)に突然頭部をかまれ死亡する事故が発生している[5]。
飼育にあたっての留意点
[編集]- 「犬種」とは人間が使途を定めて作出したものであるため、各々の犬種に役割としての機能がある。
- ゴールデン・レトリーバーは「人間と共に仕事をする」ことを目的として作出された犬種であるため、戸外に繋ぐことや独居させること・餌及び水やりに関して無頓着になることを嫌う。また、仲間として認められることや散歩に連れ出されることが大好き。
- 一般的に運動不足による肥満が多いため、生活習慣病が増加傾向にある。そのため、「走る」「動く」ことを念頭に置いた日課の工夫が要求される。
- 適切な運動を怠ると爪を削る機会がなく伸び過ぎるため、定期的に爪を切り長さを調整することが必要である。爪を伸ばした状態にしておくと、爪が根元から折れたり、浮き上がった爪の根元に菌が侵入して腫れたりし、病気の原因となる。また狼爪がある場合、狼爪が皮膚を傷付ける危険性があるため定期的に切る必要がある。
- 幼児期に室内ではしゃいだり走り回ったりすると、股関節の発達に影響が出たり脱臼の危険性が発生したりする。そのため、室内では静かに、戸外では活発に運動するようしつける必要がある。
- 人気犬種故の乱繁殖により、股関節形成不全及びてんかんといった遺伝性疾患を患った個体、並びに本来の穏和な性格を大きく損ねた個体が出る場合がある。
- ガンは当該犬種の死因で第1位の疾病であり、現在大きな研究課題となっている。股関節形成不全同様、米国が甲状腺機能低下症を必須検査項目に指定して以降、当該疾患は減少傾向にある。
- 体重管理や腫瘍(がん)、皮膚や関節のトラブルなどの悩みが起きやすく、ドッグフード選びも大型犬だからといってコスパだけで判断するのには注意が必要です。[6]
ラブラドール・レトリーバーとの共通点及び相違点
[編集]共通点
[編集]- 明朗且つ温順な性格であること。大変人なつっこいため、番犬には向かない。他の犬に対しても友好的な態度を取ることが多い。
- ジャーマン・シェパード・ドッグ同様、賢く訓練性能が高い。盲導犬、介助犬及び警察犬といったサービスドッグとして働いたり、競技会でもよく見受けられたりする犬種である。ラブラドール・レトリーバーと1世代交配させ、盲導犬として訓練する訓練所もある。
- 水遊びを非常に好む。元来、どちらも水中で活動する役割を担ってきた犬種であるため。
相違点
[編集]- ゴールデン・レトリーバー及びラブラドール・レトリーバーは「親戚」ではない。類似した外観を持ち、両者の相違点は「短毛種と長毛種の違い」だと誤認される場合があるが、誤りである。ゴールデン・レトリーバーは上述の交配種であるのに対し、ラブラドール・レトリーバーはセント・ジョンズ・レトリーバー及びニューファンドランド犬の交配種であるため、種としてはある程度の隔たりがある。
ギャラリー
[編集]- レッド
- クリーム
- 戯れる2頭のゴールデン・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバーの仔犬
- 生後10週目の仔犬
- 生後約2ヶ月の仔犬
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 藤田りか子、リネー・ヴィレス『増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑』誠文堂新光社、2021年1月20日、366頁。ISBN 4416521588。
- ^ “ゴールデン・レトリーバー”. ジャパンケネルクラブ. 2023年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月12日閲覧。
- ^ ドーリング・キンダースリー社編集部 編『ビジュアル犬種百科図鑑』緑書房、2016年、259頁。ISBN 9784895312370。
- ^ “ゴールデンレトリバーの基礎知識-1”. GRCJ (The Golden Retriever Club of Japan). 2024年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月12日閲覧。
- ^ “10カ月の女児、飼い犬にかまれ死亡 東京・八王子”. 朝日新聞. (2017年3月10日). オリジナルの2021年12月31日時点におけるアーカイブ。 2017年3月10日閲覧。
- ^ “ゴールデンレトリバー向けドッグフード(餌)おすすめ人気ランキング10選【専門家が厳選】”. INUNAVI(いぬなび). 2024年10月2日閲覧。