ダグラス DWC

ダグラス DWC(Douglas World Cruiser)はアメリカ陸軍の世界一周飛行のために製作された航空機である。1924年、175日をかけて世界一周を達成した。

ダグラス社の雷撃機DTを改造して5機が製作され、1機が試験と乗員の訓練用に用いられ、4機が冒険飛行に用いられた。

Douglas World Cruiser "Chicago"
フロートを装着した「シカゴ」号

DWCが DTと異なるのは燃料タンクの容量を大きくし、乗員席と航法士席の間が近くされていた。DTと同じく、水上フロートと車輪のどちらも取付けられるようになっていた。

Boston(ボストン), Chicago(シカゴ), New Orleans(ニューオーリンズ), Seattle(シアトル)と名付けられた4機の機体は1924年4月4日シアトルを出発し世界一周飛行に飛び立った。4月30日Seattleはアラスカ山中で、事故をおこすが、乗員2名は原野をぬけて無事帰還した。残る3機は、慎重に計画された物資補給を受けて、アジア、中東、ヨーロッパを飛行した。Bostonは大西洋横断中に脱落するが、残る2機は大西洋を横断してアメリカ合衆国に帰還した。そこで試験機 Boston IIに合流し、シアトルの出発点に1924年9月28日帰還した。出発から175日で44,342 kmの大飛行であった。

Chicagoはスミソニアン博物館に保存され、New Orleansは Los Angeles County Museum of Natural Historyに保存され、墜落したSeattleは復元され、Alaska Aviation Heritage Museumに展示されている。

DWCの成功はダグラス社を発展させた。ダグラス社のモットーとして "First Around the World - First the World Around"(世界初の世界一周)をとなえ、地球を回る飛行機を描いた会社のマークが採用された。このマークはその後「球体(地球)を回るミサイルと航空機」を図案化したマークへと進化し、マクドネル社とダグラス社が合併して成立したマクドネル・ダグラス社に引き継がれた他、マクドネル・ダグラス社を買収・吸収したボーイング社も、多少のアレンジを施した上で引き継いでいる。

性能要目

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Douglas World Cruiser Chicago
車輪仕様 フロート仕様
翼幅 50ft (15.24m) 50ft (15.24m)
全長 35ft 6in (10.82m) 39ft (11.89m)
全高 13ft 7in (4.14m) 15ft 1in (4.6m)
翼面積 707ft2 (65.68m2) 707ft2 (65.68m2)
エンジン 420hp (313kW) Liberty 420hp (313kW) Liberty
空虚重量 4380lb (1543kg) 5180lb (1825kg)
全備重量 6995lb (3173kg) 7795lb (3536kg)
翼面荷重 9.9lb/ft2 (48.3kg/m2) 11lb/ft2 (53.8kg/m2)
推力荷重 16.7lb/hp (10.2kg/kW) 18.6lb/hp (11.3kg/kW)
最大速度(高度0m) 103mph (166km/h) 100mph (161km/h)
上昇限度 10000ft (3050m) 7000 ft (2135m)
航続距離 2200 miles (3700 km) 1650 miles (2655 km)

関連項目

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ダグラス・エアクラフト

外部リンク

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