ニーダーザクセン級フリゲート

ニーダーザクセン級フリゲート
(126型)
基本情報
運用者  ドイツ海軍
建造期間 2023年-建造中
就役期間 2028年予定
計画数 4隻→6隻[1]
建造数 1隻
前級 ブランデンブルク級 (123型)
次級 (最新)
要目
満載排水量 10,550 t
全長 166 m
最大幅 21.7 m
吃水 6 m
機関方式 CODLAD方式
主機
  • MTU 20V4000 M65Lディーゼル発電機×4基
    (出力 各3,000 kWe)
  • 推進用電動機×2基
  • MAN 32/44CR ディーゼルエンジン×2基
出力
  • 電動機: 8,000 kW (11,000 hp)
  • 最大: 43,000 hp
  • 最大速力 26ノット
    航続距離 4,000海里 (18kt巡航時)
    乗員 110名+便乗者70名
    兵装
    搭載機 NFH90哨戒ヘリコプター×2機
    C4ISTAR TACTICOS戦術情報処理装置
    レーダー
    • TRS-4D 対空捜索用
      (AESAアンテナ×4面)
    • APAR 多機能型
      (AESAアンテナ×4面)
    ソナー 曳航ソナー
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    ニーダーザクセン級フリゲートドイツ語: Fregatte Niedersachsen-Klasse)は、ドイツ海軍向けに建造・計画中のフリゲートの艦級。公称艦型は126型Klasse 126[2]

    やや先行するF125型(バーデン・ヴュルテンベルク級)低強度紛争に特化した特徴的な装備だったのに対し、本級は通常戦への回帰がみられる[2]

    来歴

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    本級の計画の端緒は、2009年初頭から着手された将来水上戦闘艦についての検討にまで遡る[3]。元来はゲパルト級ミサイル艇(143A型)の後継艦として[4]、10年以上後に就役を開始して2050年頃まで運用するためのコルベットとしての計画であり、公称艦型は131型(K131)と予定されていた[3]。K131計画に関する研究ではミッション・モジュール設計のメリットが示されたが、このような設計を導入するにはコルベットでは小さすぎ、また乗員も100人程度は必要であることが確認された[3]。この研究結果を踏まえて、コルベットにはこだわらないよう方針が転換され、公称艦型はMKS180(Mehrzweckkampfschiff 180; 180型多目的戦闘艦)に変更された[3]

    最終的な機能要件Abschließende funktionale Forderungen: AF)の作成は2011年2月より着手され、2012年3月31日に閣僚の承認を得るために提出された[3]。当時進められていた連邦軍再編に伴って、MKS180計画は改良版CPM(カスタマープロダクトマネジメント)のパイロットプロジェクトとして位置付けられ、AFの要件はCPM文書「能力ギャップと機能要件」(Fähigkeitslücke und Funktionale Forderungen: FFF)に移管された[3]。統合プロジェクトチームで合意されたこの文書は、2012年11月30日に連邦国防省計画局に提出され、2013年3月25日に連邦軍監察官によって承認された[3]

    K131計画時代には8隻を建造する予定だったが、連邦軍再編に伴って2012年には6隻に削減され[5]、2015年には、さしあたり4隻分の建造予算のみを確保することが決定された[6]。2015年より入札が開始され、BAE システムズドイツ海軍工廠ダーメン・グループブローム・ウント・フォスティッセンクルップ・マリン・システムズリュールセンという3組のコンソーシアムが応札した[7]。またフランスのDCNSやイタリアのフィンカンティエリも応札していたが、これらは2016年に入札から撤退、またBAEを中核とするコンソーシアムも2017年に撤退したほか、2018年にはティッセンクルップとリュールセンのコンソーシアムを入札から除外することが決定された[8]。これらの選定を経て、2020年6月、ダーメンを中核とするコンソーシアムが4隻の建造を受注した[9]。また2024年には2隻が追加発注された[1]

    設計

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    K131計画当初はブラウンシュヴァイク級(K130型)と同程度のコルベットとされていたが[4]、ミッション・モジュール設計の導入とともに大型化が進み、MKS 180計画がFFFに盛り込まれた時点では排水量は最大5,000トン程度となり[5]、最終的には満載排水量10,000トンに達した[2]。上部構造物内には海上コンテナを最大10個まで載せられるスペース(ミッション・デッキ)が確保されている[2]。これは単なる輸送にとどまらず無人潜水機(UUV)や無人水上艇(USV)英語版の運用も想定したものであり、艦外に直にアクセスできるように上部構造物の側面に大型の開口部が設けられており、レーダー反射断面積(RCS)削減のためのハッチで覆われている[2]

    一方、このように大型の水上戦闘艦でありながらガスタービンエンジンを搭載しないという点で、機関にも特徴を有する[2]。巡航時にはMTU 20V4000 M65Lドイツ語版ディーゼルエンジンを原動機とする発電機(出力 各3,000 kWe)4基を電源とした電動機2基によって推進器を駆動し[10]、高速時にはMAN 32/44CRディーゼルエンジン2基をこれに併用するという方式であり[11]CODLAD方式と称される[2]

    機関の最大出力は32,000 kW (43,000 hp)、最大速力は26ノット超に留まるが、燃料消費に優れており、大型化した艦型とあわせて、遠隔地における長期行動を実現する意図があるものと推測されている[2]。MKS 180計画がFFFに盛り込まれた時点では21日間の連続洋上運用能力が要求され、北極域や熱帯域を含む全ての気候帯での運用およびシーステート4の状態まで対応することが求められていた[5]

    装備

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    C4ISR

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    戦術情報処理装置としてはTACTICOSが搭載されており、またデンマークのシステマティック社が開発したアプリケーションソフトウェアであるSitaWareHQもインストールされる[2]衛星通信システムはタレス製のSurfSAT-Lを搭載する[2]

    対空捜索レーダーとしてはCバンドTRS-4D、多機能レーダーとしてはXバンドAPARブロック2が搭載されており、それぞれアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ(AESAアンテナ)を4面ずつ、上部構造物に固定装備する[2]。これらの対空戦システムについてはAWWS(Above Water Warfare System)射撃指揮クラスターと称されている[2]。なおアトラス・エレクトロニク社製の対潜戦システムが搭載されるが、探信儀はもたず、曳航ソナーのみとするものとみられている[2]

    武器システム

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    艦橋直前には16セルのMk.41 VLSが設置され、SM-2ESSMといった艦対空ミサイルを収容する[2]。また上部構造物の前後にはRAM近接防空ミサイルの21連装発射機が1基ずつ設置されている[2]。後部の塔状構造物とRAM発射機の間には、NSM艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基が設置される[2]

    艦首甲板には64口径127mm単装砲(127/64LW)が搭載される[2]。また近接防衛用として、遠隔操作式のMLG27 27mm機関砲と12.7mm機銃を2基ずつ搭載する[2]

    比較表

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    同規模艦艇の比較
    ドイツ B・ヴュルテンベルク級 イギリス 26型 アメリカ合衆国 コンステレーション級 ドイツ ニーダーザクセン級
    船体 満載排水量 7,316 t 8,000 t 7,291 t 10,550 t
    全長 149.5 m 149.9 m 151.18 m 166 m
    全幅 18.8 m 20.75 m 19.81 m 21.7 m
    主機 方式 CODLAG CODLOG CODLAG CODLAD
    出力 27,000 hp 46,500 hp 40,600 hp 43,000 hp
    速力 26 kt
    兵装 砲熕 64口径127mm単装砲×1基 62口径5インチ単装砲×1基 70口径57mm単装砲×1基 64口径127mm単装砲×1基
    27mm機関砲×2基 ファランクス CIWS×2基 27mm機関砲×複数
    RWS×5基 DS30M 30mm機銃×2基 M240またはM2機銃×複数 12.7mm機銃×複数
    12.7mm機銃×2基
    ミサイル RAM 21連装発射機×2基 VLS×24セル
    シーセプター
    Mk.41 VLS×32セル[注 1] Mk.41 VLS×16セル
    ESSM
    Mk.41 VLS×24セル[注 2] RAM 21連装発射機×1基 RAM 21連装発射機×2基
    ハープーン 4連装発射筒×2基 NSM 4連装発射筒×4基 NSM 4連装発射筒×2基
    水雷 3連装短魚雷発射管×2基
    艦載機 NFH90×2機 AW159 / AW101×1機 MH-60R×1機 + MQ-8C×1機 NFH90×2機
    同型艦数 4隻 8隻予定[注 3]
    (4隻建造中)
    20隻予定
    (1隻艤装中)
    6隻予定
    (1隻艤装中)


    同型艦

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    同艦型一覧

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    # 艦名 起工 進水 就役
    F227 ニーダーザクセン
    Niedersachsen
    2024年
    6月3日
    2028年
    7月(予定)
    F228 ザールラント
    Saarland
    2030年
    4月(予定)
    F229 ブレーメン
    Bremen
    2031年
    4月(予定)
    F230 テューリンゲン
    Thüringen
    2032年
    1月(予定)

    脚注

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    注釈

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    1. ^ SM-2MRブロックIIICまたはSM-6が予定されている
    2. ^ TLAMVLALRASMCAMMまたはESSMが予定されている
    3. ^ 準同型がオーストラリア海軍9隻カナダ海軍15隻英語版採用予定

    出典

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    1. ^ a b Domingo 2024.
    2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 井上 2025.
    3. ^ a b c d e f g Wiemann 2020.
    4. ^ a b Gädechens 2015.
    5. ^ a b c Stockfisch 2012.
    6. ^ “Marine erhält neue Kampfschiffe”. Die Zeit. オリジナルの2024年12月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20241207233859/https://www.zeit.de/politik/deutschland/2015-06/bundeswehr-mks-180-marine-mehrzweckkampfschiff 
    7. ^ Christian Dewitz (2017年4月26日). “Rund eine halbe Milliarde Euro Mehrkosten für vier MKS 180”. bundeswehr-journal 
    8. ^ Peter Hanuschke (2018年8月9日). “Kieler Allianz fordert Blohm+Voss heraus”. Weser-Kurier (Bremer Tageszeitungen AG). https://www.weser-kurier.de/bremen/wirtschaft/kieler-allianz-fordert-blohm-voss-heraus-doc7e3zbzqbo5h1bfgrdba?reloc_action=artikel&reloc_label=/bremen/bremen-wirtschaft_artikel,-kieler-allianz-fordert-blohmvoss-heraus-_arid,1756991.html 
    9. ^ Martin Manaranche (2020年6月19日). “Damen leading role for German Navy’s MKS 180 frigate project”. NavalNews. https://www.navalnews.com/naval-news/2020/06/damen-leading-role-for-german-frigate-project-mks-180/ 
    10. ^ "Rolls-Royce will deliver mtu naval gensets for F126" (Press release). 5 September 2022. 2022年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。
    11. ^ “MAN wins order from Damen Naval for Propulsion Diesel Engines for F126”. NavalNews. (2022年9月9日). https://www.navalnews.com/naval-news/2022/09/man-wins-order-from-damen-naval-for-propulsion-diesel-engines-for-f126/ 

    参考文献

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    外部リンク

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