ヒース

イングランドデヴォン州。ヒースと呼ばれる地形の一例

ヒース(heath)は、本来はイギリス北部、アイルランドなどにおける平坦地の荒地のこと。

薄い表土でできており、耕作牧畜には適さず人口密度は低い[1]。表土に生えるヒース(heath)やヘザー(heather)と呼ばれるエリカ属の植物によって砂の飛散が抑えられている[1]。ヒース荒地は概ね広大で未整備であり、かつては居住はおろか移動の障害ともなった。

17世紀の調査ではムーアなどの荒地を含め、イングランドとウェールズ全体で800万エーカーの荒地が存在したが、18世紀の囲い込みによって耕地化が試みられた[2]。今日でもイングランドには500万エーカーの荒地が残されている。

古の多くの文筆家にとってヒース荒地は呪わしい不毛な場所だったが[1]リンカン・ヒースのように、ヒースの野原を景観に取り入れた地域もある。

ヒースの植生

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ヒース荒地の植生を構成するエリカ属の植物もヒースと呼ばれる。ハーブ類として使われるのは、ジャノメエリカ Erica canaliculataやエリカ Erica vulgarisを指すことが多い。秋に花を咲かせる野草

脚注

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  1. ^ a b c ホスキンズ 2008, pp. 137–149.
  2. ^ ホスキンズ 2008, pp. 183–191.

参考文献

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  • W.G.ホスキンズ 著、柴田忠作 訳『景観の歴史学』東海大学出版会、2008年。ISBN 9784486017301 

関連項目

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