ポスター
ポスター(英: poster)は、屋外・屋内を問わず、壁面や柱などに掲示するために制作された、視覚的な広告・宣伝媒体。
通常は、大判の紙またはそれに類するものへ印刷され、同一のものが大量に制作される。背景には絵画、イラストレーション、写真が主として用いられ、タイトルやメッセージが記載されることがある。近年ではデジタルサイネージと呼ばれる「大型モニター」に画像や動画を映す電子的なポスターが見られる。
掲示ではなく配布のために制作されるチラシ、紙や印刷によらない看板(ネオンサイン・壁面絵画を含む)、おのおのの製品そのもののパッケージ・ラベルなどの媒体とは異なる。
なお、鉄道車両内に掲示される吊り広告や、学校・職場の壁新聞は、通常、ポスターとは呼ばない。
ポスターの例
[編集]選挙
[編集]告知・宣伝
[編集]- 映画・演劇・コンサート
- 現在上演・上映中の作品や、次回予定されている作品のポスターが劇場や繁華街に掲出される。コンサートなら出演するアーティスト、映画や演劇なら俳優や作品中のシーンが写真やイラストで掲載される。会場で鑑賞記念グッズとして販売されることもある。
- なお、映画の場合はポスターの正式公開に先駆けて速報的に作成された縦長(B2の約2分の1)サイズのものが、スピードポスターとも呼称されている[1][2][3]。
- スポーツイベント
- 映画・演劇・コンサートなどと同様の目的で、出場する選手などをあしらったポスターが掲出される。オリンピックについては大会のシンボルとしての側面もあり、過去に様々な意匠のポスターが制作されている(オリンピックポスターを参照)。
- 啓蒙
- 交通安全運動や衛生週間など、地域や学校、職場などで標語を記載したものが掲出される。そのようなテーマを決めたポスターの募集が小学校、中学校などで行われることも多い。官公庁が作成する啓蒙ポスターには、多くの場合、その時代において人気がある、若い女性アイドルが起用される。
- 募集
- 広く公衆から催事の参加者を募るほか、社員・職員の求人広告として掲出される。
- プレイバイウェブ
- プレイヤー獲得のため秋葉原駅構内やコミックマーケットの開催時期に掲出される。
- プロパガンダ
- 思想・信条を大衆に浸透させるために、プロパガンダポスターとして掲示される。
研究発表
[編集]学会における研究発表において、「ポスター発表」、「ポスターセッション」という形式がとられる場合がある。大判の紙に研究内容をまとめたものを掲示し、これを使って研究の説明がおこなわれる。1つの会場に多数のポスターが掲示されており、参加者は興味を引く研究を自由に見て回ったり、発表者と個別に討議したりすることができる。
その他
[編集]単に装飾品として掲出・販売されることもあるが、風景なら旅の思い出や、芸能人やアニメ・ゲームなら自分がその人のファンであることをアピールする要素となる。雑誌やDVDなどの購入特典として添付されることもある。
ポスターのサイズ
[編集]主に、以下太字表記のサイズが、一般的に「ポスター」と呼ばれて製作されている傾向がある。
- A0:縦 841×横 1189
- A1:縦 594×横 841
- A2:縦 420×横 594
- A3:縦 297×横 420
- A4:縦 210×横 297
- B0:縦 1030×横 1456
- B1:縦 728×横 1030
- B2:縦 515×横 728
- B3:縦 364×横 515
- B4:縦 257×横 364
- 菊全:縦 980×横 680
(単位:mm)
歴史
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日本において「ポスター」という呼び方が広まった時期は、1914年(大正3年)頃である[4]。
ポスターの取引
[編集]美術的、歴史的価値が評価され、評価の高いものは高値で取引される。発行時から高い人気のあったアルフォンス・ミュシャの例は言うまでもなく、日本においても過去のポスターが評価、収集の対象になることがある。1970年の朝日新聞の新聞広告では、明治41年の東亜煙公司、明治44年の日本郵船、大正3年の白木屋、昭和10年の東和映画のポスターを出品するオークションの開催が告知されている[5]。
デジタルポスター
[編集]如上のように、伝統的なポスターの定義には紙や印刷によらないものは含まれないが、新たな広告媒体として「デジタルポスター」が一部の鉄道事業者によって運用されている。これは、コンコースその他の駅構内の支柱に設置された液晶ディスプレーに無線通信網で配信される静止画データが映し出されるもので、紙媒体によるポスターと比較して時間帯や曜日別のコンテンツ表示が可能であり、設置や撤去が迅速で、有線設備を設置せずに効率よく適時に広告スペースを広告主に提供することができるという。
脚注
[編集]- ^ @shochiku_corpの2019年1月9日のツイート、2023年8月27日閲覧。
- ^ “『男はつらいよ』ポスター&プレスリリース制作秘話「決まった形の中に新しさを!! 宣伝(ポスター)の挑戦とは?」”. 『男はつらいよ』公式noteアカウント. note (2020年1月23日). 2023年8月27日閲覧。
- ^ “三日月堂”. A-LIFE. 2023年8月27日閲覧。
- ^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、398頁。ISBN 4-309-22361-3。
- ^ 新聞広告『朝日新聞』昭和45年(1970年)3月27日朝刊、12版、15面