ユニフォーム広告
ユニフォーム広告(ユニフォームこうこく)は、スポーツ[注 1]のユニフォームにつける広告。
チームや選手個々と契約した企業(チームの運営母体である場合もある)の広告と、大会の協賛企業などの広告[注 2]とがある。
ユニフォーム広告は、広告収入のうち高い割合を占めるともいわれ[1][注 3]、運営側にとって貴重な収入源になっている。
競技別
[編集]サッカー
[編集]2012年にマンチェスター・ユナイテッドFC(イングランドのサッカークラブ)が、ゼネラルモーターズ(GM)社の自動車ブランド「シボレー(Chevrolet)」と、2014 - 2015シーズンからの胸広告の契約を年間4700ポンド(当時・約87億円)で結んだが、この金額は史上最高額[何の?]といわれる[2]。
- Jリーグ
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の場合、「Jリーグ規約 第49条第4項」の第11条で〔メーカー名の表示〕が、第12条で〔広告の表示〕が、公式試合におけるユニフォームについて定められている[3]。
一番目立つ胸部分にプリントされているのがメインスポンサーであり、最も広告料金が高い。その他の広告位置は、背中、袖、パンツの裾などがある[4]。2016年からは背中の下部、2018年からは鎖骨部分にも広告が認められた。
青少年に悪影響を与える可能性があるとして自主規制していたが、2009年シーズンからアルコール飲料メーカーや商品名の広告掲出が認められることになり、地元酒造メーカーと契約しているロアッソ熊本が2012年シーズンから胸広告に導入した。なお、パチンコ店などのレジャー産業系広告[注 4]は、従来通り自粛を継続されることとなった[5][6][注 5]。
野球
[編集]日本野球機構管轄のプロ野球では長い間、ユニフォームへの出稿が認められなかったが、2000年のプロ野球実行委員会で大きさなど条件を限定して、広告をつけることが可能になった[8][9]。セントラル・リーグ(2006年より使用)とパシフィック・リーグ(2000年より使用)で規定が異なっており、セ・リーグでは原則ホーム用のみで使用可能で、パ・リーグではビジター用にも使用が認められている。
しかし、それ以前、1952年(昭和27年)に広島カープ(現・広島東洋カープ)が肩口に「フマキラー」と書かれた袖章をつけていたという情報もある。地元の大下回春堂(現・フマキラー)の当時の社長・大下俊春が球団取締役だった縁で、資金援助の見返りとしての広告だったという[10]。
MLBにおいては長年ユニフォームサプライヤー以外のロゴ掲出を認めていなかったものの、2022年のポストシーズンより正式に導入されることとなった(右もしくは左袖口に1ヶ所のみ)。それ以前の例外としては海外で開催された公式戦において、タイトルスポンサーの広告を袖部に掲出したことがある(東京開催における2012年のボーイング、2019年のMGMリゾーツなど)。
バスケットボール
[編集]NBAにおいて、2014年にコミッショナー就任したアダム・シルバーが5年以内にユニフォーム広告の導入を目指し検討すると表明した[11]。2016年のNBAオールスターゲームでの試験導入を経た後、2017-18シーズンより3シーズンの試験として本格導入(左胸)。アメリカの4大スポーツとしては初のユニフォーム広告となる[12]。
日本バスケットボール協会(JBA)では、ユニフォーム規程としてシャツ及びパンツに広告を付ける場合は、大会主催者に許可を受け、シャツの前と背中、パンツに前にそれぞれ1スポンサーずつ、最大3スポンサーまで、それぞれ1行までと定められている[13]。
なお、JBAが公認する全国リーグ(Bリーグ・Wリーグ)については別規定。
アイスホッケー
[編集]NHLにおいては、2022-23シーズンよりユニフォームへの広告掲載を認める予定。
自転車
[編集]ロードレースにおいては、チームスポンサーのロゴ入りジャージとヘルメットを着用する。
その他
[編集]自動車競技ではレーシングスーツにスポンサーのロゴを縫い付ける他、車体に塗装するなどしている。
公営競技においては、2005年1月から1年契約で競輪の武田豊樹がラ・ピスタ新橋と契約したのが、個人スポンサー名入りユニフォームの初の例(左肩)である[14]。その後は多くの選手がスポンサー名入りユニフォームを着用していたが、ユニフォームにスポンサー名を入れることは2023年をもって廃止された[15]。
地方競馬でも、2010年8月実施の園田競馬場と姫路競馬場(兵庫県騎手会)を皮切りに[16][注 6]、騎手ズボンに広告を入れている事例も出てきている。
ユニフォームメーカーのロゴの扱い
[編集]オリンピック憲章(Olympic Charter 1996年版)の61.宣伝と広告(規則61付属細則)には、「いかなる形の広告や宣伝やコマーシャル等の表示をしてはならない」という観点から、「メーカーの表示」のサイズについて定められている[18]。
オリンピックはもちろん、それ以外の大会でも、規定サイズを超えた場合、白や黒のガムテープでメーカーロゴを隠すなどして、出場(監督も含めて[19])することになる例もある。
テニスの4大大会においては、2005年にルールが厳しくなり、(登録商標であるため)アディダスの3本線も、他社のロゴのサイズと同様の扱いになった[20]。
脚注
[編集]- 注釈
- ^ 主にプロスポーツ(プロフェッショナルスポーツ)。実業団やクラブチームを対象とした大会でも、ユニフォーム広告についての規定が定められていることもある。
- ^ ユニフォームに直接ではないが、マラソンや駅伝競走などの陸上競技、卓球などのゼッケンなどにも見られる。
- ^ 大会や試合がテレビ中継される場合は、選手と共にカメラに映る時間が長いことも理由。
- ^ 日本のプロボクシングの試合では、レジャー産業系企業の広告は見られる。
- ^ レジャー産業系企業のマルハンは、2005年7月から大分トリニータへ合計約13億円の支援をしてきたクラブ最大のスポンサーだったが、ユニフォームに企業名が入らず広告対価が伴わないと、2009年シーズンをもってスポンサー撤退を決めた。[7]
- ^ 口蹄疫被害が発生した宮崎県を応援する意味で急遽、企業名だけでなく「がんばろう宮崎」のメッセージを記した騎手ズボンを作成して8月25日からは着用した。[17]
- 出典
- ^ 「無観客」の経済損失は約3億円!浦和の年間利益を超す、その内訳は?(2/4) - Number Web 並木裕太のスポーツのお値段、2014年3月28日
- ^ マンUはソーシャルメディアで何を目指しているのか(2/4) - Sportiva公式サイト、2015年1月3日、サイモン・クーパー:文、森田浩之:訳
- ^ ユニフォーム要項 - Jリーグ
- ^ Jリーグ選手の胸スポンサーロゴに、どれだけの広告価値があるのか(1/3) - ダイヤモンド・オンライン SPORTS セカンド・オピニオン【第61回】、2009年6月30日
- ^ J広告スポンサーにアルコール飲料解禁へ - 日刊スポーツ、2008年11月12日
- ^ Jリーグ選手の胸スポンサーロゴに、どれだけの広告価値があるのか(2/3) - ダイヤモンド・オンライン SPORTS セカンド・オピニオン【第61回】、2009年6月30日
- ^ 大分スポンサーのマルハン今季限りで撤退 - 日刊スポーツ、2009年9月14日
- ^ ご隠居さんの野球問答「プロ野球ユニフォーム物語」 日本野球機構 2005年05月17日
- ^ プロ野球ユニ メーカーのロゴあり・ロゴなし球団がある理由 - NEWSポストセブン(週刊ポスト2013年7月19・26日号)
- ^ 戦術、チームカラー、スカウティングに背番号…こんなにある「カープ発祥」~野球界を牽引する、創意工夫の広島球団史~ - goo ニュース 2014年4月25日(週刊野球太郎)
- ^ NBA ユニフォームにスポンサーロゴの導入を検討か?
- ^ NBAのユニホームに広告ロゴ、試験導入へ
- ^ ユニフォーム規程 (PDF)
- ^ 公営競技初!ユニフォームにスポンサー広告! - Keirin JP、2005年1月25日
- ^ 【伏見俊昭の三大ニュース】2023年のNo.1ニュースは、大好きな麻雀であの大物芸能人と対局した夢のような1日! - 伏見俊昭のいつだってフロンティア(netkeirin連載コラム)、2023年12月31日
- ^ 騎手ズボンに企業広告掲載の試み(兵庫) - 地方競馬情報サイト、2010年8月11日
- ^ 【兵庫】「がんばろう宮崎」騎手ズボンの着用について - 楽天競馬からのお知らせ、2010年8月27日
- ^ オリンピック憲章 - JOC オリンピズム
- ^ 男子サッカーと女子バレーの3位決定戦! トラック競技もどんどん残り少なく‥‥。 - ほぼ日刊イトイ新聞 観たぞ、ロンドンオリンピック!、2012年8月12日
- ^ アディダス、ロゴへの規定で4大大会を訴える - tennis365.net、2006年4月26日
外部リンク
[編集]- プロスポーツ(ユニフォーム広告の解禁状況、アメリカ) - MDB(マーケティング・データ・バンク)