一色正春
いっしき まさはる 一色 正春 | |
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生誕 | 1967年1月3日(57歳) |
国籍 | 日本 |
別名 | sengoku38 あさってのジョー[1] |
教育 | 学士(教養学) |
出身校 | 富山商船高等専門学校 放送大学教養学部 海上保安学校門司分校 |
職業 | 海上保安官(1997年 - 2010年) |
活動期間 | 2010年 - |
著名な実績 | 尖閣諸島中国漁船衝突事件の映像をYouTubeに投稿 |
罪名 | 国家公務員法違反 |
刑罰 | 起訴猶予 |
一色 正春(いっしき まさはる、1967年〈昭和42年〉1月3日 - )は、日本の元海上保安官(最終階級:三等海上保安正)。尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件において、「sengoku38」名で映像を動画共有サービス・YouTubeへ最初に投稿した。
海上保安官辞職後の職業は未詳。
人物・来歴
[編集]京都府京都市出身[2]。国立富山商船高等専門学校卒業[3]。学生時代は空手の稽古に熱中していた。商船高専卒業後は、海運業を営む企業に就職し、外航航路の船員として原油や天然ガスを日本に輸送するタンカー船などに乗船した[4]。20代半ばで不況もあって船を降り、サラリーマン、職人見習いのようなことを日本で経験した[4]。その後商船高専時代の同僚が先に海保にいたこともあり、30歳のとき国家公務員試験を受けて海上保安官となる[4]。その後、アメリカ生まれの韓国籍の韓国人女性と結婚[5][6]。
海上保安学校門司分校を卒業後[7]、1998年に釜石海上保安部で巡視艇勤務[8]、2003年に小松島海上保安部の予備員、2004年に姫路海上保安部で巡視艇の航海士として勤務した[9]。2007年、放送大学卒業[10]。2010年には、神戸海上保安部(兵庫県神戸市)の巡視艇「うらなみ」の主任航海士[11]となった[9]。
海上保安庁には国際捜査官と呼ばれる職域があり、一色は語学力と空手で鍛えた身のこなしを生かして、日韓を結ぶ国際捜査にも携わった[9][10]。上司や部下、同僚は、「真面目で気さく」「仕事は優秀だった」と話している[9]。
平成22年(2010年)11月、尖閣諸島中国漁船衝突事件の映像を流出させる。
同年、SPA!の「期待以上の働きをした男」ランキングで8位に入った[12]。
平成23年(2011年)2月9日、創生「日本」の総会に招かれる[13]。同年3月13日に開催予定だった、ゴー宣道場に一般参加者として応募し、当選していたが東日本大震災の影響で道場自体が中止となった[14]。
同年7月22日、京都『日本の現状を知る会』で、宮嶋茂樹、井上和彦、加藤曻らと共に講演。さらに8月15日、靖国神社境内で執り行われている「全国戦歿者追悼中央国民集会」に出席し、弁士として講演[15]。
平成24年(2012年)、論文「中国の狙いは尖閣だけではない」でアパ日本再興財団による第5回「真の近現代史観」懸賞論文の“最優秀藤誠志賞”を受賞。
ウェブサイトはなくブログも書かず、ツイッターだけで主張発信を続けている。
尖閣諸島中国漁船衝突映像投稿の経緯と処遇
[編集]2010年10月下旬から11月初め、尖閣諸島中国漁船衝突事件のビデオ映像が入ったSDカードをCNNの東京支局に郵送した[16]。この映像を送りつけられたCNNでは、出所不明の怪文書の類とみなしてSDカードを直ちに処分、廃棄した。CNNの動きが無かったため、同年11月4日、神戸市のネットカフェで「sengoku38」というアカウント名でYouTubeに動画をアップロードした。CNNが報道していればYouTubeにはアップロードしなかったと後に語っている[4]。同様に、自らが出演したテレビ番組では「東京では報道陣などに配布するDVDも用意していた」と語った[17]。
一色は動画投稿後、読売テレビに連絡し、事件の詳しい内容を話した[4]。一色はいずれ流出元が自分であると判明すると考えており、読売テレビの取材に応えたのは逮捕された時に「頭のおかしなやつがやったこと」にされないための保険であった[4]。
同年11月10日、動画を流出させたのが自分であると上司に名乗り出る。神戸市にある第5管区海上保安本部の庁舎で国家公務員法違反の任意聴取に応じ、以後11月16日まで庁舎宿泊をしながら聴取に応じた。
同年12月17日に辞職届を提出[18]。12月22日、海上保安庁により停職12か月の懲戒処分[19][20]。同時に辞職届が受理され同日付で海上保安官を辞職した[18][19][20]。在任中、長官表彰3回、本部長表彰4回受彰[10]。同12月22日、警視庁により国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検された[20]。一色は動画投稿について、「政治的主張や私利私欲に基づくものではない」と述べ、後悔はしていないことを強調した[21]。
2011年1月21日、東京地検は国家公務員法違反について「海上保安庁による映像管理の不十分さが一因にあり、入手方法に悪質さはない」などとして起訴猶予処分とした[22][23]。
sengoku38
[編集]YouTubeのプロフィールには、「年齢:25歳」「国:日本」と登録されていたが[24]、実際は43歳であった。
アカウント名に含まれる"sengoku"は、当時の内閣官房長官仙谷由人を揶揄したものと報道された[25][26]。"38"については読みをもじった多数の説が挙げられた他、「sengoku」で登録を試みたところ既に使われている名前のため、無作為に自動作成された候補の中から採用しただけ、といった説が浮上した[25][26]。このアカウント名について仙谷は記者会見で、「あれっ、と思いました」、「私あんまり自分でユーチューブとかそういうところに投稿したりすることしておりませんので」などと述べた[27]。
"sengoku38"の名前の意味について、一色は当初は"sengoku"について「官房長官の仙谷でもあるし、戦国時代の戦国かもしれない」と話していた[28]。後に"sengoku38"で投稿した意味については捜査当局、家族、弁護士にも話していないとし[29]、「事件が忘れられてしまうので、謎が残った方がいい[30]」「まあ、1つくらい秘密が残った方が事件が忘れられない感じになる、という気持ちがあります。『あんまり気にしないでください』と言えば、逆に気になるでしょうけど、それが狙いなので[31]」と話した。
流出ならびにsengoku38というワードは、マスメディアにおいて多数使用され、2010年ネット流行語大賞の銀賞に選ばれた[32]。
名前を考えた時期については「ネットカフェに行く途中」と答えている[17]。
著書
[編集]- 『何かのために sengoku38の告白』(朝日新聞出版 ISBN 9784023309203、2011年2月18日)
- 『日本を守りたい日本人の反撃』(産経新聞出版 ISBN 9784819111553、2012年4月3日)田母神俊雄との共著
論文
[編集]「中国の狙いは尖閣だけではない」にて「真の近現代史観」懸賞論文最優秀藤誠志賞を受賞
脚注
[編集]- ^ ブログでの名義。
- ^ 一色 著者プロフィール
- ^ “日本のアウンサンスーチー、尖閣ビデオを一部公開した一色正春(sengoku38)”. 地球ネットワークス(Chikyu NetworX) (2010年11月17日). 2011年2月22日閲覧。
- ^ a b c d e f 情報デモクラシー2011:尖閣映像流出の真意は 一色元海上保安官にインタビュー 毎日新聞 2011年2月22日
- ^ “特集「英雄」か「英雄気取りか」「変わり者」見る前に跳んだ「海上保安官」の素顔”, 週刊新潮: pp. 31, (2010-11-25)
- ^ “「尖閣ビデオ」を流出させた「sengoku38」の素顔”, AERA: pp. 20, (2010-11-22)
- ^ 一色 p13
- ^ 一色 p19
- ^ a b c d “激励の声続々! 流出海上保安官の素顔…出馬情報も”. 夕刊フジ/ZAKZAK. 2011年2月22日閲覧。
- ^ a b c 『(独占手記)一色正春元海上保安官が尖閣ビデオを徹底分析する』 WiLL 2011年4月号 p.28-41 ワック
- ^ 読売新聞2010年11月11日の記事で「巡視船うらなみにおける実質ナンバー3の立場」と報道された。
- ^ “紳助「あざとい金儲けが…」嫌いな男ナンバーワンは?”. 週刊SPA! (扶桑社). (2011年3月2日). オリジナルの2011年3月14日時点におけるアーカイブ。 2013年2月13日閲覧。
- ^ “尖閣映像流出の元海保職員、超党派の勉強会に”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2011年2月9日). オリジナルの2011年4月15日時点におけるアーカイブ。 2013年2月13日閲覧。
- ^ “ゴー宣ネット道場”. ゴー宣ネット道場 | 身を修め、現場で戦う覚悟を作る公論の場。. 2023年2月16日閲覧。
- ^ 2/3【各界からの提言】第25回 全国戦歿者追悼中央国民集会[桜H23/8/17] - YouTube
- ^ “尖閣衝突映像CNNに郵送、海上保安官供述”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2010年11月25日). オリジナルの2010年11月27日時点におけるアーカイブ。 2011年2月22日閲覧。
- ^ a b “sengoku38”こと一色正春氏がたかじんと番組討論「報道陣に配るDVDも用意していた オリコンニュース 2011年5月28日
- ^ a b “保安官「後悔していない」 尖閣ビデオ流出、海保処分”. 神戸新聞 (47NEWS). (2010年12月23日) 2012年11月13日閲覧。
- ^ a b “映像流出の保安官、停職12カ月 保安官は処分後、辞職”. 共同通信社. 47NEWS. (2010年12月22日) 2012年11月13日閲覧。
- ^ a b c “海上保安官、停職1年の厳重処分 尖閣の映像流出容疑”. 共同通信社. 47NEWS. (2010年12月22日) 2012年11月13日閲覧。
- ^ “保安官、きっぱり「後悔せず」 書類送検にも淡々”. 共同通信社. 47NEWS. (2010年12月22日) 2012年11月13日閲覧。
- ^ “尖閣事件の元海上保安官起訴猶予 衝突の中国人船長も”. 共同通信社. 47NEWS. (2011年1月21日) 2012年11月13日閲覧。
- ^ “尖閣映像流出の元海上保安官、起訴猶予に 捜査終結”. 日本経済新聞. (2011年1月21日) 2024年10月24日閲覧。
- ^ “投稿者「sengoku38」の意図は?”. News i (TBSテレビ). (2010年11月5日). オリジナルの2010年11月9日時点におけるアーカイブ。 2010年11月6日閲覧。
- ^ a b “ハンドルネーム「sengoku38」とは何者?”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2010年11月6日). オリジナルの2010年11月10日時点におけるアーカイブ。 2010年11月6日閲覧。
- ^ a b “ビデオ投稿者「sengoku38」の「38」って?”. 夕刊フジ (産経新聞社). (2010年11月5日). オリジナルの2011年1月9日時点におけるアーカイブ。 2010年11月6日閲覧。
- ^ 阿比留瑠比 (2010年11月5日). “「ユーチューブ見ていない」仙谷官房長官が会見・全文[記者ブログ]”. 産経新聞. オリジナルの2010年11月10日時点におけるアーカイブ。 2010年11月6日閲覧。
- ^ “海上保安官、投稿名について「仙谷でもあるし、戦国・・・」”. 産経新聞. (2010年11月11日). オリジナルの2010年11月20日時点におけるアーカイブ。 2011年6月6日閲覧。
- ^ 【元尖閣保安官 講演(5)】sengoku38の意味は…「一つぐらい秘密あった方が事件忘れられない」 産経新聞 2011年2月14日
- ^ 朝日新聞 2011年1月22日
- ^ 堀内彰宏 (2011年2月15日). “平成の二・二六事件!? sengoku38氏が語る「尖閣ビデオ」事件の真相”. Business Media 誠. ITmedia. pp. p. 3. 2011年2月15日閲覧。
- ^ “【Web】ネット流行語大賞2010決定 1位は「そんな装備で大丈夫か?」”. MSN産経ニュース (産業経済新聞社). (2010年12月2日). オリジナルの2011年1月26日時点におけるアーカイブ。 2013年2月13日閲覧。
参考文献
[編集]- “Coast Guard Video Leaker in the Spotlight”. The Wall Street Journal. February 14, 2011閲覧。
- “元海上保安官『Sengoku38』が講演”. ウォール・ストリート・ジャーナル日本版. 2011年2月15日閲覧。
- 一色正春『何かのために sengoku38の告白』朝日新聞出版、2011年。ISBN 9784023309203。
外部リンク
[編集]- 一色正春 (@nipponichi8) - X(旧Twitter)