主よ御許に近づかん
「主よ 御許に近づかん」(しゅよ みもとにちかづかん、英: Nearer, My God, to Thee)は、賛美歌の一つ。「讃美歌」320番、「讃美歌21」では434,435番、「聖歌」260番、「聖歌 (総合版)」238番、「教会讃美歌」471番、カトリック聖歌集 658番。
概要
[編集]原曲は元々民謡として以前より存在していたとも言われており、詞は『旧約聖書』創世記28章11節・12節を基に19世紀にイギリスのサラ・フラー・アダムスによって書かれた。現在知られている旋律は、アメリカ合衆国の作曲家、ローウェル・メイスンによって書き起こされた「ベサニー(Bethany)」を基にしている。ほかにもジョン・ダイクスの「ホーベリー(Horbury)」や、サミュエル・セバスチャン・ウェスレーの「コミュニオン(Communnion)」がある。メソジストはアーサー・サリヴァンによって書かれた旋律「Propior Deo」を好む。
エピソード
[編集]- 1912年、豪華客船タイタニック号が沈没する際、沈みゆく船上で同船のバンドメンバー(沈没で全員犠牲になる)が演奏したという。この話は1997年の映画『タイタニック』をはじめとするタイタニック号の沈没を描いた複数の映画に取り入れられている。タイタニック号のバンドマスターのウォレス・ハートリーはこの歌を好み、彼の葬式での上演を望んでいたという。彼は英国人のメソジスト教徒で、"Bethany" だけではなく "Horbury" や "Propior Deo" を知っていたと推測される。
- アメリカの第25代大統領ウィリアム・マッキンレーやイギリスのエドワード7世の愛唱歌でもある [1]。
- アメリカ人婦人宣教師ジェニー・カイパーがフェリス女学院院長の時に、関東大震災に被災し建物の下敷きになり、この讃美歌を歌いながら殉職した。
登場する作品
[編集]- テレビアニメ『フランダースの犬』の最終回のクライマックスのBGM。
- テレビアニメ『赤毛のアン』のマシュウ・カスバートの葬式の挿入歌。
- 複数のタイタニック号の沈没を描いた映画の挿入曲。
- アニメ映画『銀河鉄道の夜』でタイタニック号をモチーフにしたと推定される沈没船の場面でコーラスバージョンが挿入される[2]。
- テレビアニメ『みつどもえ 増量中!』の第4話のエンディングテーマ。
- 漫画『天を見つめて地の底で』の第2部「果てしなき航海」でバンドメンバーがタイタニック号と運命を共にすることになった乗員乗客のために演奏していたが、遂に船が沈没する直前に賛美歌「主よ御許に近づかん」が船内に流れた。
- 漫画『エロイカより愛をこめて』の「アラスカ最前線」で、情報部員達全員がアラスカへ長期出張に出る際に。輸送機の中で歌おうとする。
- テレビドラマ版『私は貝になりたい』で、主人公の清水豊松(演:所ジョージ)と同房になった死刑囚(演:柳葉敏郎)が刑場に連行される際に、本人と他の死刑囚達が歌っている。
- 『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』(シリーズ18作目)マドンナ柳生綾(京マチ子)の葬儀において教会で参列者が歌う。
- 映画『マチネの終わりに』で、ギタリスト祖父江先生の葬式の挿入歌。
英語の一般的な歌詞
[編集] 英語の歌詞[編集]Nearer, my God, to Thee, Nearer to Thee!
Though like the wanderer, The sun gone to down,
There let the way appear, Steps unto heaven:
Then with my waking thoughts Bright with Thy praise,
Or if on joyful wing, cleaving the sky
| 日本語訳[編集]わが神よ、御許に近づかん、御許に近づかん。
さすらう者のように日が暮れ、
道をそこに現出せしめよ、天にとどく階段を。
その時、私は覚醒した思いで、あなたへの讃美で溌剌としている。
もし喜びに満ちた翼に乗り、空を突き抜け、
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日本語への翻訳
[編集]摂津第一公会刊「讃美歌集」(1874年) | 現代カトリックの歌詞 |
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