大庭脩
人物情報 | |
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生誕 | 1927年1月20日 日本大阪府 |
死没 | 2002年11月27日 (75歳没) |
学問 | |
研究分野 | 東洋史(簡牘学・日本木簡学・中国法制史・日中関係史) |
研究機関 | 関西大学 |
大庭 脩(おおば おさむ、昭和2年(1927年)1月20日 - 平成14年(2002年)11月27日)は、日本の歴史学者。
専門は中国簡牘学・日本木簡学・中国法制史・日中関係史。皇學館大学元学長、関西大学名誉教授、大阪府立近つ飛鳥博物館元館長。正五位。勲三等旭日中綬章。文学博士(関西大学)。
人物・略伝
[編集]大阪府出身。北野中学校在学中に歴史研究、とくに近世日本思想史を志し、浪速高等学校在学中に吉田松陰『講孟余話』の輪読会に参加した。その際、吉田松陰の思想を理解するには中国古典の理解の必要性を感じ、併せて終戦占領による歴史の転換点に遭遇し、日本を理解するには中国の歴史を理解せねばならないと思い、東洋史研究に転向した。
大庭の研究分野は多岐にわたるが、自身が語るところでは研究分野は下記3つであると述べている[1]。
漢代法制史の研究は、大庭の学究生活のなかで一番長く行われた研究領域であった。1900年代から1930年代にかけ、スウェン・ヘディン、オーレル・スタインらが、西域(ニヤ遺跡や楼蘭ほか)で発見した漢代の木簡(居延漢簡ほか)を活用した点が、研究の最も大きな特色で、博士学位請求論文である『秦漢法制史の研究』や『漢簡研究』は、大庭の漢代法制史研究の集大成といえる著書である。また木簡解読のため、隷書を中心とした中国書道史の研究もおこなった。
日中交流史、特に江戸時代の漢籍輸入・受容の研究については、昭和38年(1963年)からの石濱純太郎(関西大学教授)を中心とする文部省科学研究費補助による総合研究、「江戸時代京阪における漢学の研究」に参加したことが、この分野の研究をはじめる契機となった[2]。
内閣文庫(現在は国立公文書館)などに収蔵される輸入漢籍をことごとく調査し、その成果を『江戸時代における唐船持渡書(とうせんもちわたりしょ)の研究』にまとめ、研究成果を増補刊行したのが『江戸時代における中国文化受容の研究』である。この研究により、昭和61年(1986年)に、第76回日本学士院賞を受賞した。この分野においても、多数の資料集や一般向け著作を出版し、この分野から派生した陶磁史研究や輸出陶磁器の蒐集、徳川吉宗がベトナムから買い寄せた象(広南従四位白象)の研究などをおこなった。
経歴
[編集]- 昭和2年(1927年)1月20日 京都市に生まれる。3ヶ月後、大阪府豊能郡池田町(現池田市)に移る。
- 昭和7年(1932年)池田町立幼稚園入園。
- 昭和8年(1933年)大阪府立池田師範学校附属小学校入学。
- 昭和14年(1939年)4月 大阪府立北野中学校入学。
- 昭和19年(1944年)4月 浪速高等学校文科入学。
- 昭和22年(1947年)4月 龍谷大学文学部東洋史学科入学。
- 昭和25年(1950年)3月 同卒業。卒業論文「漢帝国の成立過程」・副論文「中国史の時代区分論」。
- 昭和25年(1950年)4月 龍谷大学大学院東洋史学研究科入学。私立三田学園三田高等学校教諭。
- 昭和27年(1952年)4月 小林聖心女子学院高等学校教諭。聖心女子大学小林分校非常勤講師。
- 昭和28年(1953年)3月 龍谷大学大学院文学研究科東洋史学科修了。
- 昭和28年(1953年)4月 聖心女子大学文学部小林分校専任講師。
- 昭和33年(1958年)4月 同助教授。
- 昭和35年(1960年)4月 関西大学文学部助教授。
- 昭和40年(1965年)4月 同教授。
- 昭和54年(1979年)9月 主論文「秦漢法制史研究」・副論文「江戸時代唐船持渡書の研究」により関西大学より文学博士の学位を授与。
- 昭和61年(1986年)6月 『江戸時代における中国文化受容の研究』により日本学士院賞受賞。
- 平成4年(1992年)4月 大阪府立近つ飛鳥博物館創設準備委員長。
- 平成6年(1994年)1月 大阪府立近つ飛鳥博物館長(初代、関西大学教授と兼務)。
- 平成9年(1997年)3月 関西大学停年退職。4月 皇學館大学大学院教授。
- 平成10年(1998年)4月 勲三等旭日中綬章を受章。
- 平成12年(2000年)4月 皇學館大学学長。
- 平成14年(2002年)11月27日、急性白血病により日生病院で死去(76歳)。正五位に叙される。
著書
[編集]- 『江戸時代における唐船持渡書の研究』(関西大学東西学術研究所, 1967年)
- 『親魏倭王』(学生社, 1971年、増補版2001年)
- 『図説中国の歴史2 秦漢帝国の威容』(講談社, 1977年)
- 『木簡』(学生社, 1979年)
- 『江戸時代の日中秘話』(東方書店, 1980年)
- 増補版『日中交流史話 江戸時代の日中関係を読む』(燃焼社, 2003年)
- 『秦漢法制史の研究』(創文社, 1982年)
- 『江戸時代における中国文化受容の研究』(同朋舎出版, 1984年)
- 『木簡学入門』(講談社学術文庫, 1984年/志学社選書, 2020年)
- 『漢簡研究』(同朋舎出版, 1992年)
- 『古代中世における日中関係史の研究』(同朋舎出版, 1996年)
- 『昭和元年生まれ達』(同朋舎出版, 1997年)
- 『漢籍輸入の文化史 聖徳太子から吉宗へ』(研文出版, 1997年)
- 『象と法と』(大庭脩先生古稀記念祝賀会, 1997年)
- 『徳川吉宗と康熙帝』(大修館書店, 2000年)
- 『漂着船物語 江戸時代の日中交流』(岩波新書, 2001年)
- 『大庭脩前館長著作集』(博物館図録32:大阪府立近つ飛鳥博物館, 2003年)
- 『唐告身と日本古代の位階制』(皇學館大學出版部, 2003年)
- 『木片に残った文字 大庭脩遺稿集』(柳原出版, 2007年)同刊行会編
編著
[編集]- 『関西大学東西学術研究所資料集刊7 舶載書目』上・下(関西大学東西学術研究所, 1972年)
- 『近世日中交渉史料集1 唐船進港回棹録・島原本唐人風説書・割符留帳』(関西大学東西学術研究所, 1974年)
- 『シルク・ロードの文化交流』(同朋舎出版, 1981年)
- 『国立公文書館内閣文庫蔵名家叢書』上・中・下(関西大学東西学術研究所, 1981~82年)
- 『江戸時代漂着唐船資料集1 寶暦三年八丈島漂着南京船資料』(関西大学東西学術研究所, 1985年)
- 『近世日中交渉史料集2~4 享保時代の日中関係資料』一~三(関西大学東西学術研究所, 1986~95年)
- 『大英図書館蔵敦煌漢簡』(同朋舎出版, 1990年)
- 『世界の中の日本人 近代日本の表層と深層』(関西大学出版部, 1990年)
- 『江戸時代漂着唐船資料集5 安永九年安房千倉漂着南京船元順号資料』(関西大学東西学術研究所, 1991年)
- 『漢簡研究の現状と展望』(関西大学出版部, 1993年)
- 『東西学術研究所索引シリーズ1 居延漢簡索引』(関西大学出版部, 1995年)
- 『江戸時代の日中關係資料 蘭園鷄肋集』(関西大学出版部, 1997年)
- 『木簡』(大修館書店, 1998年)
- 『漢簡の基礎的研究』(思文閣出版, 1999年)
- 『卑弥呼は大和に眠るか』(文英堂, 1999年)
- 『長崎唐館図集成』(関西大学出版部, 2003年)
脚注
[編集]参考図書
[編集]- 大庭脩『象と法と』(大庭脩先生古稀記念祝賀会, 1997年)