寝具
寝具(しんぐ)は、人の睡眠に供するための道具。夜具 (やぐ) とも表記される。
概要
[編集]寝具は睡眠の際に外気によって奪われる熱を遮断( → 断熱)し、暖かく寝るための、あるいは睡眠時にこれを妨げる害虫などの害を遮断するための物である。
ヒトという動物は元々、熱帯〜亜熱帯にかけての気温に即した身体構造をしており、目が覚めている時間では、身体の恒常性維持を行う自律神経の働きで、ある程度の体温調節が効き、また衣類を着用することで体温調節を行っている。しかし就寝時には自律神経の働きは鈍り、また活動時には動き易く暖かい着衣も、寝ているときには些か窮屈である。このため寝具が必要となると考えられる。
今日では人間の生活環境は熱帯から寒帯、さらには極地に至るまで広まっているため、地域によって様々な寝具が発達しており、地域差のほかに生活や活動の環境に応じて、あるいは個人の嗜好によって多様な寝具が利用されている。
なお気温がある程度に高い場合でも、腹などの身体の一部分を冷やすことで体調を崩す人は少なくない。熱帯地域やそのような季節でも、寝具は腹などの特定部位を過度に冷やさないために利用されている。
人以外の例
[編集]ゴリラは就寝前に周囲の草木の葉を使って寝床を作ることが知られており、これは霊長類でも一部の種族に見られる行動様式であるという。なお彼らは毎晩新しい寝床を作ってはそこに寝るため、人間のように専用の道具=寝具を持っているわけではない。
その一方で、ペットないしコンパニオンアニマルなどでは人間から与えられた特定の寝具に愛着とも見える行動を見せる個体もいる。
寝具の例
[編集]- 家庭で、毎晩利用される物
- 季節限定で利用される物
- 特別な環境で利用される物
- 寝袋(シュラフ)
- 明治時代以前の寝具
- その他
寝具の扱い
[編集]これら寝具であるが、ヒトが寝床を一所に定めるような、住居を持つ習慣を付けて以降、ダニやノミといった吸血虫の文字通りの温床となりやすくなった。これはこれら害虫の幼虫が、寝床に落ちたフケや垢といった皮膚老廃物を餌として生活し、成虫となって後に餌となる動物(温血動物)もいるため、これら害虫のライフサイクルが循環してしまうためである。
この害を防ぐためには、定期的に寝具を洗濯したり天日で干す・風を通すなどして清潔に保つ必要がある。寒冷地ではイヌイットなどの例に拠れば、氷点下の外気に一晩晒すだけでも、病害虫の繁殖が抑えられるという。
また就寝中は発汗が少なからず発生するが、汗は悪臭の元となるため、これも天日で干すことで殺菌・消臭できる。特に太陽光線中の紫外線による殺菌効果は、古くから寝具・衣服の衛生維持に利用されてきた。
近年では布団乾燥機などの器具も発達し、特に生活の忙しい向きに重宝がられてはいるが、この道具は天日干しに一歩及ばないところがある。天気のいい日には布団を干す労を惜しまないことが勧められる。ただし、直射日光を当ててはいけない布団として羽毛布団が挙げられる。こちらは風通しのいい日陰で干すことで快適に使用することができる。ちなみに、干す時間は日本では30分〜2時間程度でもかなり快適な状態にできる。