悪魔の階級
キリスト教の悪魔の階級(あくまのかいきゅう)は、時代によって変化している。初期は、悪魔長たるサタン(デヴィル)およびその他のデーモンに分かれるのみであった。だがこの見方はすぐに変化して、地獄も階層をもつものと認識されるようになる。
16世紀に書かれたヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』などにおいて、地上の王国の階級を真似るような悪魔の階級が提案された。
17世紀の有名なエクソシストのセバスチャン・ミカエリス神父は、悪魔の三階級説を提案。この階級は天使の階級を真似たものだった[1]。
『ゴエティア』および『悪魔の偽王国』においては、騎士、総裁、大総裁、伯爵、大伯爵、公爵、大公爵、侯爵、大侯爵、君主[2]、大君主、王、大王、皇帝といった中世の封建制度を模した階級が紹介されている[3]。
また、『大奥義書』においては、宰相、大将、中将、少将、旅団長といった政治・軍事組織を模した階級が悪魔に与えられている[4]。
セバスチャン・ミカリエスによる分類
[編集]1612年に出版された『驚嘆すべき物語』の中で記されている分類。ベリトより聞き出したものだと述べている。[5]
地獄の王をサタン(ルシファー)とした時、他の悪魔を三段階に分けた分類がある。
サタンに最も近く有力な悪魔の多い、第一階級。
上級三隊の次にサタンに近い、第二階級。
その次の第三階級。
この記事では、それぞれに分類して述べる。
脚注
[編集]- ^ フレッド・ゲティングズ『悪魔の辞典』青土社、1992年、391頁。
- ^ 『ゴエティア』および『悪魔の偽王国』での原語(ラテン語:Princeps, 英語:Prince)は文脈から「王族としての称号」ではなく「君主としての称号」として使用されている。したがって、悪魔に関する書籍でしばしば使用される「貴公子」、「王子」という訳はここでは使用せず、「君主」を訳語として採用した。英語のPrinceは日本語において「大公」と訳されることもあるが、Princeを「大公」と訳した場合、「大公爵」との混乱が生じる可能性があり、また、「大君主」(ラテン語:Magnus Princeps, 英語:Great Prince)を適切に訳出することができなくなるため、「大公」ではなく「君主」を採用する。
- ^ 准男爵、男爵、子爵、副王は使われていない。
- ^ 『地獄の辞典』p.119 でも紹介されている。
- ^ “【悪魔の辞典】悪魔の階級一覧!序列や役割なども徹底解説”. SecureCore. 2023年8月11日閲覧。
参考文献
[編集]- グスタフ・ディヴィッドスン著 吉永進一監訳『天使事典』創元社、2004年
- コラン・ド・プランシー著 床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年
- 『大奥義書』(The Grand Grimoire) 日本語訳江口之隆訳
- S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon(1904),pp.22-46 The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
- Johann Weyer, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ラテン語および英文)
- Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(英文)