難病の患者に対する医療等に関する法律

難病の患者に対する医療等に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 難病法
法令番号 平成26年5月30日法律第50号
種類 医事法
効力 現行法
成立 2014年5月23日
公布 2014年5月30日
施行 2015年1月1日
主な内容 難病の患者に対する医療費助成に関する制度の確立や基本方針の策定など
関連法令 障害者総合支援法
持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律
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難病の患者に対する医療等に関する法律(なんびょうのかんじゃにたいするいりょうとうにかんするほうりつ、平成26年5月30日法律第50号)は、日本において2014年平成26年)5月23日に成立した、難病対策の新しい法制度を律する法律である。法案審議の際に附帯決議が採択された[1]難病法(なんびょうほう)とも称される。

2015年(平成27年)1月1日より施行された。本法による制度は、難病医療費助成制度[2]、また、特定医療費助成制度[3]と称される。

概説

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趣旨として、以下のように述べられる[4]

持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、難病の患者に対する医療費助成に関して、法定化によりその費用に消費税の収入を充てることができるようにするなど、公平かつ安定的な制度を確立するほか、基本方針の策定、調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置を講ずる。

医療費助成の対象疾病の拡大として、対象疾病を従来の56疾病から、306疾病へと増やす。これにともない、受給者数は、約78万人(平成23年度)から、約150万人(平成27年度)(試算)へと増える。医療費助成の予算規模は、平成23年度(実績)1190億円から、平成27年度(予算)2221億円へと増大する。[5]その一方で従来からの特定疾患(特定疾患治療研究事業対象)であった患者(難病療養継続者)にとってはおおむね助成の減額となるため、3年間の経過措置により影響を緩和しようとしている[6]

新たな医療費助成における月額自己負担上限額(単位: 円)
階層区分 階層区分の基準
()内は、夫婦2人世帯の
場合における年収の目安
患者負担割合: 2割自己負担上限額(外来+入院)
自己負担上限額(外来+入院)
原則 既認定者(経過措置3年間)
一般 高額かつ
長期[1]
一般 特定疾病
治療研究事業の
重症患者
人工呼吸器等
装着者
人工呼吸器等
装着者
生活保護 - 0 0 0 0 0 0
低所得I 市町村民税
非課税(世帯)
本人年収
〜80万円
2,500 2,500 1,000 2,500 2,500 1,000
低所得II 本人年収
80万円超〜
5,000 5,000 5,000
一般所得I 市町村民税
課税以上7.1万円未満
(約160万円〜約370万円)
10,000 5,000 5,000 5,000
一般所得II 市町村民税
7.1万円以上25.1万円未満
(約370万円〜約810万円)
20,000 10,000 10,000
上位所得 市町村民税
25.1万円以上
(約810万円〜)
30,000 20,000 20,000
入院時の食費 全額自己負担 1/2自己負担
  1. ^ 「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者
    (例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。

自己負担上限額と、患者負担割合2割のどちらが優先かについては、小さい方が窓口での負担額となる[7]。難病法による医療費助成のことを特定医療費と称する。特定医療費の支給に当たっては医療保険制度、介護保険制度による給付を優先する(保険優先制度)[7]

特定医療費の支給について(自己負担の考え方)

指定医の制度が開始された。新規に難病法のための診断書を作成できるのは難病指定医のみとなった。更新のための診断書を作成できるのは難病指定医と協力難病指定医である。ともに研修を必要とし、5年ごとの更新制である。[8]指定医療機関の制度が開始された。病院、診療所、薬局などの申請に基いて、都道府県知事が、難病法による医療を受けられる医療機関の指定を行う方式となった。[9]

難病法のための診断書を、申請書とともに都道府県の窓口に提出することによって、医療受給者証が発行され、受給が開始される[2]。ただし、注意すべき点として、軽症者については原則として対象外であり[10]、軽症の定義は各疾患により異なる[11]。これに対して、高額な医療を継続することが必要な軽症者の取扱いが定められている[12]

医療費助成制度の見直しで、約15万人の軽症患者が受給対象から外れたことにより[13]、対象外になった患者の半年の平均通院回数が5.3回から3.6回に減ったことが厚生労働省研究班の調査で判明した[14]

障害福祉サービスについては、本法ではなく障害者総合支援法が適用される。対象となる難病が151疾患へと拡大された[15]

小児に対しては、本法ではなく児童福祉法が適用される[16]。その制度は、小児慢性特定疾病医療費助成制度[17][3]と称される。自己負担上限額として成人の半分とし、入院時の食費が原則として半分助成される。また、小児期に亡くなるため成人例がこれまで存在しなかった疾患が多く、704疾患が対象である。このため小児慢性特定疾病医療費助成制度で助成を受けられた者が18歳になった際に、難病医療費助成制度で補助が受けられない問題が発生することから「小慢のトランジション」と呼ばれている[18]

また、各疾患の基準を満たし、審査が通れば、障害年金が受給される。

指定難病

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難病法の対象疾患として指定を受けた難病のことを指定難病と呼んで、従来の特定疾患56疾病と区別されている。

第1次実施分は平成27年1月1日から、第2次実施分は平成27年7月1日から、第3次実施分は平成29年4月1日から、第4次実施分は平成30年4月1日から、第5次実施分は令和元年7月1日から、第6次実施分は令和3年11月1日から、第7次実施分は令和6年4月1日から施行された。これにより従来の特定疾患を含めて341疾患となった。

第1次実施分(平成27年1月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている[19]

第1次実施分 指定難病[20]
番号 病名 備考
1 球脊髄性筋萎縮症 特定疾患
2 筋萎縮性側索硬化症 特定疾患
3 脊髄性筋萎縮症 特定疾患
4 原発性側索硬化症
5 進行性核上性麻痺 特定疾患
6 パーキンソン病 特定疾患
7 大脳皮質基底核変性症 特定疾患
8 ハンチントン病 特定疾患
9 神経有棘赤血球症
10 シャルコー・マリー・トゥース病
11 重症筋無力症 特定疾患
12 先天性筋無力症候群
13 多発性硬化症視神経脊髄炎 特定疾患
14 慢性炎症性脱髄性多発神経炎多巣性運動ニューロパチー 特定疾患
15 封入体筋炎
16 クロウ・深瀬症候群
17 多系統萎縮症 特定疾患
18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く) 特定疾患
19 ライソゾーム病 特定疾患
20 副腎白質ジストロフィー 特定疾患
21 ミトコンドリア病 特定疾患
22 もやもや病 特定疾患
23 プリオン病 特定疾患
24 亜急性硬化性全脳炎 特定疾患
25 進行性多巣性白質脳症
26 HTLV-1関連脊髄症
27 特発性基底核石灰化症
28 全身性アミロイドーシス 特定疾患
29 ウルリッヒ病
30 遠位型ミオパチー
31 ベスレムミオパチー
32 自己貪食空胞性ミオパチー
33 シュワルツ・ヤンペル症候群
34 神経線維腫症 特定疾患
35 天疱瘡 特定疾患
36 表皮水疱症 特定疾患
37 膿疱性乾癬(汎発型) 特定疾患
38 スティーヴンス・ジョンソン症候群 特定疾患
39 中毒性表皮壊死症 特定疾患
40 高安動脈炎 特定疾患
41 巨細胞性動脈炎
42 結節性多発動脈炎 特定疾患
43 顕微鏡的多発血管炎 特定疾患
44 多発血管炎性肉芽腫症 特定疾患
45 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
46 悪性関節リウマチ 特定疾患
47 バージャー病 特定疾患
48 原発性抗リン脂質抗体症候群
49 全身性エリテマトーデス 特定疾患
50 皮膚筋炎多発性筋炎 特定疾患
51 全身性強皮症 特定疾患
52 混合性結合組織病 特定疾患
53 シェーグレン症候群
54 成人発症スチル病 [注釈 1]
55 再発性多発軟骨炎
56 ベーチェット病 特定疾患
57 特発性拡張型心筋症 特定疾患
58 肥大型心筋症 特定疾患
59 拘束型心筋症 特定疾患
60 再生不良性貧血 特定疾患
61 自己免疫性溶血性貧血
62 発作性夜間ヘモグロビン尿症
63 特発性血小板減少性紫斑病 特定疾患
64 血栓性血小板減少性紫斑病
65 原発性免疫不全症候群 特定疾患
66 IgA腎症
67 多発性嚢胞腎
68 黄色靱帯骨化症 特定疾患
69 後縦靱帯骨化症 特定疾患
70 広範脊柱管狭窄症 特定疾患
71 特発性大腿骨頭壊死症 特定疾患
72 下垂体性ADH分泌異常症 特定疾患
73 下垂体性TSH分泌亢進症 特定疾患
74 下垂体性PRL分泌亢進症 特定疾患
75 クッシング病 特定疾患
76 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 特定疾患
77 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 特定疾患
78 下垂体前葉機能低下症 特定疾患
79 家族性高コレステロール血症 (ホモ接合体) 特定疾患
80 甲状腺ホルモン不応症
81 先天性副腎皮質酵素欠損症
82 先天性副腎低形成症
83 アジソン病
84 サルコイドーシス 特定疾患
85 特発性間質性肺炎 特定疾患
86 肺動脈性肺高血圧症 特定疾患
87 肺静脈閉塞症肺毛細血管腫症 特定疾患
88 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 特定疾患
89 リンパ脈管筋腫症 特定疾患
90 網膜色素変性症 特定疾患
91 バッド・キアリ症候群 特定疾患
92 特発性門脈圧亢進症
93 原発性胆汁性胆管炎 特定疾患
94 原発性硬化性胆管炎
95 自己免疫性肝炎
96 クローン病 特定疾患
97 潰瘍性大腸炎 特定疾患
98 好酸球性消化管疾患
99 慢性特発性偽性腸閉塞症
100 巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症
101 腸管神経節細胞僅少症
102 ルビンシュタイン・テイビ症候群
103 CFC症候群
104 コステロ症候群
105 チャージ症候群
106 クリオピリン関連周期熱症候群
107 全身型若年性特発性関節炎
108 TNF受容体関連周期性症候群
109 非典型溶血性尿毒症症候群
110 ブラウ症候群

第2次実施分(平成27年7月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている[21]

第2次実施分 指定難病[22][23]
番号 病名
111 先天性ミオパチー
112 マリネスコ・シェーグレン症候群
113 筋ジストロフィー
114 非ジストロフィー性ミオトニー症候群
115 遺伝性周期性四肢麻痺
116 アトピー性脊髄炎
117 脊髄空洞症
118 脊髄髄膜瘤
119 アイザックス症候群
120 遺伝性ジストニア
121 脳内鉄沈着神経変性症経[注釈 2]
122 脳表ヘモジデリン沈着症
123 HTRA1関連脳[注釈 3]
124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症
125 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症
126 ペリー病[注釈 4]
127 前頭側頭葉変性症
128 ビッカースタッフ脳幹脳炎
129 けいれん重積型(二相性)急性脳症
130 先天性無痛無汗症
131 アレキサンダー病
132 先天性核上性球麻痺
133 メビウス症候群
134 中隔視神経形成異常症ドモルシア症候群
135 アイカルディ症候群
136 片側巨脳症
137 限局性皮質異形成
138 神経細胞移動異常症
139 先天性大脳白質形成不全症
140 ドラベ症候群
141 海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん
142 ミオクロニー欠神てんかん
143 ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん
144 レノックス・ガストー症候群
145 ウエスト症候群
146 大田原症候群
147 早期ミオクロニー脳症
148 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん
149 片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群
150 環状20番染色体症候群
151 ラスムッセン脳炎
152 PCDH19関連症候群
153 難治頻回部分発作重積型急性脳炎
154 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症
155 ランドウ・クレフナー症候群
156 レット症候群
157 スタージ・ウェーバー症候群
158 結節性硬化症
159 色素性乾皮症
160 先天性魚鱗癬
161 家族性良性慢性天疱瘡
162 類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)
163 特発性後天性全身性無汗症
164 眼皮膚白皮症
165 肥厚性皮膚骨膜症
166 弾性線維性仮性黄色腫
167 マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群[注釈 5]
168 エーラス・ダンロス症候群
169 メンケス病
170 オクシピタル・ホーン症候群
171 ウィルソン病
172 低ホスファターゼ症
173 VATER症候群
174 那須・ハコラ病
175 ウィーバー症候群
176 コフィン・ローリー症候群
177 ジュベール症候群関連疾患
178 モワット・ウィルソン症候群
179 ウィリアムズ症候群
180 ATR-X症候群
181 クルーゾン症候群
182 アペール症候群
183 ファイファー症候群
184 アントレー・ビクスラー症候群
185 コフィン・シリス症候群
186 ロスムンド・トムソン症候群
187 歌舞伎症候群
188 多脾症候群
189 無脾症候群
190 鰓耳腎症候群
191 ウェルナー症候群
192 コケイン症候群
193 プラダー・ウィリ症候群
194 ソトス症候群
195 ヌーナン症候群
196 ヤング・シンプソン症候群
197 1p36欠失症候群
198 4p欠失症候群
199 5p欠失症候群
200 第14番染色体父親性ダイソミー症候群
201 アンジェルマン症候群
202 スミス・マギニス症候群
203 22q11.2欠失症候群
204 エマヌエル症候群
205 脆弱X症候群関連疾患
206 脆弱X症候群
207 総動脈幹遺残症
208 修正大血管転位症
209 完全大血管転位症
210 単心室症
211 左心低形成症候群
212 三尖弁閉鎖症
213 心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症
214 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症
215 ファロー四徴症
216 両大血管右室起始症
217 エプスタイン病
218 アルポート症候群
219 ギャロウェイ・モワト症候群
220 急速進行性糸球体腎炎
221 抗糸球体基底膜腎炎
222 一次性ネフローゼ症候群
223 一次性膜性増殖性糸球体腎炎
224 紫斑病性腎炎
225 先天性腎性尿崩症
226 間質性膀胱炎(ハンナ型)
227 オスラー病
228 閉塞性細気管支炎
229 肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)
230 肺胞低換気症候群
231 α1-アンチトリプシン欠乏症
232 カーニー複合
233 ウォルフラム症候群
234 ペルオキシソーム病副腎白質ジストロフィーを除く)
235 副甲状腺機能低下症
236 偽性副甲状腺機能低下症
237 副腎皮質刺激ホルモン不応症
238 ビタミンD抵抗性くる病骨軟化症
239 ビタミンD依存性くる病骨軟化症
240 フェニルケトン尿症
241 高チロシン血症1型
242 高チロシン血症2型
243 高チロシン血症3型
244 メープルシロップ尿症
245 プロピオン酸血症
246 メチルマロン酸血症
247 イソ吉草酸血症
248 グルコーストランスポーター1欠損症
249 グルタル酸血症1型
250 グルタル酸血症2型
251 尿素サイクル異常症
252 リジン尿性蛋白不耐症
253 先天性葉酸吸収不全
254 ポルフィリン症
255 複合カルボキシラーゼ欠損症
256 筋型糖原病
257 肝型糖原病
258 ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症
259 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症
260 シトステロール血症
261 タンジール病
262 原発性高カイロミクロン血症
263 脳腱黄色腫症
264 無βリポタンパク血症
265 脂肪萎縮症
266 家族性地中海熱
267 高IgD症候群
268 中條・西村症候群
269 化膿性無菌性関節炎壊疽性膿皮症アクネ症候群
270 慢性再発性多発性骨髄炎
271 強直性脊椎炎
272 進行性骨化性線維異形成症
273 肋骨異常を伴う先天性側弯症
274 骨形成不全症
275 タナトフォリック骨異形成症
276 軟骨無形成症
277 リンパ管腫症ゴーハム病
278 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)
279 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)
280 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)
281 クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
282 先天性赤血球形成異常性貧血
283 後天性赤芽球癆
284 ダイアモンド・ブラックファン貧血
285 ファンコーニ貧血
286 遺伝性鉄芽球性貧血
287 エプスタイン症候群
288 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症[注釈 6]
289 クロンカイト・カナダ症候群
290 非特異性多発性小腸潰瘍症
291 ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型)
292 総排泄腔外反症
293 総排泄腔遺残
294 先天性横隔膜ヘルニア
295 乳幼児肝巨大血管腫
296 胆道閉鎖症
297 アラジール症候群
298 遺伝性膵炎
299 嚢胞性線維症
300 IgG4関連疾患
301 黄斑ジストロフィー
302 レーベル遺伝性視神経症
303 アッシャー症候群
304 若年発症型両側性感音難聴
305 遅発性内リンパ水腫
306 好酸球性副鼻腔炎

第3次実施分(平成29年4月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている[24]

第3次実施分 指定難病[25][26]
番号 病名
307 カナバン病
308 進行性白質脳症
309 進行性ミオクローヌスてんかん
310 先天異常症候群
311 先天性三尖弁狭窄症
312 先天性僧帽弁狭窄症
313 先天性肺静脈狭窄症
314 左肺動脈右肺動脈起始症
315 アイザックス症候群
316 ネイルパテラ症候群爪膝蓋骨症候群)/LMX1B関連腎症
317 カルニチン回路異常症
318 三頭酵素欠損症
319 セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症
320 先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症
321 非ケトーシス型高グリシン血症
322 β-ケトチオラーゼ欠損症
323 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症
324 メチルグルタコン酸尿症
325 遺伝性自己炎症疾患
326 大理石骨病
327 特発性血栓症病(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)
328 前眼部形成異常
329 無虹彩症
330 先天性気管狭窄症先天性声門下狭窄症

第4次実施分(平成30年4月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている[27]

第4次実施分 指定難病[28][26]
番号 病名
331 突発性多中心性キャッスルマン病

第5次実施分(令和元年7月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている[29]

第5次実施分 指定難病[30][31]
番号 病名
332 膠様滴状角膜ジストロフィー
333 ハッチンソン・ギルフォード症候群

第6次実施分(令和3年11月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている。

第6次実施分 指定難病
番号 病名
288 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
334 脳クレアチン欠乏症候群
335 ネフロン癆
336 家族性低βリポタンパク血症1(ホモ接合体)
337 ホモシスチン尿症
338 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症

第7次実施分(令和6年4月1日施行)

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各疾患の診断基準等および申請用個人票については厚生労働省のサイトに掲載されている。

第7次実施分 指定難病
番号 病名
339 MECP2重複症候群
340 線毛機能不全症候群(カルタゲナー症候群を含む。)
341 TRPV4異常症

選定方法と課題

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難病の定義として、次の4項目が挙げられている。[32]

  1. 原因不明(発病の機構が明らかでない)
  2. 治療方法が確立していない
  3. 希少な疾病
  4. その病気によって、長い間療養を必要とすることとなるもの

このうち、さらに2項目で選定されて、指定難病となる。

  1. 患者数が日本国内で一定の人数(人口の0.1%)に達しないこと
  2. 客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

患者数の条件については、潰瘍性大腸炎などを指定の範囲に留めるため、後に0.15%未満の疾患についても便宜上対象とすることが示された[33][34]

選定は第三者機関の形をとった、厚生科学審議会 (疾病対策部会指定難病検討委員会)により行われる。[35]

しかしながらこうした選定方法について、課題も指摘されている[36][37]。一つには、希少性の条件と、病名によって、助成の基準を区切ることが不適切ではないかという指摘である[38]

2015年度中に、もう一度指定難病検討委員会が開かれることがアナウンスされている[39]

目立った批判として日本弁護士連合会より、「難病者の人権保障の確立を求める意見書」が[40]、2015年7月28日付けで、内閣総理大臣文部科学大臣及び厚生労働大臣宛てに提出された[41]。 その中で「難病者」の概念について、障害者権利条約を受けた、改正障害者基本法に即した考え方を採用することなどが、強く要望された。

難病と希少疾患

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本法における難病の定義とは、指定難病の条件を除けば、先述の4つの条件、原因不明(発病の機構が明らかでない)、治療方法が確立していない、希少な疾病、その病気によって長い間療養を必要とすることとなるもの、を満たす疾患である[32]。ここで希少な疾病とは、患者数の少ない疾患を意味し、具体的に条件を課すと、欧米で希少疾患と呼んでいる概念である。希少疾患は、人口比として約0.06%(米国[42])、0.05%(EU[43])未満の疾患である。希少疾患は、欧米の行政上は主として、人口比が小さく薬剤開発が進まない疾患への便宜、いわゆるオーファン・ドラッグの認定の際に関係している。日本で欧米の希少疾患に近い概念として、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)で定められる希少疾病用医薬品が挙げられ、人口比として約0.04%未満の疾患に対して便宜が図られている。

本法における指定難病の条件として原則0.1%未満が用いられていることで、指定難病の希少性の条件は、欧米の希少疾患、また、日本の薬事法で定められる希少疾病用医薬品の条件よりも広いが、希少性以外の条件を加味すると難病の範囲は狭くなる。したがって、本法における難病と希少疾患は、法的解釈として、厳密に言うと異なる概念である。しかし、実際問題として、広義に解釈すれば、日本では伝統的に難病と呼ばれてきたものが、欧米で伝統的に希少疾患と呼ばれてきたものに近い。

脚注

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注釈

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  1. ^ 令和6年4月に成人スチル病から名称を変更。
  2. ^ 令和6年4月に神経フェリチン症から名称を変更。
  3. ^ 令和6年4月に禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症から名称を変更。
  4. ^ 令和6年4月にペリー症候群から名称を変更。
  5. ^ 令和6年4月にマルファン症候群から名称を変更。
  6. ^ 第3次実施分の時に自己免疫性出血病XIIIから名称を変更。

出典

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  1. ^ 衆議院厚生労働委員会、参議院厚生労働委員会 (2014年6月18日). “法案審議の際に付された附帯決議” (PDF). 厚生労働省. 2015年5月28日閲覧。
  2. ^ a b 厚生労働省. “平成27年7月1日から、難病の方へ向けた 難病医療費助成制度の 対象疾病が拡大します” (PDF). 2015年5月26日閲覧。
  3. ^ a b JPA (2015年4月5日). “医療保険制度改革法案の患者負担の増大等への影響を危惧します” (PDF). 2015年5月27日閲覧。
  4. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 4.
  5. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 5.
  6. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 6.
  7. ^ a b 難病医療費助成制度概要, p. 10.
  8. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 42.
  9. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 43.
  10. ^ NHK (2014年2月10日). “シリーズ 難病と向き合う 第1回 どう支える 難病医療”. 2015年5月26日閲覧。
  11. ^ 難病医療費助成制度概要, pp. 31–32.
  12. ^ 難病医療費助成制度概要, p. 7.
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  14. ^ 難病「軽症」患者の通院回数減 助成外れ抑制か”. 毎日新聞. 毎日新聞 (2019年1月23日). 2019年1月23日閲覧。
  15. ^ 厚生労働省. “障害者総合支援法の対象疾病(難病等)”. 2015年5月29日閲覧。
  16. ^ 厚生労働省. “児童福祉法の一部を改正する法律案の概要” (PDF). 2015年5月26日閲覧。
  17. ^ 小児慢性特定疾病情報センター. “小児慢性特定疾病の医療費助成について”. 2015年5月26日閲覧。
  18. ^ JPA (2014年9月6日). “新しい難病対策・難病2法と 患者会の課題” (PDF). p. 36. 2015年5月28日閲覧。
  19. ^ 厚生労働省 健康局疾病対策課. “平成27年1月1日施行の指定難病(新規)”. 2015年9月3日閲覧。
  20. ^ 難病医療費助成制度概要, pp. 13–14.
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  23. ^ 難病医療費助成制度概要, pp. 16–19.
  24. ^ 厚生労働省 健康局疾病対策課. “平成29年4月1日施行の指定難病(新規)”. 2018年5月30日閲覧。
  25. ^ 健康局疾病対策課. “平成29年4月1日施行の指定難病(新規)”. 厚生労働省. 2018年5月30日閲覧。
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  31. ^ 難病医療費助成制度のご案内 難病情報センター 2019年7月21日閲覧
  32. ^ a b 難病医療費助成制度概要, p. 20.
  33. ^ "「一定の人数」として示されている「人口の0.1%程度以下」について、以下のように整理してはど うか。" 厚生労働省 (2015年7月28日). “指定難病の要件について” (PDF). p. 5. 2015年5月29日閲覧。
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  36. ^ わたしのフクシ。編集部 (2013年12月23日). “難病患者の医療費負担案 〜 そして国会へ(前編)”. 2015年5月24日閲覧。
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  40. ^ 難病者の人権保障の確立を求める意見書”. 日本弁護士連絡会 (2015年7月16日). 2019年1月23日閲覧。
  41. ^ 厚生労働省 (2015年7月16日). “難病者の人権保障の確立を求める意見書”. 2015年8月3日閲覧。
  42. ^ en:Rare Diseases Act of 2002
  43. ^ About Rare Diseases”. en:EURORDIS. 2015年5月29日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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