新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の
世界的流行
流行状況を示した世界地図(適宜更新)
  感染者 100,000人以上
  感染者 10,000–99,999人
  感染者 1,000–9,999人
  感染者 100–999人
  感染者 10–99人
  感染者 1–9人
2020年1月12日 - 3月2日にCOVID-19患者が確認された地域の感染拡大を示す地図
疾病 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)
ウイルス株 SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2)
最初の発生 中華人民共和国の旗 中華人民共和国
湖北省武漢市
北緯30度37分11秒 東経114度15分28秒 / 北緯30.61972度 東経114.25778度 / 30.61972; 114.25778
場所 世界の旗 全世界
初発症例 2019年11月17日 (2019-11-17)から今
(4年11ヶ月3週2日間)
確定症例数 606,040,583人以上[1]
回復者数 581,552,248人以上[1]
死者数
6,488,426人以上[1]
感染地域
230の国と地域[1]
外部リンク COVID-19 – WHO
ビデオによるまとめ (スクリプト)

新型コロナウイルス感染症の世界的流行(しんがたコロナウイルスかんせんしょうのせかいてきりゅうこう、英語: COVID-19 pandemic)は、2019年末より始まったSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) を病原体として急性呼吸器疾患等を引き起こす新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミック(世界的流行)である。

全世界が感染症の危険に晒されたことで、世界規模のロックダウンや入国制限、国際行事の延期や縮小など、人類が過去に経験していない事態に陥った。パンデミックを収束させるために実施されたロックダウンなどの反グローバリゼーション、反民主主義的な側面を持つ政策により、行動の自由は大きく後退し、経済活動は大幅に縮小した。このため、世界の経済状態は一変した[2]。流行により生活のオンライン化が進んだが、外食観光レジャー興行運輸などはオンライン化できず、廃業が数多く確認された。従って、ワクチン接種により行動の自由を回復することが急務となっているほか、新しい生活様式ウィズコロナ)への適応も行われている[3][4]

SARS-CoV-2が研究途上のウイルスであるため、COVID-19ワクチンの普及以後も普通の風邪のように扱って良いか不明であり、事態は一進一退を続けている。また、長期間続く恐れのある後遺症 (Long COVID) なども懸念されている。2022年8月時点で、感染は230の国と地域で起きており、感染者は6億人以上、死者は640万人を超えている[1][5][6]。なお2021年5月には、当時の公式推定の2倍以上となる約690万人が全世界で死亡しているとする分析結果をワシントン大学が発表した[7][8][9]世界保健機関 (WHO) は、1918年スペインかぜを超える人類史上最悪クラスのパンデミックとして事態を重く受け止めている[10]2019年から2021年までの世界の平均寿命は2歳短くなった[11]

疾病

[編集]

2019年11月22日に中華人民共和国湖北省武漢市で原因不明のウイルス肺炎が初めて確認された[12]。新型コロナウイルスの特徴はこれまでの重症急性呼吸器症候群 (SARS) や中東呼吸器症候群 (MERS) 等と同様と思われていたが、過去にない潜伏性の高さから、人類の経済活動を利用して急速に感染を拡大し、2020年1月30日に世界保健機関 (WHO) は6回目となる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を宣言した[13]。2月28日にはこの疾患が世界規模で流行する危険性について最高レベルの「非常に高い」と評価し[14]、3月11日、テドロス・アダノムWHO事務局長はパンデミック(世界的流行)相当との認識を表明した[15][16]

パンデミック発生以降、未曾有の事態に情報が錯綜し、世界各地で人種差別イデオロギーの対立などの問題が顕在化した。特に感染被害の大きいアメリカ合衆国では、感染元と見られる中華人民共和国への反中感情が悪化するなど国際情勢にも大きな変化をもたらした。

新型コロナウイルスの流入を防ぐために世界各国は入国制限を掛けたが、自覚症状が乏しいなどの高い潜伏性を持つ新型コロナウイルスは各国の水際対策を潜り抜けて180以上の国と地域に影響を及ぼし、全世界で大規模な流行が発生した[17]。これにより、世界各地で相次いでロックダウン都市封鎖・移動制限)が実施され、需要やサプライチェーンを阻害したことで、コロナ・ショックと呼ばれる社会・経済的影響を引き起こした。特に、デジタル化できない事業に対する大幅な需要減[注 1]とサプライチェーンの混乱は実体経済に深刻なダメージを与えた。コロナ・ショック前後の社会を区別するため、『ビフォーコロナ』『アンダーコロナ』『ウィズコロナ』『アフターコロナ』『ポストコロナ』などの用語もある[19]。その後、経済活動と感染拡大防止の両立が試行されるも、世界各国の対応は難航しており、多くの国が経済活動を再開した結果、全世界の感染者数は再び指数関数的に伸び始めた。現在もなお、感染症流行の収束の見通しは立っていない。

2023年5月5日にWHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を終了し、「緊急事態から、他の感染症への対応と並行して流行を制御する局面に移った」としつつも[20]、「いま、どの国でも起こり得る最悪な事態は、今回の知らせを理由に警戒を緩め、構築したシステムを解体、あるいは国民にCOVID-19を心配する必要はないというメッセージを発信することだ」と警戒の継続を呼びかけている[21]感染症法上の位置付けが5類感染症に変更されたことで感染者の全数把握が廃止され、微増傾向が続いており、エンデミック化が進んでいると見られることから引き続き政府専門家は注意を呼びかけている[22]

新型コロナウイルス感染症の特徴

[編集]

SARS-CoV-2と呼ばれるコロナウイルスは、武漢市の武漢華南海鮮卸売市場で初めて同定された[23]。SARS-CoV-2は、空気感染を主体とし、くしゃみで出た呼吸器飛沫、接触による感染など、生物の種に限らず幅広く感染する[24][25]感染から発症までの時間は通例5日であるが、人によって2日から14日までの幅がある[25][26]

症状としては発熱、咳、息切れ味覚または嗅覚の異常、寒気や悪寒、頭痛、のどの痛み、筋肉の痛みなどを伴うことがある[25][26][27]。しかし、「したたかなウイルス」と言われる[28]ように、宿主に感染を把握され難くするような特性を示し、ウイルスが非常に拡散しやすい上に、突然死にも繋がりやすい。感染しても無症状のまま感染の自覚に乏しい(ウイルスのキャリアとなる)ことも多い。合併症としては、肺炎急性呼吸窮迫症候群などを伴うことがある。酸素マスクを装着するには数時間必要であるため、自覚症状が出ていない段階で感染者が医療機関に行く必要があるが、医療関係者でも自覚症状が無ければ重症化しているかどうかは判断し難い。しかし、無自覚なまま血中酸素濃度が危険な水準まで低下し、息苦しさが現れてから病院に駆け込んでも酸素マスクの装着が間に合わず呼吸不全で死亡する例が多い[29]

SARS-CoV-2に対しては特効のある抗ウイルス薬が存在せず、研究が進められている。臨床では、症状管理および支持療法を主眼とした取り組みが行われている。推奨されている予防策としては、手洗い、病気にかかっている人との距離を保つこと、さらに感染が疑われる場合には14日間の隔離および経過観察を取ることなどが挙げられる[25]

PCR検査で陽性反応が出て入院し、その後の検査で陰性となり症状も落ち着いたため退院したが、最初の発症から2週間以上経過して、再び検査で陽性となった事例も出てきており、SARS-CoV-2の再活性化か別の型の再感染の可能性が指摘されている[30][31]。2020年末以降、世界各地で変異株が報告されており、以前のウイルスよりも感染力が強まったことが確認されている[32][33]

ワクチンの開発と接種

[編集]

COVID-19ワクチンの開発手法には、技術的ブレイクスルーがあった。ワクチン開発には数年から10年掛かることが珍しくなく、薬理的にも開発には困難が伴い、これまで疾病の発見からワクチンの開発まで数十年以上が経過しているものもある。また、未だにワクチン開発が成功していないHIVマラリア、種々の事情からワクチン開発を断念したSARS等の感染症もある[34]

2020年アメリカ合衆国製薬企業のファイザーモデルナは、RNAワクチンという新技術によって、従来の常識を覆してワクチン開発の期間を大幅に短縮できると主張したが、大規模な接種実施はCOVID-19のワクチンが初である。同年11月時点で両社のCOVID-19ワクチンは最速での実用化となる見通しで、良好な治験結果も併せて、世界から最有力と考えられている。11月17日、モデルナは、開発中のワクチンについて94.5%の有効性があるとする暫定的な結果を発表した[35]。11月18日、ファイザーは、開発中のワクチンについて95%の有効性があるとする最終的な分析結果を発表した[36]。12月8日、英国で一般向けのCOVID-19ワクチン接種が開始された。日本では2021年2月に承認され、2月下旬から医療従事者、3月下旬から高齢者、その後基礎疾患のある人などに優先接種が行われた[37]。RNAワクチンの主成分であるRNAは保存を考えた場合には崩壊しやすいため、超低温度でのコールドチェーンの技術開発も急がれている。

COVID-19については感染者の把握が困難であり、前述のファイザーとモデルナのRNAワクチンでも終生免疫ができるわけではない。また、2020年末より世界各地で変異株の出現が見られることから、引き続き社会距離拡大戦略の実施や追加のワクチン接種が必要になる[38]

疫学

[編集]
OECD各国の平均余命。2020年は多くの国で下落した。

背景

[編集]

2019年12月下旬、中華人民共和国武漢市で原因不明の肺炎の集団感染が発生したことが保健当局によって報告された。最初の患者群は主に武漢華南海鮮卸売市場との関連がみられたため、ウイルスは動物原性感染したものと考えられている[23]。この感染を引き起こしたウイルスは、コウモリコロナウイルス[39]センザンコウコロナウイルス[40]、およびSARSコロナウイルス (SARS-CoV)[41] と密接な関連のある新たなウイルスとして、後にSARS-CoV-2と命名された[42]。このウイルスはキクガシラコウモリ属のコウモリに由来するものと信じられている[43]。それ以前の12月1日に、武漢華南海鮮卸売市場への曝露歴も、新型ウイルスが検出された最初のクラスターの残りの40人との接触歴もない人において、最初の症状が発生したことが報告されていたことも後に判明した[44]。この最初のクラスターのうち、3分の2は生鮮市場英語版との関連がみられ、生きた動物を売っていたこともわかった[44]

一方、2020年11月に学術雑誌「Tumori Journal」で発表されたイタリアの国立がん研究所の研究によると、2019年9月から2020年3月までに採取した肺がん検査受診者(959人)の血液検体の11.6%(111人)から新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) に特異的な抗体が検出されており、2019年9月に採取した検体でも14%(23人)から検出された。このことから、前述の症例より前から世界にウイルスが広まっていた可能性がある[45][46][47][48]

2020年1月31日、世界保健機関 (WHO) は国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC) を宣言した[49]。WHOのテドロス・アダノム[疑問点]事務局長は2月24日の時点で、世界の他の地域でこの疾病の市中感染が持続している可能性があったにもかかわらず、「かなりの数の症例を回避するため」と、ウイルスに対する中国の対応への賞賛を維持していた[50]

3月20日には、WHOの事務局長談話において「喫煙は重症化リスクを高める」との発表を行っている[51]

感染者数

[編集]

日本政府は、直近1週間の感染者数と累積感染者数を割ることで感染増減の傾向を示すK値を活用している[52][53]

死者数

[編集]

2021年12月現在、COVID-19が原因で、500万人以上の死亡者が出ている[1]。中国の国家衛生健康委員会によると、死亡した人の大多数は高齢者であった。死亡者の約80%は60歳以上の高齢者で、75%は心血管疾患糖尿病などの持病があった[56]。COVID-19で死亡した人に関して、症状を発症してから死亡するまでの日数は6日から41日までの範囲であり、中央値は14日であることが示されている[26]

2020-2021年の2年間の世界各国の超過死亡率を研究したWHO(世界保健機関)の推定は、全世界のCOVID-19による死亡数が542万人に対し、超過死亡者数はその約3倍弱の1483万人だった[57][58][59][60]

二次障害

[編集]

パンデミックにより、人々の心の健康は著しく悪化している[62]抑うつの有病率はOECD諸国において倍増した[62]。人々が最も精神的苦痛を感じたのは、2020年3-4月であった[62]。脳にとって、パンデミックによる制御の喪失は特に強力なタイプのストレスを生み出し、リスクを正確に評価する能力を損なう可能性がある[63]。COVID-19パンデミックへの過度の心配がある場合、過去の成功に焦点を当てることによって、より良い意思決定を行うことができる[64]

COVID-19前後における抑うつの有病率[62]
COVID-19前 2020年
日本 7.9 17.3
韓国 36.6
オーストリア 7.7 21.0
ベルギー 9.5 20.0
チェコ 10.0 11.8
フランス 4.0 19.9
ギリシャ 4.7 22.8
イタリア 5.5 17.3
スペイン 18.7
スウェーデン 10.8 30.0
英国 9.7 19.2
カナダ 4.0 10.0
米国 6.6 23.5
メキシコ 3.0 27.6
オーストラリア 10.4 27.6

感染の状況

[編集]
発生源とされる武漢華南海鮮卸売市場の空撮。左手に見えるのが正面玄関。消毒チームが付近の消毒を行っている(2020年3月4日撮影)。

2019年

[編集]

2019年8月

[編集]

2020年6月時点の情報として、「デジタル伝染病学」に基づいたボストン大学イレーン・ゾイジーらの研究チームが、2018年1月から2020年4月に撮影された武漢市の衛星写真111枚の分析結果やインターネット検索エンジン百度での特定の症状が検索された頻度などから、COVID-19の症状とされる「下痢」の検索数が8月に急増しており、8月には新型コロナウイルスの流行が始まっていた可能性があるとともに、下痢が「市中感染において重要な役割を果たした可能性がある」[65]と指摘した。しかし同研究では、COVID-19によるものかどうか、何ら客観的な事実は判明していない[66]

2019年9月

[編集]

イタリア国立がん研究所の研究によると、2019年9月から2020年3月までに肺がん検査を受診した受診者から採取した血液を調べたところ、11.6%の受診者から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に特異的な抗体が検出されこのうち、4%は2019年9月、30%は2020年2月に採取された検体から新型ウイルスの抗体が出来ていたことが検出され、後に武漢で報告された症例より前から世界にウイルスが広まっていた可能性があることが後に発表された[67][68]。ただし、このイタリア国立がん研究所の研究には批判が集まっており、「たとえ2019年9月にイタリアで新型コロナウイルスが存在していたとしても、必ずしもそこが起源だということにはならない」という指摘もある[69]

2019年11月

[編集]
  • 11月17日 - 湖北省出身の55歳の男性が新型コロナウイルスの中国国内での最初の症例であった可能性があるが、中国当局はデータを公開しなかったとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じている[70]他、後の調査により全く無関係な病症であることが発覚し、数日後に新型コロナウイルス感染が確認され、最初の発症者である可能性は極めて薄いとされた。

2019年12月

[編集]
  • 12月8日 - 中国の湖北省武漢市の保健機関により原因不明の肺炎患者が初めて報告された。報告された、武漢市の市場において海鮮店としてエビ売りをしていた50代女性は、世界で最初の正式な新型コロナウイルス(COVID-19)感染者であることが確認されている(中華人民共和国の旗中華人民共和国)。
  • 12月16日 - CDCの後の調査で、12月13日から16日にかけてアメリカ西海岸でアメリカ赤十字社に献血された血液検体39件から、新型コロナウイルスの抗体が発見された[71][72][73]
  • 12月18日 - イタリア国立衛生研究所英語版が後に実施したイタリア北部の汚水処理施設から採取した40の下水サンプルの分析によると、12月18日時点のミラノとトリノの下水サンプルから新種のコロナウイルス(SARS-Cov-2)の遺伝子の痕跡が確認され、中国が12月31日に初の新型コロナ感染を報告する以前にイタリア北部でウイルス感染が始まっていた可能性があることが裏付けられた[74][75]
  • 12月27日 - フランスでインフルエンザのような症状があった患者から、12月27日に採った検体を、後日検査したところ、新型コロナウイルスの陽性反応があった事が明らかになった[76][77]
  • 12月30日 - 原因不明の肺炎について記載された公文書を勤務先の病院で発見した李文亮WeChatに画像として投稿した[78]。2020年1月7日、原因が新種のコロナウイルスと特定された[79]
  • 12月31日 - 世界保健機関 (WHO) への最初の報告が行われた。

2020年

[編集]

2020年1月

[編集]

世界的に防疫体制が敷かれ、武漢市に対して各国民を帰還させるチャーター便が送られると共に中国以外の国では中国を経由しているクルーズ客船から下船できない乗客も現れた(以降参照)。SARS-CoVが流行した2003年時点よりもグローバル化が進み、SARS-CoV-2感染者に無症状の場合も多いという特徴もあって、防疫が難しく、SARS-CoV-2は急速に世界中に広まって行った。また、ネットとマスメディア双方が「コロナ」の話題で埋め尽くされ、不正確な情報が大量に飛び交う「インフォデミック」状態に陥った[82]。困窮状態にある消費者心理に付け込んだ、生活必需品の高額転売なども起きた[83]

2020年2月

[編集]

2020年3月

[編集]

2020年4月

[編集]

2020年5月

[編集]
  • 5月10日 - 世界全体の感染者数が400万人を超えた[118]
  • 5月13日 - レソトの旗レソトでの感染者を確認。
  • 5月21日 - 世界全体の感染者数が500万人を超えた[119]
  • 5月27日 - アメリカの死者数が10万人を超えた[120]

2020年6月

[編集]
  • 6月11日 - アメリカの感染者数が200万人を超えた[121]
  • 6月20日 - ブラジルの感染者数が100万人を超えた[122]
  • 6月23日 - 世界の感染者数が900万人を超えた[123]
  • 6月28日 - 午後7時前、世界の感染者が1000万人を超えた[124]

2020年7月

[編集]
  • 7月9日 - アメリカの感染者数が300万人を超えた[125]
  • 7月17日 - ブラジルの感染者数が200万人を超えた[126]
  • 7月17日 - インドの感染者数が100万人を超えた[127]
  • 7月23日 - 世界全体の感染者数が1500万人を超えた[128]。アメリカの感染者数が400万人を超えた[129]
  • 7月30日 - アメリカの死者数が15万人を超えた[130]

2020年8月

[編集]
  • 8月7日 - インドの感染者数が200万人を超えた[131]
  • 8月8日 - アメリカの感染者数が500万人を超えた[132]。ブラジルの感染者数が300万人を超えた。死者数も10万人を超えた[133]
  • 8月10日 - 世界全体の感染者数が2000万人を超えた[134]
  • 8月23日 - インドの感染者数が300万人を超えた[135]
  • 8月31日 - アメリカの感染者数が600万人を超えた[136]

2020年9月

[編集]
  • 9月1日 - ロシアの感染者数が100万人を超えた[137]
  • 9月3日 - ブラジルの感染者数が400万人を超えた[138]
  • 9月5日 - インドの感染者数が400万人を超えた[139]
  • 9月7日 - インドの感染者数がブラジルを抜き、世界第2位となった[140]
  • 9月16日 - インドの感染者数が500万人を超えた[141]
  • 9月17日 - 世界全体の感染者数が3000万人を超えた[142]
  • 9月22日 - アメリカの死者数が20万人を超えた[143]
  • 9月26日 - アメリカの感染者数が700万人を超えた[144]
  • 9月28日 - インドの感染者数が600万人を超えた[145]。また、世界全体の死者数も100万人を超えた[146]

2020年10月

[編集]
  • 10月1日 - アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領をはじめとする数人の共和党関係者の感染が発覚。ホワイトハウスクラスターが発生したと見られる[147]
  • 10月3日 - ソロモン諸島での感染者を確認[148]。インドの死者数が10万人を超えた[149]
  • 10月7日 - ブラジルの感染者数が500万人を超えた[150]
  • 10月10日 - ブラジルの死者数が15万人を超えた[151]
  • 10月11日 - インドの感染者数が700万人を超えた[152]
  • 10月16日 - アメリカの感染者数が800万人を超えた[153]
  • 10月19日 - アルゼンチンの感染者数が100万人を超えた[154]。世界全体の感染者数も4000万人を超えた[155]
  • 10月21日 - スペインの感染者数が100万人を超えた[156]
  • 10月22日 - フランスの感染者数が100万人を超えた[157]
  • 10月24日 - コロンビアの感染者数が100万人を超えた[158]
  • 10月28日 - マーシャル諸島の旗マーシャル諸島での感染者を確認[159]
  • 10月29日 - インドの感染者数が800万人を超えた[160]
  • 10月30日 - アメリカの感染者数が900万人を超えた[161]
  • 10月31日 - イギリスの感染者数が100万人を超えた[162]

2020年11月

[編集]
  • 11月7日 - アメリカの感染者数が1000万人を超えた[163]。フランスの死者数が4万人を超えた[164]
  • 11月8日 - 世界全体の感染者数が5000万人を超えた[165]
  • 11月10日 - バヌアツの旗 バヌアツでの感染者を確認[166]
  • 11月11日 - イタリアの感染者数が100万人を超えた[167]。イギリスの死者数が5万人を超えた[168]
  • 11月14日 - メキシコの感染者数が100万人を超えた[169]
  • 11月19日 - サモアの旗 サモアでの感染者を確認[170]
  • 11月20日 - インドの感染者数が900万人を[171]、ブラジルの感染者数が600万人を[172]、それぞれ超えた。メキシコの死者数が10万人を超えた[173]
  • 11月24日 - イタリアの死者数が5万人を超えた[174]
  • 11月26日 - 世界全体の感染者数が6000万人を超えた[175]
  • 11月27日 - ドイツの感染者数が100万人を超えた[176]

2020年12月

[編集]
  • 12月4日 - 世界全体の死者数が150万人を超えた[177]。イランの感染者数が100万人を超えた[178]
  • 12月8日 - アメリカの感染者数が1500万人を超えた[179]
  • 12月10日 - トルコの感染者数が統計修正により100万人を超えた[180]
  • 12月11日 - 世界全体の感染者数が7000万人を超えた[181]
  • 12月15日 - アメリカの死者数が30万人を超えた[182]
  • 12月19日 - インドの感染者数が1000万人を超えた[183]
  • 12月20日 - イギリスの感染者数が200万人を超えた[184]
  • 12月21日 - 日本の旗日本の感染者数が20万人を超えた[185]
  • 12月22日 - 南極の旗南極にあるチリのオヒギンズ基地で36人の感染があったことをチリ軍が公表[186]。6大陸全てで感染が確認される。同日、ペルーの感染者数が100万人を超えた[187]
  • 12月24日 - イタリアの感染者数が200万人を超えた[188]
  • 12月26日 - 世界全体の感染者数が8000万人を超えた[189]
  • 12月27日 - 南アフリカの感染者数が100万人を超えた[190]
  • 12月28日 - ロシアの死者数が統計修正により18万人を超えた[191][注 2]

2021年

[編集]

2021年1月

[編集]
  • 1月1日 - アメリカの感染者数が2000万人を超えた[192]
  • 1月7日 - ブラジルの死者数が20万人を超えた[193]
  • 1月10日 - 世界全体の感染者数が9000万人を超えた[194]
  • 1月11日 - ミクロネシア連邦の旗ミクロネシア連邦での感染者を確認[195]
  • 1月15日 - ドイツの感染者数が200万人を超えた[196]。世界全体の死者数が200万人を超えた[197]
  • 1月20日 - アメリカの死者数が40万人を超えた[198]
  • 1月24日 - アメリカの感染者数が2500万人を超えた[199]
  • 1月26日 - インドネシアの感染者数が100万人を超えた[200]。イギリスの死者数が10万人を超えた[201]
  • 1月27日 - 世界全体の感染者数が1億人を超えた[202]
  • 1月28日 - ブラジルの感染者数が900万人を超えた[203]

2021年2月

[編集]
  • 2月9日 - スペインの感染者数が300万人を超えた[204]
  • 2月19日 - ブラジルの感染者数が1000万人を超えた[205]。アフリカ全体の死者数が10万人を超えた[206]
  • 2月22日 - アメリカの死者数が50万人を超えた[207]
  • 2月26日 - 世界全体の死者数が250万人を超えた[208]

2021年3月

[編集]
  • 3月8日 - イタリアの死者数が10万人を超えた[209]
  • 3月21日 - トルコの感染者数が300万人を超え、死者数も3万人を超えた[210]
  • 3月24日 - アメリカの感染者数が3000万人を超えた[211]。ブラジルの死者数が30万人を超えた[212]

2021年4月

[編集]
  • 4月15日 - フランスの死者数が10万人を超えた[213]
  • 4月17日 - 世界全体の死者数が300万人を超えた[214]
  • 4月19日 - インドの感染者数が1500万人を超えた[215]
  • 4月28日 - インドの死者数が20万人を超えた[216]
  • 4月29日 - ブラジルの死者数が40万人を超えた[217]
  • 4月30日 - 世界全体の感染者数が1億5000万人を超えた[217]

2021年5月

[編集]
  • 5月4日 - インドの感染者数が2000万人を超えた[218]
  • 5月12日 - インドの死者数が25万人を超えた[219]
  • 5月18日 - インドの感染者数が2500万人を超えた[220]
  • 5月24日 - インドの死者数が30万人を超えた[221]
  • 5月31日 - パラオの旗 パラオでの感染者を確認[222]

2021年6月

[編集]
  • 6月15日 - アメリカの死者数が60万人を超えた[223]。アフリカの感染者数が500万人を超えた[224]
  • 6月19日 - ブラジルの死者数が50万人を超えた[225]
  • 6月21日 - インドネシアの感染者数が200万人を超えた[226]。コロンビアの死者数が10万人を超えた[227]
  • 6月23日 - インドの感染者数が3000万人を超えた[228]

2021年7月

[編集]
  • 7月2日 - インドの死者数が40万人を超えた[229]
  • 7月8日 - 世界全体の死者数が400万人を超えた[230]
  • 7月14日 - アルゼンチンの死者数が10万人を超えた[231]

2021年8月

[編集]
  • 8月4日 - ブラジルの感染者数が2000万人を超えた[232]
  • 8月5日 - 世界全体の感染者数が2億人を超えた[233]
  • 8月6日 - 日本の旗日本の感染者数が100万人を超えた[234]
  • 8月8日 - アフリカ大陸の感染者数が700万人を超えた[235]

2021年9月

[編集]
  • 9月1日 - 日本の旗日本の感染者数が150万人を超えた[236]
  • 9月7日 - アメリカの感染者数が4000万人を超えた[237]

2021年10月

[編集]
  • 10月1日 - アメリカの死者数が70万人を超えた[238]
  • 10月8日 - ブラジルの死者数が60万人を超えた[239]
  • 10月20日 - ロシアの感染者数が800万人を超えた[240]

2021年11月

[編集]
  • 11月1日 - 世界全体の死者数が500万人を超えた[241]
  • 11月9日 - 世界全体の感染者数が2億5000万人を超えた[242]
  • 11月25日 - イギリスの感染者数が1000万人を超えた[243]

2021年12月

[編集]
  • 12月13日 - アメリカの感染者数が5000万人を超えた[244]
  • 12月14日 - アメリカの死者数が80万人を超えた[245]

2022年

[編集]

2022年1月

[編集]
  • 1月7日 - 世界全体の感染者数が3億人を超えた[246]

2022年2月

[編集]
  • 2月4日 - アメリカの死者数が90万人を超えた[247]
  • 2月9日 - 世界全体の感染者数が4億人を超えた[248]

2022年3月

[編集]
  • 3月7日 - 世界全体の死者数が600万人を超えた[249]
  • 3月23日 - 韓国の感染者数が1000万人を超えた[250]

2022年4月

[編集]
  • 4月12日 - 世界全体の感染者数が5億人を超えた[251]

2022年5月

[編集]

2022年7月

[編集]
  • 7月14日 - 日本の旗日本の感染者数が1000万人を超えた[254]

2022年8月

[編集]
  • 8月26日 - 世界全体の感染者数が6億人を超えた[255]

2022年12月

[編集]
  • 12月20日 - アメリカの感染者数が1億人を超えた[256]

2023年

[編集]
  • 5月5日 - WHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言を終了すると発表[257]

著名人の死者

[編集]

敬称は省略するものとする。

(英数字・五十音順)

感染経路

[編集]

初期の感染の中心地とされる武漢華南海鮮卸売市場は名目上は水産物専門の市場であるが、記者の調査によると様々な野生動物も同地で取引・処理されていた[288]鍾南山中国科学院の研究グループによると、今回もSARSと同じく感染源がコウモリであり、タケネズミアナグマヘビセンザンコウなどの野生動物を介在して人に感染したと見られるとされている[289][290][291]感染経路は他のコロナウイルスと同じく飛沫感染結膜を通じて感染したケースあり[292])と接触感染であるが、エアロゾル感染の可能性もあるとみられる[293]

しかし、2020年2月24日には中国科学院など中国政府系の研究機関が、発生源が武漢市の海鮮市場ではない可能性を示す研究結果を公表した。12カ国から集められたウイルスの遺伝子データの解析の結果、複数のタイプが見つかり、それぞれの拡散状況などから、ウイルスは他の地域で発生し、その後、武漢市の海鮮市場で拡散した可能性があるとし、2019年12月8日と2020年1月6日の2回、大きな拡散があり、2019年11月下旬か12月の初めには、すでにヒトからヒトへの感染が起きていた可能性を指摘した[294]。また、湖北省武漢の当局は、これまで最も早く発症(2019年12月8日)したとされていた患者は武昌区に住んでおり、感染源と指摘された海鮮市場に行っていなかったことが明らかになった[295]

1月24日、伝染病の患者を収容する武漢金銀潭医院および中国呼吸系統疾病臨床医学研究中心の研究グループは医学誌『ランセット』で最初の41人の感染者を研究する論文を発表した。論文によると、病原体のウイルスはヒトからヒトへの感染(ヒト - ヒト感染)は明らかで、発症初期に発熱の症状がない例もある[296]。また、そのうち27人は華南海鮮卸売市場に行ったことがあったが、12月1日に発症した最初の患者は華南海鮮卸売市場へ行ったことがない[297]。なお、最初の41人の感染者の死亡率は15%であり、SARSと同じレベルである[298]

同じ日付の香港大学袁国勇教授の論文によると、広東省深圳市に居住する一家6人で武漢市に行ったのち、5人の感染が確認された。うち1人はさらに深圳で現地の1人を感染させた。また、この5人の感染者のうち、1人の子供は感染しながら発症しなかったため、知らずに周りの人を感染させた可能性も高いと見られる[299]

集団感染、スーパー・スプレッダー

[編集]

集団感染の事例としては、さっぽろ雪まつりでの屋台[300]、住宅設備展示会(北海道北見市[301]、病院(東京[302]、相模原市[303][304])、和歌山県湯浅町での院内感染[305]、大阪のライブハウス[306][307][308]、ライブバー(北海道)[309]、名古屋市ではスポーツクラブ(感染36人)と福祉施設(感染45人)でクラスターが発生した[310]

2020年3月3日には、日本の集団感染9件では、そこからつながりのある感染者数が80人以上になることがわかった[301]。これは調査対象となった感染者260人のうち約30%を占める[301]

韓国での感染者の行動履歴の事例では、はじめにキリスト教会で集団感染が発生し、うち一人が老人福祉施設の食堂で食事をして5人が感染。さらにその福祉施設会員の感染が病院で確認され、さらにその病院で院内感染が発生した[311]

10人以上への感染拡大の感染源となった患者をスーパー・スプレッダーという[312]。韓国のMERS流行では特定の数名がスーパースプレッダーで、1人から86人に感染させた患者もいた[313]

日本での新型コロナウイルス感染者の8割は他人に感染させていないが、残りの2割が1人以上の人に感染させており、1人から9人へ感染させた事例(屋形船)や、1人から12人へ感染させた事例(スポーツジム)もある[314]感染症専門医忽那賢志もスーパースプレッダーにならないためには密集空間を避けるべきだとしている[313]

院内感染

[編集]

2月7日、武漢大学病院で検出された感染者のうち4割は、同大学病院で院内感染したと発表された[315]。患者138人のうち41%(57人)が院内感染で、17人が入院患者、40人が医療スタッフだった[316]

韓国でも慶尚北道の病院で院内感染が発生した[316][317]

日本の病院でも、牧田総合病院(東京都大田区)[302]相模原中央病院[303]相模原協同病院[304]済生会有田病院(和歌山県湯浅町[305]国立循環器病研究センター(大阪府吹田市[318])などで院内感染が発生し、一時的に休診となった。

各国の対応

[編集]

感染が拡大するに従い、世界各国で旅行制限、検疫外出禁止令などの公衆衛生上の対応が取られた。感染源となった武漢をはじめとする地域がロックダウン(都市封鎖)されたり、各地で様々な外出禁止措置が取られたりしたほか、感染者を含む乗客を乗せた英国船籍のクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が日本近海で検疫を受けたり、イタリアでも全土で移動制限措置が取られたりした[319][320]。一部の空港や鉄道駅では、体温チェックや健康状態の申告書の提出を求めるなどのスクリーニング方法が実施され始めている[321]。また、市中感染が進行中の地域への渡航に対する注意・警戒情報(自粛要請・中止勧告含む)の発令や実際に感染地域からの渡航を制限・停止するなど渡航規制の強化、さらにEUなどで国境封鎖する国も出てきている[322][323]

社会距離拡大戦略

[編集]
医薬品を使わない介入 (NPI) による集団感染緩和策 (Community Mitigation)
(1) 流行のピークを遅延させる
(2) ピーク時の医療への負荷を下げるために曲線を平坦化する
(3) 感染者数と健康への影響を減らす[324]
感染ピークを遅らせるための緩和策(流行曲線の平坦化英語版)により、医療機関はより適切に治療負荷を管理できる[325][326][327]。同様に、人員や設備の増加などによって医療機関のキャパシティが大きくなると、患者の増加に対応できるようになる[328]
集団感染緩和策不十分であると、感染急増の緩和後、再び感染が増える可能性がある[326][329]

医薬品を使わない対策・介入 (Nonpharmaceutical Interventions, NPIs) は、集団感染緩和策 (Community Mitigation) とも呼ばれ、以下の対策、予防が含まれる[330]

学校、職場、イベント、集会など日頃集団が密集するような空間で、相互に間隔を置く。
  • 閉鎖 (Closures)
学校、職場、イベント、スポーツ、宗教的な集会、フェスティバル、会議など人が集まる場所の閉鎖。

新型ウイルスに対して人間は免疫を持っていないので感染が拡大するが、ワクチンが使用できない場合はNPIsは感染を制御する有効な方法とされる[330]。これまでの疫学解析で、最も有効な対策の組み合わせを最適なタイミングで実施することでかなりの程度被害が抑えられる[331]

日本における感染予防に関する指針

[編集]

厚生労働省は2020年3月1日、これまでの日本の集団感染(クラスター)事例にスポーツジム屋形船ビュッフェスタイルの会食雀荘スキーゲストハウス、密閉された仮設テントなどがあったとし、換気が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避けるよう勧告した[332]

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議3月9日、これまで集団感染が確認された場所は、1.換気の悪い密閉空間[注 3]、2.多くの人が密集、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声という3つが重なった場であり、このような場所を避けるよう勧告した[334]。同会議は集団感染を防ぐために以下を強く推奨した[334]

  1. 換気のために窓を開ける
  2. 会場を広くし、お互いの距離を1 - 2mあける
  3. 近距離での会話や発声、高唱を避ける
こまめな手指衛生、咳エチケットの徹底、共用品を使わない、使う場合は十分に消毒[334]

3月12日第一種感染症指定医療機関である都立駒込病院の今村顕史感染症科長は、現在の日本の状況では流行を抑えるために一番重要なのはクラスター(感染集団)対策であるとする[335]。クラスターの中で複数の人に感染を広げている人が見つかったら、徹底的に接触者(濃厚接触者)を調べるとする[335]。ジムに通っていた陽性者で、濃厚接触者数が約1,400人となった例があった[335]

3月19日に専門家会議は、現状は持ちこたえているが、あるとき突然爆発的に患者が急増(「オーバーシュート」)して、医療が提供できなくなれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取らざるを得なくなると懸念した[336]。その上で引き続き、集団感染(クラスター)の早期発見、重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保を維持し、また各地域は感染状況に応じて、密閉空間でのイベントや集会(3つの条件の重なる場所)など感染リスクの高いものは徹底的に回避しながら、感染が拡大していない地域においては感染リスクの低い活動から徐々に解除することもありえるとした[336]

上記までの見解を踏まえ、新型コロナウイルス厚生労働省対策本部では、リスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するため、多数の人が利用する商業施設等においてどのような換気を行えば良いのかについて、有識者の意見を聴取しつつ、文献、国際機関の基準、国内法令基準等を考察し、推奨される換気の方法として、「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」を取りまとめた。

3月28日、新型コロナウイルス感染症対策本部より、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が発表され、この中で感染者を抑えること、医療提供体制や社会機能を維持することが重要であり、「3つの密」(密閉空間・密集場所・密接場面)を避けること、疫学調査等によるクラスター発生の封じ込めが推進された[337]。なお、この三つの密のある空間は「3密」と表現され[338]、広報されている[339]

集団免疫

[編集]
集団免疫 (Herd immunity) のモデル。
  (青):免疫を持っていない人
  (黄):免疫を持っている人
  (赤):感染者
1.上段図では、免疫を持っている人がいないため感染が激増する。
2.中段図では、集団の少数に免疫を持つ人がいる。
3.下段図では、集団の大多数が免疫を持っている。その結果、上段図と比べて、感染の拡大は圧倒的に抑えられる。

日本の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は3月2日に「感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能できる」として集団免疫の考えに言及した[340]

集団免疫は、市中感染が拡大する以前の隔離政策、またワクチンがない場合の対策として見なされている[340]

新型コロナウイルスと同じコロナウイルスである、ヒトコロナウイルスOC43について、集団免疫が成立しているかもしれないという説がある[341]。このウイルスは、19世紀末に100万人が死亡した大流行の元凶の可能性があるが[342]、現在では季節性の風邪に過ぎない。

イギリスでの集団免疫

[編集]

3月12日、英国政府は集団免疫で対策すると表明した[340]

3月14日、イギリスの科学者は「社会距離戦略の即時実施提言」を発表し、政府の対応は不十分で、もっと厳しい「社会距離戦略」を速やかに実施すれば、国内の感染拡大を劇的に遅らせ、数万人の命を救うと主張した (3月16日迄に501人署名)[343][344]。また現時点で『集団免疫』を追求するのは有効ではないとした[344]バーミンガム大学のウィレム・ファン・シャイク教授(微生物学)は、集団免疫の効果を目指すには、国内だけで3600万人が感染し回復しなくてはならないが、その人的コストの予測は不可能で、数万人から数十万人が死亡するとし、「NHSがパンクしてしまわないよう、数百万人の感染が長期間にわたり散発的に起きるように流行期間を引き伸ばすしかない」と述べた[344]

イギリス保健省は「集団感染は、我々の行動計画の一部ではなく、感染症流行の自然な副産物だ。人命を救い、最も弱い立場の人たちを守り、NHSの負担を軽減することが、私たちの目標だ」とし、「感染対策はすでに封じ込めフェーズを過ぎて、感染拡大を遅らせる段階にきている」「今後数カ月の間に国内の免疫力がどういうレベルになるか、予測できている」と反論した[344]

渡航制限

[編集]

流行の発生を受けて、シェンゲン圏内のほとんどの国と地域[345]、およびアルメニア[346]オーストラリア[347]インド[348]イラク[349]インドネシア[350]