新来島どっく

株式会社新来島どっく
SHIN KURUSHIMA DOCKYARD CO., LTD.
新来島どっく 本社
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
799-2293
愛媛県今治市大西町新町甲945番地
設立 1974年(昭和49年)4月17日
業種 輸送用機器
法人番号 1010001045595 ウィキデータを編集
事業内容 造船建造・船舶修理、造船部品の製造・販売など
代表者 代表取締役社長 森 克司
資本金 17億3,750万円
売上高 1,106億1,600万円
(2024年3月期)[1]
営業利益 △16億4,200万円
(2024年3月期)[1]
経常利益 16億200万円
(2024年3月期)[1]
純利益 16億1,000万円
(2024年3月期)[1]
総資産 2,168億2,400万円
(2024年3月期)[1]
従業員数 850名
決算期 3月31日
主要株主 カナックス 14.2%[2]
新来島どっく社員持株会 8.9%[2]
日本製鉄 7.3%[2]
三井物産 6.9%[2]
三井住友信託銀行 4.5%[2]
主要子会社 カナックス
新来島サノヤス造船
新来島豊橋造船
新来島波止浜どっく
新来島広島どっくなど
関係する人物 坪内寿夫
外部リンク http://www.skdy.co.jp/
特記事項:1994年6月29日に株式額面変更のため、(旧)株式会社新来島どつくは(新)新来島どっく(1993年11月9日休眠会社であった愛知広告企画株式会社から商号変更)に合併し、解散した。旧会社の設立日は1987年5月28日。
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株式会社新来島どっく(しんくるしまどっく、: SHIN KURUSHIMA DOCKYARD CO., LTD.)は、愛媛県今治市大西町に本社を置く造船会社である。

概要

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本社を置く愛媛県今治市の大西工場の他、グループで愛知県大阪府岡山県広島県愛媛県高知県徳島県に造船所を保有している。2019年現在の新造船生産量は74万総トンで国内企業で7位の実績を誇る[3]自動車運搬船ケミカルタンカーなどの高付加価値船を主力としている。

来島どっく時代には、経営者の坪内寿夫のもとで独自のコスト削減などの経営手法により、愛媛県を中心に一大企業グループを築いた。1980年代の造船不況で坪内は経営から退き、新来島どっくとして再発足し、グループ会社も複数傘下を離れた。

事業所

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沿革

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新来島どっくの前身は、1902年に設立された波止浜船渠株式会社である。波止浜船渠は、波止浜財界の手で波止浜湾の西岸にあった塩田の一角を埋め立てて設立され、当初は木造帆船を建造していた[4]1923年に石崎金久が社長に就任し、翌年の1924年から機械工業の設備を整え、鋼船の建造・修理に着手した[5]

1930年には、造船のほかに呉海軍工廠の下請工場として各種砲弾の製造を手がけるようになった[6]。しかし、戦時の資材統制が厳しくなる中で経営が難しくなり、1940年住友資本の傘下に入った[6]。戦後の1945年には住友傘下より離れた。1949年5月には波止浜船渠を解散し、「来島船渠株式会社」を設立したが、12月には一時休業に追い込まれた[7]

1953年坪内寿夫が有志の依頼を受け、社長に就任して業務を再開した[8]。坪内は「船の月賦販売」という延べ払い商法によって「海上トラック」と称する内航標準船を愛媛船主向けに販売する商法で当たり、来島船渠を再建[9]佐世保重工業函館どつくなどの造船会社の他、海運・金融・観光事業など様々な企業を傘下に持ち、最盛期には180社に及ぶ来島どっくグループを形成した。

しかし、1980年代の急激な円高・ドル安、三光汽船の倒産などで経営環境が悪化。1986年9月には2600億円の負債を抱えた来島どっくグループは、日本債券信用銀行の管理下に置かれた[10]。その後グループは解体され、造船事業などは1987年に新たに設立された「株式会社新来島どっく」に事業譲渡された。旧会社は、来島興産に社名変更し1991年12月に解散した。

2000年には波止浜工場、広島工場、陸機部門を分社化。2006年には西武建設より傘下の西武造船(現:新来島宇品どっく)を買収した。2021年サノヤスホールディングスからサノヤス造船(現:新来島サノヤス造船)の全株式を取得した。

年表

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  • 1902年 - 「波止浜船渠株式会社」として創業。
  • 1930年 - 呉海軍工廠の下請指定工場となる。
  • 1940年 - 住友の傘下に入る。
  • 1949年
    • 5月 - 波止浜船渠株式会社が解散、「来島船渠株式会社」を設立。
    • 12月 - 一時休業に追い込まれる。
  • 1953年4月 - 坪内寿夫が社長に就任し業務再開。
  • 1961年 - 大西工場の建設に着手。
  • 1966年6月 - 奥道後国際観光株式会社が来島船渠株式会社を合併し「来島どっく株式会社」に商号変更。川崎重工業と技術提携開始。
  • 1968年 - 総合事務所を今治市波止浜から越智郡大西町(現:今治市大西町)に移転。
  • 1978年 - 太平工業株式会社(現:新来島広島どっく)の経営に参加。
  • 1982年 - 株式会社金指造船所(現:新来島豊橋造船)を傘下に収める。
  • 1986年 - 経営危機によりグループを再建のため、日本債券信用銀行から取締役が来島どっくに派遣された。
  • 1987年
    • 5月28日 - 東京都千代田区大手町二丁目2番1号に(旧)株式会社新来島どつくを資本金2,500万円で設立。
    • 9月22日 - (旧)株式会社新来島どつくの資本金を1億円に増資。
    • 10月1日 - (旧)株式会社新来島どつくの本店を東京都中央区京橋一丁目1番5号に移転し株式会社来島どっくから営業の譲渡を受ける。株式会社来島どっくは株式会社来島興産に商号変更。
    • 12月 - 株式会社来島興産が株式会社宇和島造船所・高知重工株式会社・永宝造船株式会社・太平工業株式会社・徳島造船産業株式会社・徳島船渠株式会社・株式会社吉浦造船所・株式会社鼎商事・太陽リース株式会社・鳳工業株式会社・今治鍛造株式会社・開成造船株式会社・株式会社丸二製材所を合併し、資本金を1億7,000万円から2億8,241万6,500円に増資。
  • 1988年1月4日 - 株式会社来島興産の本店を愛媛県松山市三番町四丁目5番地6から愛媛県越智郡大西町大字新町甲945番地に移転。
  • 1989年 - 船型研究所が完成。
  • 1990年 - 傘下の関西汽船ダイヤモンドフェリー室戸汽船を大阪商船三井船舶(現・商船三井)に譲渡。
  • 1991年12月13日 - 株式会社来島興産が解散。
  • 1992年
    • 3月30日 - 株式会社来島興産の清算結了。
    • 3月31日 - 資本金を1億2,500万円に増資。
  • 1994年
    • 大西工場に新総合事務所完成。
    • 2月1日 - 資本金を17億3,750万円に増資。
    • 6月29日 - 株式額面変更のため、(旧)株式会社新来島どつくが(新)新来島どっく(1993年11月9日休眠会社であった愛知広告企画株式会社から商号変更)に合併し、解散。
  • 2000年3月 - 波止浜工場を株式会社新来島波止浜どっく、広島工場を株式会社新来島広島どっく、陸機事業本部を株式会社新来島製作所に分社化。
  • 2005年 - 大西工場 第1号ドック新造船建造開始。
  • 2006年3月 - 西武造船株式会社(現:新来島宇品どっく)および宇品マリーナを西武建設西武鉄道グループ)より買収。
  • 2007年4月 - 東京本社を東京都千代田区丸の内に移転[11]
  • 2016年 - 新回流水槽試験場(新船型研究所) 竣工。
  • 2012年9月 - 奥道後ゴルフ観光を買収し子会社化。
  • 2021年

グループ会社

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新来島波止浜どっく本社・工場
  • アステック(船舶木艤装工事、鉄構事業)
  • オーエーシステムサービス(受託計算、ソフトウェア開発等)
  • 奥道後ゴルフ観光(ゴルフ場運営、造船・緑化事業等)
  • 大西運輸(トラック貨物輸送業、タクシー運送等)
  • 愛媛造船サービス(入出渠作業、曳船作業等)
  • カナックス(造船資材・建築資材等の販売・工事請負等)
  • クリエイト(水槽試験設備賃貸、設計請負等)
  • 新来島宇品どっく(ブロック建造・船舶修繕)
  • 新来島エンジニアリング(船舶・機械設計、人材派遣業等)
  • 新来島製作所(舶用製品製造)
  • 新来島徳島どっく(船舶修繕)
  • 新来島豊橋造船(船舶建造)
  • 新来島波止浜どっく(船舶建造・修繕)
  • 新来島広島どっく(船舶建造)
  • 新高知重工(船舶建造、舶用機器製造等)
  • ドリームサービス(損害保険・生命保険代理業)
  • ゆずえサービス(ホテル運営、旅行代理店業、給食サービス等)
  • 新来島サノヤス造船(船舶建造)

かつてのグループ会社

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主要建造船

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フェリー
貨物船
  • アリエス・リーダー - 2014年竣工。日本初のポストパナマックス型自動車専用船[16]
  • 日王丸 - 2012年竣工。
  • パシフィック・スパイク - 2014年竣工。世界初の長尺レール(150メートル)運搬専用船[17]
  • SAKURA LEADER - 2020年竣工。新来島豊橋造船建造。日本初のLNG燃料自動車専用船[18]。-シップ・オブ・ザ・イヤー2020受賞[19] [20] [21]
  • PLUMERIA LEADER - 2022年竣工。新来島豊橋造船建造。LNG燃料自動車専用船。
 実習船
艦船
  • 油槽船1号型 - 新来島どっく初の防衛省向けの受注となった[23]。2021年から2022年にかけて進水[24][25]し、2022年に竣工した[26][27]
    • 油槽船1号 (YOT-01)
    • 油槽船2号 (YOT-02)

その他

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脚注

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  1. ^ a b c d e 株式会社新来島どっく 第37期決算公告
  2. ^ a b c d e 第一中央汽船株式会社(2016年)『臨時報告書』、7頁。
  3. ^ 造船不況にコロナ追い打ち サノヤス、産業機械に活路 - 日本経済新聞(2020年11月9日)、2021年1月16日閲覧。
  4. ^ 今治市長 岡島一夫(1990年)『今治郷土史 現代の今治 地誌 近・現代4(第9巻)』、591頁。
  5. ^ 今治市長 岡島一夫(1990年)『今治郷土史 現代の今治 地誌 近・現代4(第9巻)』、591頁・594頁。
  6. ^ a b 四軍事産業の展開-造船・機械 - えひめの記憶、2021年1月17日閲覧。
  7. ^ 今治造船株式会社(2005年)『船造り一筋 喜寿 檜垣俊幸』、329頁。
  8. ^ 大西町教育委員会(1977年)『大西町誌』、355・356頁
  9. ^ 今治造船株式会社(2005年)『船造り一筋 喜寿 檜垣俊幸』、211頁。
  10. ^ リノベータに徹せなかった「再建の神様」坪内寿夫」 - 日本経済新聞(2019年8月10日)、2021年1月17日閲覧。
  11. ^ 新来島どっく本社/東京駅サピアタワーに移転 - 日本海事新聞電子版(2007年3月19日)、2021年12月20日閲覧。
  12. ^ 連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせサノヤスホールディングス 2020年11月9日
  13. ^ サノヤス造船株式会社の株式取得について新来島どっく 2020年11月9日
  14. ^ 新来島どっく、東京事務所を移転 - 日本海事新聞電子版(2021年12月7日)、2021年12月20日閲覧。
  15. ^ 宇和島市長 石橋寛久(2005年)『宇和島市誌 下巻』、879頁。
  16. ^ 日本初のポストパナマックス型自動車船が竣工 - LogisticsToday(2014年5月27日)、2021年1月16日閲覧。
  17. ^ シップ・オブ・ザ・イヤー2014 大型貨物船「さやえんどうLNG船」に決定 - 日本船舶海洋工学会、2021年1月16日閲覧。
  18. ^ 日本初LNG燃料自動車運搬船が竣工しました。(2020.10.28) - (株)新来島どっく
  19. ^ 「SAKURA LEADER」 が「シップ・オブ・ザ・イヤー2020」、「かぐや」が「小型貨物船部門賞」を受賞 (2020.5.13) -日本郵船株式会社
  20. ^ -シップ・オブ・ザ・イヤー2020 日本船舶海洋工学会
  21. ^ 日本初LNG燃料自動車運搬船「SAKURA LEADER」が「シップ・オブ・ザ・イヤー2020」を受賞いたしました! - (株)新来島どっく
  22. ^ 新来島どっく/「えひめ丸」の代替船を落札 - 日本海事新聞電子版(2001年11月29日)、2021年1月16日閲覧。
  23. ^ 防衛省向け油槽船2隻を受注いたしました。(2020.5.21)”. 新来島どっく (2020年5月21日). 2022年2月6日閲覧。
  24. ^ “海自初の油槽船が進水 令和4年4月就役予定(2021年10月20日)”. 朝雲新聞. (2021年11月12日). オリジナルの2020年3月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211112080115/https://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/news/newsflash/202111/211112/21111203.html 2022年2月6日閲覧。 
  25. ^ 自前で燃料運べます 海自向け4900トン型油槽船「YOT-02」今治で進水 新来島どっく”. 乗りものニュース (2022年2月4日). 2022年2月6日閲覧。
  26. ^ ギャラリー:油槽船「YOT-01」初度入港”. 海上自衛隊呉地方隊 (2022年4月22日). 2023年1月11日閲覧。
  27. ^ ギャラリー:油槽船「YOT-02」初度入港”. 海上自衛隊呉地方隊 (2022年7月22日). 2023年1月11日閲覧。
  28. ^ 『仮面ライダーSPIRITS〜受け継がれる魂II』(講談社:刊)より

関連項目

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外部リンク

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