欲望のバージニア
欲望のバージニア | |
---|---|
Lawless | |
監督 | ジョン・ヒルコート |
脚本 | ニック・ケイヴ |
原作 | マット・ボンデュラント 『欲望のバージニア』 |
製作 | ルーシー・フィッシャー ミーガン・エリソン ダグラス・ウィック マイケル・ベナローヤ |
製作総指揮 | ロバート・オグデン・バーナム ジェイソン・ブラム カシアン・エルウィズ スコット・ハンソン ランディ・マニス ローラ・リスター ベン・ザックス テッド・シッパー レイチェル・シェーン ダニー・ウルフ |
出演者 | シャイア・ラブーフ トム・ハーディ ゲイリー・オールドマン ミア・ワシコウスカ ジェシカ・チャステイン ジェイソン・クラーク ガイ・ピアース |
音楽 | ニック・ケイヴ ウォーレン・エリス |
撮影 | ブノワ・ドゥローム |
編集 | ディラン・ティチェナー |
製作会社 | |
配給 | ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() ![]() |
上映時間 | 115分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $45,000,000[2] |
興行収入 | $53,676,580[3] |
『欲望のバージニア』(よくぼうのバージニア、原題: Lawless)は、ジョン・ヒルコート監督による2012年のアメリカ合衆国のクライム・ドラマ映画である[4]。脚本はニック・ケイヴであり、マット・ボンデュラントの小説『欲望のバージニア』(2008年)を原作としている。出演はシャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカ、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ガイ・ピアースらである。 アメリカ禁酒法時代にバージニア州フランクリン郡で密造酒を売るボンデュラント兄弟が描かれる。第65回カンヌ国際映画祭でプレミア上映された後、2012年8月29日にアメリカ合衆国で劇場公開された。
キャスト
[編集]※括弧内は日本語吹き替え
- 三兄弟の末っ子。優れた兄たちにコンプレックスを抱く。
- 三兄弟の次男。寡黙で無骨。喧嘩が強い。スペイン風邪で両親を亡くしている。
- ハワード・ボンデュラント - ジェイソン・クラーク(白熊寛嗣)
- 三兄弟の長男。弟思いだが酒癖が悪く、暴れることもある。
- 特別補佐官。シカゴからフランクリンにやってきた。フランクリンの住民たちを見下している。
- マギー・ボーフォード - ジェシカ・チャステイン(佐古真弓)
- シカゴのクラブで踊り子をしていた女性。街に嫌気がさしてフランクリンにやってきた。
- 牧師の娘。真面目な性格。ジャックが思いを寄せる女性で彼女もジャックに絆される。
- ジャックの友人。車を修理したりなど手先が器用。
- ダニー - クリス・マクギャリー (田尻浩章)
- フロイド・バナー - ゲイリー・オールドマン(辻親八)
- ギャングのボス。殺人罪で指名手配されている。
- 保安官補。
- ガミー・ウォルシュ - ノア・テイラー
製作
[編集]作家のマット・ボンデュラントは、禁酒法時代に密造をしていた祖父と大叔父たちの話を基にした歴史小説『欲望のバージニア』を執筆した。2008年にプロデューサーのルーシー・フィッシャーとダグラス・ウィックとオプション契約を交わし、映画監督のジョン・ヒルコートに本が送られた[5]。
最初にキャスティングされたのはシャイア・ラブーフであり、ボンデュラント兄弟の末っ子のジャック役であった。ハワード役にはジェームズ・フランコ、フォレスト役にライアン・ゴズリング、さらにエイミー・アダムスとスカーレット・ヨハンソンがプロジェクトに参加していた[5]。当初は『The Wettest County in The World』という題であったが後に『The Promised Land』に変更された[6][7]。撮影開始は2010年2月を予定していたが[8]、直前の1月、資金難によりプロジェクトが頓挫しかかっていることが報じられた[7]。その後前述の俳優陣の中でプロジェクトにはラブーフのみが残留した。ラブーフは映画『ブロンソン』(2008年)を観賞した後、トム・ハーディに脚本を送った[5]。撮影監督のブノワ・ドゥロームはヒルコート監督にジェシカ・チャステインを推薦した[5]。ハーディとチャステインの参加は2010年12月に報じられ[9][10]、プロジェクトはベナローヤ・ピクチャーズのマイケル・ベナローヤとアンプルナ・ピクチャーズのミーガン・エリソンから資金提供を受けることとなった[10]。2011年1月、ジェイソン・クラーク、デイン・デハーンがキャストに加わった[11][12]。さらに2月、ガイ・ピアース、ゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカが加わった[13]。
撮影
[編集]撮影は2011年初頭にジョージア州アトランタ近郊、ニューナン、グラントビル、ハラルソン、ラグランジュ、 キャロル郡のマッキントッシュ・パークとゲイ近郊のレッド・オーク・クリーク・カバード・ブリッジで行われた[14][15][16]。3ヶ月間の撮影中、出演者はピーチツリー・シティのアパートに住んだ[17]。ヒルコートとドゥロームはデジタル撮影に関してロジャー・ディーキンスやハリス・サヴィデスに相談した。彼らはアリ・アレクサ・デジタル・カメラ・システムを使うことを決め、ドゥロームは撮影中常に2台のカメラを動かしていた[18]。
音楽
[編集]サウンドトラック盤は2012年8月28日に発売された[20]。
# | タイトル | 作詞・作曲 | アーティスト | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「Fire and Brimstone」 | フレッド・リンカーン・レイ・Jr | ザ・ブートレッガース feat. マーク・ラネガン | |
2. | 「Burnin' Hell」 | バーナード・ベスマン / ジョン・リー・フッカー | ザ・ブートレッガース feat. ニック・ケイヴ | |
3. | 「Sure 'Nuff 'n Yes I Do」 | ハーブ・ベルマン / ドン・ヴァン・ヴリート | ラルフ・スタンレー | |
4. | 「Fire in the Blood」 | ニック・ケイヴ & ウォーレン・エリス | ザ・ブートレッガース feat. エミルー・ハリス | |
5. | 「White Light / White Heat」 | ザ・ブートレッガース feat. マーク・ラネガン | ||
6. | 「Cosmonaut」 | ザ・ブートレッガース feat. エミルー・ハリス | ||
7. | 「Fire in the Blood / Snake Song」 | ニック・ケイヴ & ウォーレン・エリス / タウンズ・ヴァン・ザント | ザ・ブートレッガース feat. エミルー・ハリス、ニック・ケイヴ、ラルフ・スタンレー、ウォーレン・エリス | |
8. | 「So You'll Aim toward the Sky」 | ザ・ブートレッガース feat. エミルー・ハリス | ||
9. | 「Fire in the Blood」 | ニック・ケイヴ & ウォーレン・エリス | ザ・ブートレッガース feat. エミルー・ハリス | |
10. | 「Fire and Brimstone」 | ラルフ・スタンレー | ||
11. | 「Sure 'Nuff 'n Yes I Do」 | ザ・ブートレッガース feat. マーク・ラネガン | ||
12. | 「White Light / White Heat」 | ラルフ・スタンレー | ||
13. | 「End Crawl」 | ニック・ケイヴ & ウォーレン・エリス | ||
14. | 「Midnight Run」 | マーク・コプリー / ジェームズ・バーナード・ドーラン / アダム・スチュアート・レヴィ | ウィリー・ネルソン | |
合計時間: |
公開
[編集]
2011年3月、モメンタム・ピクチャーズとその親会社のアライアンス・フィルムズはイギリスとカナダでの配給権を獲得した[21]。同年5月、ワインスタイン・カンパニーが米国での配給権を獲得し、拡大公開を計画した[22]。2012年3月、タイトルは『Lawless』に変更された[23]。
2012年5月19日に第65回カンヌ国際映画祭にコンペティション部門で上映され、10分近くに及ぶスタンディングオベーションを受けた[24]。2012年8月29日水曜、アメリカ合衆国で劇場公開された。配給のワインスタイン・カンパニーはレイバー・デーの週末にかけての口コミ効果を狙った[25]。
評価
[編集]批評家の反応
[編集]Rotten Tomatoesでは196件のレビューで支持率は67%となった[26]。Metacriticでは38媒体のレビューで加重平均値は58/100となった[27]。
映画賞ノミネーション
[編集]映画祭・賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|
カンヌ国際映画祭[28][29] | パルム・ドール | ジョン・ヒルコート | ノミネート |
ジョージア映画批評家協会賞 | 主題歌賞 | "Cosmonaut" - ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリス | ノミネート |
"Fire in the Blood" - ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリス | ノミネート | ||
優れたジョージア映画に対するオーグルソープ賞 | ニック・ケイヴ、ジョン・ヒルコート | ノミネート | |
サテライト賞 | 主題歌賞 | "Fire in the Blood/Snake Song" - ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリス、エミルー・ハリス | ノミネート |
参考文献
[編集]- ^ “Screenings of May 19th”. Cannes (2012年5月19日). 2012年5月19日閲覧。
- ^ “Lawless (2012)”. www.boxoffice.com. 2012年12月28日閲覧。
- ^ “Lawless (2012)”. Box Office Mojo. 2013年4月12日閲覧。
- ^ Buchanan, Jason. “Lawless”. Allmovie. Rovi Corporation. 2013年1月31日閲覧。
- ^ a b c d McClintock, Pamela (2012年8月15日). “How 'Lawless' Nabbed New A-Listers Tom Hardy and Jessica Chastain”. The Hollywood Reporter. 2012年9月20日閲覧。
- ^ Goldberg, Matt (2009年11月29日). “Final Installment of AFM 2009 Coverage Featuring Stills, Images, and Synopses for DOROTHY OF OZ, JACKBOOTS ON WHITEHALL, ALIEN VS. NINJA, and More”. Collider.com 2011年2月10日閲覧。
- ^ a b Rich, Katey (2010年1月4日). “The Road Director Hillcoat's Next Project Falls Apart”. Cinema Blend 2011年2月10日閲覧。
- ^ Fischer, Russ (2009年11月29日). “John Hillcoat’s Next Courting Amy Adams for Female Lead, Retitled The Promised Land?”. /Film 2011年2月10日閲覧。
- ^ Zeitchik, Steven (2010年12月7日). “Shia LaBeouf and Tom Hardy will be bootleggers”. Los Angeles Times 2011年2月10日閲覧。
- ^ a b Kit, Borys (2010年12月13日). “EXCLUSIVE: Jessica Chastain to Star in 'The Wettest County'”. The Hollywood Reporter 2011年2月10日閲覧。
- ^ Dang, Simon (2011年1月25日). “Jason Clarke On Board John Hillcoat's Adaptation Of 'The Wettest County In The World'”. The Playlist. 2012年9月20日閲覧。
- ^ Dang, Simon (2011年1月28日). “Newcomer Dane DeHaan Joins John Hillcoat’s ‘The Wettest County In The World’”. indieWire 2011年2月10日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2011年2月9日). “Guy Pearce, Gary Oldman Join 'Wettest County in the World' (Berlin Exclusive)”. The Hollywood Reporter 2011年2月9日閲覧。
- ^ Melville, Elizabeth (2011年2月8日). “More calls sounded for 'extras' as Coweta becomes quite the movie hub”. times-herald.com 2011年2月13日閲覧。
- ^ Shelton, Natalie (2011年4月8日). “Property owners get glimpse of movie filming”. LaGrange Daily News 2011年4月8日閲覧。
- ^ Thomas, Amanda (2011年4月17日). “Filmmakers happy with Carrollton for their first movie”. Times-Georgian 2011年4月17日閲覧。
- ^ Mandell, Andrea (2012年8月27日). “Shia LaBeouf gets a little 'Lawless' in indie movies”. USA Today. 2012年9月21日閲覧。
- ^ Reumont, François (2012年5月23日). “Cinematographer Benoît Delhomme, AFC, discusses his work on Jon Hillcoat’s "Lawless"”. Afcinema. 2012年9月23日閲覧。
- ^ Dang, Simon (2011年2月4日). “Nick Cave Confirms He’ll Score John Hillcoat’s ‘The Wettest County’”. indieWIRE. 2011年2月9日閲覧。
- ^ “Lawless (Original Motion Picture Soundtrack)”. AllMusic. 2012年9月9日閲覧。
- ^ Lodderhose, Diana (2011年3月29日). “Momentum, Alliance nabs 'Wettest County'”. Variety (magazine) 2011年3月29日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (2011年5月16日). “'Wettest County' Storms Cannes (Cannes 2011)”. The Hollywood Reporter. 2011年5月16日閲覧。
- ^ Jagernauth, Kevin (2012年3月22日). “Sorry Terrence Malick, The Weinstein Company Has Changed 'The Wettest County' To 'Lawless'”. indieWire
- ^ THR Staff (2012年5月20日). “Cannes 2012: Inside The Weinstein Company's 'Lawless' Premiere”. The Hollywood Reporter. 2012年9月22日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (2012年8月30日). “Box Office Report: 'Lawless' Tops Wednesday Chart With $1.1 Mil, Scores B+ From Auds”. The Hollywood Reporter. 2012年9月18日閲覧。
- ^ “Lawless”. Rotten Tomatoes. 2012年9月18日閲覧。
- ^ “Lawless”. Metacritic. 2012年9月18日閲覧。
- ^ “2012 Official Selection”. Cannes. 2012年4月19日閲覧。
- ^ “Cannes Film Festival 2012 line-up announced”. timeout. 2012年4月19日閲覧。