水尾比呂志
水尾 比呂志(みずお ひろし、本名・博、1930年11月7日[1] - 2022年1月3日[2])は、日本の美術史家、民藝運動家、武蔵野美術大学名誉教授・元学長。
略歴
[編集]大阪府出身。高校時代から詩を書き、詩誌「櫂」同人。柳宗悦に師事し、旧制福岡高等学校を経て東京大学文学部卒業、1955年(昭和30年)同大学院美術史学科修士課程修了[3]。舞台・放送作家でもあった。
日本民藝館館員を経て、1963年(昭和38年)武蔵野美術大学助教授、1970年(昭和40年)に教授、1986年(昭和61年)学長、1994年(平成6年)退任し名誉教授。2003年(平成15年)5月に日本民藝協会会長(2011年6月まで)。講師として晩年まで、毎年各地で行われた日本民藝協会の全国大会・講座、また柳宗悦をめぐる講演・シンポジウムに多く参加していた。
国立近代美術館運営委員、通産省伝統的工芸品産業審議会委員、文化庁文化財保護審議会委員、「國華」名誉顧問、日本民藝協会名誉会長、日本民藝館理事。
受賞歴
[編集]- 1962年、『デザイナー誕生』毎日出版文化賞
- 1962年、ザルツブルグ・オペラ賞
- 1967年、ラジオドラマ「愛と修羅」イタリア賞
- 1968年、ギャラクシー賞
- 1973年、イタリア賞
- 1981年「音楽と舞踊による映像絵巻 月〜竹取物語より」脚本 イタリア放送協会賞
- 1982年、国際エミー賞 公演芸術部門優秀賞[4][5]
- 2017年、秋の叙勲 瑞宝中綬章受章[6]
著書
[編集]- 創作
- 美術論
- 『デザイナー誕生 近世日本の意匠家たち』美術選書:美術出版社 1962
- 『東洋の美学』美術選書:美術出版社 1963
- 『いけばな 花の伝統と文化』美術出版社 1966
- 『日本宗教造型論』美術選書:美術出版社 1966
- 『東洋の美学』美術選書:美術出版社 1967
- 『美の終焉』筑摩書房 1967
- 『民芸の美』日本の美と教養:河原書店 1967
- 『現代民芸論-手仕事のゆくえ』新潮社 1968
- 『日本美術史-用と美の造型』筑摩書房:総合大学 1970/新版 筑摩叢書 1982
- 『日本造形史-用と美の意匠』武蔵野美術大学出版、2002
- 『わび』淡交社 1971
- 『日本美の意匠』SD選書:鹿島研究所出版会 1971、新版1984
- 『民窯の旅 焼物の美を求めて』芸艸堂、1972
- 『古窯の旅 日本の焼物』芸艸堂、1975
- 『琳派』芸艸堂:著作選集、1976
- 『手仕事について』芸艸堂:著作選集、1977
- 『近世名匠伝』芸艸堂:著作選集、1977
- 『近世日本の名匠』講談社学術文庫、2006
- 『障壁画史 荘巌から装飾へ』美術選書:美術出版社、1978
- 『現代の陶匠』芸艸堂:著作選集、1979
- 『茶と花』芸艸堂:著作選集、1979
- 『「美の法門」 柳宗悦を読む』東峰書房、1980
- 『障壁画巡歴』芸艸堂:著作選集、1980
- 『日本美の周辺』PHP研究所、1981。新編再刊
- 『日本の美術 その形と心』岩波ジュニア新書、1982
- 『美しさといふこと 水尾比呂志随想集』用美社、1985
- 『日本美の造型』芸艸堂、1987。解説集成
- 『評伝 柳宗悦』筑摩書房、1992、ちくま学芸文庫(増訂版)、2004
編著・共著
[編集]- 『古都の障壁画』葛西宗誠・矢野正善写真 淡交新社 1963
- 『沖縄の民芸』二川幸夫撮影 田中一光構成 美術出版社 1964
- 『宗達光琳派扇面画集』編・解説 光琳社出版 1965
- 『宗達光琳派画集』上・下、編・解説 光琳社出版 1966
- 『障壁画全集 智積院』編著 美術出版社 1966
- 『扇絵名品集』淡交新社 1967。図版解説
- 『邪鬼の性』井上博道写真 淡交新社 1967
- 『日本の石佛』細井良雄・佐藤宗太郎共著 鹿島研究所出版会 1970
- 『日本の造形2 竹編』淡交社 1970 図版解説。全3巻、他は1木組 清家清、3紙折 吉田光邦
- 『障壁画全集 醍醐寺三宝院』 編著 美術出版社 1972
- 『日本の名画4 俵屋宗達』 編著 講談社 1973
- 『かきつばた光琳』平凡社ギャラリー 1973
- 『李朝民画』伊丹潤 編、講談社 1975 - 李禹煥と分担解説
- 『現代の陶芸 第三巻』責任編集 講談社 1975 - 河井寛次郎・濱田庄司・バーナード・リーチ
- 『現代の陶芸 第十五巻』責任編集 講談社 1976
- 『日本のやきもの 25 民窯Ⅰ』編著 講談社 1976
- 『日本やきもの旅行 3 瀬戸・美濃・常滑・越前・九谷』平凡社・歴史と文学の旅 1976
- 『日本の美術 45 装飾古墳』小学館ブック・オブ・ブックス 1977
- 『益子参考館 濱田庄司蒐集』全3巻、責任編集 学習研究社 1978-79
- 『柳宗悅 民藝 日本民俗文化大系 6』講談社 1978。著作の編・解説
- 『芹沢銈介作品集』全5冊+別巻1、求龍堂 1978-80。編・解説
- 『現代日本の陶芸 第13巻 民藝と個人作家』責任編集 講談社 1983
- 『現代日本の陶芸 第2巻 用と美の巨匠』責任編集 講談社 1984
- 『柳宗悦民藝紀行』編 岩波文庫 1986
- 『濱田庄司 近代日本の陶匠』講談社カルチャーブックス 1992
- 副題:京都で道を見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った。図版解説
- 『柳宗悦 新編 美の法門』編 岩波文庫 1995
- 『柳宗悦随筆集』編 岩波文庫 1996
- 『國華の軌跡 : 名品探索百十年』朝日新聞社 2003 解説
- 『柳宗悦 民藝とは何か』講談社学術文庫 大文字版 2006 解説
翻訳
[編集]脚注
[編集]- ^ 『文藝年鑑』2008
- ^ a b “美術史家の水尾比呂志氏死去”. 産経ニュース (2022年1月7日). 2022年1月7日閲覧。
- ^ 水尾比呂志『出身県別 現代人物事典 西日本版』p1010 サン・データ・システム 1980年
- ^ 日本人名大事典
- ^ 『現代日本人名録』
- ^ “平成29年秋の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 19 (2017年11月3日). 2023年3月2日閲覧。