海南省

海南省
略称: 瓊 (拼音: Qióng)
海南省の位置
簡体字 海南
繁体字 海南
拼音 Hǎinán
カタカナ転記 ハイナン
省都 海口市
最大都市 海口市
省委書記 沈暁明(前省長)
省長 馮飛(前浙江省副省長)
面積 35,191 km² (28位)
人口 (2020年)
 - 人口密度
10,081,232 人 (28位)
286.5 人/km² (17位)
GDP (2020年)
 - 一人あたり
5,532.39 億 (28位)
54,876 (19位)
HDI (2018年) 0.767 () (16位)
主要民族 漢民族 - 82.6%
リー族 - 15.84%
ミャオ族 - 0.82%
チワン族 - 0.67%
地級行政区 4 個
県級行政区 23 個
郷級行政区 218 個
ISO 3166-2 CN-HI
公式サイト
https://www.hainan.gov.cn/

海南省(かいなんしょう、中国語:海南省、拼音:Hǎinán Shěng、英語:Hainan)は、中華人民共和国最南部の海南島と付属の島嶼からなる。省都海口市

地理

海南島のビーチ
保亭リー族ミャオ族自治県の山岳地帯

中国広東省雷州半島の南に位置する海南島南シナ海西沙諸島南沙諸島中沙諸島からなる。海南島以外の所属については近隣諸国との領土問題がある。西はトンキン湾を隔ててベトナムとなる。

海南島の北部は亜熱帯、南部は熱帯に属し、バナナココヤシコショウなどの熱帯作物の栽培が盛んである。熱帯に属する三亜市周辺の海岸は、年中海水浴に適した気候であり、俗に『中国のハワイ』ともいわれ、海浜リゾートを中心とした観光業が盛んである。瓊海市にあるリゾート地ボアオ(博鰲)では2001年以降、毎年ボアオ・アジア・フォーラムが開催されている。

歴史

古くから珠崖と呼ばれ、三国の時代に珠崖郡が成立した。代の李徳裕宋代蘇軾などが流刑に処され、唐代には鑑真が漂着した。

1930年代、国際情勢が変動している中で、日本海軍は英国の敵性を優先に考慮し始め、陸軍や外務省の対英協調論を一蹴し、執拗なまでに海南島占領を実現し、対英戦の準備を整えた[1]。占領中、ビルマ独立の志士アウン・サンらの軍事訓練がこの島で行われた。戦後に第二次国共内戦が起きると、中華民国国民党政権は1949年4月に海南特別行政区を設置して内戦の反撃拠点とし、同年10月の「新中国」成立時点でもまだ海南島を占有していた。そのため、中国人民解放軍1950年3月から海南島の制圧作戦(海南島戦役)を開始し、同年5月1日に海南島全域を占領して事実上国共内戦を終結させた。

1958年海南李とミャオ自治州が設立され、1987年に完全に廃止された。

1988年までは広東省海南行政区中国語版となっていたが、海南島ならびにその周辺諸島が分離し、新たに海南省となる。同時に省全域が経済特区に指定された。この経済特区は中国最大の面積を有している。以後、中国各地から移住が相次ぎ、輸出加工地区として発展した。最近は観光業にも力を入れ、中国各地からの観光客のほか、国外からの観光客も訪れる。

年表

この節の出典[2][3]

海南島の地形図

主要都市・行政区分

四つの地級市のほか、15カ所の直轄県級行政区がある(通常、中華人民共和国の行政区は、省級行政区→地級行政区→県級行政区と細分化されるが、中間の地級行政区がなく、海南省直轄の県級行政区が存在する)。

No. 名称 中国語表記 拼音 面積
(Km2)
人口
(2020年)
政府所在地
# 海南省 海南省 Hǎinán Shěng 35191.30 10,081,232 海口市
海南省の行政区画
Map of Hainan
地級市
1 海口市 海口市 Hǎikǒu Shì 2289.50 2,873,358 秀英区
2 三亜市 三亚市 Sānyà Shì 1921.50 1,031,396 吉陽区
3 儋州市 儋州市 Dānzhōu Shì 3398.80 0,954,259 那大鎮
19 三沙市 三沙市 Sānshā Shì 788.00 0,002,333 西沙区
県級市
4 瓊海市 琼海市 Qiónghǎi Shì 1710.10 0,528,238 嘉積鎮
5 万寧市 万宁市 Wànníng Shì 1901.20 0,545,992 万城鎮
6 五指山市 五指山市 Wǔzhǐshān Shì 1144.30 0,112,269 通什鎮
7 東方市 东方市 Dōngfāng Shì 2272.60 0,444,458 八所鎮
8 文昌市 文昌市 Wénchāng Shì 2459.20 0,560,894 文城鎮
9 臨高県 临高县 Língāo Xiàn 1343.30 0,420,594 臨城鎮
10 澄邁県 澄迈县 Chéngmài Xiàn 2075.70 0,497,953 金江鎮
11 定安県 定安县 Dìng'ān Xiàn 1196.50 0,284,690 定城鎮
12 屯昌県 屯昌县 Túnchāng Xiàn 1224.00 0,255,335 屯城鎮
自治県
13 昌江リー族自治県 昌江黎族自治县 Chāngjiāng Lízú Zìzhìxiàn 1620.50 0,232,124 石碌鎮
14 白沙リー族自治県 白沙黎族自治县 Báishā Lízú Zìzhìxiàn 2115.70 0,164,699 牙叉鎮
15 瓊中リー族ミャオ族自治県 琼中黎族苗族自治县 Qióngzhōng Lízú Miáozú Zìzhìxiàn 2704.20 0,179,586 営根鎮
16 陵水リー族自治県 陵水黎族自治县 Língshuǐ Lízú Zìzhìxiàn 1107.50 0,372,511 椰林鎮
17 保亭リー族ミャオ族自治県 保亭黎族苗族自治县 Bǎotíng Lízú Miáozú Zìzhìxiàn 1153.20 0,156,108 保城鎮
18 楽東リー族自治県 乐东黎族自治县 Lèdōng Lízú Zìzhìxiàn 2765.50 0,464,435 抱由鎮
* 三沙市の一部(南沙諸島)の多くは中華民国台湾)、ベトナムフィリピンマレーシアの実効支配下に置かれている。

民族

三亜のビーチサイドホリデーリゾート
海南料理
海口秀英港
南山海上観音聖像

漢民族が大部分を占めるが、リー族(黎族)が117.2万人、ミャオ族(苗族)が6.1万人、チワン族(壮族)が5万人、回族が8,372人と続く。

言語

閩南語の一種である海南語を話す。この他に広東語の一種である儋州話、邁話、蜑家話客家語北方方言に属する軍話などの中国語の方言も話されている。

タイ語系のリー語オンベ語(臨高話)、モー語(村話)、他にミャオ語チワン語回輝語の話者も少なくない。

軍事

海南島最南端の三亜市域内に、中国海軍楡林海軍基地と新設龍坡海軍基地潜水艦用)がある。省の北東部の文昌市には軍とも関係した大型ロケット発射場文昌衛星発射場がある。

海南島事件 - 2001年4月1日、海南島周辺上空で米海軍EP-3E電子偵察機が中国軍の殲撃8II戦闘機と空中接触し、中国軍機は墜落、米軍機は救助信号を発して海南島の飛行場に緊急着陸した。

交通

道路には、東回りのG223国道、中央部を通るG224国道、西廻りのG225国道が北の海口市と南の三亜市を結んで、整備されている。また2011年に、海南環島高速道路が全島を廻る環状線として全線完成している。

鉄道は、大日本帝国海軍第二次世界大戦中に作った西廻りの狭軌鉄道に沿って、標準軌鉄道で海南西環線を2005年に東方市経由の全線完成した。その後高速鉄道の東回り海南東環高速鉄道(2010開業)、西周りの海南西環高速鉄道(2015年開業)もできた。

航空には、海口美蘭国際空港琼海博鰲博鳌空港英語版などがある。

海路には、海口秀英港英語版楡林港(三亜市:民間と軍事)などがある。

教育

  • 海南大学(海口市)
  • 海南師範大学(海口市)
  • 海南医学院(海口市)
  • 瓊台師範学院(海口市)
  • 三亜学院(三亜市)民弁本科
  • 海口経済学院(海口市)民弁本科
  • 海南熱帯海洋学院(三亜市)

観光

ボアオ海岸南湾猿島五指山 (海南省)三亜市亜龍湾大小洞天天涯海角鹿回頭公園大東海などがある。[4]

出身者

海瑞 - 中国明中期の政治家。時の嘉靖帝に対して激しい直諫を行い投獄されたがのちに釈放された。清廉潔白な官僚として評価を得ている人物である。

張雲逸 - 中国人民解放軍大将。一級八一勲章、一級独立自由勲章および一級解放勲章を受勲している。

周士弟 - 中国人民解放軍上将(開国上将)。中華人民共和国建国後は中国人民解放軍防空部隊司令員、中国人民解放軍訓練総監部副部長兼外軍訓練部部長を歴任した。

友好交流

友好提携·姉妹県省 締結時期
日本の旗 兵庫県 1990.09.28
アメリカ合衆国の旗 ハワイ州 1992.06.30
大韓民国の旗 済州特別自治道 1995.10.06
クリミアの旗 クリミア自治共和国 1996.04.15
フィリピンの旗 セブ州 1996.06.09
ルーマニアの旗 アラド県 2000.09.27
オーストリアの旗 ザルツブルク 2000.10.24
カナダの旗 プリンスエドワードアイランド州 2001.06.20
エジプトの旗 南シナイ県 2002.08.03
フィンランドの旗 オウル 2002.12.11
スペインの旗 バレアレス諸島 2004.07.29
スリランカの旗 南部州 2005.04.23
タイ王国の旗 プーケット県 2005.09.25
スペインの旗 カナリア諸島 2005.11.11
ポーランドの旗 ルブシュ県 2006.02.24
パプアニューギニアの旗 東ニューブリテン州 2006.09.28
カンボジアの旗 コンポンチャム州 2007.03.27
ベトナムの旗 クアンニン省 2007.04.19
メキシコの旗 キンタナ・ロー州 2008.09.30
カザフスタンの旗 クズロルダ州 2009.07.03
ブラジルの旗 パラナ州 2010.05.13
スウェーデンの旗 ゴットランド地方 2010.11.02
イタリアの旗 サルデーニャ 2011.10.13
インドネシアの旗 バリ州 2011.10.20
モザンビークの旗 ナンプーラ州 2013.09.18
マレーシアの旗 ペナン州 2013.10.07
チェコの旗 南モラヴィア州 2016.04.13
フィリピンの旗 パラワン州 2017.07.24
エチオピアの旗 南部諸民族州 2018.06.02
セルビアの旗 ヴォイヴォディナ 2019.03.30

脚注

出典

  1. ^ 周 俊 (2017). “海南島作戦をめぐる日本海軍の戦略認識 : 南進問題か対英問題か”. アジア太平洋研究科論集. 
  2. ^ 县级以上行政区划变更情况 - 中華人民共和国民政部
  3. ^ 海南省 - 区划地名网
  4. ^ 海南島政府観光局公式サイト

外部リンク

座標: 北緯19度12分 東経109度42分 / 北緯19.2度 東経109.7度 / 19.2; 109.7