蔵前JPテラス
JPライオンビルディング | |
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JPライオンビルディング、2023年5月撮影 | |
情報 | |
設計者 | 日本郵政[1] |
施工 | 大成建設 |
構造形式 | 鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、免震構造 |
延床面積 | [2] |
状態 | 完成 |
階数 | 地上13階 |
竣工 | 2023年3月 |
所在地 | 〒111-8644 東京都台東区蔵前一丁目3番28号 |
座標 | 北緯35度42分3.6秒 東経139度47分27.0秒 / 北緯35.701000度 東経139.790833度座標: 北緯35度42分3.6秒 東経139度47分27.0秒 / 北緯35.701000度 東経139.790833度 |
蔵前JPテラス(くらまえジェイピーテラス)は、日本郵政不動産株式会社が開発した東京都台東区蔵前一丁目の大型複合開発街区である[3][4][5]。「オフィス棟」「住宅棟」「物流棟」から構成される。オフィス棟は、トイレタリー用品メーカー大手のライオン株式会社が本社機能を置く「JPライオンビルディング」である[3][4][5]。
概要
[編集]旧日本郵政蔵前ビルを再開発して建設された街区である[6]。オフィス棟は蔵前橋通りに面した建物で、ライオングループ各社のオフィスに加えて、くらまえ橋郵便局とベーカリーがある[3][5]。住宅棟には、賃貸住宅、高齢者住宅、事務所・シェアスタジオ、認可保育所がある[5]。物流棟には、にほんばし蔵前郵便局、物流施設、屋上庭園・菜園がある[5]。敷地の西側には「蔵前の小径」と称する通路があり、オフィス棟と住宅棟を結んでいる[5]。
日本郵政グループの不動産事業では、環境に配慮したオフィスビル・商業施設を建設している[7]。2022年9月、脱炭素社会の実現に貢献する取り組みとして、日本郵政は初めて社債を発行し、ESG債(グリーンボンド)として売り出した[8][6]。市場で調達した計350億円は蔵前JPテラスと五反田JPビルディング(旧ゆうぽうと跡地に建設)の開発資金に充当された[6]。大規模な屋上庭園(約3,000㎡)や歩行者空間を整備することで、緑化された空間や生物とのふれ合い空間を創り出している[6]。環境への配慮が評価され、「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)」の「CASBEE-建築」認証[9]のSランクを取得した[6]。また、オフィス棟のうちライオンのオフィス部分において、同社と共同で「CASBEE-ウェルネスオフィス」認証[10]の最高位となる「Sランク」を取得した[11]。「CASBEE-建築」認証の「Sランク」と合わせて、建築物の総合的環境性能とウェルネス性能の認証を行う「CASBEE-スマートウェルネスオフィス」認証の「Sランク」にも認定された[11]。
沿革
[編集]JPライオンビルディング
[編集]墨田区本所の旧ライオン本社ビルは全国の本支店機能が東京に集約されるなどの理由から手狭になっており[22]、マーケティングや営業部門のあるライオン東京オフィス[注釈 1][23]をはじめ4か所に同社や関係会社のオフィスが分散する状況となっていた。隅田川対岸の台東区蔵前一丁目にある当ビルへの移転により、都内4カ所に分散していた関連会社が集約された[24]。
フロア構成
[編集]1階から13階のオフィスにライオン本社とライオングループ各社が入居する[3][5]。1階には日本郵便株式会社の「くらまえ橋郵便局」と株式会社トラスパレンテのベーカリー「TRASPARENTE La Cartolina」もある[3][5]。9階は物流棟の屋上庭園とつながっている[5]。
くらまえ橋郵便局
[編集]くらまえ橋郵便局 | |
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基本情報 | |
前身 | 東京貯金局内郵便局 東京貯金事務センター内郵便局 |
局番号 | 00837 |
設置者 | 日本郵便株式会社 |
所在地 | 〒111-0051 東京都台東区蔵前一丁目3-27 JPライオンビルディング1階 |
位置 | 北緯35度42分4.9秒 東経139度47分25.5秒 / 北緯35.701361度 東経139.790417度 |
貯金 | |
店名 | ゆうちょ銀行 代理店 |
保険 | |
店名 | かんぽ生命保険 代理店 |
くらまえ橋郵便局(くらまえばしゆうびんきょく)は、当ビルの1階にある郵便局である。
沿革
[編集]- 1948年(昭和23年)
- 3月1日 - 東京貯金局内郵便局として設置。
- 1984年(昭和59年)
- 7月1日 - 東京貯金事務センター内郵便局に改称。
- 2000年(平成12年)
- 5月8日 - くらまえ橋郵便局に改称。
- 2018年(平成30年)
- 7月30日 - 台東区蔵前1-3-17の仮局舎に移転[25]。
- 2022年(令和4年)
取扱内容
[編集]旧ライオン本社ビル
[編集]旧ライオン本社ビル | |
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2007年撮影 | |
情報 | |
設計者 | 松田平田設計[2] |
建築主 | ライオン歯磨 |
構造形式 | 鉄骨構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造 |
延床面積 | 15,838 m² [2] |
状態 | 完成 |
階数 | 地下1階、地上13階 |
竣工 | 1971年10月30日 |
所在地 | 〒130-8644 東京都墨田区本所一丁目3-7 |
座標 | 北緯35度42分10.8秒 東経139度47分45.7秒 / 北緯35.703000度 東経139.796028度 |
ライオンの本社は蔵前JPテラスへの移転まで、墨田区本所1丁目の厩橋近くの隅田川の畔に置かれていた。この場所はライオンの前身の小林富次郎商店が1916年(大正5年)より拠点を置いていた地であり、創業80周年を記念して当時のライオングループの歯磨剤などオーラルケア部門の製品を取り扱っていたライオン歯磨の本社ビルが建設され、1971年10月30日に竣工式が行われた[26]。歯磨剤メーカーの社屋ということもあり、白い歯をイメージした白色のアルミ複合板外装パネルのカーテンウォールで仕上げられた[2]。青緑色の細い縦のラインが入り、横長の窓が整然と並び、外壁上部にはロゴが掲げられていた。このビルの敷地は2020年2月に長谷工に売却された[23]。本社移転後は解体され跡地は京浜急行電鉄によりスーパー堤防の整備と合わせて再開発され、2028年3月に高さ92.9mの高層マンションに建て替わる予定である[27]。
さらに、これとは別に墨田区横網(JR両国駅前)には、ライオンの営業部門が主に入るライオン東京オフィスが所在する自社ビルである「ライオン両国ビル」が存在した。こちらは洗剤や石鹸などのトイレタリー用品を取り扱っていたライオン油脂の本社ビルとして、先述した本所のライオン歯磨本社と同じく1971年に竣工した[26]。
- ライオン両国ビル(画像右手のビル、2012年撮影)
なお、ライオン歯磨株式会社とライオン油脂株式会社は1980年に統合し、現在のライオン株式会社となった。
住宅棟
[編集]賃貸住宅
[編集]18階から23階は、三井不動産レジデンシャルリース株式会社が運営する賃貸住宅「JP noie 蔵前」である[3][5]。2023年4月から入居開始[3][5]。
高齢者住宅
[編集]9階から17階は、株式会社長谷工シニアウェルデザインが運営する高齢者住宅「ブランシエール蔵前」である[3][5]。9階には庭園があり、物流棟の屋上庭園と一体化している[5]。
事務所・シェアスタジオ
[編集]8階には、蔵前にゆかりのあるデザイン会社であるアッシュコンセプト株式会社の本社があり、デザインやものづくりに関係するイベントなどを行うシェアスタジオが設けられている[5]。
保育所
[編集]3階には、ライクキッズ株式会社の認可保育所「にじいろ保育園蔵前」がある[5]。
物流棟
[編集]日本郵便の物流拠点である。1階にトラックバース、3階から6階までの各階に駐車場がある[3][5]。9階にはテニスコート11面半の広さがある屋上庭園を配置している[3][5]。庭園の南側には、東邦レオ株式会社が運営する菜園「蔵前JPテラスファーム」もある[3][5]。2024年5月5日、にほんばし蔵前郵便局が開局し、1階にゆうゆう窓口が設置された。
交通
[編集]鉄道
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “東京下町の「蔵前JPテラス」23年3月竣工、ライオン本社と賃貸住宅、物流施設の新街区”. 日経xtech. 2023年5月5日閲覧。
- ^ a b c d “ライオン本社ビル”. 松田平田設計. 2021年1月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『「蔵前一丁目開発事業」街区・建物名称の決定および各用途概要について』(PDF)(プレスリリース)日本郵政不動産株式会社、2022年12月9日 。2023年1月2日閲覧。
- ^ a b c “ライオン新本社など台東区蔵前一丁目の大型複合開発街区名称を「蔵前JPテラス」に決定、日本郵政不動産”. BUILT. 2023年1月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w “日本郵政不動産による大規模複合開発「蔵前JPテラス」竣工”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES (2023年3月31日). 2023年6月21日閲覧。
- ^ a b c d e f “会社説明会資料(2023年3月期中間決算・グループ不動産事業)”. 日本郵政株式会社. p. 21 (2022年11月18日). 2023年7月13日閲覧。
- ^ “地球と共に - 日本郵便”. www.post.japanpost.jp. 2023年7月13日閲覧。
- ^ a b “サステナビリティファイナンス‐日本郵政”. www.japanpost.jp. 2023年7月14日閲覧。
- ^ “CASBEE建築評価認証”. www.ibec.or.jp. 2024年2月24日閲覧。
- ^ “CASBEEウェルネスオフィス評価認証 | (一財)住宅・建築SDGs推進センター [IBECs]”. www.ibec.or.jp. 2024年2月24日閲覧。
- ^ a b “蔵前JPテラス - 日本郵政不動産株式会社”. www.jp-re.japanpost.jp. 2024年2月24日閲覧。
- ^ a b c d “台東区蔵前一丁目における開発計画について”. 日本郵政不動産株式会社 (2020年1月31日). 2021年9月20日閲覧。
- ^ “「蔵前一丁目開発事業」着工”. 日本郵政不動産株式会社 (2020年8月31日). 2021年9月20日閲覧。
- ^ 『本社移転計画に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)ライオン株式会 社、2020年8月31日 。2021年1月22日閲覧。
- ^ “「蔵前一丁目開発事業」オフィス棟 「CASBEE-スマートウェルネスオフィス」認証取得”. 日本郵政不動産株式会社 (2021年6月30日). 2024年2月24日閲覧。
- ^ a b c 株式会社インプレス (2023年3月31日). “屋上庭園で野菜が作れる大型複合施設「蔵前JPテラス」竣工”. Impress Watch. 2023年4月2日閲覧。
- ^ a b “移転:くらまえ橋郵便局(東京都) - 日本郵便”. www.post.japanpost.jp. 2023年6月22日閲覧。
- ^ “『JP noie 蔵前』運営管理開始のお知らせ|ニュースリリース|三井不動産レジデンシャルリース”. mfhl.mitsui-chintai.co.jp. 三井不動産レジデンシャルリース株式会社 (2023年3月31日). 2023年11月24日閲覧。
- ^ “ライオングループ、新本社グランドオープン”. ライオン (2023年4月3日). 2023年5月5日閲覧。
- ^ “「ブランシエール蔵前」オープンの日|ブログ: ブランシエール蔵前|長谷工シニアウェルデザイン”. 長谷工シニアウェルデザイン (2023年5月29日). 2023年11月24日閲覧。
- ^ “開局:にほんばし蔵前郵便局(東京都) - 日本郵便”. www.post.japanpost.jp. 2024年8月21日閲覧。
- ^ “プロジェクトケーススタディ ライオン商事株式会社”. CBRE (2010年12月8日). 2021年1月22日閲覧。
- ^ a b “ライオン、23年春に本社移転”. 日本経済新聞. (2020年8月31日) 2021年1月22日閲覧。
- ^ “防災、健康「ライオン」と一緒に 本社移転が縁、台東区と協定”. 東京新聞 (2023年3月20日). 2023年5月5日閲覧。
- ^ “移転:くらまえ橋郵便局(東京都) - 日本郵便”. www.post.japanpost.jp (2018年7月30日). 2024年5月16日閲覧。
- ^ a b “ライオンの歴史”. ライオン株式会社. 2021年1月22日閲覧。
- ^ “ライオン本社跡に4.7万㎡共住/スーパー堤防と一体デッキも/京浜急行電鉄”. 建設通信新聞. (2023年11月24日). オリジナルの2023年12月4日時点におけるアーカイブ。 2024年5月26日閲覧。
外部リンク
[編集]- 蔵前JPテラス - 日本郵政不動産
- 蔵前JPテラス - JPビルマネジメント
- ブランシエール蔵前 - 長谷工シニアウェルデザイン
- JP noie 蔵前 - 三井不動産レジデンシャルリース
- 蔵前JPテラスファーム - まちなか菜園(東邦レオ)
- くらまえ橋郵便局 - 日本郵政
- にほんばし蔵前郵便局 - 日本郵政