記録技術の年表
記録技術の年表 (きろくぎじゅつのねんぴょう) とは、記録技術の歴史に関する年表である。ここでは主要な項目を挙げ、近年の磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリーカードなど各分野の詳細年表については各項目に譲る。
主要年表
[編集]紀元前
[編集]- 紀元前3000年以前 - 文字の発明。
- 文字を記録するための記録媒体。初期の記録媒体として長い間使用された。粘土板は重量がかさみ、パピルスは乾燥地域でしか使えない欠点があった。
- 紀元前2000年-紀元前1500年頃 - ワディ・エル・ホル文字と原シナイ文字の出現。
- 今日のほとんどすべての音素文字の祖であると考えられている。
- 各地で文字や文字を記録するための媒体が現れる。
- 記録媒体としては、中国の木簡・竹簡や、ヨーロッパで長い間使用された羊皮紙(パーチメント)などいろいろな素材があった。
- 紀元前300年頃 - 古代エジプトでアレクサンドリア図書館が造営される。
- 紀元前221年 - 漢字の統一
- 秦が中国統一を成し遂げた。この際に文字の統一が行われ、小篆が正式に統一書体として採用された。
紀元後
[編集]- これ以前にも紙は存在したが、文字の記録には向かないものだった。蔡倫は現在の紙のルーツとなるすき紙の製法を確立した。紙に文字を記録することが実用的に行えるようになり、以後、文字記録用の紙が普及しはじめた。
- 8世紀 - 製紙法が中国からイスラム世界に伝播。
- 日本の百万塔陀羅尼 (8世紀後半) など。
- グーテンベルクが金属活字を用いた活版印刷術を確立した。活版印刷術はルネサンスの3大発明の1つに挙げられる。また、アルドゥス・マヌティウスは商業印刷の父とされる。
- ヨーロッパでは16世紀に黒鉛鉛筆に関する記録が現れ、17世紀にはイギリスで量産されるようになった。
- 1700年頃 - ゴットフリート・ライプニッツが二進法を確立。
- 現代のデジタル記録技術の基本原理となっている。
- 1770年 - イギリスのジョゼフ・プリーストリーがゴムの消字性を発見。消しゴムが生まれる。
19世紀
[編集]- ジャカード織機の制御用に開発され、織機の制御や書類の処理に用いられた。パンチカードはコンピュータとも縁が深く、黎明時代にプログラムを記録する媒体として使用され、磁気テープやフロッピーディスクが普及しはじめる1970年代頃まで使われた。
- ニセフォール・ニエプスがカメラ・オブスクラの画像を固定するヘリオグラフィを開発。露光時間が8時間以上もかかり、実用的ではなかった。
- 世界初の実用的な写真技術。銀メッキした銅板上に定着させるもので複製が不可能であったが、肖像写真用に好まれ普及した。
- ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが発明。紙上に定着させる、初の複製可能な写真技術。
- リチャード・マーチ・ホーによって最初の輪転機が作られた。1時間に2万部の印刷能力があり、大量の新聞印刷が可能になった。
- 従来の写真乾板を置き換え、写真撮影が大衆化した。
- 鋳植機の一種。新聞などの印刷版型を自動的に作成する。1人の職人がひとつの版を高速に組上げることを可能にし、印刷技術の革命となった。
- 「ガリ版」の名で知られ、PPC複写機が普及する1980年代まで広く使われた。
20世紀
[編集]20世紀前半
[編集]- ライカ社から発売された、手軽な携帯カメラ。
- ワーナー・ブラザースが開発したヴァイタフォンシステム。
- 家庭用の手軽な映像記録媒体。VTRが普及するまで、教育現場や産業用としても広く利用された。
- 3色乳剤を採用した最初の近代的なカラーフィルム。
20世紀後半
[編集]- 磁気ディスクによるデジタルデータの記録。コンピュータのデータ保存とシステムソフトウェアの格納用に用いられている。最初のハードディスクは自動販売機よりも大きなサイズだった。その後、小型化と高密度化が進み、現在の姿となった。
- フランスのSAIPというメーカーで開発された。日本では1959年から朝日ソノラマから発売された。
- 磁気テープによるアナログ音声信号の書き換え可能な記録媒体。コンパクトカセットは規格が公開されたことで世界中に広まり、家庭向けの身近な音声記録媒体となった。
- ラテン文字・数字・制御文字・英文でよく使われる記号を定めた7ビット文字コード。コンピュータその他のデジタル通信機器で標準的な文字コードとなり、後に作られた文字コードはASCIIの拡張として設計されている。
- 1969年 - エドガー・F・コッドが関係データベース管理システムを提唱。
- 1970年代以降、コンピュータの主記憶装置として用いられている。
- 1976年 - 米シュガートアソシエイツが5.25インチのフロッピーディスクを開発。
- コンピュータの磁気ディスクメディアとして広く普及した。
- 1970年代後半 - 日本でビデオテープレコーダの普及がはじまる。
- ゼロックス社のパロアルト研究所に所属していたニック・シェリドンが開発。
- 1982年 - コンパクトディスク (CD)の登場。(ソニー、フィリップス)
- 音声などをデジタル記録する光ディスク。
- 半導体メモリによるデジタルデータの書き換え可能な記録。データを保持するための電源を必要としない不揮発性メモリのひとつ。当初はマスクROMの置き換えとして多くの機器に搭載され、1990年代には小容量のデータ保存メディアとして普及しはじめた。2000年代には大容量化と低価格化が進み、非常に広い分野で使われている。2006年頃からはSSDなどハードディスクドライブの置き換え用としても使われはじめた。
- Aldus PageMakerを搭載したMacintosh、PostScriptフォントを搭載したプリンタの登場によりパーソナルコンピュータ上での組版と校正が可能に。出版の迅速化とコストダウンが進む。
- 1988年 - Moving Picture Experts Groupの最初の会合。
- 1989年 - World Wide Webの登場。
- Internet ProtocolとHTMLという2つの技術を基盤とする、世界規模のハイパーテキストシステム。1990年代に入ってから爆発的に普及し,世界的なコンピュータネットワークによるデータの交換と蓄積がはじまった。
- 世界で使われる全ての文字を同一コードで表現できる文字集合。初期は16ビット、後に21ビットで定義し直された。
- 1993年 - Digital BETACAMの登場。(ソニー)
- デジタルVTR規格として最も普及した。このころより映像製作のデジタル化が進み、映画界もデジタルシネマの時代になっていく。
- 第2世代のデジタル光ディスク。CDとの互換性を持ちながら容量ははるかに大きく、長時間映像の記録ができるようになった。
- 手軽なデータ保存・交換用メディアとして普及する。
21世紀
[編集]- 2003年 - Blu-ray Discの登場。
- 第3世代のデジタル光ディスク。高精細度映像の記録が可能になった。
- 2005年 - 垂直磁気記録方式を採用したハードディスクドライブが登場。
- 一時鈍化した磁気ディスクの大容量化が再加速した。2007年には容量1TBのハードディスクドライブが登場している。
- 様々な環境で同一レイアウトの電子文書を再現する。紙の文書の電子文書への置き換えに広く使われている。