貝層
貝層(かいそう)とは、地中に貝類が堆積して貝殻による層をなしたもの。過去人類の活動によって形成された「人為貝層」(いわゆる「貝塚」)と、太古の海に生息していた貝類の死骸が海底に堆積して形成された「自然貝層」がある[1]。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f8/8%2C000_years_ago_shell_midden_of_2-H-North_part_of_Higashimyo_Site.jpg/250px-8%2C000_years_ago_shell_midden_of_2-H-North_part_of_Higashimyo_Site.jpg)
人為貝層[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/76/%E8%B2%9D%E5%A1%9A%E6%96%AD%E9%9D%A2%E3%81%AE%E5%89%A5%E3%81%8E%E5%8F%96%E3%82%8A%E5%B1%95%E7%A4%BA.jpg/250px-%E8%B2%9D%E5%A1%9A%E6%96%AD%E9%9D%A2%E3%81%AE%E5%89%A5%E3%81%8E%E5%8F%96%E3%82%8A%E5%B1%95%E7%A4%BA.jpg)
過去人類が食用等の目的で採取し、集落内外の捨て場に遺棄したもので、「貝塚」とよばれる遺跡を構成する。主に考古学の研究対象となる。人為貝層は、遺跡を構成する土層の一種であり、かつそれ自体が遺構でもある。ハイガイやハマグリ、アサリ、ヤマトシジミ、マガキ、アワビ、サザエなど様々な食用貝類からなり、太古の人類(縄文時代人や弥生時代人など)の食生活や環境を知るための重要な考古資料となる。
考古学では貝類の密度に応じて以下のように分類されている[1]。
- 純貝層(じゅんかいそう):ほぼ貝殻のみで形成される層。
- 混土貝層(こんどかいそう):土より貝殻の割合が多い層。
- 混貝土層(こんかいどそう):貝殻より土の割合が多い層。
人為貝層の例[編集]
自然貝層[編集]
太古の海に生息していた貝類が死んだ後、海底土砂と共に地層化したもので、多くは化石と化している。 主に地質学・古生物学の研究対象となる。隆起により陸地化した場合、地層の露頭などで観察され、古環境復元の研究などで活用される。国や地方自治体によって天然記念物に指定されているものもある。
自然貝層の例[編集]
- 木下貝層(きおろしかいそう):千葉県印西市木下。国の天然記念物[2]。
- 亜深海性貝類の産状を示す野島層の露頭(あしんかいせいかいるいのさんじょうをしめすのじまそうのろとう): 神奈川県横浜市金沢区大道1丁目。横浜市指定天然記念物[3]。
- 平床貝層(ひらとこかいそう):石川県珠洲市正院町。石川県指定天然記念物[4]。
- 吉田貝化石層(よしだかいかせきそう):鹿児島県鹿児島市西佐多町。鹿児島県指定天然記念物[5]。
- 南種子町河内の貝化石層(みなみたねちょうかわちのかいかせきそう):鹿児島県熊毛郡南種子町中之上。鹿児島県指定天然記念物[6]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 金子浩昌「貝層」『新日本考古学小辞典』(江坂輝彌・芹沢長介・坂詰秀一編)ニュー・サイエンス社 2005年 pp.70 NAID BA72195827