青葉繁れる
『青葉繁れる』(あおばしげれる)は、井上ひさしの小説である。
概要
[編集]江戸時代に仙台藩の一円知行かつ地方知行の本拠だった仙台城(青葉城)の城下町を基礎に、明治以降は東北地方の拠点として発展した宮城県仙台市において、「日本一の名門校・日比谷高校」から「東北一の名門校・仙台一高[※ 1]」に転校してきた渡部俊介(わたべ しゅんすけ)が、仙台一高の落ちこぼれ4人組と巻き起こす明朗青春劇として描かれている。
この作品の原作は、井上ひさしの仙台一高在学時代(1950年 - 1953年)の経験をもとにしている[1]が、戦後占領期(1945年 - 1952年)に一部重なり、当時の仙台には進駐軍が多く駐屯していた(仙台朝市#沿革参照)。
同校で同じ新聞部の一学年上の菅原文太らのエピソードが取り入れられており、同校に隣接する宮城県第二女子高校(現・宮城県仙台二華高校)で井上と同学年だった若尾文子がヒロイン・若山ひろ子のモデルとされる[2][3]。
1973年(昭和48年)に文藝春秋にて単行本化[4]、1974年(昭和49年)にて文庫本化[4]、2008年(平成20年)にて文庫本の新装版[4]となった。
1974年(昭和49年)4月5日から5月31日までTBSにテレビドラマ化され、同年9月21日に岡本喜八監督によって映画化された[5]。映画の製作は東宝映画、配給は東宝、カラーで上映時間は87分[5]。映画は仙台一高でも一部が撮影された。撮影日は一高・二高野球定期戦であり、校内に生徒は殆どいなかったが、草刈正雄を目当ての女子高生が多数詰め掛けた。
テレビドラマ
[編集]放送時間
[編集]- 金曜日 20:00~20:55 (全9話)
スタッフ
[編集]キャスト
[編集]- 田島稔:森田健作
- 渡部俊介:沖雅也
- ジャナリ:野村真樹
- ユッヘ:三ツ木清隆
- デコ:赤塚真人
- 若山ひろ子:竹下景子
- 芸者・多香子(俊介の姉):香山美子
- 秀一(稔の家庭教師):原田大二郎
- 和田光子(秀一の同棲相手):今出川西紀
- 軽石先生:津坂匡章
- チョロ松校長:藤岡琢也
- とみ(稔の母):左幸子
- 佐藤佑介
- 桑山正一
映画
[編集]スタッフ
[編集]- 製作:田中収
- 製作補:針生宏
- 監督:岡本喜八
- 原作:井上ひさし
- 脚本:小林俊一、岡本喜八
- 撮影:木村大作
- 美術:阿久根巌
- 録音:渡会伸
- 照明:佐藤幸次郎
- 編集:黒岩義民
- 助監督:今村一平
- 製作担当者:森知貴秀
- 音楽:佐藤勝
キャスト
[編集]- 田島稔:丹波義隆
- デコ:伊藤敏孝
- ジャナリ:粕谷正治
- 俊介:草刈正雄
- ひろ子:秋吉久美子
- 稔の父:名古屋章
- 多香子:十朱幸代
- ハツ子:鶴間エリ
- チョロ松校長:ハナ肇
- 軽石担任:草野大悟
- 斉藤先生:辻伊万里
- 松子:丘ゆり子
- チョロ松の妻:岩崎智江
- 教育委員:岸田森
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 原作や映画では"宮城一高"として描かれている。
出典
[編集]- ^ スクリーンに描かれた街 仙台 - せんだいメディアテーク
- ^ 佐藤忠男 (2011年1月4日). “スクリーンに風格を添える宮城出身の映画人たち 月形龍之介に始まり、菅原文太、鈴木京香、宮藤官九郎まで”. WEDGE Infinity. 2020年7月28日閲覧。
- ^ 西館好子. “元夫「井上ひさし」 名作の「ネタ元」だった菅原文太さん――盟友・戦友・旧友が語った素顔の「菅原文太」 『週刊新潮』2014年12月11日号”. 矢来町ぐるり. 新潮社. 2014年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月28日閲覧。
- ^ a b c “映画「青葉繁れる」観てきました”. 新・東雲(しののめ) (2010年6月6日). 2020年7月28日閲覧。
- ^ a b 映連データベース「青葉繁れる」(一般社団法人 日本映画製作者連盟)
参考文献
[編集]- テレビドラマデータベース(青葉繁れる)
- 沖雅也よ 永遠に(青葉繁れる) - ウェイバックマシン(2009年8月29日アーカイブ分)
- 福島民報