ハインツ・ホリガー

ウィキペディアから無料の百科事典

ハインツ・ホリガー
Heinz Holliger
基本情報
生誕 (1939-05-21) 1939年5月21日(85歳)
スイスの旗 スイス、ランゲンタール
職業 オーボエ奏者、指揮者、
作曲家
担当楽器 オーボエ

ハインツ・ホリガー(Heinz Holliger, 1939年5月21日 - )は、スイスオーボエ奏者、指揮者作曲家[1]

人物・来歴

[編集]

スイス・ランゲンタール出身。ベルン音楽院とバーゼル音楽院で音楽教育を受ける。ヴェレシュ・シャーンドルと、ピエール・ブーレーズに作曲を師事。オーボエはスイスでエミール・カッサノウ、パリ音楽院ピエール・ピエルロ、ピアノをイヴォンヌ・ルフェビュールに師事。

オーボエ奏者としての卓越した演奏・楽曲解釈とともに、作曲家としても著名[2]であり、また指揮者としても活動しており、ポーランドなど東欧の現代作曲家の作品などを積極的に紹介してきた。教育者としては、1966年からドイツフライブルク音楽大学[注釈 1]で教鞭を執っていた[3]

家族・親族

[編集]

演奏

[編集]

オーボエのソリストとしては、1959年ジュネーヴ国際音楽コンクール1961年ミュンヘン国際音楽コンクールで首位を獲得。国際的に名声ある演奏家であり、献呈されたオーボエ作品も数多い。

演奏家としてのレパートリーは広く、バロック音楽から現代音楽にまで多岐にわたる。ホリガー木管アンサンブルを主宰し、イ・ムジチと共にヴィヴァルディオーボエ協奏曲の全曲録音を行うなど、主にバロック音楽の録音を行った。また、ヨーロッパ室内管弦楽団を指揮してシェーンベルク作品集の録音も残している。妻ウルズラ(故人)は著名なハープ奏者で、古楽器を用いたバロック音楽から、モダン・ハープによる近現代の音楽まで、広いレパートリーを持っていた。2017年には、東京オペラシティの同時代音楽企画「コンポージアム2017」に招かれ、自作超大作「スカルダネッリ・ツィクルス」が取り上げられた。

2023年には自作を含むプログラムで東京、横浜、京都でオーボエのリサイタルを行い、大阪フィルハーモニー交響楽団名古屋フィルハーモニー交響楽団札幌交響楽団水戸室内管弦楽団でタクトをとるなど、高齢でも精力的な活動を見せている。

指揮者としては、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団クリーヴランド管弦楽団ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団バイエルン放送交響楽団などを指揮している。

作品

[編集]

初期の作品はブーレーズからの直接の影響を受けており、『魔法の踊り手』(1963 - 1965)や『七つの歌』(1966 - 1967)のような作品は、典型的に60年代の現代音楽の前衛イディオムを取り入れた秀作であった。しかし、ホリガーは前衛イディオムの限界を早期に見極め、オーボエソロのための重音練習曲 (1971)や弦楽四重奏曲(1973)などでは、ホリガーの関心は奏者の呼吸や非日常的な触感の追求に移っていく。管弦楽のための『呼吸の弓/Atembogen』(1974 - 1975)でその成果は頂点に達し、やがてベケットヘルダーリンのテクストの音楽化もライフワークとなっていく。

長い年月をかけて書かれた『スカルダネッリ・ツィクルス(ヘルダーリンの詩による、ソロ・フルートと小管弦楽、混声合唱とテープのための)』(1975 - 1991)は、ホリガーの音楽美学の集大成といわれた。2種の全曲録音が残されている。

他に大規模な作品としては、チューリッヒ歌劇場で自分で指揮を取ったオペラ『白雪姫』(1998)などが挙げられ、ヨーロッパのテレビで何度も放送されている。

1999年には、シフ・アンドラーシュのために『パルティータ』を作曲。ホリガーにとって久々のピアノ独奏作品と言うことで話題になった。種々の様式混合とともに、ピアノのキーを半分だけ下げるなどの「虚ろな音色」の使用も特徴的である。

日本では当初から「ブーレーズ門下」の一面だけが強調されていたが、2015年の来日時のレクチャーでは、音楽の本質を学んだのはヴェレシュからだったと強調し、その作品を演奏(オーボエ、指揮ともに)した。

同年、サントリーホール国際作曲委嘱シリーズにより「デンマーリヒト―薄明 ソプラノと大管弦楽のための5つの俳句」を世界初演した。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ フルート奏者のオーレル・ニコレも同時期に教授を務めている。

出典

[編集]
  1. ^ heinz holliger”. www.ecmrecords.com. ecm. 2020年2月9日閲覧。
  2. ^ ハインツ・ホリガー”. www.nagoya-phil.or.jp. 名フィル. 2020年2月9日閲覧。
  3. ^ PROF. LUCAS MACIAS NAVARRO”. www.mh-freiburg.de. mh-freiburg.de. 2020年2月9日閲覧。

外部リンク

[編集]