ブーイング

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ブーイングbooing)とは、観客が出演者や選手などに対して不満や怒り、非難を表すために行われる行為である。日本語の「野次(やじ)」もこれに近いが、こちらはむしろ言葉をもって行われる。

概要[編集]

普通、舞台グラウンドにいる出演者や選手などに向って「ブー」などと唸ることを指す。また、現在では、周りから一斉に非難を浴びることを「ブーイングを浴びる」、「ブーイングの嵐を浴びる」と言うことがある。テレビ放送バラエティ番組では観客が「えー」と言い不満感を表すことさえも「ブーイング」とされることも多い。ブーイングとは逆に、賞賛を表す行為は、立ち上がって拍手をする、スタンディングオベーションである。

ブーイング、スタンディングオベーションのいずれも欧米圏での風習だが、近年では日本でも普通に見られるようになっている。

いわゆる「帰れコール」もブーイングの一種で、出演者や選手が舞台やグラウンドにいること(あるいはイベントや大会等に参加していること)自体を毛嫌いし、舞台やグラウンドからの退場を求める意味で行われることもある。

オペラにおけるブーイング[編集]

特にカーテンコールの際に、個別に登場してくる歌手指揮者演出家に対して行われることが多い。アリアなどの直後に行われることもある。余程ひどい演奏をしない限りは歌手や指揮者がブーイングを受けることはあまりないが、保守的な観客が多いと、特に演出が斬新な場合に、演出家がブーイングを受けることがよくある。あまりのブーイングに、上演が中止になったり、公演が打ち切りになったりした例もある。日本ではブーイングはあまり見られない。 悪役の俳優に対して賞賛の意味でブーイングをすることもある。

スポーツにおけるブーイング[編集]

選手審判[1]プレーに対して行われる[2]。「ブー」と唸るだけでなく、指笛を鳴らしたり(アメリカでは賞賛だがヨーロッパでは野次に相当)[3]、手の親指を立てて逆さまにすることもある(サムズアップに対するサムズダウン)。サッカー野球などではよく見られるが、肯定派と否定派で善悪の意見が分かれている[4]。また、一部のサッカーや野球のファンサイトでは、相手に威圧感を与える行為として、肯定・紹介しているところもある。アメリカンフットボールではクラウドノイズと呼ばれ[5]、ひどすぎる場合罰則が適用されることもある。

サッカーの試合では、世界中のほぼ全てのチームにおいてサポーターの一部がブーイング行為をしているのが見受けられ、日本においてもJリーグ発足の1990年代から行われるようになった[6]

日本のプロ野球においては、主に牽制球が投げられた際に起こり[7][8]、守備側のファンが拍手で掻き消すというシーンも見受けられる。[9]

プロレスにおいては、悪役(ヒールもしくはルード)に対してブーイングを送ることがヒールに対する賛辞となっており、プロレス特有の特殊事例と言える[10][11]。ただし、ベビーフェイス(善玉)へのブーイングは通常のブーイングと同じ意味である[12]。また、単につまらない試合には“boring”(つまらない、退屈)チャントが発生する場合がある[13]

大相撲では、横綱平幕力士に敗退した際に観客席で“座布団の舞”が起きるが、これは金星力士への賞賛とも横綱へのブーイングともとれる。

ブーイングの対象としては、選手・チームのプレーや試合経過等への不満、相手選手やサポーターに対する威圧、審判のプレーに対する判断に対しての不服などがある[14]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ ブーイングへのリスペクトが大谷翔平の流儀だ”. news.jsports.co.jp. 2024年6月26日閲覧。
  2. ^ 大谷翔平、ヘルメット飛ばし大絶叫 元同僚から顔面スレスレ…ブーイングも塁上で笑顔”. Full-Count(フルカウント) ― 野球ニュース・速報・コラム ― (2024年3月26日). 2024年6月26日閲覧。
  3. ^ “らしくないドイツ”にサポーターが怒りの指笛…「公平に見ても日本代表の方が魅力的」カメラマンが敵地で目にした“ドイツ国民の心が折れた瞬間”(原壮史)”. Number Web - ナンバー. 2024年6月26日閲覧。
  4. ^ J1神戸・三木谷会長のブーイング廃止案にネット大紛糾「サポの分断を生む」”. 東スポWEB (2024年3月19日). 2024年6月26日閲覧。
  5. ^ 12人目の選手になろう~クラウドノイズの重要性~ | ニュース | ニュース | パナソニック インパルス | Panasonic”. panasonic.co.jp. 2024年6月26日閲覧。
  6. ^ 【三浦泰年の情熱地泰】ブーイングは結果論。恐れることなくチームのため、仲間のため、自分のために走れ! | サッカーダイジェストWeb”. www.soccerdigestweb.com. 2024年6月26日閲覧。
  7. ^ 甲子園がブーイング合戦に 阪神・加治屋のけん制球が発端 異様な雰囲気に - スポニチ Sponichi Annex 野球”. スポニチ Sponichi Annex. 2024年6月26日閲覧。
  8. ^ 侍ジャパン 日本ファンの「牽制ブーイング」が物議 否定派の声続々「酷すぎる」「初回からやるのは」「海外では当たり前」/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2024年6月26日). 2024年6月26日閲覧。
  9. ^ 阪神・大竹の一塁けん制球に巨人ファンがブーイング 阪神ファンは拍手で応戦/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2024年6月26日). 2024年6月26日閲覧。
  10. ^ プロレスのブーイングにも「大人のマナー」がある。”. WANI BOOKS NewsCrunch(ニュースクランチ). 2024年6月26日閲覧。
  11. ^ 千葉修宏. “【AEW】オカダ・カズチカ、コンチネンタル王座初防衛「ブーイングありがとう」すっかりヒール - プロレス : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年6月26日閲覧。
  12. ^ プロレスラー内藤哲也「カラ回りの人」から「人気沸騰」に至ったワケ「リスクを考えなくなった瞬間、流れが変わった」”. GetNavi web ゲットナビ. 2024年6月26日閲覧。
  13. ^ Danny Hart. “5 Times WWE Superstars received 'boring' chants”. Sportskeeda. 2024年6月26日閲覧。
  14. ^ 中野椋. “【阪神】岡田監督、審判団と握手せず不敵な笑み ファンはDeNA京田と敷田審判にブーイング - プロ野球 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年6月26日閲覧。

関連項目[編集]