アキバ系
アキバ系(アキバけい)、秋葉系(あきばけい)とは、主に東京・秋葉原(通称・アキバ)や大阪・日本橋(にっぽんばし)などの繁華街に象徴される、いわゆる「おたく」文化やそこに集う人々のファッション的傾向、ないし行動スタイルを指す俗語である。
1990年代後半に男性ファッション誌「Men's egg」でオタクっぽい雰囲気を意識したファッションを「秋葉系」とした記述は見られるが、一般に広く定着したのはサブカルチャーが浸透した2000年代後半に入ってからである。2010年代に趣味の1つとして広く理解されたため、秋葉系という言葉を使う機会も減っている。
概要
[編集]いわゆるオタクあるいはマニアの中でも、秋葉原を情報拠点として発展したテクノ・サブカルチャーや、近年のオタク文化を趣味として、更には傾倒する向きを指している。また、2005年の『電車男』のドラマ化などメディアによってそのイメージは誇張され、当人がオタク的指向を持ち合わせていなくても、ひとつのファッションスタイルとしてこのように呼ぶこともある。
ファッション
[編集]「秋葉系」という言葉は1999年に創刊された男性向け渋谷系ファッション誌『Men's egg』で生まれたとされる[1]。秋葉原がおたく文化の象徴であることから、おたく系のファッションを「アキバ系ファッション」と呼んだ[2]。服はブランド物では無い安いもので、親に買い与えられたものを基本とした[2]。
音楽
[編集]オタク向けとされていたアニメソングやゲームミュージックなどをアキバ系と呼称していた[3][4][5]。
タレント
[編集]2007年の第58回NHK紅白歌合戦では中川翔子、リア・ディゾン、AKB48の初出場が決まり「アキバ枠」として話題となった[7][8]。なお中川は後年、自身はアキバ系ではなく「中野系」であると述べている[9]。
関連用語
[編集]ポンバシ系
[編集]アキバ系に対抗する形で大阪日本橋のオタク文化を「ポンバシ系」として打ち出し、2007年4月にラジオ大阪で番組「妄想ポンバシ系」が開始される[10]。翌年4月に「もえもえポンバシ系」にリニューアルされ[11]、2010年5月まで放送された[12]。
アキシブ系
[編集]アキバ系の音楽を1990年代に流行した渋谷系ミュージックで捉え直した音楽を「アキシブ系」と呼称した[13][14]。
脚注
[編集]- ^ “渋谷系ギャル男雑誌「メンズエッグ」創刊から14年で休刊”. FASHIONSNAP (2013年10月8日). 2023年5月14日閲覧。
- ^ a b “アキバ系ファッション”. imidas (2016年). 2023年5月13日閲覧。
- ^ “秋葉原系と渋谷系の融合!? 今、噂の“アキシブ系”を分析!”. CD Journal (2007年9月19日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ 小野田衛 (2020年8月12日). “アキバ系カルチャーとのクロスオーバー(前編) もふくちゃん、古川未鈴、成瀬瑛美、ヒャダインらの証言で紐解く2次元と3次元の邂逅”. 音楽ナタリー. 2023年5月23日閲覧。
- ^ 小野田衛 (2020年8月22日). “アキバ系カルチャーとのクロスオーバー(後編) でんぱ組.incはいかにして時代に求められる存在になったのか”. 音楽ナタリー. 2023年5月23日閲覧。
- ^ 前田久 (2022年12月29日). “小学生の頃から30年間通い詰める“元祖アキバ系の女王”桃井はるこさんが気づいた、秋葉原の居心地がいい理由「昔も今も、圧倒的にひとり率が高い。みんな一心不乱に…」”. 文春オンライン. 2023年5月13日閲覧。
- ^ “紅白曲順が決定 注目の“アキバ枠”は米米CLUBと激突!”. ORICON NEWS (2007年12月27日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ “紅白にアキバ枠しょこたんら出場”. 日刊スポーツ (2007年11月25日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ “中川翔子、デビュー当時の“アキバ系”を否定 自身は“中野系”と告白「派閥が違う」”. ENCOUNT (2023年5月9日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ 格清政典 (2019年5月18日). “平成関西サブカル史(2)「アキバ系」に対抗(平成19年4月)”. 産経新聞. 2023年5月22日閲覧。
- ^ 格清政典 (2019年6月21日). “平成関西サブカル史(3)「メイドビアホール」盛況(平成20年8月)”. 産経新聞. 2023年5月22日閲覧。
- ^ 格清政典 (2020年3月27日). “平成関西サブカル史(12)突然の転勤…ネット番組はどうする?(平成26年5月)”. 産経新聞. 2023年5月22日閲覧。
- ^ 「アキシブ系」『『知恵蔵mini』朝日新聞出版』 。コトバンクより2023年5月23日閲覧。
- ^ “秋葉原系と渋谷系の融合!? 今、噂の“アキシブ系”を分析!”. CD Journal (2007年9月19日). 2023年5月23日閲覧。
関連文献
[編集]- 『アキバ系電脳街の歩き方』 アスペクト、2004年、ISBN 4757210620
- 『アキバ系アイドルあるある』 白夜書房、2012年、ISBN 978-4861919503
- 『秋葉系DJガイド』 リットーミュージック、2013年、ISBN 978-4845623174