ラ・マル・ド・ボァ
ラ・マル・ド・ボァ(La Malle de Bois)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が保有する鉄道車両の愛称である。本項ではこの車両を使用した観光列車についても記述する。
概要
[編集]2016年に開催された「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」および「瀬戸内国際芸術祭2016」に合わせて導入された[1]。デザイン監修は瀬戸内国際芸術祭総合ディレクターの北川フラムが務めており、旅行鞄をイメージした外装や、ネームタグがモチーフのロゴマークなど、随所に「旅」をテーマとした意匠があしらわれている[1]。藤間仁作曲、上松美香演奏のオリジナルの車内BGMも制作され、車内で放送される[2]。
運行開始当初は岡山駅 - 宇野駅間の「ラ・マル せとうち」のみ運行されていたが、その後岡山県外の広島県や香川県まで乗り入れる列車も登場し、2021年現在は4系統が運行されている。
なお、車両の愛称である"La Malle de Bois"はフランス語で「木製の旅行鞄」という意味である[1]。
使用車両
[編集]下関総合車両所岡山電車支所所属の213系電車LA1編成が使用されている[3]。種車はC04編成からサハ213-4を抜いたクハ212-4とクモハ213-4の2両で、観光列車化に伴いクロ212-7004、クモロ213-7004と改番された。編成定員は全席グリーン指定席で52名となった[4]。
座席は2人掛け回転リクライニングシートと窓向きのカウンター席で構成されており、1号車と2号車で左右が逆になっている。2号車には車内販売カウンターがあり、飲食物やグッズを販売している[4]。
各車両の運転台後方には4台分のサイクルスペースが設けられており、「ラ・マル せとうち」もしくは「ラ・マル しまなみ」(上りのみ)で利用できる。利用の場合、本列車のグリーン券を所持する旅客が利用券(無料)を駅窓口で購入する必要がある[4]。
- サイクルスペース
- リクライニングシート
- カウンター席
列車別概説
[編集]ラ・マル せとうち
[編集]ラ・マル せとうち | |
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ラ・マル せとうち(2016年4月) | |
概要 | |
種類 | 快速列車 |
地域 | 岡山県 |
運行開始 | 2016年4月9日[5] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 岡山駅 |
終点 | 宇野駅 |
営業距離 | 32.8 km(岡山 - 宇野間) |
使用路線 | 宇野線 |
車内サービス | |
車運車 | サイクルスペース利用可能 |
最初に運行開始した系統で、ヘッドマークは碇がモチーフとなっている。宇野駅が瀬戸内国際芸術祭のアート作品となったことから、宇野線が最初の運行路線に選定された。サイクルスペースが使用できる列車である[4]。
2016年(平成28年)の6月から9月まで実施された「せとうちキャンペーン」以降は、瀬戸大橋を渡って高松駅まで乗り入れる列車も運行された[6]。このタイプは2017年(平成29年)に後述の「ことひら」が登場するまで設定されていた。
ラ・マル しまなみ
[編集]ラ・マル しまなみ | |
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概要 | |
種類 | 快速列車 |
地域 | 岡山県・広島県 |
運行開始 | 2016年10月1日[3] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 岡山駅 |
終点 | 尾道駅・三原駅 |
営業距離 | 78.4 km(岡山 - 尾道間) |
使用路線 | 山陽本線 |
車内サービス | |
車運車 | サイクルスペース利用可能 (上りのみ) |
2番目に運行を開始した系統で、ヘッドマークは瀬戸内海の波とそこに架かる橋(しまなみ海道)がモチーフとなっている。下り列車の岡山駅 - 尾道駅間乗車に限りサイクルスペースが使用できる[8]。列車の運行に合わせ、尾道駅発のガイドツアーも実施されている。
2021年(令和3年)10月から11月以降は三原駅まで延長運転が行われており、JR西日本の観光クルーザー「シースピカ」と接続する[9]。
ラ・マル ことひら
[編集]ラ・マル ことひら | |
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ラ・マル ことひら(2020年8月) | |
概要 | |
種類 | 快速列車 |
地域 | 岡山県・香川県 |
運行開始 | 2017年4月2日[13] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) 四国旅客鉄道(JR四国) |
路線 | |
起点 | 岡山駅 |
終点 | 琴平駅 |
営業距離 | 73.2 km(岡山 - 琴平間) |
使用路線 | JR西日本:宇野線・本四備讃線 JR四国:本四備讃線・予讃線・土讃線 |
3番目に運行開始した系統で、ヘッドマークは帆船がモチーフとなっている。高松駅までの「せとうち」を琴平行きとして独立させたもので、定期的に運行されるものとしては初めてのJR四国乗り入れとなった[14]。
ラ・マル 備前長船
[編集]ラ・マル 備前長船 | |
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概要 | |
種類 | 快速列車 |
地域 | 岡山県 |
運行開始 | 2021年7月30日[15][8] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 岡山駅 |
終点 | 日生駅 |
営業距離 | 42.6 km(岡山 - 日生間) |
使用路線 | 山陽本線・赤穂線 |
4番目に運行開始した系統で、ヘッドマークは備前焼の炎がモチーフとなっている。
ラ・マル やまなみ
[編集]ラ・マル やまなみ | |
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概要 | |
種類 | 快速列車 |
地域 | 岡山県 |
運行開始 | 2024年11月2日(予定)[16][17] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 岡山駅 |
終点 | 新見駅 |
営業距離 | 80.3 km(岡山 - 新見間) |
使用路線 | 山陽本線・伯備線 |
岡山県と西日本旅客鉄道が2024年(令和6年)9月28日 - 11月24日にかけて開催する「森の芸術祭 晴れの国・岡山」へのアクセスを目的とし、2024年(令和6年)11月2日 - 11月24日にかけて運行される[16][17]。
脚注
[編集]- ^ a b c “旅行かばんがモチーフ 岡山の観光列車「La Malle de Bois」”. 乗りものニュース. (2015年12月18日) 2022年5月6日閲覧。
- ^ “BGMは藤間仁作曲 尾道へ向かう「ラ・マル・しまなみ」はアートな観光列車だ”. bunshun.jp. (2019年6月2日) 2022年5月6日閲覧。
- ^ a b 「快速“ラ・マル しまなみ”運転開始」『鉄道ファン(鉄道ニュース)』交友社、2016年10月2日。2022年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e “観光列車「ラ・マルせとうち」で行く瀬戸内国際芸術祭(その1)”. ニッポン放送ニュースオンライン. (2016年4月20日) 2022年5月6日閲覧。
- ^ 「“ラ・マル せとうち”の運転開始」『鉄道ファン(鉄道ニュース)』交友社、2016年4月10日。2022年5月6日閲覧。
- ^ 『観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」新たなステージへ! この夏、瀬戸大橋を渡り高松へ運行開始、瀬戸内海を周遊する旅を演出します。』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2016年5月30日 。2021年10月13日閲覧。
- ^ 『~観光列車La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ) 秋の運転計画~ しまなみ海道の玄関口・日本遺産に登録された「尾道」へ運転開始!!』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2016年8月30日 。2021年10月13日閲覧。
- ^ 「「ラ・マル しまなみ」10~11月に三原まで延長運転 広島行き観光クルーザーに接続」『乗りものニュース』メディア・ヴァーグ、2021年8月19日。2021年10月13日閲覧。
- ^ a b 『春の臨時列車の運転 2018年3月1日(木曜日)から2018年6月30日(土曜日)までの122日間』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2018年1月19日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ 『2023年【夏】の臨時列車の運転について【2023年7月1日(土)~ 2023年9月30日(土):92日間】』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2023年5月19日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ 『観光列車「La Malle de Bois」・「SAKU美SAKU楽」運転計画について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2023年12月21日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ 「“ラ・マルことひら”運転」『鉄道ファン(鉄道ニュース)』交友社、2017年4月3日。2021年10月13日閲覧。
- ^ 『平成29年度【春】の臨時列車の運転について【平成29年3月1日(水曜日)から6月30日(金曜日)までの122日間】』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2017年1月20日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ 『~新規ルート(赤穂線)運行開始~ 観光列車La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ) 2021年夏の運転計画について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2021年5月20日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ a b 『観光列車「La Malle de Bois」・「SAKU 美 SAKU 楽」 運転計画について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2024年5月27日 。2024年7月19日閲覧。
- ^ a b 『「森の芸術祭 晴れの国・岡山」期間中の列車アクセスを充実します!』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2024年5月27日 。2024年7月19日閲覧。
関連項目
[編集]- ベル・モンターニュ・エ・メール - 本列車と同じくフランス語由来の愛称を持つ観光列車
- BOSO BICYCLE BASE - 本列車と同じくサイクルスペースを備えたJR東日本の観光列車
- サイクルトレイン
外部リンク
[編集]- ラ・マル・ド・ボァ - 西日本旅客鉄道(JRおでかけネット)