胡旋舞
胡旋舞(こせんぶ)は、唐代頃に中国に伝わった、サマルカンド地方に住むソグド人の舞踊。唐で流行し、ソグド人ばかりでなく、多くの人々によって好まれた。安禄山や楊貴妃もこの舞踊の名手であったことで知られる。他に、ソグド地方から伝わった踊りとして、胡騰舞(ことうぶ)、柘技舞(しゃしぶ)などがある。
概要
[編集]開元年間初期に、ソグド人の諸国から、「胡旋」を舞う女性が唐に献上されてきたことを伝える文献が存在する。主に女性によって舞われた。西域から伝わった音楽の管弦や太鼓の音に従い、軽い布をつけ、急速な速度で旋回する踊りであったことが、当時の記録やこれを題材にした詩を根拠に確認できる。また、小さい絨毯の上で踊り、そこから一歩も足を離すことはなかったと伝えられる。
胡騰舞
[編集]タシケント地方辺りを発祥とすると伝えられる。絨毯の上で、高く飛び上がり舞う、アクロバットな踊りであった。「胡児」によって踊られたという記述があるため、女性ではなく、男性の踊りだった説もある。
柘技舞
[編集]タシケント地方辺りを発祥とすると伝えられる。色鮮やかな服装をし、胡帽(ソグド人風の帽子)をかぶった二人の童女によって、舞われた。蓮の花を演出につかった華やかな舞であり、帽子につけた鈴が踊りとともに音色を出し、音楽と調和したと伝えられる。
参考文献
[編集]- 石田幹之助「長安の春」(平凡社〈東洋文庫〉、1967年、ISBN 4582800912)
- 松浦友久、植木久行『長安洛陽物語』(集英社、1987年、ISBN 9784081620029)
- エドワード・H. シェーファー、吉田 真弓 (翻訳), 伊原 弘(監修)「サマルカンドの金の桃―唐代の異国文物の研究」(勉誠出版、2007年、ISBN 9784585020820 )
- 森安孝夫「シルクロードと唐帝国 (興亡の世界史05)」(講談社、2007年、ISBN 9784062807050 )