警視庁機動隊観閲式
警視庁機動隊観閲式(けいしちょうきどうたいかんえつしき)とは、警視庁が行う観閲式である。「警視庁年頭部隊出動訓練」についてもこの項にて取り扱う
概要
[編集]警視庁機動隊の前身である「警視庁予備隊」は1948年5月25日に創設され、それを記念し毎年5月25日付近の火曜日を目安(前後1週間程度ずれる場合がある)の午前7時から、明治神宮外苑・聖徳記念絵画館前で実施される。 観閲式は都民の理解と信頼を深め、隊員の士気高揚を図るため、とされている[1]。2020年度~2022年度は本来の約半年遅れの10月下旬から11月に実施されていた[2]が、2024年度は5月16日に実施された。
警視総監の訓示のほか、警視総監の前で警視庁第一機動隊から特科車両隊、女性警察官機動隊、総理大臣官邸警備隊など機動隊員が行進し、機動隊の特殊車両のパレードなどが行なわれる。実施規模としては2017年度開催分を例にすると、警視庁警備部の機動隊員約1900人と警備犬8頭、車両86台が行進した。来賓として、東京都幹部、警察庁幹部、陸上自衛隊第1師団幹部等が招待される。
分列行進(観閲行進)の徒歩部隊では陸上自衛隊同様に「分列行進曲」が使われる。警視庁以外では埼玉県警察・京都府警察・青森県警察等が使用している。なお、車両部隊の演奏曲は、警視庁によれば「ガロップ虹」という曲を使用している。
行事内容
[編集]- 分列行進
- 徒歩行進
- 車両行進
- 警視総監総評
- 「出動の歌」・「あゝ機動隊」・「この世を花にするために」斉唱ないし演奏
参加部隊・受閲部隊
[編集]以下に例として2024年(令和6年)度実施分について表記する。
かっこ囲みされた部分は部隊指揮官の役職および階級を示す。
徒歩行進
[編集]一般警備部隊
[編集]- 制服(夏服)部隊
- 第1機動隊(指揮官:隊長・警視正、副官:第2副隊長・警視)
- 第2機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第3機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第4機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 出動服部隊
- 第5機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第6機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第7機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第8機動隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 第9機動隊(指揮官:第1副隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 特科車両隊(指揮官:隊長・警視、副官:第2副隊長・警視)
- 女性警察官機動隊(出動服)(大隊指揮官:警備第2課・警部補)
- 女性警察官特別機動隊(活動服)(大隊指揮官:警視)
- 東京国際空港テロ対処部隊(制服(夏服))(指揮官:隊長・警視)
- 総理大臣官邸警備隊(制服(夏服))(指揮官:隊長・警視)
援助隊
[編集]特殊技能部隊
[編集]- 爆発物処理部隊(指揮官:第8機動隊第1副隊長・警視)
- 高所対策車/爆発物対策用防護服
- I型積載爆処理運搬車
- 爆発物処理筒車
- 化学防護部隊(指揮官:第3機動隊第1副隊長・警視)
- 高所対策車/密閉式化学防護服
- 除染車
- NBCテロ対策車
- 銃器対策部隊(指揮官:第6機動隊第1副隊長・警視)
- 第1挺隊
- 第2挺隊緊急時初動対応部隊(ERT:Emergency Response Team)
- 災害クレーン車(水上バイク搭載)
- 特型警備車
- 特殊救助隊(指揮官:特殊救助隊長・警視)
- 指揮官車
- 水陸両用車
- 機動救助部隊(指揮官:第1機動隊第1副隊長・警視)
- レスキューⅠ型車
- レスキューⅢ型車
- 水難救助部隊(指揮官:第2機動隊第1副隊長・警視)
- 災害クレーン車(ダイバー・水上バイク搭載)
- 水難救助車
- 災害対策部隊(指揮官:災害対策課管理官・警視)
- 災害用投光車
- 重機搬送車(多機能重機)
- 山岳救助レンジャー部隊(指揮官:第7機動隊副隊長・警視)
- 山岳救助車
警備犬部隊
[編集]- 警備犬部隊(指揮官:警備第2課管理官・警視)
車両行進
[編集]車両部隊
[編集]指揮官:第9機動隊長・警視(出動服・新型個人装備)
※車両には案内番号がつけられており、放送で数字と車両名が読み上げられる。
- 1番・ゲリラ対策車
- 2番・遊撃放水車
- 3番・放水警備車
- 4番・高圧放水車
- 5番・警備車兼輸送車
- 6番・災害用広報車
- 7番・災害用排水システム車
- 8番・災害用給水車
- 9番・多機能重機
- 10番・災害ショベル車
- 11番・クレーン付きダンプ
- 12番・災害用レッカー
- 13番・災害用給油車
- 14番・高性能救助車
- 15番・災害活動用クレーン車
- 16番・小型警備車
- 17番・エリア検問車
- 18番・投光車
- 19番・移動測定車
- 20番・トイレカー
- 21番・キッチンカー
- 22番・放射線防護車
多角的運用部隊
[編集]指揮官:特科車両隊第1副隊長・警視(制服(夏服))
- 機動隊自動二輪部隊(白バイ)
- 遊撃捜査二輪部隊
- 自動二輪情報収集班
- 遊撃捜査部隊(覆面パトカー)
- 遊撃警ら部隊(パトカー)
航空隊
[編集]指揮官:航空隊長(警視)
- はやぶさ3号(指揮官機)以下3機編隊
警視庁年頭部隊出動訓練
[編集]警視庁機動隊観閲式とは別に、「警視庁年頭部隊出動訓練」と呼ばれる、年頭行事(消防出初式のような性格をもつ行事)が別にある。観閲式同様に例年は明治神宮外苑・聖徳記念絵画館前で実施されるが、2017年(平成29年)度は江東区の夢の島で実施された。こちらは機動隊だけでなく交通機動隊、機動捜査隊、公安機動捜査隊などが参加し、機動隊観閲式より大人数で行われる。2020年(令和2年)は1月から延期され、「令和4年警視庁部隊出動訓練」として6月10日に実施され、夏服で実施された。なお、行進曲に抜刀隊は使用されず警視庁行進曲を演奏して行われる
参加部隊
[編集]例として、2018年実施分について表記する[3]。かっこ囲みされた部分は部隊指揮官の役職および階級を示す。特科車両隊の一部車両には案内番号がつけられており、放送で数字と車両名が読み上げられる。
徒歩部隊
[編集]- 機動隊
- 第1機動隊:制服(指揮官:隊長・警視正、副官:副隊長・警視)
- 第2機動隊:制服(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第3機動隊:制服(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第4機動隊:制服(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第5機動隊:出動服(新型個人装備)(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第6機動隊:出動服(新型個人装備)(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第7機動隊:出動服(新型個人装備)(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第8機動隊:出動服(新型個人装備)(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 第9機動隊:出動服(内着型個人装備(旧型個人装備))(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 特科車両隊:出動服(内着型個人装備(旧型個人装備))(指揮官:隊長・警視、副官:副隊長・警視)
- 銃器対策部隊:出動服(内着型個人装備(旧型個人装備))(指揮官:第6機動隊・警部)
- 東京国際空港テロ対処部隊(指揮官:隊長・警視)
- 特殊救助隊(指揮官:隊長・警視)
- 総理大臣官邸警備隊(指揮官:隊長・警視)
- 本部制服部隊(混成部隊 指揮官:交通執行課長・警視)
- 警察学校部隊(指揮官:初任教養部長・警視)
- 方面警察署部隊(混成部隊 指揮官:小平警察署長・警視)
- 女性警察官特別機動隊(制服(冬服))(混成部隊 指揮官:人事第一課管理官・警視)
- 鉄道警察隊(制服(冬服))(指揮官:隊長・警視)
- 機動警察通信隊(指揮官:機動通信第一課管理官・技官)
特科部隊
[編集]- 警察犬部隊(指揮官:鑑識課管理官・警視)
- 警視庁音楽隊カラーガード・警視庁鼓隊(ドラムメジャー:巡査部長)
- 騎馬隊(指揮官:第3方面交通機動隊・警部補)
車両部隊
[編集]- 交通機動部隊(指揮官:第1方面交通機動隊長・警視)
- 白バイ部隊
- 女性白バイ部隊"クイーンスターズ"
- 交通パトカー部隊
- 高速スポーツタイプ交通パトカー
- 暴走族対策車
- 交通情報提供車サインカー
- 自動車警ら部隊(指揮官:第1自動車警ら隊長・警視)
- 公安機動捜査部隊(指揮官:公安機動捜査隊長・警視)
- NBCテロ対策車
- 公安指揮官車
- 機動捜査部隊(第1機動捜査隊長・警視)
- 現場指揮官車
- 機動捜査車両
- 遊撃自動二輪車
- 警備車両部隊(特科車両隊副隊長・警視)
- 警護用車両
- 重防警備用車両
- 1番・エリア検問車
- 2番・移動騒音測定車
- 3番・遊撃車1型
- 治安警備用車両
- 4番・投光車
- 5番・高所対策車
- 6番・トイレカー
- 7番・特型遊撃車
- 8番・遊撃放水車 S-NBC用車両
- 9番・小型警備車
- 10番・爆発物処理筒車
- 11番・爆発物処理用具運搬車
- 12番・爆発物処理用具資材運搬車
- 13番・X線検査装置車
- 14番・除染車
- 15番・放射線防護車
- 災害用警備車両
- 16番・災害用広報車
- オフロード二輪部隊
- 17番・キッチンカー
- 18番・レスキュー資材車
- 19番・広域レスキュー車
- 20番・水難救助車
- 21番・災害用動力ショベル車
- 22番・災害用ショベル車
- 23番・災害用クレーン車
- 24番・災害用高性能救助車
- 25番・災害用給水車
- 26番・災害用レッカー車
ヘリコプター編隊飛行
[編集]指揮官・航空隊長(警視)
- はやぶさ3号(指揮官機)
- おおとり8号
- おおとり3号
- おおとり6号
- おおとり1号
- おおぞら2号
その他
[編集]式典関連
[編集]- 一般の見学も可能であるが、見学区域等、警備職員の指示に従わなければならない。
- 訓練に先駆け、当日の早朝にリハーサルを実施している。
近年の変更点
[編集]- 2019年度(平成31年度/令和元年度)は上皇明仁の退位および今上天皇の即位関連行事、G20、ラグビーワールドカップなど、連続する重要警備事案による人手不足から中止となった。
- 2020年度(令和2年度)は新型コロナウイルス感染症の国内流行により半年遅れの11月12日に延期され開催された[2]。隊列は女性警察官特別機動隊(制服)が廃止され、化学防護部隊と水難救助部隊の指揮部隊が変更となった。また、行進車両の変更、順序変更等が行われた。また、感染予防の観点から斉唱は行わず、演奏のみ実施された。
- 2021年度(令和3年度)は新型コロナウイルス感染症の国内流行・東京オリンピック等により半年遅れの10月27日に延期され開催され、前年と同様の体裁がとられた。また、2021年10月より、警視庁航空隊が警備部所属となったため、ヘリコプターによる観閲飛行が実施された。また、女性警察官機動隊が制服着用に変更となった。
- 2022年度(令和4年度)は前年を踏襲し、11月8日に実施された。2016年以来となる、制服→活動服→出動服での着用となった。女性警察官特別機動隊(制服)が再編成された。また、「この世を花にするために」の演奏が省略された。
- 2023年度(令和5年度)は元の春開催となったが、G7広島サミットと重なったため、例年より早い4月の開催となった。
- 2024年度(令和6年度)は従前どおりの5月開催となった。制服は夏服での行進、活動服なしでの実施となった。また、副隊長が「第1副隊長」・「第2副隊長」と区別されて紹介された。また、第9機動隊長が車両部隊指揮官となったため、第9機動隊徒歩部隊・化学防護部隊、多角的運用部隊の各指揮官となる副隊長が変更された。
出典・脚注
[編集]- ^ 警視庁機動隊が観閲式=災害救助部隊など1900人行進 - 時事ドットコムニュース(2017年5月23日。同年8月30日閲覧)
- ^ a b 警視庁 警備部 警備第一課. “令和2年警視庁機動隊観閲式”. 警視庁. 2020年5月4日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 平成30年 警視庁年頭部隊出動訓練 分列行進 - 2018.1.12 - youtube