鮎鮨
鮎鮨(あゆずし)は鮎をたねにした鮨(なれずし)である。塩漬けにした鮎の腹を開き、骨などを除いて飯とともに漬け込み、乳酸発酵させて作る[1]。夏の季語。
概要
[編集]漁獲した鮎の内臓を除去して塩漬けしたものと、米飯や米麹、唐辛子を交互に詰めて熟成させたなれずしの一種である。麹が米飯を分解して生成した糖によって乳酸菌が増殖し、その乳酸菌が乳酸を生成することで保存性が向上し、さらにアミノ酸などの増加によって食味が向上する[1]。
なれずしではないが、類似の食品として、紀の川流域の奈良県では柿の葉寿司や笹寿司、和歌山県では焼き(炙り)寿司、京都府の桂川や由良川流域では姿寿司・押し寿司などがある。
鮎鮨と文化
[編集]富山県の鮎鮨は徳川吉宗が好み、富山藩の献上品になるほどの名産だった[1]。『今昔物語集』巻31第32話「人見酔酒販婦所行語 第卅二」に、鮎鮨売りの女が酔いつぶれて売り物の鮨桶の中に嘔吐し、かき混ぜてごまかした逸話がある[2]。歌舞伎の『義経千本桜』三段目「すし屋」にも登場する[3]。
製造方法
[編集]- 漁獲した鮎の内臓を除去し、背開きした上で、冷蔵庫で20日間塩漬けする[1]。
- 米飯、米麹、唐辛子、塩出しした鮎を交互に樽に敷き詰め、重しを乗せて常温で熟成する。(これを本漬けという)[1]
- 本漬け40日頃から食べ頃になる[1]。
- 姿寿司
- 焼き鮎の姿寿司
- 柿の葉寿司
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “アユ熟れ鮨の熟成過程の解明”. アユ熟れ鮨研究会. 2020年11月21日閲覧。
- ^ satoshi (2015年4月29日). “巻31第32話 人見酔酒販婦所行語 第卅二”. やたがらすナビ. 2020年11月21日閲覧。
- ^ “つるべすし弥助 | 下市町てくてく情報 下市町の観光情報や歴史、特産品やイベント情報を配信している下市町オフィシャルサイトです。”. 2020年11月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 水原秋櫻子ら『日本大歳時記』
- 篠田統『すしの本』