オオハナウド

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オオハナウド
福島県会津地方 2008年5月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ハナウド属 Heracleum
: オオハナウド H. lanatum
学名
Heracleum lanatum Michx. var. lanatum
シノニム

本文記載

和名
オオハナウド(大花独活)

オオハナウド(大花独活、学名:Heracleum lanatum)はセリ科ハナウド属多年草。別名、ウラゲハナウドアイヌ語ピットㇰ(pittok )

特徴[編集]

の高さは1.5-2m。茎は太く中空で、節に密毛を出し、直立して上部は分枝する。根出葉や茎の下方から出る葉は長い柄をもち、3出葉で5小葉を出し、小葉には鋭い裂片や鋸歯がある。葉はまれに羽状になる。

花期は地域によって開きがあり5-9月。茎頂か、分枝した先端に大型の複散形花序をつける。は白色の5弁花で、花序の中央部と周辺部の花弁の形は異なり、周辺部の外側の1花弁が大きく、2深裂し、左右相称花となる。果実は倒卵形になり、毛があり、または無い場合がある。

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州近畿地方以北に分布し、高山から山間地の湿った場所に、北海道では海岸にも生育する。ときに大群落となることがある。

利用[編集]

若葉や茎が食用となり、天ぷらきんぴら佃煮などとして食す[1]

アイヌ文化においては、食用・薬用としたほか、ヒメザゼンソウと並び「神の野草」として重要視され、儀式の際の供物とする地域もある[1]

カムチャッカ地方では茎の皮を剥いで乾かし、乾燥して甘味を採る材料にしており、ロシア人は草の汁を酒を造る材料とする。春に搾り取った草の汁は頭のシラミを駆除する効能があるという[2]。探検家のゲオルク・シュテラーはアラスカのカイアック島でもこの「甘い草」は利用されていた、と記録している(1741年)[3]

シノニム[編集]

下位分類[編集]

  • キレハオオハナウド Heracleum lanatum Michx. var. lanatum f. dissectum (H.Ohba) T.Yamaz.
  • ベニバナオオハナウド Heracleum lanatum Michx. var. lanatum f. rubriflorum (H.Ohba) T.Yamaz.
  • ホソバハナウド Heracleum lanatum Michx. subsp. akasimontanum (Koidz.) Kitam. -南アルプスに特産。絶滅危惧IB類(EN)。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 日本語名:ハナウド(オオハナウド) アイヌ語名:ピットク(アイヌと自然デジタル図鑑)”. アイヌ民族博物館. 2018年5月22日閲覧。
  2. ^ L.ベルグ『カムチャツカ発見とベーリング探検』龍吟社、1942年、88頁。 
  3. ^ L.ベルグ『カムチャツカ発見とベーリング探検』龍吟社、1942年、246頁。 

参考文献[編集]