ケンガンアシュラ

ウィキペディアから無料の百科事典

ケンガンアシュラ
ジャンル 格闘漫画
漫画
原作・原案など サンドロビッチ・ヤバ子
作画 だろめおん
出版社 小学館
掲載サイト 裏サンデー
マンガワン
レーベル 裏少年サンデーコミックス
発表期間 2012年4月18日 - 2018年8月9日
巻数 全27巻
話数 全236話
その他 外伝作品『ケンガンアシュラ0』全1巻
漫画:ケンガンオメガ
原作・原案など サンドロビッチ・ヤバ子
作画 だろめおん
出版社 小学館
掲載サイト マンガワン
裏サンデー
レーベル 裏少年サンデーコミックス
発表期間 2019年1月17日 -
巻数 既刊21巻(2024年3月現在)
アニメ
原作 サンドロビッチ・ヤバ子
だろめおん
監督 岸誠二
シリーズ構成 上江洲誠
キャラクターデザイン 森田和明
音楽 高梨康治
アニメーション制作 LARX ENTERTAINMENT
製作 拳願会
配信サイト Netflix
配信期間 Season1:2019年7月31日 -
Season2:2023年9月21日 -
話数 Season1パート1:全12話
Season1パート2:全12話
Season2パート1 : 全12話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

ケンガンアシュラ』は、原作:サンドロビッチ・ヤバ子、作画:だろめおんによる日本漫画。続編である『ケンガンオメガ』についても本項で記述する。

概要[編集]

2012年4月18日から『裏サンデー』(小学館)で連載[1]。2014年12月より小学館のコミックアプリ『マンガワン』でも連載開始。

第1部が2012年4月18日から2015年6月25日まで、第2部が2015年10月15日から2018年8月9日まで連載され、2019年1月17日から新章『ケンガンオメガ』が連載中[2]

外伝として闘技者たちの過去を描いた『ケンガンアシュラ0(ZERO)』が第2部の前に約2か月間短期連載され[3]、2016年1月に通常版単行本とドラマCD付き特別版単行本が同時発売されている[4]

2019年1月時点で累計発行部数は150万部を突破している[5]

原作者のサンドロビッチ・ヤバ子がウェブ連載していた漫画『求道の拳』第1部の7 - 8年以上後という設定で、同じく連載中の『ダンベル何キロ持てる?』とも世界観を共有しており、一部の企業や人物が登場する。

サンドロビッチ・ヤバ子はフルコンタクト空手経験者で現在もブラジリアン柔術や総合格闘技を嗜み、本作担当編集者の小林翔もフルコンタクト空手と軍用格闘術経験者で全日本選手権無差別級3位入賞の他、自衛隊やキックボクシング道場に在籍していたという経歴の持ち主であることから、本作のバトルシーンは実際にヤバ子と小林が組手を行い検証した上で描写されている[6][7]。実際に組手を行う手法は後述のアニメ版でも踏襲され、小林もモーションアクターとしてアニメ制作に携わる[7]

2014年8月には『ストリートファイター』とのコラボレーション漫画が『週刊少年サンデー』(同社刊)本誌36・37合併号と38号において前後編で掲載され[8]、それぞれ単行本9・10巻に収録された。

2017年12月7日にアニメ化が発表され、2019年7月31日よりNetflixにて全世界独占配信中。この他、スマホゲームとして『ケンガン ULTIMATE BATTLE』が2019年6月12日より配信されている。

2021年9月に刃牙シリーズ30周年記念企画の一環として、「『刃牙』×『ケンガンオメガ』」の読み切りが『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)44号に掲載された[9]

あらすじ[編集]

ケンガンアシュラ[編集]

企業・商人たちが巨額の利益を賭け、雇った闘技者によって素手による格闘仕合を行い、勝った方が全てを得るという「拳願仕合」。商人たちの争いを収める手段として江戸中期に発祥したと言われるそれは、現代にまで継承されている。

そして今、己の最強を証明せんとする謎の闘技者・十鬼蛇王馬が拳願仕合の舞台に足を踏み入れようとしていた。その内に野望を秘めたる乃木グループ会長・乃木英樹と王馬が出会った時、拳願仕合に大きな渦が巻き起こる。

第1部(1 - 14巻)
乃木出版の平社員である山下一夫は、ある日突然乃木から呼び出され拳願会と拳願仕合の存在を聞かされた上、王馬の世話役に任命される。
突如として巻き込まれた非日常に右往左往する内、次期拳願会々長を決定する「拳願絶命トーナメント」が開催される運びとなり、「山下商事」の社長として拳願会員になってしまった一夫も乃木グループ正闘技者の座を下ろされた王馬と共に、トーナメントに参加することとなった。
第2部(15 - 26巻)
拳願絶命トーナメント1回戦から2日後、2回戦が始まった。トーナメントで激しく戦う闘技者たちの裏では拳願会の覇権を狙う東洋電力や、王馬に執着する桐生刹那もまた暗躍を始め、次の会長候補者を巡って企業間での対立や同盟も進んでいく。

ケンガンオメガ[編集]

拳願絶命トーナメントの終了から2年が過ぎた。拳願仕合の存在を知った青年・成島光我は、ノーガードの殺し合いを生き抜く本物の強さを求めて山下商事を訪れる。また、時を同じくして前拳願会々長・片原滅堂の前に王馬と生き写しの青年・臥王龍鬼が現れ、闘技者になる手段として山下商事を紹介された。

一方、新会長となった乃木は拳願会の求心力低下を危惧し、最近裏格闘技界の最大勢力となった「煉獄」との吸収合併を試み、相手側の出資者である豊田出光とどちらが団体を吸収するかを賭けて半年後に代表選手各13名による対抗戦を行うことが決定し、一夫たちは候補者の選定に奔走する。その裏では「」と呼ばれる謎の集団が暗躍し、拳願会・煉獄の両陣営へ魔の手を伸ばそうとしていた。

登場人物[編集]

一つしかないものは基本的にアニメ版の声優を指す。

拳願会[編集]

山下商事[編集]

拳願絶命トーナメント参加権を獲得するために急遽設立された企業。そのため、業種も社名も乃木が適当に決めたものとなっている。創業から短期間で拳願会の中枢に食い込んだことから他の拳願会員や各国の首脳部に注目されているが、所属している当人たちにその自覚はない。企業序列ランク外。

トーナメント終了後は正式に「株式会社 山下商事」として起業。起業から2年後も社員は3名で表向きは単なる人材派遣会社だが、実情は「闘技者を死なせた企業を罰する」新ルールに対応するための「闘技者の紹介窓口」として設立された、単発〜短期契約が可能な闘技者を派遣する部門。拳願会の一機関であるため会員権を保有していない。登録中のフリー闘技者は500名余。予算は拳願会から出ており、契約金は全額闘技者へ渡る仕組みであり仕合に勝利しても成功報酬を受け取ることはなく、不正をするメリットがないので特定の企業を贔屓することもない。さらにルール改正にて企業が新しい闘技者を雇用したい場合は、山下商事に登録しているフリー闘技者から必ず雇わなければならなくなっている。そのため企業が新たに拳願会に登録されて無い闘技者を雇用する際には、山下商事で闘技者を一度登録してから、山下商事を通して雇用する必要がある。

十鬼蛇 王馬(ときた おうま)
声 - 前野智昭(ドラマCD)[4] / 鈴木達央(Webアニメ)[10]
『ケンガンアシュラ』第1部・第2部の主人公。通称阿修羅』。年齢不明[注 1]。山下商事闘技者かつ元・乃木グループ闘技者だが、出自・流儀は一切不明。古代ギリシャ像のような、美の観点から見ても最高レベルの肉体を有している。
性格は傲岸不遜で自分より強い存在がいることを許せず、己の最強を信じて疑わない。人の名前をカタカナフルネームで呼ぶ癖を持つ。以前は廃墟を住まいとしており、イノシシなどの野生動物を仕留めたりゴミの埋立地から使えそうなものを拾ったりして生活していた。そのためかやや社会常識に疎く、水着や国家予算といった知識は持っていないが上納金などVシネマ由来の偏った知識はある。
生まれて間もないころに十鬼蛇区と呼ばれる無法地帯に捨てられ、12歳の時に二虎に拾われた。出会った場所が「十鬼蛇」と「七王馬」の境界だったことから「十鬼蛇王馬」の名を与えられる。二虎から武術を教えられて育ち、4年ほどの間に奥義を含めたすべての技を習得するもある日に二虎が敗死してしまい、以来10年間その仇敵を倒すためだけに鍛錬を重ねていた。
二虎が命を落とす前に「憑神」での暴走を止めるため、「絶氣」で背骨の一部を歪めたことで肉体に「枷」がはめられ実力を十分発揮できずにいたが成長によって徐々に綻びが生じ、トーナメント前の桐生との邂逅で完全に「開錠」された。
使用武術は一代で途絶えたと言われていた謎の武術「二虎流」で、一部では『二虎流を継ぐ者』『虎の器』とも呼ばれている。スピードタイプ寄りのオールラウンダー型ファイターで突き・蹴りともにバランスの良いキックボクシング風の構えを取り、単純な殴り合いでも他の闘技者を圧倒するパワーとスピード、そしてテクニックを誇る。並外れた動体視力を活かす操流ノ型「柳」を主に得意とする。聴覚も優れており、蕪木戦で身につけたカクテルパーティー効果で相手の動作音だけに集中する技術を用いて、視力を失った状態でも高速で飛来する物体を回避・迎撃も可能。幼少期からナイフなどの扱いにも長けていたが、武術を学び始めてからは使用していない。ただし、トーナメント2回戦まではあくまで二虎から「借りている」という感覚で武術を使っており、しばしば「アンタの二虎流」と口にしていた。また、エンジンのような音と共に体色を赤く変化させ獣じみた状態となり、スピードを急上昇させる謎の技「憑神」も持っている(本人は「前借り」と呼んでいる)。さらに、あえて体力を限界まで使い切りハウスキーピングタンパクのみで肉体を淀みなく動かすという技術を、奥義伝授の際の極限状態の中で習得している。
拳願絶命トーナメント開催を狙う乃木の意向で、デビュー戦で期待の新人とされる理人、2戦目で闘技者潰しで知られる蕪木を、3戦目にして現役トップクラスの闘技者である関林を撃破する。
トーナメント1回戦では因幡良と対戦、身体能力で優っていながら序盤は「髪」を使うトリッキーな戦法に翻弄されるも、最終的には「前借り」を使用し圧勝。
仕合終了後から夢のみならず現実でも二虎の幻覚を見るようになり、その際に今の自分が実力を出し切れていないことと二虎と修行していたころの記憶の一部が失われていたことを知る(後にこれらの「力の枷」以外の症状はすべて「前借り」による副作用であることが判明)。トーナメント1日目終了後、二虎の幻覚に勧められるまま精神を統一した結果、自らも理由はわからないながらアギトに匹敵するレベルまで体のキレが増すも急激な力の上昇を上手く制御できなくなる。
2回戦では雷庵と対戦。上昇した力も呉一族の身体能力の前には通じず、「前借り」を発動しても「外し」た雷庵に決定打を与えられないまま肉体の崩壊が始まり、「前借り」が解けてしまう。だが幻覚の二虎との対話で自分自身の二虎流を見つけ出し、わずかな勝機を逃さず満身創痍の状態で辛勝。
負ったダメージはあまりにも深刻で、の治療により一命をとりとめたものの仕合後すぐに意識を失い、3日目が終わるころになってもまだ目を覚まさなかった。クーデター開始後しばらくして眠りから目覚め、直後に「憑神」を使う守護者を一蹴するも残り3戦戦い抜けるかすら危うい状態が続いており、呉一族秘伝の治療法の数々を受けたことでなんとか戦えるまでには復調。そして記憶の回復と共に精神的な危うさも消えた。自身の命を案じた一夫から棄権するよう必死の説得を受けるも、次の機会はないという自覚から「ワガママを通させてほしい」と頼み、願いを聞いてくれた一夫に礼を述べて3回戦に臨んだ。
3回戦では互いに満身創痍のままコスモと対戦。壮絶な組み技合戦の末にあえて体力を使い尽くすことで、死の淵でさらなる戦闘力を発揮。覚悟を決めたコスモに右手の小指を折られたが、相手の「先読み」と「ゾーン」を逆に利用して絞め落とし、去り際にコスモの健闘を称え準決勝へ進出。
準決勝直前に串田から一夫が桐生に連れ去られたことを知らされ、その暴走を止めるため交戦。決して軽くはないダメージを受けながらも二虎流の技のみで勝利し、「絶氣」で背骨の歪みを治療した後、護衛者に身柄を引き渡す。
準決勝では若槻と対戦。重篤なダメージを負っていたことや、どちらが勝利しても会長に推薦されるのが乃木であることから八百長での敗戦を提案されたが、それを拒否し出場。仕合本番では圧倒的なパワーと油断のない猛攻に苦しめられ、切り札の「鬼鏖」も不発に終わり窮地に追い込まれる。しかし一夫の声援で奮起し2度目の「鬼鏖」を成功させ、これが決め手となり決勝へと駒を進める。
決勝では黒木と対戦。格上の相手に対し、「前借り」と二虎流を組み合わせた「自分だけの武」を完成させ、決して万全とは言えない状態ながら戦いを成立させるも徐々に押されていき、右腕を折ることで巻き返そうと賭けに出るが、失敗して逆に大腿を貫かれる。出血で「前借り」を維持できなくなり、徐々に追い詰められていく。リスクを覚悟で「前借り」と鬼鏖を同時に使うも、あと一歩で届かず敗退。滅堂のメディカルチームによる治療で一度は目を覚ましたものの既に肉体は限界を超えていたため、二虎の幻覚と最後に話を交わしてから眠りにつき、願流島のはずれで一夫に発見された。
『ケンガンオメガ』では、トーナメント準優勝後に忽然と姿を消した伝説の闘技者として知られており、死亡説も流れているが実際のところは一般会員には知られていない模様。だが実は「前借り」の多用によって限界を超え著しく衰弱していた自らの心臓の代わりに、自らの組織から器官培養されて「誰か」が英へ預けた心臓を移植したことで死を免れていた。己の異常な事情に一夫や楓を巻き込む訳にはいかないと考えて以降2年以上にわたって生存を隠しており、その間は迦楼羅の婿候補ということで呉の里に身を寄せ、驚異的な治癒力によってわずか1年で手術前と同じ水準の力を取り戻し、呉一族の実力者との組手で鍛えていた。そして2年あまりが経過した11月30日の夜、夏忌とその弟子に襲われ絶体絶命だった一夫の前に雷庵と共に健在な姿で現れ、圧倒的な力で蹂躙していく。その足で呉の里へと向かい、一夫に事情を説明した後で対抗戦に出場する意思を表明、に生存が知られたこともあって拳願会にも生存を公表した。一夫を守るために負傷した光我に出場を辞退するよう忠告すると共に友人の一夫を助けてくれたことに感謝し、彼が強くなったことを認めた。呉一族のもとで読唇術などを習得したほか、里で暮らす間に色々と常識を学んで他人を名前か名字のどちらか一方で呼ぶようになったが、一夫だけは未だにカタカナフルネームで呼んでいる。また、光我と龍鬼の成長を考えて言動を選ぶなど、人間的にも成熟している。煉獄との対抗戦の後から光我に二虎流の技を教えてており、後に光我へ自身の二虎流を受け継いで欲しいと自身の二虎流の後継者として打診している。
モデルは『仮面ライダーカブト』の主人公・天道総司[11]
使用武術・二虎流
王馬が使用する謎の武術。その正体は臥王鵡角が考案した新たな武術で、古流柔術「臥王流」を源流とし、その中で現代においては不要な様式を切り捨てて新たな技術を加え、怪腕流の下地が技術の編纂に協力したことで生まれた武術である。
世間では十鬼蛇二虎が創設し、1代で途絶えたとされている。自他の身体などの力の操作を行う「操流ノ型」、歩法・走法が中心の「火天ノ型」、肉体硬化による防御と打撃技に特化した「金剛ノ型」、肉体軟化と関節技や極め技に特化した「水天ノ型」という大きく4つの系統と、番外扱いの「無ノ型」に分かれ、さらに4系統の技には「極(キワミ)」という単に強力なだけでなくどのような状況でも最後まで使える奥の手がある。2つの系統を複合した技も存在する他、4系統を極めて初めて習得可能になる「奥義」も存在する。無手の武術であり、銃火器などで武装した相手を素手で制するための技も存在する。
王馬は操流ノ型と火天ノ型を得意としており、特に操流ノ型に関してはトーナメント最終戦の時点で全盛期の二虎を超えたとされるが、逆に金剛ノ型と水天ノ型を苦手としている。後に、憑神の出力を抑えつつ二虎流の技を制限なく使うという「2つの二虎流」を我が物とした。
また、王馬に伝えられた物は二虎が下地の後継者である黒木の協力で完成させた物だが、元々鵡角が複数の「十鬼蛇二虎」に授けた武術なので、王馬が使うのとは異なる二虎流も存在する。実際、桐生や加納は「本物の二虎」を名乗る人物から別口で二虎流を学んでいる。
主な技
操流ノ型「柳(ヤナギ)」
相手の力の流れを見極め、タイミングを見計らってほんの少しだけその力に加重し、力の流れを乱して暴走させ、力の潮流を己の支配下に置き相手の攻撃を逸らす柔の技。上手く使うには力の流れを見切るだけの優れた動体視力が必要。集団戦では敵の攻撃を逸らし、別の敵と同士討ちさせることも可能。王馬が好んで良く使う技でもある。
ただし、強靭な体幹を持つ相手に使用した場合には十分に体勢を崩し切れないことがある。また、あくまで「崩し技」なので技自体の威力は低く、投げに利用してもこの技だけで止めをさすことは難しい。
臥王流の同名の技が元になっている模様。
操流ノ型「絡み(がらみ)」
力の進行方向を変えるカウンター技。相手の攻撃を受け止めるようにして使い、打撃の力をそのまま返し関節を破壊する。
操流ノ型「流刃(リュウジン)」
側面から力を加え、打撃の軌道をずらす操流守の型。理論上は銃弾をも防ぐことが可能であり、銃弾の入射角を見極め、手の甲の骨で銃弾の方向を変える。王馬は音速で振るわれるの先端を切断してみせた。
操流ノ型「絶氣(ゼッキ)」
相手の胸の中央部を掌で強打し神経を破壊する技。背骨の一部を歪めて自律神経を抑制する応用法もあり、神経異常による幻覚や幻聴を治療することも可能。
操流ノ型「転地(テンチ)」
身体に強烈な回転をかけながら放つ回転式の肘撃ち。
操流ノ型・極「傀儡(クグツ)」
操流ノ型における「極」。体内の力の流れを「操流」で増減、必要最小限の力で体を動かす技。残された体力が少ないとき、体力を温存して大技につなげたいときに使う。
金剛ノ型「不壊(フエ)」
攻撃のインパクトの瞬間に当たる部位の筋肉を締め、あらゆる攻撃に耐える剛の技。極めればコンクリート片を投げつけられてもびくともせず、ナイフすら刺さらなくなり、「羅刹掌」の螺旋エネルギーすら防ぐことができる。衝撃の際に地面に根を張るイメージをすることで、少々体格の勝る相手からの打撃にも力負けしなくなる。基本的には受け身などでも使える防御の型だが、肉を締めたまま相手を迎え撃つことにより攻めに転じることも可能。
固められるのは筋肉だけなので頭部のように筋肉の少ない場所は防御できず、長時間使い続けることもできない。また繊細な動きが必要な「操流ノ型」とは複合できない。王馬自身は「ダサいから」「性に合わない」という理由で、あまりこの技を使いたがらない。
臥王流にある「纏鎧」が元になっている模様。
金剛ノ型「鉄砕(テッサイ)」
「不壊」の要領で拳を固め攻撃する技。一見すると単なるパンチ技だが、その威力は手に何か握り込んでいるかと錯覚させるほど。元々骨を砕くだけの威力はあったが、「無」で重心などを調整した結果、岩壁に自身の身長を超えるクレーターを穿つほどの破壊力を出せるようになった。
金剛ノ型「鉄指(テッシ)」
筋肉で指関節を固定し急所を突く技。相手の骨を握り砕く、指で刃物を挟みへし折るという応用も可能。また指を骨折した際に拳を固める場合にも使用できる。
臥王流にある「穿」が元になっている模様。
金剛ノ型「鉄砕・蹴」
蹴り技。
金剛ノ型・極「抱骨(ホウコツ)」
金剛ノ型における「極」。筋肉をコントロールする技で、適切な応急措置が施されていれば骨が折れていても平然と体を動かすことができる。怪腕流にも類似する技が存在する。
火天ノ型「火走(ヒバシリ)」
焔のごとく揺らめき敵を幻惑する歩法。
火天ノ型「烈火(レッカ)」
瞬発力を生かして一気に間合いを詰める歩法。直線的ながら目にもとまらぬスピードで移動する。
火天ノ型「幽歩」
瞬時に死角へ移動し、まるで攻撃をすり抜けたかのように錯覚させる歩法。
火天ノ型・極「縮地(シュクチ)」
火天ノ型における「極」。筋肉に頼らず、「骨で立つ」ことを極意とする、仙術縮地」から名を頂く歩法。重心の移動によって移動するため、通常の動きとは明らかに「間」が異なり、突如として間合いが伸縮したかのように錯覚する。これによりバックステップしたように見せかけて前進し攻撃を行うことなどが可能。
水天ノ型「水草取り(みなくさとり)」
腋と手の甲で絡めるようにして槍などの突き込みを封じる技。
水天ノ型「首断(シュダン)」
相手の隙をついて背後に回り、背中合わせになった状態で喉に両手を回して組んだまま体を屈め、頸部を締め上げると同時に海老反りさせて背骨を極める技。
水天ノ型「捻切地蔵(ネジキリジゾウ)」
投げ飛ばしてうつ伏せに倒した相手の腕を抱え込み、背中側に体ごと倒すことで肩と肘の関節を極める技。
水天ノ型「海月固め」
相手の懐に入り、ヘッドロックを逆向きにする要領で上腕部を使って頸部を締める技。状況によってはそのまま投げ技へと繋げる。
水天ノ型「水龍脈」
組みついた相手の腰を取って投げ、腕で首と脚を上から押さえつけると同時に脛の部分で相手の背を下から押し上げることにより、首と背骨を一度に極める技。本来は技をかけて「即折る」ためのものだが、手加減すれば絞め技としても使うことができる。
水天ノ型「双魚之縛(ソウギョノシバリ)」
相手の突き手を取って腕ひしぎ十字固めの要領で抱え込んで腕を破壊すると同時に、逆の手を両足で抑え込んで相手の動きを封じる技。
水天ノ型・極「水鏡」
水天ノ型における「極」。相手の体を利用して関節技・絞め技をかけるという技で、骨折などで自分自身の腕では絞め・極めをかけられない状態でも使うことができる。
コスモ戦では相手に投げ技をかけ、掴んだ相手の腕と自身の上腕と肩を使って首を絞めると共に自分自身の体で相手の内臓を圧迫するという形で使用した。さらに場合によっては技を外されないよう関節技で相手の抵抗を封じる。
「極」の割に地味で不細工な技なので、王馬はあまり好んでいない。
無ノ型「空」
鳩尾から丹田にかけて意識を集中させる、空手の息吹や中国拳法の内功に類似する呼吸法。腹圧を高め一気に空気を放出することで、精神の統一や体内機能の調整を行う。
操流・火天ノ型「不知火(シラヌイ)」
相手の頭部をハイキックで蹴り飛ばし、その勢いを保ったまま体を一回転させ、同じ脚で頭部を踏み付け追撃する技。
操流・火天ノ型「畝焔(ウネリホムラ)」
最高速度を保ったまま上半身を一気に傾け、急激な方向転換を行う走法。重心の移動を利用することで90°近く進行方向を変えられるが、無理な動きを行うため足への負担が大きい。
操流・水天ノ型「水燕」
拳を緩く握り、不規則な起動でラッシュを叩き込む技。
金剛・火天ノ型「瞬鉄(シュンテツ)」
火天ノ型「烈火」のスピードを乗せた状態で金剛ノ型の技を繰り出す技。二虎流で最も速い攻撃だが、攻撃が直線的でタイミングを読まれやすいという弱点がある。この技はカウンターで使用する時二最も高い効果を発揮する。
作中には全身を固める「不壊」を使った状態で肘から相手に突進するという「瞬鉄・爆(シュンテツ・バク)」と、拳を固めて殴りかかる「鉄砕」との複合技の「瞬鉄・砕(シュンテツ・サイ)」、「鉄指」で固めた指を使い高速の貫手を放つ「瞬鉄・穿」が登場した。
金剛・水天ノ型「鉄砕・廻(テッサイ・カイ)」
大外刈りに近い形で相手を投げ飛ばし、その勢いのままに倒れた相手に「鉄砕」の拳を叩き込む技。
火水天ノ型「炎水(エンスイ)」
突進した速度を維持したまま急に上体を低くして相手に組み付く技。
操流・水天ノ型「骨喰(ホネバミ)」
腕の関節を緩める事で腕の可動域を広げる技。
奥義「鬼鏖(キオウ)」
二虎流の4系統全てを修めることで初めて伝授される技。その名は「鬼をも殺す」ことを意味する。4系統全ての要素を持つ唯一の攻撃技だが、二虎によればこの技は全系統の上位にあるわけではなく中にあるのだという。
その正体とは、相手の攻撃をそっくり受け流すことのできるカウンター技。原理としては、操流で力の方向をずらし、水天で脱力した体に威力を素通りさせ、火天でポジショニングを確保、金剛で受け流した威力を自分の力をプラスして敵に返すというもの。操流、水天、火天、金剛と繋げるカウンターを全て鬼鏖と呼び、ありとあらゆる局面で相手の攻撃の種類に応じて形を変える無形の技である。特に重要なのは力を流す方向を決める操流と脱力で威力を流しきるための水天。使い手の瞬発力・決断力・想像力・創造力などの質に直結するため、技の性質を見切ったとしても防ぐことが難しい。
習得には「感覚」をひたすら研ぎ澄ます過程が必須であり、そのために死の森として知られる餓鬼ヶ原樹海の内部に篭り、ひたすら組手を重ねることで心身を極限まで追い込むという形で行われる。二虎流の他の技に比べてはるかに習得難度が高く、命がけの荒業を乗り越える必要があるので、二虎も伝授にはあまり乗り気ではなかった。加えて自分の体を「道」にして力を返すため、内臓への負担も大きい。
体外離脱
睡眠中に行うイメージトレーニング。現実と同じ環境を作り、対戦相手のイメージと戦闘をすることで戦闘経験を積む。
王馬は二虎に教わってから14年毎日行っており、1回の睡眠で平均8戦している。ただし、相手の実力を一部しか見ていない場合、仮想敵の強さも不完全なものとなる。
奥義「前借り」/ 「憑神(つきがみ)」
意識的に心拍数を高めることで血流を加速させ、発生した熱量を運動能力に変換しスピードを急上昇させる技。速度の上昇に比例して打撃の威力が増し、同時に圧倒的に手数が増加するので攻撃の「回転力」も上がる。しかも「攻撃が途切れない」ため、反撃しようとする相手にとっては非常に厄介。心拍が高まることで心音がエンジン音のように鳴り響き、体表の血管が腫脹するためか体色も赤く変化、暴走して状態が進行すると白目が呉一族と同様に黒く染まる。
最も有効なのは、体格や身体能力で勝る相手を短時間で蹂躙する場合。反面、巨漢との相性は悪く、一時的に互角の戦いを繰り広げられるようになるものの、戦闘後には反動で肉体に大きなダメージを負う。加えて動きに精彩が無くなり、二虎流の一部の技が使えなくなる欠点もあり、特に金剛ノ型との相性は最悪で、コントロールできていない状態で使えば、最悪血管が裂けてしまう恐れがある。
使用時には心臓に平常時の4〜5倍に相当するほどの負荷がかかり、全身の血管にも損傷が生じて吐血や鼻・目からの出血を起こすばかりか、脳内出血が原因で記憶の喪失や混濁、幻覚、幻聴など重篤な症状が現れる。また、記憶の混濁によるものか普段以上に好戦的な性格へと変化する。そして最大の欠点として、血液の循環を速めるという性質上、出力に比例して出血量が増加するため、裂傷を負った状態で使い続けると失血死する可能性がある。
王馬の切り札で、雷庵戦までは追い込まれると安易に利用してしまうクセがあったが、使えば使うほど命をすり減らす、諸刃の剣ともいうべき危険な技であり、王馬自身も自分の命がそう長くないと理解していた。
実は出力のコントロールも可能であり、力の上昇率を抑える代わりに体の負担を軽減することもできる。王馬は最大トーナメントの雷庵戦後に出力をコントロール出来るようになり、これにより、併用できないとされた金剛ノ型を含め、二虎流の全ての技を十全に使用可能になり、2年後の王馬は自身の二虎流の奥義としてこの技を使っている。英によると「連続使用5秒以内」がリミットであり、王馬は身体への負担を軽減するために、主に上昇率を抑えて一瞬だけ使用する方法で、瞬間的にギアや速度を上げることで相手の予想を上回る目的で使っている。ロロン戦にて完全開放で使用した際には激しい疲労と共に『これはヤベぇ。我ながらよくもまあ、こんな技、長時間やってたぜ』と自嘲していた。
二虎ではなく「蟲」に所属していた「本物の二虎」を名乗る男から授けられたもの。だが、王馬は誰に教わった技なのかを思い出せず、「憑神」という本当の技名も忘れており、記憶を取り戻すまでは「前借り」と呼んでいた。開発者によれば、呉一族の「外し」に対抗するために考案された技術であるらしく、潜在能力の解放を行う「外し」とは似て非なるものである。また、守護者の上位ランカーなどもこの技術を使うことができる。
使用武術・呉家伝(くれかでん)
心臓移植後の呉家での2年間のリハビリおよび修行をしている間に恵利央から教わった、呉家に代々伝わる技。「外し」を除いた呉家に代々伝わる技の中で、暗殺に向いてる技を体系化した『呉一族伝』とは違い、格闘戦を想定した技術体系である。恵利央によると『呉家伝』はかつては宗家の人間にのみ継承されていた。恵利央からは望むなら『呉一族伝』の技も教えようかと言われたが、王馬は人を暗殺する予定が無いことや性に合わないことからと『呉一族伝』の技に関しては教わってない。
二虎流には無い超至近距離での戦闘にも対応しており、修得した事で超至近距離での格闘戦にも対応できるようになった。
「影法師(カゲボウシ)」
相手の背に回り込んだ後に姿勢を低くして、相手の膝目掛けて強烈な肘打ちを打ち込む技。
「回転絶牙(カイテンゼツガ)」
強烈な縦回転の勢いを乗せて相手の首および後頭部目掛けて強烈な肘打ちを打つ。 相手の攻撃を利用カウンター技でもあり、相手の攻撃を受け流し、その勢いを利用して縦回転の回転力を高めることが出来る。
「写し(ウツシ)」
相手の技をトレースする技法であり、ロロンとの闘いではロロンが行った『関節の脱力』を会得した。
「地削ぎ(チソギ)」
強烈な下段狩りによる足払いで相手の体勢を大きく崩す技。
山下 一夫(やました かずお)
声 - チョー(ドラマCD・Webアニメ[4][10]
乃木グループ傘下の乃木出版の社員。56歳。うだつの上がらないサラリーマンであり、妻とは10年前から別居中、長男は引きこもりで同じ家にいながら3年もの間姿を見ておらず、次男は暴走族所属の不良。後に息子は2人とも王馬がきっかけで更生の道を歩むが、妻は現時点で作中未登場。中年男性でありながら本作の公式ヒロインとして扱われている。
ある日に王馬と駒田のストリートファイトを偶然目撃。その後、突如として乃木から直々に王馬の世話係に任命される。王馬の破天荒ぶりに振り回され、今まで培ってきた常識が全く通用しない拳願仕合に圧倒されながらも、本人の意思とは無関係に拳願仕合の世界へと急速に巻き込まれていく。
プロレスラーに憧れていたが、ひ弱なせいで幼少期にはガキ大将からいじめられ中学で柔道部へ入部するも才能の限界を自覚し格闘技の道を完全に諦めた。しかし己の夢を王馬の姿に重ね、彼の活躍を心から応援するようになっていった。
王馬の拳願絶命トーナメント出場のために、山下商事社長として拳願会の会員にさせられ、会員獲得の非公式仕合への挑戦料、トーナメント出場料と合わせて計51億円の借金を背負う。さらに借金の担保として全ての個人資産を差し押さえられ、乃木が拳願会々長に就任できなかった場合にはなし崩しで職も家も失う崖っぷちに立たされてしまった。当初は返済しようもない額の借金に心底慄いていたが、王馬への絶対的な信頼もあり、ヤケクソ気味に腹をくくった様子。
格闘技観戦を長年の趣味としており、表で有名な格闘家や技には明るく格闘家の体つきなどを多彩な語彙で表現する。
拳願仕合の雇用主側としては裏表の全くない実直な善人であり、串田からの評価は「ウチの雇用主ここがイヤだ」の質問に対し、無理やりに絞り出して「眼鏡をかけているところ」と答えている。その善人ぶりゆえか人望を集め、楓・串田も山下商事起業の際についてきてくれた。
実は江戸時代に乃木屋の闘技者だったが断絶したとされていた山下一族の末裔。「拳眼」と謳われた先祖の優れた動体視力の一端を受け継いでおり、トーナメント予選の際には勝ち抜く5人の闘技者を全員的中させ、組み合わせのスロットマシーンでは驚異的な最高得点を叩き出すという驚異の眼力を発揮するが、身体能力の低さから性能を100%発揮することはできない。人を見る目にも優れ、トーナメント日程の違和感や阿古谷の戦い方の不自然さに早々に気付くなど鋭いところもあるが、業界用語を知らずに勢いに任せて2800億円相当の賭けをしたり説明されるまでルール変更の真意に気付かなかったりと、間の抜けたところもある。
意外と負けず嫌いで大人げないところがあり、「ひねり飛車のカズちゃん」「長サウナのカズちゃん」などの異名を持っている。割と多芸で、将棋、遠投、水泳、釣り、素潜りなどの特技を持つ。ヘリコプターは苦手で乗り物酔いしてしまう。
起業から短期間で拳願絶命トーナメントに参加したこともあり各界から注目を浴びているが、肝心の本人は気づいていない。
2回戦前夜、長男が呉一族を飼いならそうと画策していたことに激怒した恵利央により、UM社との2仕合目で息子の命を賭けた勝負をすることになる。王馬が仕合に勝利した際、呉一族が約束を反故にした場合に備え、自らも恐怖を押し殺して恵利央と対峙。対峙する前に抹殺指令は解かれていたためその行動はあまり意味のあるものとはならなかったが、恵利央は姿も才覚も器もまるで違うのに一夫の姿がどこか滅堂と重なって見えたように感じた。
限界を超えても戦い続ける王馬を見て、息子ほどに年の離れた彼に頼りきっていた己を恥じ「恩人であり友人でもある王馬を死なせるわけにはいかない、誰も傷つくところを見たくない」とトーナメント棄権を決意。「敗退しても長男が借金を肩代わりしてくれる」「死んでほしく無い」と王馬を涙ながらに説得するも身体の状態から「次」がないと考えた彼には棄権を拒否された。以降は王馬の覚悟を尊重し、乃木からの八百長負けの指示も断る。300年前からの悲願についても教えられ、贖罪しようとする乃木に対して「先祖は恨んでいないだろう」と告げ、自分の意思で戦おうとする王馬の決着を見届けることを提案した。
トーナメント終了後、王馬の最期を看取り本土へ帰還。その後は34年間勤めた乃木出版を退職し、正式に「株式会社 山下商事」の代表取締役社長として新たなスタートを切った。
2年後には絶命トーナメントで乃木を拳願会会長にさせた実績があるから、拳願会でもかなり顔が知られた存在になっている。自らに接触してきた光我を仕合の「見学」に連れて行き、彼の実力では拳願仕合では通用しないことを示して翻意を促すが王馬と同じく「この世に自分より強い奴がいることが許せない」と発言したことで考えを変え、今のままでは確実に無駄死にすることを念押しした上で、彼を山下商事の闘技者見習いとして雇用。また滅堂の紹介でやって来た龍鬼もフリー闘技者として採用し自宅に下宿させる。
「煉獄」との合併をかけた対抗戦が行われることになり、乃木からの指示で代表闘技者選出を任されることになり、フリー闘技者の選考を担当。選考の過程において目黒正樹速水正樹という瓜二つの2人を見たことで、王馬と龍鬼が血縁者あるいは同一人物ではないかという疑念を強め、毛髪を使ってDNA鑑定を試みる。だが配送の過程で夏に妨害され、数ヶ月後に山下商事を訪問した長男から禁忌に触れている可能性があると忠告を受けるも、その日の夜に夏とその弟子により自宅を襲撃され、光我によって逃されるも再び包囲され絶体絶命になる。だがその時、2年前から行方不明だった雷庵と2年前に死亡したはずの王馬によって救出され、死を偽装していた事情を説明された。
対抗戦本番では拳願会チームの監督を任され出場順の裁量を委ねられている。当初はそれぞれ自己主張が強くまとまりのないチームをまとめられず苦心したが、ガオランが煉獄ルールの洗礼を浴びて敗北したことへの危機感からチームが団結し始めたため、闘技者たちの判断を尊重しつつ最終決定を下す立場として行動できるようになる。
『ダンベル何キロ持てる?』では、アマチュア将棋トーナメントの出場者としてゲスト出演するも優勝を逃した。
串田 凛(くしだ りん)
拳願絶命トーナメントにあたり、乃木から直々に山下に送られた秘書。24歳。「ッス」という語尾が口癖のフランクそうな美女だが、乃木から「トーナメント水面下で権謀渦巻く企業間の不正から山下を守る」ことを任されただけはあり、普段見せる顔とは裏腹に相当のキレ者である模様。その一方で色々と重要な情報を山下に説明し忘れていることが多い。顔のパーツが金田とほぼ同じであるが本人たちに自覚はない。実は面食い。
乃木グループ本来の秘書である楓よりも多くの情報を会長から与えられており、王馬たちグループ傘下の闘技者の動向を密かに監視し、調査結果をつぶさに報告している。
その正体は滅堂直属の諜報員。「中」の九蜘出身で、身勝手で後先考えず暴力で全てを解決しようとする死にたがりである同郷の人間を嫌っているが、王馬や氷室は例外として親しく接している。「中」から出てきたばかりの自分に親身になってくれた滅堂に恩義を感じているが、善人すぎて危なっかしい一夫を放っておけず、トーナメント後は本来の主人から離れ、一夫の補佐に努めることを決める。
『ケンガンオメガ』の開始時は闘技者スカウト部部長としてエジプトに長期出張中で、12月にはフランスで闘技者の勧誘に励んでいる。
現在のアニメ版では登場していない。
成島 光我(なるしま こうが)
『ケンガンオメガ』の主人公の一人。西日本出身の青年。20歳。
「無力だった自分への失望」と「圧倒的な暴力への憧れ」を抱え、無力感にイラついて物心ついたころにはすでにグレていた。まともに学校に通っていたのは小学4年生までで、勉強が苦手。特に地理に弱い。ことわざの勉強だけは好きだが、どれだけ勉強しても1日経つと全部忘れてしまう[12]
父親は幼少期に失踪、母親はおらず、反りの合わなかった親代わりの祖父によって「道徳」を学ばせるために空手道場に押し込まれ、そこで手に入れた力を思うままに奮って生きてきた。王馬と同じく「自分より強い奴がいることを許せない」と考えており、プロの格闘家になるのではなく、ノールールの殺し合いを生き抜く本物の強さを求めている。父方のはとこおじはフルコン空手団体「六真会館」の師範・成島丈二。
あちこちの道場に入門しては道場破りのような真似をして追い出されることを繰り返しており、キックボクシングと総合格闘技を1回ずつ、空手は4回破門されている。丈二の紹介で、一時は自身も六真会館に所属していたが、喧嘩をして破門された。この経緯から面子を潰してしまったと考えているので、丈二には頭が上がらない。
良くも悪くも田舎のヤンキー気質であり、身内には優しい反面、敵と認識した相手には敵意を剥き出しにするが、一夫達との出会いで性質が少しずつ変化している[13]。軟派で喧嘩っ早いが、意外に義理堅いところもある。好きな物はスカジャンで、裁縫が得意[14]。服の好みは王馬に近い[15]。基本的には、本気で世話になった人物への義理や礼節は弁える他、嫌っている相手でも恩を受ければちゃんと礼は言う、他人の面倒を見たり細かい気遣いもできる。
群れて粋がっていた3年前(『ケンガンアシュラ』の開始1年前)に出会った王馬に惨敗しており、恨みを持っている。王馬の足跡を辿り裏格闘技界の情報を集めていたところ、拳願絶命トーナメントで彼が戦っている静止画を発見したことで、相手が拳願仕合に参戦していたことを知る。そこで、友人の浅利に頼んで拳願仕合について調べてもらい、山下商事に接触。山下に連れられて見学した仕合を見たことで拳願仕合でレベルの差を痛感するも、誰より強くなるという野心を捨てられなかったため、見習い闘技者として山下家に居候しながら山下商事で働くことになる。
金田に案内されて超日本プロレスを訪れ、全国巡業までの1か月間、関林たちからプロレス修行をつけてもらい、続いて蔵地に紹介されたクレイシ道場に通い始め、同時にかつて在籍していた六真会館で丈二から指導を受けて必殺技の開発を進める。
基礎体力は十分で、超日で受けたわずか2週間のトレーニングで元々持っていた身体能力の使い方にも慣れるなど環境適応力も高く、ひと月の修行でフィジカルとメンタルはかなりタフになった。
現役闘技者に比べれば実力で大きく劣るものの、「センス」に関しては彼らの多くからも認められており、立会いをした黒狼や龍鬼を驚かせている。“拳眼”に匹敵する驚異的な眼力(動体視力)と非常に優れた観察力を有し、複数の格闘技を学んだ経験から技の仕組みや使用武術の流儀を見抜く力に長ける。
フットワークが雑で無駄な動きが多いせいで動きを読まれやすくすぐ疲れることと、力みが強すぎて力を無駄にしていることの2つが弱点で、そのせいでどんな攻撃が来るのかバレバレで簡単に対処されてしまっていたが、前者は龍鬼から臥王流の運足をの訓練方法教わったこと、後者は暮石の下で「力みと脱力のアンバランス」を指摘されたことで是正される。そして2か月後、余計な力みが消えて打撃が読まれにくくなり、コスモたちとスパーリングを繰り返したことで寝技にも強くなった。卒業試験としてホセと再戦、条件付きだが格上相手に見事に勝利し、関林から合格を言い渡される。その後は朝の超日での基礎トレ、昼間のクレイシ道場での総合格闘技修行と並行して、夜には六真会館本部にも通い、丈二の指導で三日月蹴りやブラジリアンキックといった「必殺技」を「軸」にする戦い方を学び、修行開始から3ヶ月目にして晴れて闘技者に合格する。3ヶ月前は手も足も出なかった黒狼を相手に勝てないまでも戦いが成立するレベルまで成長し、以降はそれまでの練習だけでなく1日の締めに黒狼とマンツー修行を加えしている。
同居することになった龍鬼とは、因縁のある王馬と瓜二つなこと、自分より後に山下商事に入ったのに先に闘技者に抜擢されたことなどから折り合いが悪かったが、修行を手伝ってもらったことなどで関係は次第に軟化し、2ヶ月後には友人になる。さらにその約1ヶ月後、龍鬼が人を殺している場面に遭遇し、彼がその事に全く罪悪感を抱いていないという価値観の違いに愕然とし、自分では説得することも止めることもできない無力感を抱えたまま絶縁を宣言するも、それから数日後に行われた阿古谷との仕合後に殺人が過ちではないかと考え始めたのを見て、まだ救えるのではないかと思い和解した。
対抗戦が間近に迫った11月30日の夜、山下家を襲撃した夏の一派から一夫を逃すため単身で夏の弟子たちを相手に奮戦し、ナイフで背中、腕、足などを刺されて重傷を負うが、駆けつけた護衛者の一団によって救出される。聖ガッデム病院で緊急手術を受け一命を取り止めたものの、1ヶ月後の対抗戦には出場が難しい状態になり、王馬からも諭されて出場辞退を表明した。その際、王馬から一夫を助けたことを感謝され、王馬が自身を覚えていて強くなったことを認められて感涙し、以降は王馬に対するわだかまりもなくなっている。
対抗戦後には闘技者として正式にデビューしており、2年間の間に拳願仕合に出てから、煉獄への短期のレンタル移籍をして実績を積んでおり、また王馬やアギトやロロンなどからも教えを教わっており、黒狼を倒せる程にまで成長しており、拳願会と煉獄の若手トップ集団の『超新星』の一角に加わっている。二階堂からも僅か一年で桁違いに強くなったと「徒手格闘の天才」とその実力を評価されており、豊田からも今の光我が対抗戦に出ていたらもっと盛り上がっていただろうと言われている。
使用武術・伝統空手、二虎流など
打撃系の格闘技が得意だが、柔道の経験もある。煉獄との対抗戦後に王馬から二虎流の技を教わっており、戦鬼杯の段階では使える技も多くなく、技の練度も高くは無いが、それを補うかのように新たな運用方を編み出しており、王馬からも「俺よりも飲み込みが早い」「お前なら俺と違う方向に二虎流を広げていけるかもな」と言われている。
主な技
三日月蹴り
丈二の指導で習得した必殺技の一つ。空手の蹴り技で、右脇腹の肝臓を狙って左足を回し蹴りと前蹴りの中間軌道で繰り出す。煉獄の見学に行った際に、弓ヶ浜に脇腹を殴られて膝を付いたことから着想を得た。体格差のある巨漢にも十分な威力を発揮する。
ブラジリアンキック
練習中の必殺技の一つ。相手の頭部を目掛けて足を振り下ろす蹴り技。三日月蹴りと組み合わせることで有効打を取りやすくしているが、採用試験時点では威力も精度もまだまだで、直撃してもタフな相手を倒しきれず、必殺技候補の域を出ていなかった。後に完成度を高めたことで、戦鬼杯の段階では決め技の1つとして成立している。
操流ノ形「柳(ヤナギ)」
王馬から教わった二虎流の技の一つであり、実戦でも使いこなせている。
金剛ノ型「鉄砕(テッサイ)」
王馬から教わった二虎流の技の一つであり、まだ技の練度が低く、攻撃面に関しては問題ないものの、長時間使い過ぎた結果自身の手に逆にダメージを負っていたり、硬化させた握り拳をすぐに元の状態に戻せないと言うデメリットがある。
火天ノ型「烈火(レッカ)」
王馬から教わった二虎流の技の一つであり、タックルなどに用いている。
金剛ノ型「不壊(フエ)」
王馬から教わった二虎流の技であり、鉄砕と同じく練度は低いものの実用段階には達している。
金剛・火天ノ型「瞬鉄・砕(シュンテツ・サイ)」
戦鬼杯での龍鬼戦でぶっつけ本番で自力で編み出した技であり、この技を教えてなかった王馬自身も驚きを見せた。
臥王 龍鬼(がおう りゅうき)
『ケンガンオメガ』の主人公の一人。通称『龍王』。臥王鵡角の血族と思われる青年。王馬と瓜二つの顔立ちをしているが、体格はやや小柄で、年齢も20歳ほど[注 2]。また、ちゃんと人の名前を漢字で呼ぶ。「蟲」のナイダンからは「オメガ」「最後の子」と呼ばれるが、自分では何のことかのか分かっていない。
二虎の遺言に従い殺人はしなかった王馬とは違い、かなりの数を「殺している」。「爺ちゃん」こと老いた鵡角から「蟲は悪なので、皆殺しにしなければならない」と教えられて育ち、「殺し方」として臥王流を伝授された。鵡角との組手はしているので実戦経験は豊富で、二階堂を圧倒するほどの実力者であるものの、登場時点では仕合の経験はない。実力は申し分ないのだが、殺人に対する「罪悪感」が欠落しており、試験であることを忘れて対戦相手を殺害しようとするなど、欠けている部分も多い。その後は仕合での殺人は控えているが、それも倫理感からではなく「ルールだから」というだけである。根本から誰も信じておらず、全てに心を閉ざしているため、教育係を担当した氷室も何を考えているか分からなかった。山下はその人格を「何もない」と評し、悪い人間ではないが良い人間でもなく、周囲の人間によってどのようにも変化しうると考えられている。
拳願仕合に参加するために「中」を離れ、鵡角からの紹介で接触を図った滅堂から山下を紹介され、山下家で下宿し始める。黒狼を倒したことで正式にフリー闘技者となる。鵡角からは、拳願仕合では地伏龍以外の技は使わないように言いつけられている。
他人とのコミュニケーションが苦手で、一言多いのが欠点。失言して光我を怒らせることが多いものの、彼を弱いとは思っていても嫌ってはいないため、動きに無駄が多いことを指摘して臥王流の運足の練習法を教えるというお節介を焼いている。また、服装センスは壊滅的。
「蟲」と敵対しており、拳願仕合に参加したのも彼らをおびき出すためである。敵のことは同じ人間だとは思っておらず、見つければ単に目障りだからという理由で自ら率先して殺害する。流石に一般人を手にかけることはないが、幽崎(偽)に襲撃されたことをきっかけに、拳願会関係者に変装した夏の弟子を4名殺害している。
殺人現場を目撃した光我と仲違いしたまま臨んだ阿古谷との仕合では地伏龍が通用せず、「爺ちゃん」との約束を破り他の技も使って殺してでも勝とうとしたが、戦いの中で光我にかけられた言葉を思い出し、おかしいのは自分かもしれないという思いが芽生えたことで反撃を中止し、マウントをとられたまま敗北する。仕合後に光我に自分の思いを伝えた事で和解し、同時に山下の意向で6人目の対抗戦代表選手に内定する。光我の努力を近くで見ていたために、「蟲」の襲撃で重傷を負った彼に対抗戦出場を辞退するよう宣告した王馬を嫌っている。
対抗戦本番では、「蟲」であるナイダンから話を聞くために第5試合に出場する。殺さずに倒すために速攻を狙うが、光我との約束で殺しを禁じたために力を出しきれず、スピードでは勝っていても焦りから攻撃が直線的になり過ぎて、「天空の目」で完璧に対応されて厳しい戦いを強いられる。試合中に鵡角を否定されたことに怒りを感じてもなお殺す気にはなれず、これまで殺してきた「蟲」とは桁違いの強さを前に追い詰められていくが、ナイダンが光我を殺そうとしたことで遂に本気を出し、双方本気で殺し合う中でマウントポジションから首を絞められて絶体絶命となる。そこで起死回生の「穿」で頸動脈を打ち抜いて致命傷を負わせてしまい、さらにナイダン自身がダメ押しで首の傷を広げて死亡。相手を殺害したことで試合は反則負けになった。この後桐生の誘いに乗り、対抗戦後は拳願仕合には出ては無く、密かに桐生や阿古屋らと共に「蟲」の拠点を襲撃して「蟲」を刈っている。また刹那から弧影流を教わっており「瞬」「羅刹掌」「羅刹脚」を習得した。戦鬼杯が行われているのを知ると、出場を表明していたが、刹那から、2年間の間、短期距離走に近い殺しをずっと行なっていたことで、長距離走に近い素手仕合では噛み合わない状態だと指摘され「相手を殺すつもりで戦う」と言う戦法に切り替えることにより、相手を明らかに殺すことも厭わない闘い方を行うようになった。
使用武術・臥王流、弧影流
臥王鵡角が使用していたという古流柔術。二虎流の源流と言える武術。
「弱き者達」が受け継いできた技で、その本質は「奇襲」にある。故に種が割れてしまえば脅威が半減する事から、仕合向きの技とは言えない。この弱点こそが、鵡角が臥王流を捨て、二虎流を生み出した理由のひとつと考えられる。
主な技
地伏龍(チフクリュウ)
土下座のような低い姿勢から相手を突き上げる技。本来は小型の刃物と併用し、胸部や頸部を狙って相手を殺傷する技だが、武器の使用が禁じられる拳願仕合では、上半身を極端に脱力し目線を下に向けたタックルを狙うかのような姿勢からアッパーを放つという形で使用している。
臥王流の技の例に漏れず「奇襲」で死角を突くため、黒狼戦で衆目に晒された後は闘技者相手には通じなくなっている。
纏鎧(てんがい)
筋肉を収縮、硬化させて衝撃に備える鎧に変え、敵の攻撃を受ける技。受け、避け、捌きが使えない局面で選択されることが多い。発展系である二虎流では、金剛ノ型「不壊」として取り入れられている。「不壊」よりも筋肉の締めが甘く防御力では劣るが、「不壊」よりも関節が動くので機動力に勝る。
裂空(レックウ)
地に伏せるまでは地伏龍と全く同じ動きを取るが、その姿勢から一気に垂直跳びして相手の頭部へ回転蹴りを浴びせる技。
柳(ヤナギ)
二虎流の操流ノ型「柳」と同じく、相手の力の流れを逸らして体勢を崩す技。
蛇伸拳(ジャシンケン)
間合いに入った瞬間に方向転換して側面に回り込み、攻撃を放つと思われる技。技を決める前にナイダンに潰されているので詳細不明。
双龍突(ソウリュウトツ)
両手で相手を挟むように下から拳を放つ技。
柔打(ヤワラウチ)
威力を内部に浸透させる、所謂「鎧通し」の打撃。頭部にクリーンヒットすれば、タフなナイダンでも膝をつくほどのダメージを負う。
穿(ウガチ)
「纏鎧」の応用で、指の筋肉を硬化させ、敵の急所を打ち抜く技。発展系である二虎流では金剛ノ型「鉄指」として取り入れられている。

乃木グループ[編集]

慶安2年創業。乃木商事を中心とした企業グループ。運送業・出版業などを展開する拳願会最古参企業の1つ。拳願会で2番目に古い「四龍」という派閥の1社でもある。主人公たちの属する企業であり、物語の中心を担う。企業序列第6位。拳願仕合通算成績1857勝453敗。

乃木 英樹(のぎ ひでき)
声 - 中田譲治[10]
乃木グループの会長。カリスマ性を感じさせる壮年男性。61歳。
王馬を始めとして、複数の優秀な闘技者を擁する。確かな経営手腕は持つものの、意外と自由人なところがあり、拳願仕合ではトイレに飾るためのコッポの絵画を賭けたり、クラブのお気に入りの女の子とのデート券を賭けたこともある。
拳願絶命トーナメントの発起人であり、「彼の代表闘技者が敗北を喫した場合、乃木グループは即時解散する」という約定のもとトーナメントに参加している。本来、経営者としては堅実で大博打を打つようなタイプではないが、先祖代々罪悪感を受け継いできた山下家の子孫の存在を知ってしまったこともあって、「先祖の悲願」である拳願会の革新を達成するために優勝を目指している。本当の目的は自身が会長に就任した際に山下を副会長に就任させることで、山下商事も一度乃木グループの役員として経験を積ませた後で改めて社長として運営してもらうつもりでいる。
トーナメントでは自社含め3枠分を確保した状態で本戦へ進み、うち2枠を残したまま3回戦へ進出する。また自社枠では1回戦でどちらが勝利しても指名権が自分に渡るよう画策した上で仕合に臨んだ。さらに湖山マートとも手を組んで蕪木に加えハサドをも自身の配下に迎えた上で速水の下へ潜入させておき、彼のクーデターが起きた際には観客席に居ながら事態の収束に一役買った。
準決勝では自社の支持者同士が左ブロックで当たることとなり、負傷の度合いが酷い山下商事を八百長で敗退させ、王馬の島外での治療、山下の借金51億円の無償化と乃木グループ役員への登用を条件として提示するが、覚悟を決めていた山下に申し出を断られる。
自身が送り込んだ闘技者は優勝することが叶わなかったが、会長指名権を得た鷹風からの推薦で拳願会第59代会長に就任する。
『ケンガンオメガ』では、滅堂の引退により拳願会が求心力を失いつつあることを危惧し、「煉獄」の東アジア裏格闘技界とのパイプを手に入れるため、豊田からの合併の提案を呑むことを決意する。王馬と同じ顔の龍鬼の出現や、器官培養された王馬自身の心臓が届いた件から、戦力として申し分なく部品交換が容易い戦闘員としても工作員としてもうってつけの人材として、「蟲」が王馬のクローンを作っているのではないかと疑っている。また、目黒正樹と同じ顔の速水正樹の存在から、拳願会を乗っ取ろうとした速水が「蟲」からクローンの「技術提供」を受けているのではないかとも考えている。
秋山 楓(あきやま かえで)
声 - 内山夕実[10]
乃木の秘書を務めるクールで知的な面持ちの美女。拳願仕合についても乃木の秘書として深く知っている様子で、そちら方面の知識に疎い山下に対し助言やサポートを行う。初見のことはあまり信頼していない。年齢と体重は不詳(おそらく王馬とほぼ同年代)で、聞くと怒る。一見冷めた性格のようだが、実は人付き合いが苦手なだけの模様。ちなみに彼氏募集中。
最近は王馬のことが気になっており、彼が女性に絡まれていた際には嫉妬心を露わにしていたが自分から積極的に動くことはない。実はBLにも興味がある。かなり酒に強い。
乃木が拳願絶命トーナメントの計画を自分に秘密にしていたことに腹を立てており、トーナメント中は山下商事の面々や4バカと行動を共にしている。
トーナメントを終え、山下が本格的に起業した際にはその準備を手伝い、2年を経た『ケンガンオメガ』でも山下の秘書をしている。新たに闘技者に志願した光我と龍鬼に、拳願仕合についての基礎を説明した。山下同様、王馬が死亡していたと思っていたので、彼と2年ぶりに再会したときには驚き過ぎて失神している。
初見 泉(はつみ せん)
声 - 蓮池龍三[16]
乃木グループの正闘技者。「初見流合気道」の使い手。通称『浮雲』。41歳。軟派で女好きな遊び人風の中年で、楓にも隙あらばちょっかいをかけている。
戦績は15敗と実力を疑問視される黒星の数だが、実力よりも素行に問題があり、負けの理由は寝坊が9回、バックレが4回、ド忘れが2回。不真面目を絵に描いたような性格であるため「拳願会史上、最強の無責任男」とあだ名される。
内面は信頼に足るとは言えないが、実力そのものは超一流で、なおかつ非常に負けず嫌い。驚異的なスピードの持ち主であり、手負いとはいえ「前借り」状態の王馬の打撃をすべて防いで見せた。投げや関節技を得意とする柔に特化したタイプで、本職のストライカーには劣るが打撃の技術も高い。「膝の入り抜き」を使い体軸をずらすことなく最小限の動きで攻撃をかわす技能を持ち、死を回避できるギリギリの距離まで打撃を引きつけることにより、まるで攻撃がすり抜けているように錯覚させられる。短期間に仕合を繰り返すと調子が上がっていく性質があり、絶好調の時には「何をしでかすか分からない」と評されているように現役トップクラスの闘技者である若槻や関林をも一蹴している[注 3]のだが、ムラが大きく、調子が悪いと仕合に出ても格下相手に苦戦することがある。
乃木が拳願会々長に名乗りを上げる計画も承知しており、調整のためにしばらくの間良三の道場や乃木の軽井沢の別荘へ厄介になっていた。拳願絶命トーナメント代表闘技者を選ぶにあたり乃木グループの闘技者に復帰、乃木によって王馬を差し置いて代表に指名される。
奏流院紫音の元カレでもあり、自身の浮気が原因で別れたものの未だに尻に敷かれている。若いころは海外に武者修行に出ており、その縁で滅堂から五代目『滅堂の牙』候補としてスカウトされたことがあるが、1週間ほどで飽きてしまい誘いを断っている。乃木グループの闘技者になったのは若くて美人の秘書(=楓)がいると聞いたため。飄々とした性格が二虎を連想させるため、王馬からは若干の苦手意識を持たれている。
トーナメント1回戦では複数の格闘家の技を使う千葉を警戒して戦い、相手の合気道の技を使うというミスを見逃さず僅か26秒で降し、額を軽く切られただけで2回戦に駒を進める。だが、乃木が帝都大学と手を組みいざという時には自分に坂東を殺させようとしていたことを知り、不信感を抱く。
2回戦では治療を終えた坂東と対戦。関節技が通用しないという点で不利な相手で、自分を確実に殺そうとしてくる坂東への恐怖を押し殺しながら立ち向かう。事前に乃木の力を借りて坂東の情報について知ったことで、坂東の奥の手について考察していたおかげで間合いを計りつつ必殺の一撃を回避し続け、相手の油断を誘って関節を極めるので無くて腕の骨をへし折り、最後は百会投げを使って勝利した。
クーデターの時には戦わずに逃げ回っていた。
3回戦ではアギトと対戦。王馬の協力で絶好調の状態で仕合に臨むも相手の進化を見誤る。無意識のうちに受け流しを使うことで瞬殺を避けたものの、高威力の寸勁で追い詰められ、先の先を取られて手加減されたハイキックで頭を蹴り飛ばされ意識を失い敗北する。
トーナメントの約1年後に中国に渡り、以降は消息不明。
『求道の拳』の登場人物である自称「ネオNINJA」、「日本一の馬鹿息子」こと初見良三とは遠い親戚関係にあるという裏設定がある。分家の出身でありながら一応初見流の次期当主ということになっているが、現当主が元気すぎるためあまりその自覚はない。
使用武術・初見流合気道
「当身7分で技3分」を旨とする、上芝流合気柔術の技術体系を受け継ぎ初見剛一郎が起こした流派[17]。打撃の鍛錬も徹底的に行う。
主な技
叢雲・三連
体勢を崩した相手の烏兎・人中・下昆の急所3カ所に、一本拳で連続の当身を放つ技。
百会投げ
座り込んだ相手の片腕を掴んで引くと同時に同じ側の脚を払い、体を大きく投げ上げて頭頂部から地面にたたきつける技。
星落とし
左腕で抑えた相手の腰を支点に右掌で顎を押し上げるようにして投げ、受け身を取らせず後頭部から地面に叩きつける技。初見の集大成とも言える必殺技。
本間 清(ほんま きよし)
外人傭兵上がりの殺し屋。通称『伯爵』。乃木の依頼で義武を襲撃したが、義武が雇った2名の闘技者の前に敗れる。だが、実はトーナメント直前に拳願会員になっており、仮に初見が敗れた場合「会員同士の私闘を禁じる」ルールを利用して乃木を指名するよう脅迫するための駒だった。
山下 一之進(やました いちのしん)
江戸時代の拳願会黎明期に乃木の闘技者として拳願仕合に出場していた男。山下家の先祖にあたる人物。
拳眼』の異名を持つ当時最強の闘技者の一角で、超人的な動体視力を武器にあらゆる攻撃を見切っていた。没落武家の出身で、乃木屋からの資金援助を受ける代わりに仕合に参加していたが、長年の無理が祟って手の施しようがないほどに体を壊しており、それでも夢のために戦うも第1回拳願絶命トーナメントの決勝戦を前に死亡。実家の跡取りだった兄も急死したため、山下家は途絶えたとされていた。
乃木屋 英吉(のぎや えいきち)
乃木家の先祖で江戸時代の人物。一之進の雇用主。拳願会長の座を狙い「拳願仕合の大革新」を起こそうとしていた。
上層部に掛け合って第1回拳願絶命トーナメントを開催させるが、仕合中に闘技者だった一之進を死なせてしまう。この一件の罪悪感は子孫にも代々語り継がれていた。
君島 まな(きみしま まな)
乃木グループの新人会長秘書。『ケンガンオメガ』から登場。22歳。大学卒業後即会長秘書になった優秀な人物[18]。山下の大ファンで、乃木の右腕として拳願会の頂点に至らせた伝説のサラリーマンとして尊敬している。

SH(すごく冷えてる)冷凍[編集]

乃木グループが最近買収した食品を扱うロジスティック物流)の会社。前社長が在庫を放置して夜逃げしたため、正社員は3名。社員が全員体育会系なので、休憩時間に筋トレをするための器具が置いてある。企業序列ランク外。

理人(りひと)
声 - 金子隼人[19]
SH冷凍社長兼闘技者。元・義武不動産闘技者。通称『超人』。26歳。十鬼蛇王馬の拳願仕合デビュー戦の対戦相手。
本名は「中田一郎(なかた いちろう)」。生まれながらに桁外れの「ピンチ力(握力の一種で、指先のつまむ力)」を持つことから「超人」を自称し、「ヒーローは本名を名乗らない」という理由で自身もヒーローネームとして「理人(人間の理を超えた者)」を名乗っている。
王馬より1回り大きな体格で、獰猛な獣を思わせる容姿と性格。特に流儀はなく、天性の格闘センスと身体能力で戦うストライカー。キャリアはまだ浅いが、その型にはまらない戦闘スタイルから期待のホープとして名を馳せている。最大の武器は必殺技の「レイザーズ・エッジ」を支える驚異のピンチ力であり、小学生のころには500円玉を引きちぎり、現在では装備なしで断崖絶壁を登頂してしまうほどで、試した事はないものの、甲冑すら断ち切れると自負している。
王馬との戦いで完敗し初の黒星となった後、闘技者をクビになる。時給がいいとの理由で乃木グループ系列の運送屋でアルバイトをしていたが、ある日自分の前に現れた乃木の口車に乗せられ、乃木から譲り受けた会社の社長に就任すると同時に、拳願会史上初の社長兼任闘技者として返り咲き、拳願絶命トーナメントに出場する。
王馬に対してはリベンジを誓う間柄だが、戦い以外には無頓着で世間慣れしていない王馬と対照的に単純で気のいい「今時の若者」であり、普段は割と仲良く絡んでいる。大久保、金田、氷室と行動を共にしており、串田からは「4バカ」と呼ばれ、特に大久保と気が合う模様。我が強い闘技者たちをまとめて仲良くするなど、社交的で妙なカリスマ性がある。高校時代から沢田と因縁があり、仲は悪いがお互いがお互いを気にかけており、沢田がユリウスの手で足をへし折られたと聞いた時には敵を討つことを誓った。
知能はあまり高くないようで、特に記憶力に難がある描写があるが、実は帝都大学の卒業生であり、入試で名前を書けば合格できる馬鹿田高校をして「前代未聞の馬鹿」と言われたにも関わらず、現役合格した経歴を持つ。
女好きで、王馬との仕合前には女性を侍らせており、願流島でも大久保と一緒になってナンパに励んでいた(光我曰く「盛りがついた大型犬」)。ギャンブルの類も好きなようだがセンスがなく、カジノでは身ぐるみを剥がされ、仕合順を決めるためのルーレットでは全9ケタのマシンで226(31社中最下位)という驚異のスコアを叩き出した。一方、最強を目指して真摯に努力している人間であり、自身の利益になるであれば自分に屈辱を与えた存在(野木グループ、黒木)の下につけるあたりは大物だといえる。
1回戦で黒木と対戦。仕合中にかろうじて「レイザーズ・エッジ」を当てることができたものの、圧倒的な実力差に仕合時間中ほとんど手加減され、手加減をやめた彼のわずか4発の攻撃で敗北した。
仕合後は姿を消していたが、自分の実力の低さを痛感して自らに完勝した黒木に弟子入りを志願する。弟子に取ることは拒まれたものの経験の少なさを指摘され、より多くの戦いを見るよう助言を受け、怪腕流の型を看取り稽古するなどして実力を高めようとするようになる。トーナメント終了後も黒木の下へ押しかけて修行に励んでいる。
『ケンガンオメガ』までの2年間で、黒木の修行で伝授された怪腕流の基礎と、自力で考え編纂した「中田一郎流」の技術のハイブリッドともいうべき戦法を編み出す。2年前よりも成長して、構えは相手に正対した前傾姿勢からオーソドックスに近いコンパクトなものに、技術を身につけたことで、以前までのムラが大きい天賦の才によるゴリ押し戦法とは変わって動きからも無駄が消え、コンビネーションを使うようになっている。煉獄基準でもB級上位からA級の実力はあると評価されている。対抗戦の代表選手として出場要請を受けた黒木の代理としてアメリカから帰国し、茂吉との仕合に勝利した事で9人目の対抗戦代表選手に内定する。
対抗戦本番では第2試合に志願し、隼と戦う。2年間で培った洞察力で隼の忍法ミスディレクションを見破るが、忍法肩透かしとも組み合わされたことで動きが読めなくなり翻弄される。しかし最善ではないとはいえ自力で活路を見出し、顎以外をガードすることで、わざと顎のガードを開けて肘打ちを誘導しカウンターでレイザーズ・エッジをクリーンヒットさせる。その後、薬効によって毒性を帯びた指での攻撃を、序盤から受けていたことで蓄積していた毒で身体の自由が利かなくなりつつも、一歩も引かずに猛攻を繰り出し、隼も恐れる程の底知れなさを見せるが、組み付かれたまま毒を持った指の爪で刺され続けたことで遂に毒が全身に回り、裸締めで意識を落とされ敗北した。
試合後も毒による後遺症で記憶の混濁と異様な衰弱を示していたが、第6試合後には毒の影響も抜けて元気を取り戻しており、隼と口論するまでに回復している。第9試合が阿古屋とニコラの両者が暴走したことで仕合が止められると、メデルに連れられて医務室からリングに向かい、死人が出ないように暴れる阿古谷を取り押さえる。
2年後の戦鬼杯では予選から頭と動きが噛み合わないスランプ状態になるも、本戦の準決勝でのサーパインとの闘いの最中に、頭と動きのズレがなくなったことで、黒木から守破離の離に至ったと評されるほどの成長を見せ、元々の戦闘スタイルだった、型に嵌まらない野生剥き出しの動きに、黒木の元で学び、四年間もの間『武』を学んで覚えた洗練された技巧が合わさった「『野生の暴力』と『武』が融合した」新たな戦闘スタイルを生み出した。また打撃技だけでなく、寝技や締め技なども使うようになっていった。決勝戦では対戦相手の光我が準決勝の死闘で満身創痍だったこともあるが、真っ向からの打撃戦となり圧倒的な力の差を見せつけ優勝を勝ち取った。
主な技
レイザーズ・エッジ(こそぎ落とす十指)
並外れたピンチ力で相手の肉を削り取る技。その切れ味は鉄骨すらも切り裂くとされ、腱を狙えば機動力を大幅に削ぎ、動脈を狙われれば大量出血は免れない。また、皮膚を攻撃対象にする以上、防御すれば防御した部位の皮膚を切り裂かれることになる。これらの特徴から、当たりさえすれば、格上相手でも一発逆転が可能な切り札とされている。黒木も「あの技だけは真似できない」というほど。煉獄に所属している隼も「鉄をバターの様に抉り取る、突出したピンチ力を持つ恐るべき指の持ち主」と理人の噂を聞いており、実際に技を受けた時には噂以上だと驚いていた。
欠点として、切り裂くためには勢いが必要なため、密着する、あるいは手の甲を抑えるなどして距離を殺してしまえばレイザーズエッジは使用できない。しかし拳願絶命トーナメントの予選では弱点を克服しており、密着した状態から相手を切り裂いてみせた。
駒田 茂(こまだ しげる)
声 - 白熊寛嗣[20]
元・乃木グループ闘技者。通称『仁王の駒田』。42歳。背中に仁王彫り物を背負った大男であり、並みのボディビルダーとは比較にもならない仏像のような凄まじく発達した筋肉の持ち主。パワーは勿論、その巨体からは想像できない速さも併せ持つ。
トップクラスにはおよばないながらもそれなりの強豪ではあったが、拳願仕合に出場したい王馬に路地裏で戦いを挑まれ、野仕合を行うことになる。パワーでは圧倒していたが、力の潮流を支配する王馬の操流ノ型で腕を破壊された後、滅多打ちにされて敗北、闘技者の座を奪われてしまった。
闘技者をクビになった後は、次の就職先も決まらず無職になり、おまけにワカメがトラウマになって眠れない日々を送る。闘技者として返り咲くためにイワンと共に修行を行い、驚異的な破壊力を持つ「仁王爆裂掌」を完成させるも、闘技者の座を奪うために襲った相手が関林ジュンであったため、手も足も出ずその場でボロ雑巾にされる。その後、居酒屋でイワンと飲んでいた所、たまたま理人と出会い、彼の誘いでSH冷凍の正社員となり、副社長に就任した。
トーナメント同行中にクーデターに巻き込まれ、絶体絶命となったが、拘束を解いた板東に助けられた。
イワン・カラエフ
声 - 阿座上洋平[16]
元・義武不動産闘技者。通称『ロシアの死神』。33歳。最近頭角を現してきたロシア人キックボクサーで、王馬をして「良いコンビネーション」と感嘆する打撃技術を持ち、「死神の鎌」と呼ばれる膝から先のスナップを効かせた強力なハイキックを得意とする。
理人の仕合前に力を計るための噛ませ犬として王馬に差し向けられ、一戦交えることになるが、ハイキックの際に大きく晒すことになる股間を狙われ、一撃で敗北。伏してもなお負けを認めなかったものの、最後は理人によってレイザーズ・エッジで頚動脈を裂かれとどめを刺される。その後、山下に救急車を呼んでもらい一命を取り留めるが、救急車に同乗した山下からサインを書かされたり写真撮影を求められるハメになり、退院後も闘技者をクビになってロシア語講師で食いつなぐなど散々な生活を送る。
闘技者として返り咲くために駒田と共に修行を行い、「冥府のバトルアックス」なる一撃必殺の新技を完成させるも、うっかり襲ってしまった関林ジュンに完膚なきまでに敗れる。その後、居酒屋で駒田と飲んでいた所、たまたま理人と出会い、彼の誘いでSH冷凍の正社員となり、副社長に就任した。当初は自分を殺しかけた理人を恨んでいたが、職を与えてくれたこともあって今では恨みもなく、スパーリングに付き合ったりもしている。
トーナメント同行中にクーデターに巻き込まれ、絶体絶命となったが、拘束を解いた板東に助けられた。
『ダンベル何キロ持てる?』の主要登場人物であるジーナ・ボイドの叔父でもあり、90話で客演して職場体験に来た4人組を案内した。
モデルは『ロシアの速射砲』ことルスラン・カラエフ[21]
使用武術・キックボクシング
主な技
死神の鎌
イワンが得意とする必殺のハイキック。ヒザから先のスナップを効かせた空手に近い回し蹴りで、全身がバネのイワンが使用することによって、速度も威力も桁違いに跳ね上がる。

義武不動産[編集]

昭和19年創業。三代目社長・義武武義(よしたけ たけよし)の代で急成長を遂げた新興企業。国内のみならず、海外不動産事業にも注力する。企業序列第22位。拳願仕合通算成績166勝71敗。

義武 啓郎(よしたけ よしろう)
声 - 山本兼平[16]
義武不動産の社長。39歳。福耳とオネエ口調が特徴的な男。内股や立てた小指などオカマ的な仕草が目立つが、「玉無し」扱いされると怒る。気が立つと内股の角度が深くなるらしい。
乃木とは犬猿の仲。派閥に属することなく若くして拳願会でも上位の地位を得ていることから非常に有能で、クーデターを画策した速水に対し震えながらも啖呵を着るなどなど気骨もあるが、乃木からは若造と侮られている。
新幕の内ビルディング新設施工権に絡む100億の利権を賭け、理人を擁して自信満々に乃木グループとの拳願仕合に臨むが、王馬の予想以上の実力の前に敗北。腹いせに理人をクビにするものの、それ以来業績は右肩下がりとなる。
拳願絶命トーナメントの際には呉一族に出場要請を打診したものの、同じく出場を打診してきたアンダーマウント社の方が金払いがよかったため断られてしまい、代わりに千葉を闘技者として招き入れる。他の企業からの攻撃に備え予選敗退した闘技者をボディーガードとして一時的に雇い襲撃者を撃退したが、結局は乃木の掌で踊らされていた。その後2回戦では腹いせのように雷庵の勝利に大金を賭けたが、勝負に負けて大損してしまう。
山下と絡む機会が多く、トーナメントの仕合順を決める時には、あまりにも無知な彼を憐れみ拳願会の事情について説明した。山下のことは割と気に入っているようで、彼が乃木出版を退職する際の迎えにも自ら出向いた。
キン肉マン』の大ファンでもあり、好きなキャラはジェロニモ
モデルは原作者の地元の友人[22]
千葉 貴之(ちば たかゆき)
声 - 星野貴紀[23]
義武不動産闘技者。通称『顔のない男(グレートアクター)』。37歳。
全くの他人に成りきり犯罪に手を染める裏専門の「役者」の中でも荒事専門の武闘派。一度見た人間の動きを100%トレースできる能力を持ち、表の世界で有名なガオランや大久保、その他大勢の(故人も含む)格闘家の動きをトレースしてみせた。巧妙な嘘とハッタリで相手を「躊躇」させる話術も得意とする。また、過去には棋士に「成った」こともあるらしく、将棋の腕は金田以上かもしれないという。
拳願絶命トーナメントでは初見と対戦。ブラフを駆使して精神的に初見より優位に立ち、初撃を加えたものの、「過信」と「判断ミス」から合気道の達人である初見に合気道の技で挑むという悪手を取り、技をかけ返されてわずか26秒で敗北する。仕合後はすぐに復帰し、クーデター時には鎮圧を行った。
『ケンガンオメガ』でも現役で闘技者をしている。5連勝がかかった仕合で同じくレジェンドである鬼王山と戦い、中国拳法主体の立ち回りを試みたが、上手投げで地面に叩きつけられ敗北。
モデルは千葉真一真田広之[24]
主な技術
演の極み「写し」
一度見た人間の動きと技を100%トレースする技術。必要な技術のみを再編し、つなぎ合わせることも可能。
ただし、動きをトレースできてもパワーは千葉のものであるため、理人の「レイザーズ・エッジ」や呉一族の「外し」といった「身体能力に依存する技」はトレースできず、さらに1動作(連携)につきコピーするのに2時間かかるなどの弱点もある。そのため、トーナメント1回戦時点で千葉が使用できるのは48名分の技にとどまっている。
理人、イワン・カラエフ
元・義武不動産闘技者。

(株)湖山マート[編集]

蕪木 浩二(かぶらぎ こうじ)
通称『呪術師(メディスンマン)』。45歳。見た目は小太りなくたびれた中年にしか見えず、勝敗数からわかる通りさほど強くもないが、過去に彼と戦った闘技者は勝敗に関わらず全て再起不能になっている「闘技者殺しの闘技者」。湖山マートの正社員でもあり、その店頭売上は5年連続ナンバーワンである。
その正体は暗器使いであり、モスキート音による聴覚の阻害、を塗った手での目潰し、手首に仕込んだ針など、あらゆる反則技を使って相手を潰しにかかる。戦った闘技者の傷から凶器による攻撃ということはすでに割れているが、「審判の厳重なチェックをくぐり抜けての反則は、拳願会の信用に関わる」という理由から、仕合中の凶器の使用はすべてなかったことにされてしまう。
コッポの絵画『薔薇』を賭けた王馬との仕合でも反則技を多用し圧倒するが、カクテルパーティー効果によって音を識別した王馬の反撃を受け、その凄まじい闘気にたまらずギブアップする。
拳願絶命トーナメントそのものには参戦せずに乃木からの依頼で潜水艦を操縦して願流島に潜入、保護したハサドと行動を共にする。トーナメントの裏で東洋電力に始末屋として潜り込んでおり、捕縛した4名の社長を監視していたが、クーデター中に本来の役目に戻って守護者を制圧、社長たちを解放した。
アニメには登場していないため、王馬の戦績は原作よりも1勝少なくなっている。
モデルは石川浩司で、名前は同氏の楽曲「カブラギのおしえ」が由来[25]
湖山大正(こやま たいしょう)
(株)湖山マートの社長であり、蕪木の雇い主。自身の闘技者に対する信頼は篤く、反則攻撃にも協力を惜しまない。拳願絶命トーナメントには参加しなかったが、乃木から依頼された裏工作を蕪木に指示し、会場の映像を彼に送っている。

(株)ガンダイ[編集]

昭和25年設立。玩具、模型、文具、生活用品などの製造販売を行っている。中でもホビー事業に力を入れており、キーチェーンゲーム『たまご野郎』は爆発的売り上げを記録し、社会現象となった。企業序列13位。拳願仕合通算戦績997勝599敗。

拳願絶命トーナメントでの賭けにより、『ケンガンオメガ』では岩見重工派閥の傘下に属している。

関林 ジュン(せきばやし ジュン)
声 - 稲田徹(ドラマCD・Webアニメ[4][19]) / 山根雅史(『ダンベル何キロ持てる?』)
デスマッチから本格プロレスまで何でもこなす、超日本プロレスの不動のエースであり、表格闘技界のビッグネーム。「ジュン」はリングネームで、本名は「関林純平」。通称は表でのキャッチコピーでもある『獄天使』。38歳。プロレス以外の全ての格闘技を下に見ており、他の闘技者を「一般人」と称してはばからない。
拳願仕合に参加する闘技者でも5指に入る実力者であり、超人的なタフネスとパワーを誇る。いかにも悪役プロレスラーといった恐ろしげな風貌をしているが割と社交的で、ファンの期待を裏切れない男。素の状態では物腰も柔らかく、解説も非常に丁寧。大飯食らいの大酒飲みだが、甘い物も好き。常識人であり、食事マナーの悪いコスモを窘めることもある。料理も得意で世話焼きなので、若槻からは「田舎の婆ちゃんみたいな奴」と評されている。一方でネーミングセンスが悪く、パクりに走りがちなのが欠点。
現在でこそ社交的だが物心付いたころから祖母と2人暮らしで両親の顔を知らず、中学時代はかなり荒れた生活を送っており、15歳で超日本プロレスに入門した。入門初日に当時の社長・馬場道山に喧嘩を売るも返り討ちにされるが、馬場道山から気に入られ、過酷な練習メニューをこなして行き、半年後に馬場道山から「獄天使」のキャッチコピーと「関林ジュン」のリングネームを与えられた。それ故自分を変えてくれたプロレスと馬場道山への敬愛は強く、馬場道山が死去した際にも、生前の彼の言葉に従い葬儀には参列せずに、涙を流しながら道場での鍛練を続けていた。
「格闘技者には痛みから逃れる『権利』があるが、プロレスラーには攻撃を受けきる『義務』があるのみ」という持論から、相手の攻撃を一切ガードしない主義。しかし、それを補って余りある耐久力と中年とは思えない体力を持ち、王馬の激しい打撃を喰らってもほとんどダメージを受けなかった。体重差が2倍以上の春男にぶつかっても一方的に転ばせ、かつ片手で引っ張って軽々と立たせるという怪力の持ち主でもある。得意技はアルゼンチン・バックブリーカーで、他にも裏投げ逆水平チョップなど、豪快で渋いプロレス技を使用する。滅茶苦茶なフォームから力任せに放たれる打撃の威力自体は見た目ほど高くないが、相撲の張り手に近いプッシュパンチは格闘家の「突き」以上の「重さ」があるので、重心ごとはじかれるが故にかわし難く、体重差20キログラム近いとはいえ100キログラムを超す巨漢のムテバでも踏ん張るのは難しい。逆水平チョップは巨漢レスラーを一撃で昏倒させ、蹴りは体格差があったとはいえ王馬をサッカーボールのように軽々吹き飛ばすほど。「3次元の戦い」にも慣れており、壁を利用するダイビング技のような立体的な技も使いこなす。
プロレスラーらしくマイクパフォーマンスも得意で、仕合中にも巧みな話術を使う。また闘技者である以前にエンターテイナーであることを自負しており、王馬戦では相手のラッシュをわざと受け、鬼王山戦ではわざわざ登場順を変更させ大銀杏を結って登場するなど様々な手で観客を楽しませる。
王馬に対する乃木からの最終試練として対戦が決定。その圧倒的な打たれ強さとパワーで終始王馬を圧倒するが、気管を潰されることにより脳への酸素の供給を絶たれて失神、敗北する。しかしその直後に、負けを認めつつもさもダメージがなかったかのように立ち上がっており、敗北してもなおその頑丈さを示す結果となった。
その仕合の勝敗によって開催が決まった拳願絶命トーナメントにも、「お前以上の闘技者に心当たりがない」ということでそのまま選手としてガンダイ社長に任命される。
トーナメント1回戦で鬼王山と対戦。一方的に攻められ内臓や左膝に大きなダメージを負うも、最後まで相手の攻撃を一切回避することなく受け切り、必殺の「激旺」を返されて膝をついた鬼王山をパワーボムで昏倒させ、信念の差により辛くも勝利を収める。鬼王山戦後に仕合を見て感化された春男を弟子にした。
2回戦はリザーブ枠の制度を利用して、マーヴェラス・セキと選手交代した。
東電によるクーデターの際は、医務室で負傷者たちの中心となって守護者と戦う。
『ケンガンオメガ』でも現役で、金田に連れられて超日に来た光我に新入りたちに課しているスパルタ訓練を受けさせた。筋の良さから、「本当に入門しないか」と内心で思っている。対抗戦出場選手の候補だったが、ホセが煉獄の試合で重傷を負い、興行の穴を埋める必要が出たため、春男と共に対抗戦への参加は辞退する。その代わり、対抗戦までの3ヶ月は光我を全力でバックアップすることを表明した。
モデルは関本大介岡林裕二"黒天使"沼澤邪鬼葛西純の4名[26]
『ダンベル何キロ持てる?』の回想シーンでも登場。また、第111話では「マーヴェラスからの紹介」という形で道場見学に来たひびきたちを鍛える。
マーヴェラス・セキ
関林の盟友[注 4]で、彼が「魔界から召還した」極悪非道のデスマッチレスラー。通称『地獄天』。道化師のような白塗りの顔と、両頬に書かれた「獄天」の文字が特徴。関林とはファイトスタイルも異なり、「プロレスってのはバレなきゃ何してもいい」と嘯いて、鼓膜の破壊などの過激でインパクトの強い技を使い、「怖いプロレス」と称する。
活動期間は1年で、次々に過激なデスマッチを実行し、超日リングを恐怖のどん底に叩き落とし、2年前に行われた蔵地との「蛍光灯1万本デスマッチ」を最後に「魔界へ帰還」したが、拳願絶命トーナメント2回戦にてリザーブ枠を行使し、関林に代わって仕合に出場。他の企業や闘技者からは、プロレス好きの片原会長が許した演出で実際には闘技者が入れ替わっていないのでリザーバー権が残っていると判断していた。対戦相手のムテバに対してプロレスの流儀で攻め立て、急所攻撃を安全に受けて両耳の鼓膜を破壊し聴力を奪うなど一時は圧倒していたが、相手の演技に騙されて自身も両耳の鼓膜を潰され、目つぶしを警戒していた時に虚を突かれて「心臓抜き」で心臓を止められ大ダメージを負う。破壊された耳が治療可能であったことからムテバが「心臓抜き」に手心を加えており、そのおかげで直後に立ち上がり最後の力で渾身のボディースラムを繰り出したもののすで意識を失っており戦闘不能となり、ムテバなりのリスペクトによる裏投げからの3カウントでのプロレスの流儀に則って敗北した。敗れはしたものの観客からは賞賛の拍手が送られていた。
ケンガンオメガでは煉獄との対抗戦当日にプロレスのタッグリーグに春男が変装したマシンジャガーと共に出場しており、シカゴの悪夢の異名を持つデスレイザーズと試合をしている。
『ダンベル何キロ持てる?』第111話にも登場。ひびきたちに「設定」を連呼されて困惑したものの、ファンサービスを忘れない人の良さを見せつける。
使用武術・プロレス
主な技術
受け返し
「プロレスにガードはない」という信念を突き詰めた結果完成させた技術。攻撃をあえて崩したフォームで受けることで逆に相手の肉体に負荷をかけダメージを与えるというもので、相手の攻撃力が高いほど効果がある。若槻曰く「コスモの"ゾーン"と同じく"受け身のスペシャリスト"しか出来ない」。
目つぶしや金的のような、「受けてはいけない技」を「避ける」のではなく「打点を外して安全に受ける」ことにより、相手が攻撃を外したかのように錯覚させる技術も併せ持っている。
鹿野 玄(しかの げん)
声 - 石井康嗣[16]
ガンダイ会長。63歳。先代社長と遠戚だった縁で社長になった。乃木との拳願仕合で「拳願会々長職争奪戦」の開催決議に賛否を賭けており、乃木に負けたことにより開催決議に賛成する。
かつては『名勝負製造機』との異名を誇った闘技者であり、皮膚をカットする打撃を得意としていた。禍谷園社長の禍谷重蔵の後塵を拝してきたため、自身を「凡百の闘技者だった」と称している。関林を信頼し、加納アギトにも劣らないと確信している。

皇桜学園(こうようがくえん)グループ[編集]

明治33年に創立された日本初の女子大学。所在地は首括市。各界の令嬢たちが集まる名門校として知られており、運営は創設者である奏流院一族が代々執り行っている。奏流院家は平安貴族をルーツに持つ日本の超名門一族で、学校は所有する土地の「ごくごく一部」でしかないが、その敷地は広大で、クマが出る大森林地帯に隣接している[27]。京都の菊皇女学園とは姉妹校。校則に「私の闘争をゆるさず(私闘の禁止)」があり、破ると鞭打ちの刑を執行される[28]。企業序列第16位。拳願仕合通算成績577勝189敗。

『求道の拳』の主人公・池内面太郎のかつての職場でもあり、スピンオフで小津と池内が並んだ写真が登場している。また、高等部には『ダンベル何キロ持てる?』の主人公たちが通っている。

桐生 刹那(きりゅう せつな)
声 - 浪川大輔[19]
皇桜学園グループの闘技者採用バトルロイヤルに突如として紛れ込んだ謎の美青年。通称『美獣』。26歳。古流武術「狐影流」の使い手。試験官を務める学園最強の闘技者・小津俊夫と戦い、羅刹掌を使用し圧勝。底知れぬ強さを見せつけ、皇桜学園グループの闘技者として採用され拳願絶命トーナメントに参戦する。
富豪の父のための臓器のストックとしてこの世に生を受け、娼婦であった母から虐待を受けながら育った結果、自分が「必要ではない人間」であると思うようになる。11歳で「中」の臓器密売組織に引き渡されて臓器を摘出され死ぬはずだったが、その組織が王馬の生活圏内まで手を伸ばしたことで報復を受けて壊滅。それがきっかけで王馬を「罪深き者を罰する存在」として神聖視するようになり、彼の手にかかって殺されることこそが罪人である自分にとっての「救い」だとして夢見るようになる。
組織の壊滅後は王馬との再会を夢見て「中」に留まり、有力者の男娼として生活する中で実父を殺して奪った財を元手に2年かけて勢力を拡大。籠絡していた愛人を殺すと王馬を追って十鬼蛇区に侵入するが、二虎に師事する彼が以前見た時とは全く異なる表情をしているのを見て激しいショックを受ける。この時出会った「本物の二虎」から二虎流を伝授され、同時に神経を弄られた。
それ以来、二虎が王馬を堕落させたと考え、二虎に対して激しい憎悪を抱くようになり、再び居住区の外に出て二度と二虎に邪魔されないようにと「本物の二虎」から紹介された平良に弟子入りして孤影流を学ぶ。
かつては筋者が主催していた「デスファイト」に師匠と共に参加していたが、師匠を含む目ぼしい連中を全員殺してしまい、拳願仕合に遠からず訪れようとする「波」に乗らんとする皇桜グループが新たな戦力を求めていることを聞きつけ闘技者として移籍した。
わずかな時間で「瞬」のからくりを見抜き、普通は8年かかるはずの羅刹掌をわずか1年で習得するなど、格闘センスに関しては師匠を上回る。唯一の攻撃技である羅刹掌についても研鑽を重ねて威力を底上げしており、さらには仕合中に閃いた新たな技の使い方を即座に使いこなしている。
関林戦での傷を癒やした王馬の前に10年ぶりに現れ、二虎がはめていた「枷」を完全に「開錠」する。その時に王馬の完成された肉体と鬼気迫る闘争心に触れてからは彼に対しそれまで以上に病的な執着を抱き、変態じみた奇矯な言動を見せるようになっていった。
王馬が絡まなければまともな好青年であるが、正気を失った狂人であることには間違いなく、二階堂からは「目黒と同類」と評された。また、雇い主である紫音や智子との関係は良好で、彼女たちには家族愛に近い感情を覚えている。
トーナメント会場に向かう拳願号上では双眼鏡で王馬の観察をしていたが、護衛者の淀江がハサドを倒した際、血しぶきが王馬に掛かったため「彼を汚した」と激怒しその後、監視室で淀江と同時に居合わせた日江津を徹底的に「破壊」した。
トーナメント1回戦では二階堂蓮と対戦。開始早々二階堂の左肩を破壊し優位に戦いを進め、二階堂の反撃で奥義「奇龍」を食らったものの、その際に「降魔」の発動が可能になる。これにより相手の攻撃を完全に見切り、羅刹掌を心臓に撃ち込んで圧勝する。
王馬が2回戦で「前借り」ではなく二虎流を使って勝利したことに苛立ちを覚えたまま自身の2回戦では黒木と対戦。黒木のことを「神(=王馬)が与えた試練」と見なして二虎流の技も交えた立ち回りをし、仕合中に新たに開発した技を使って右手の骨をへし折ることには成功したが、付け焼き刃の技では彼におよばず、「魔槍」で段中や鳩尾を穿たれて敗北した。心臓の真上から貫手で貫かれたものの、直前で自身の心臓に対して羅刹掌を放ったことでわずかに心臓の位置を動かして致命傷を回避、仕合直後に蘇生する。
3回戦開始後、完全に正気を保てなくなり、二虎と誤認した相手を無差別に襲う連続殺人を犯し始め、ゴールドプレジャーグループが用意していたリザーバー3人と仕合開始を告げに来た護衛者を殺害。御雷と理乃は「救う側」と「救われる側」と判断したために見逃し、3回戦の終了後は護衛者2名と戦い負傷しながらも殺害。さらに山下を「二虎から守らなければならない」と思い込んで避難させたが、途中で彼を二虎と錯覚して殺そうとしたため王馬から妨害を受ける。
王馬の「神」を目覚めさせようとしたが自身が否定した二虎流の技だけで圧倒され、「鬼鏖」を受けて戦闘不能となるが、「本物の二虎」に人生を狂わされた被害者でもあったということから情けをかけられ、異常を来たしていた自律神経を「絶氣」で治療されて命を見逃された。
その後は自身の血痕を辿ってきた殲滅部隊に身柄を拘束されるが、トーナメント終了後に収容施設から脱走している。
『ケンガンオメガ』では対抗戦が行われている神殺ドームに髪を切った状態で姿を現し、ナイダンを殺して意気消沈している龍鬼に話しかける。数えきれない過ちを犯したことで愛する人を永遠に失ったと語り、愛する人のために修羅の道を往く覚悟を問う。12回戦で飛 王芳が使った『神魔』の技の内容を理解すると、飛を以前なら愛おしく感じただろうが、酷く歪で哀れで醜いと感想を語った。対抗戦後は、龍鬼と阿古屋の3人で『蟲』の拠点を襲撃して蟲のメンバーを殺して回っている。また精神的に不安定になっていた龍鬼を支えながら彼に狐影流の技を教えている。
使用武術
狐影流(こえいりゅう)
400年余りの歴史を持つ古流柔術の一流派。先の大戦で門下生のほとんどが死に絶えたためほぼ失伝状態にあったが、宗家の血を引く平良が古文書などから情報をかき集めることにより、現代でも通用する名の付いた技を2つ再編している。
二虎流
狐影流を学ぶ以前に「本物の二虎」から伝授されている。
主な技
瞬(またたき)
狐影流の技の1つ。相手の瞬きに合わせて死角に入る歩法。実戦空手の流派にも類似する技が存在し、あたかも眼前から消えたかのように錯覚させることができるが、タネさえ分かれば防ぐことも不可能ではない。ただし、羅刹掌と組み合わされた場合、相手が熟練者でなおかつからくりを理解していても術中に嵌まってしまう危険性がある。
羅刹掌(らせつしょう)
狐影流の技の1つ。背→肩→上腕と伝わってきた力を前腕の旋回によって増幅することにより、強烈な捩る力へと変換して衝撃をねじり込む打撃技。「力をねじ込む」感覚を得るために掌打の反復練習を行い、水瓶から始めて砂、砂利を経て「肉」の段階に到達する。
桐生の羅刹掌は師匠のものよりも大きくひねりを加えているため殺傷力が大幅に増加しており、首や手足などに当てれば掠っただけでもその部分を絞った雑巾のように捻り上げ、胴体に当てれば臓器に重大なダメージを与えるため防ぎ方を誤れば致命傷になりかねない。ただし、威力が上がった代償に予備動作も大きくなっているため、一定以上の実力者が相手の場合「瞬」や「柳」と組み合わせなければその真価を発揮できない。加えて回転しているのは前腕より先の部分なので、上腕部を抑えられたり肩関節を極められると無効化されてしまう。ケンガンオメガでは派手な予備動作を無しで容易く相手の首を捻り折って殺せる程に練度が上がっている。
羅刹脚
桐生が開発した、足を使って放つ羅刹掌。腕より筋力の強い足を利用するため破壊力も強化されている。その威力は闘技場の地盤を破壊するほどで、蹴り技としてだけでなく高速移動術としても活用している。
真・羅刹掌
前腕の捻りが不十分になる至近距離でも対応できるように桐生が開発した、羅刹掌の進化系。指先に威力を集中させているため、掌打ではなく貫手に近い技へと変化している。
狐虎ノ交(ココノマジワリ)
狐影流の羅刹掌と二虎流の操流・水天ノ型「水燕」の複合技。「水燕」の不規則な軌道で羅刹掌の連打を放つ。
操流ノ型「柳」
火天ノ型「火走」
金剛ノ型「不壊」
第弐奥義「降魔」
危機に瀕した際に風景がスローモーションに切り替わる「タキサイキア現象」の原理を用いた技。スピードが早くなるわけではないが相手の動きを的確に見切れるようになり、短時間の連続使用で「深度」が高まる。ただし自身の意思で「脳のリミッター」を解除することはできず、危機的状況下でなければ発動できない。さらに使いすぎると自律神経を失調してしまい、幻覚や幻聴に悩まされる危険性もある。
小津 俊夫(おづ としお)
声 - 飛田展男(『ダンベル何キロ持てる?』)
拳願仕合戦績11勝0敗
皇桜学園グループ最強の闘技者にして、皇桜女子大学文学部英文学科准教授という裏と表の顔を持ち合わせる闘技者。通称『蛮勇知将(インテリジェンス・バーバリアン)』。著書に「筋肉で学ぶ英文学」「筋肉で読め! 部位別トレーニング辞典」がある。朱美曰く「日本筋肉界の第一人者」。
世間体を気にするタイプらしく、教授として教鞭を振るっている時の物腰はとても穏やか。しかし、闘技者として暴れている時こそが素の状態らしい。ボディビルダーばりに過剰搭載された筋肉による並み外れた「怪力」、卓越した「格闘術」、大学教授を務められるほどの冷静沈着な「頭脳」の三本柱を併せ持つトータルファイターであり、筋骨隆々で色黒の中年男性というドギツい見た目に恥じない、バランスの取れた実力者。
皇桜学園の闘技者採用バトルロイヤルに試験官として参加。小津に一矢報いるレベルの闘技者を期待しての投入だったが、受験生全員をKOしてしまい、隅でただ眺めていたため最後まで残っていた桐生を「評価」しようと襲うも、羅刹掌により右腕と首を捻られ敗北。その後、コルセットとギプスをはめた状態でスピンオフに登場したことから一命は取り止めた模様。部屋には『求道の拳』の主人公である池内面太郎とツーショットの写真が飾られている。
『ダンベル何キロ持てる?』では著書が主人公たちに絶賛されている。また、朱美の会社が企画したトレーニングDVD「小津俊夫とトレーニング」にも協力しているほか、シルバーマンジムとコラボしたTOSHIOプロテインも販売している。
奏流院 紫音(そうりゅういん しおん)
声 - ゆかな[16]
皇桜学園グループ理事長を務める拳願会会員。詳細な年齢は不明[注 5]。開けたワイシャツから覗く魅力的なバストに、咥えタバコが似合う男前でクールな美女。両親が早くに仕事を引退したため、若くして理事長となった。企業序列上位だけあって個人資産も潤沢で、自宅は豪邸でプライベートジェットも所有している。学生の習い事を推奨しており、自身のポケットマネーから補助金を出している。
先祖代々筋金入りの筋肉フェチ。高校時代に初見にナンパされ、大胸筋に一目惚れして交際を開始するも、彼の浮気が原因で別れたりくっついたりを繰り返している(現在は別れている)。
拳願仕合をかき乱そうとする乃木に危機感を覚え、「圧倒的」な「個」の暴力を持つ闘技者を求めて闘技者採用バトルロイヤルを行う。そこに紛れ込んだ桐生を危険と知りつつも、「毒を食らわば皿まで」の覚悟で刹那を闘技者として迎え入れるが、彼が2回戦で敗北してから雰囲気がさらに悪化した様子を見て「禁忌に触れてしまったのではないか」と恐れを抱くようになる。
高校生になる妹の朱美は、『ダンベル何キロ持てる?』の主要登場人物の一人。
松田 智子(まつだ ともこ)
声 - 小市眞琴[16]
皇桜学園グループ理事長の新人秘書。22歳[29]。口元のほくろがチャームポイント。皇桜学園OGのごく一般的な女性で、当初は血生臭い拳願仕合の光景に恐れおののいていたものの、徐々に腐った本性をあらわにし始め、拳願仕合の光景を、周囲の拳願会員とは異なる目的の熱い眼差しで、度々妄想を交えながら、なおかつ鼻血を噴き出しながら見守るようになる。
栃木ディスティニーランドの生涯入場パスを所持しているほどの大ファンでもあり、TDLのキャラクターの中ではモッキーとホナルドが大好きだが、腐ってしまった原因はモッキーとホナルドの擬人化された作品を見てしまったことによる。布教活動にも熱心で、最近着々と同士を増やしつつある。

大日本銀行[編集]

明治15年設立。日本国の中央銀行。企業序列第1位。厳密には企業ではないが、設立には拳願会が関与しており、日本政府とのパイプ役になっている。

加納 アギト(かのう アギト)
声 - 大塚明夫[30]
「拳願仕合の帝王」の名をほしいままにする、拳願仕合史上最強の闘技者。五代目滅堂の牙』にして、滅堂の最高戦力である「三羽烏」の一角。戦績は前人未到の157戦無敗であり、戦った闘技者のほとんどが再起不能にされている。ただし、対戦相手を死に至らしめることはほぼなく、肉体的にではなく精神的に再起不能にしてきている[注 6]。年齢不明。渡り合える闘技者は拳願会の闘技者の中でもせいぜい1人くらいだと言われている。
桐生を鍛えた「もう1人の十鬼蛇二虎」の第一世代の弟子として二虎流と無形を学び、人間を対象に行っていた「蠱毒」を生き残って23年前に滅堂と恵利央に救助される。過酷過ぎる環境を勝ち抜いた代償で精神を「狂獣」に支配されており、滅堂から受けた教育で冷静沈着な頭脳を得て獣心を暴走させないよう制御し、「人」の人格を形成するために心理的防衛機制で「獣」を別人格として切り離しているが、時折抑圧された本能が歪んだ形で発露されて「貌」と呼ばれる不気味な表情を浮かべることがあり、その時は一人称も「私」から「俺」に変わる。出生の関係上、誕生日は不明だが、例年、滅堂と同じ12月2日に祝ってもらっている[31]
「巨大な暴力の災害」と称されるほどの人間離れした圧倒的武力を持ち、自身の実力に絶対の自信を持っている。戦闘スタイルは「無形」で、無数の選択肢によりあらゆる状況に対応できる柔軟性が持ち味。あらゆる身体能力と格闘技術で表世界最強の一角とされる大久保を上回り、ボクシングの技術に限定しても当代最強のボクサーであるガオランに近しい腕を持ち、打撃の威力はどの距離であろうと全てが必殺技級。
滅堂曰く「アギトの真価は『進化』にあり」とのことで、仕合ではまず不利と知りつつも「横綱相撲」で相手の土俵に付き合って実力を見極め、その後で相手の攻略法を短時間で開発し、自分が持ち合わせていない技術をすぐさま吸収してさらなる高みに登っていく。その一方で圧倒的な力を持つが故に追い詰められた際の精神的な脆さも抱えている。
トーナメント2回戦までは「無形」の選択肢の豊富さゆえに、選択するまでの時間を要して一つの技術に特化したタイプの格闘家に遅れをとる、疲労時にはさらに反応遅れが大きくなるため連戦は苦手といった弱点があったが、あえて選択肢を絞り込むことでその欠点を克服する。さらに進化を重ね、「武」と「無形」の混合戦法を使いこなせるようになり、タイプの異なる達人2人と交互に戦う状況を作り出すことが可能となった。だが黒木によると、「武」と「無形」のどちらもまだ極めてないことから、このことが加納アギトの最大の弱点だと言われている。
自分の成長に一役買った大久保に対して礼を述べるなど礼儀正しい性格。一方で武術以外への関心が薄いのか、大久保にゼットンに例えられた際は真顔で「その『ゼットン』とやらは強いのか」と返したり、「ラスボス」と言われて「ラスボスとやらはどんな武術の使い手だ?」と質問するなど、割と天然気味でどこか威厳に欠けるところがある。なお、仕合後大久保から実際のゼットンの映像を見せられているが、着ぐるみという概念や設定をなかなか理解できず、そういう生物がいると思い込んでいた。
トーナメント1回戦では大久保と対戦。全ての能力と技術において大久保を上回りながら、大久保の総合格闘技で培った複合技に苦戦するが、大久保の放った頭部へのサッカーボールキックを契機に「狂獣」に変化し、その後大久保から学習した「複合」の技術を使用し圧勝する。一回戦の打ち上げパーティーで大久保からの「今はアギトには勝てるビジョンが浮かばないが、今よりも更に強くなって、次は自分が勝つ」と言うリベンジ宣言には、精神面を克服した大久保にはいつでも挑んで来いと、大久保のリベンジをいつでも待っている言った。
2回戦ではガオランと対戦。トーナメントの参加者にガオランの名を見つけた時には心が躍っており、自身が認める最高峰の拳闘士であるガオランをガオランの流儀で倒したいとの思いから、序盤は相手のスタイルに合わせボクシングで打ち合い自身の不利を悟って戦法を変えようとしたが、彼の技量によりボクシング以外を封じられたことからボクシングでの勝負を余儀なくされる。その後特注でガオラン用の戦法を編み出したことで、ガオランがストライカーとしての真価を最大限に発揮する「打の極み」まで引き出させ、「不壊」に似た筋肉を締める技でラッシュに耐えながら、苦戦の末に最後は1回戦で習得した「複合」の技術を使って彼を撃破する。意識を失ったガオランに「ガオランに打撃で凌駕すること」が最後まで叶わず「過去の誰よりも強敵だった」とガオランの強さを讃えてリングを去った。しかし、ガオランを実力で圧倒できず駆け引きに走ったことを卑怯だと考え、拳を砕かれても止まらない猛攻に恐怖を感じてしまったことに葛藤し、ガオランに騙し討ちやフェイクを駆使した薄氷の勝利と言う結果から、「滅堂の牙」を名乗る資格があるのかと考えるまでになった。
2回戦終了後の東電によるクーデターの際には、守護者を「悪」として殺害しようとしていた阿古谷を説得し、彼との共闘で守護者を殲滅した。
3回戦前に滅堂からの指示で、代表闘技者の座をかけて前「牙」である王森と戦って勝利し、初見との戦いに臨む。仕合では、王森との戦いで気付かされた無数の選択肢をあえて捨てることで得られる強さで初見の攻撃に対応し、立ち上がりこそ初見の絶妙な膝の運用に攻撃をかわされ翻弄されたかに見えたが、この戦いで新たに「武」のスタイルを生み出して新たにら「羽化」を果たし最後は、寸勁によって初見を殺すこと無く手加減する余裕すら残してほぼ無傷のまま勝利を飾り、初見との戦いを経て改めて「滅堂の牙」を堂々と名乗れる自身を取り戻した。
準決勝では黒木と対戦。お互いに「気の起こり」を読んで壮絶な攻防を繰り広げ、「魔槍」で左胸を抉られたが先読みに勝ち猛攻を繰り出し、「武」と「無形」を同時に使いこなす「進化」により右手の4指と左肘を破壊する。戦法の切り替わりを読まれて逆襲された際にはさらなる進化を遂げて、タイムラグをコンマ数秒だけ短縮することが可能となり、蹴り技を出す余裕が生まれるも、至近距離からの龍弾を潰され右手首を完全に破壊されてしまう。それでも諦めずに攻撃を続けたが、3度に渡り顎を攻撃されたことで脳が限界を迎え、額に大きな傷跡が残るほどの強打を受け、160戦目にして遂に初となる敗北を喫した。
試合後、滅堂から真意を明かされ、『滅堂の牙』からの辞任を願い出る。その後は己が世間知らずだと自覚したこともあって、見聞を広めるために鷹山からバイクを借りて旅に出る。
『ケンガンオメガ』では消息不明となっていたが、「AG」を名乗って半年前から辺境でモーテル暮らしをしているのを突き止めた氷室によって発見される。自分から冗談を言って笑うなど、性格はだいぶ変わっている。対抗戦には滅堂が拳願会々長を退いた以上、拳願会のために戦うつもりはなかったが、滅堂が八代目の『滅堂の牙』を対抗戦を出すことを聞き、自身が知らなかった2年間の間に六代目『滅堂の牙』の弓ヶ浜が滅堂を裏切りファイトマネー目当てに煉獄に移籍したことを聞いたことで、滅堂を裏切った弓ヶ浜への制裁を決め、改めて5人目の代表選手として対抗戦に出場することを決断する。
対抗戦本番では自身と同じく『蠱毒』を生き残り同門である呂の挑発を受けて第6試合に出場。初手から「無形」を解放し、相手の五王拳が本来の戦闘スタイルではないことを見抜いて「無形」同士で対決することになる。「無形」では「技の深度」で上回られたために「武」も解禁、それでも一時は圧倒されたかに見えたが、2年間の修練によって「無形」と「武」の2つの人格が統合されたことによって、武←→無形を切り替える際のタイムラグが零コンマ数秒ですら無くなり、形成逆転。呂が使った「鬼魂(≒外し)」で段違いに上がった身体能力をものともせず、「蠱毒」の代償である獣心を克服した自分の敵では無いと言い、寸止めからの「龍弾」で顎を打ち抜いてノックアウトする。アギトの闘いを見ていた黒木からは前述の弱点を指摘されていたが、「今の加納と立ち合って、確実に勝つ保証は自分でも無い」と新たに得られた強さを評価されている。
使用武術
無形
あらゆる敵に対処できる戦闘スタイル。無数の選択肢による柔軟な対応ができ、型に囚われぬ予測不能な動きと、いかなる戦法にも対応する柔軟性を併せ持つ。だが、攻撃方法を取捨選択する過程で遅れが生じてしまうという欠点を持ち、しかも体力の低下に比例して反応遅れが大きくなるため、疲労やダメージが蓄積する連戦には不向きである。この「選択する時間」のために、ガオランのような一つの能力に特化したタイプに上回られることがある。一方で「武」の理の外にある戦法なので、黒木のような「『武』の理の権化」のような存在とは相性が良く、実際に「型がない分、『武』よりも厄介」と評された。
『蟲毒』によって生まれたいわば獣心の暴走状態に過ぎず、抑圧された本能が歪んだ形で発露されて「貌」と呼ばれる歪んだ笑みが浮かぶ。
加納が3回戦前の王森との戦いによって新たに気づいた「捨てる事で得られる強さ」と初見との仕合で辿り着いた、数多の武術を融合させた技と「先の先」を駆使する攻撃的なスタイル。様々な技を使う「無形」とは違い、敢えて技の数を絞り込み、あらゆる状況に対処できる柔軟性を失う代わりに「選択の遅れ」をなくした。これによって、放つ前に一瞬動きを止めなければならない寸勁を使いやすくなり、先の先まで読めるようになる。一方で技術を完全に極める域にまでは至っておらず、黒木レベルの「『武』の理の権化」に対しては「武」では遅れをとる可能性がある。
特注(オーダーメイド)
アギトが2回戦中、対ガオラン用に開発した武術。型がなく動きはシステマに似ているが全くの別物。相手を止めるのではなく、打ち終わりや打ち始めを「抑える」ことで攻撃を封じ、直後に投げや突きで追撃するのが特徴。
二虎流
「もう一人の二虎」の弟子として二虎流の技を学んだ。
主な技
複合
1回戦で大久保から習得した打・絞・極・投を継ぎ目のないレベルで融合させた複合技。
ムエタイの肘
2回戦でガオランから習得した、敵を倒すのに特化した打撃技。ショートレンジの攻防で使用する。
指取り
古流柔術における、指関節を極める技。
金剛ノ型「不壊(フエ)」
「もう一人のの二虎」から伝授された二虎流の技。筋肉を締めて打撃に耐える。ガオランや黒木の猛攻に耐えるために使用した。
対の先
相手の行動の起こりを見極め、同時に動きつつ先手を取る技術。
後の先
相手の行動の終わりを見極め、カウンターを行う技術。
龍弾(りゅうだん)
現在のアギトが持つ最大火力の一撃で、「寸勁」と呼ばれる技術の一種。最短距離・最小動作で放つ打撃なので回避はほぼ不可能。アギトならば超至近距離であっても相手を一撃で絶命させ得る威力の攻撃が可能。攻撃的なスタイルである「武」との相性は抜群である。ただ技の性質上、最短距離から最小の動作で放つため、使う直前一瞬だけ動きが止まるのが欠点。
先の先
「気の起こり」を見極め、相手が動く前に打つ技術。武術としての究極の形であり、アギトであっても無形の多様性を捨てて反応速度を上げなければ到達することのできなかった領域。
片原 滅堂(かたはら めつどう)
声 - 柴田秀勝[20]
日本の経済界を牛耳る大日本銀行の総帥にして、最強の闘技者『滅堂の牙』を擁する拳願会第58代会長。かつては『極東の風雲児』と呼ばれていた。96歳。
特攻隊所属の兵士で、特攻後奇跡的に生き残ったことから自分の悪運はどの程度のものなのかを試したくなり、拳願会々長を目指す。戦後の混乱の中で闇市の主として身を立て、拳願会員となってからは片原流通KKを興し、初代『滅堂の牙』の恵利央と共に不足資金の代わりに自らの命を賭けて拳願絶命トーナメントを開催させ、優勝。以降、数十年に渡り会長の座を守り続けている。拳願会史上、初めて半世紀以上会長を務めた人物でもある。
会員としては比較的新参ながら名実共に拳願会の頂点に立つ男であり、枯木のような老人の姿からは想像もできないほどの圧力を有し、常人ならば彼の前では身動きすら取れない。企業50社の賛同を受けて、会長職を賭けた拳願絶命トーナメントの開催を宣言した。若いころから女好きで、老年になっても精力は衰えず愛人との間に曾孫ほどに歳の離れた子を儲けている。
激動の時代を生き抜いてきたことから、現在の狭い世界の王としての平穏な日常に飽いており、会長の座を狙う自分を心から震え上がらせる挑戦者の登場を待っていた。対等な闘いをしたいがために、黒木をトーナメントへ招聘し、速水の野心を見越して彼の配下に自身の手の者を潜り込ませておき、意図的に情報を流させることで思考を誘導して自身の思うタイミングで反乱を起こさせる。
その経緯から2回戦終了後に速水が引き起こしたクーデターにもまるで動じず、彼から言質を取って録音した後で事前に依頼して呼び寄せておいた呉一族の先鋭50名と関係者の護衛として潜ませておいた手練れたち、そして予選で敗退した闘技者たちを使って難なく鎮圧。「暇つぶしにはなった」と微かに満足げな表情を見せ、クーデターという試練を突破した乃木を自身に対する挑戦者として認める。
準決勝で自身が招聘した黒木によってアギトが降されるという想定外の事態により長期政権に終止符を打たれることとなったが、再び挑戦者に戻れることに喜びながら現役であり続けることを宣言する。
退任後は拳願会の相談役に就任。乃木と共に「蟲」への対処の方策を練っており、クローン人間の製造疑惑について調査している。「蟲」が本気で拳願会を倒すために煉獄に潜り込んでいると確信しており、対抗戦には八代目『滅堂の牙』の三朝を派遣することを決める。アギトの退任後、弓ヶ浜を六代目の“牙”に指名した際は、煉獄への内通を承知の上で反骨心があるのが良いと王森、鷹山の反対を押し切ったものの、以降の行動を見て流石にヤンチャが過ぎたとして落とし前をつけようとしている。
片原 鞘香(かたはら さやか)
声 - 平田真菜[23]
滅堂の娘で拳願絶命トーナメントの司会進行役。22歳。串田曰く「何でもこなせる能力の高さは拳願会でも指折り」。正妻ではなく愛人の娘で、烈堂とは異母姉弟である。父親同様器が大きい。社交性も高く異性からはかなりモテており、護衛者の中にも隠れファンがいるほどだが本人に自覚はない。
羞恥心の薄いタチらしく、普段から弟が心配するほど露出度の高い服を着ており、混浴の大浴場で氷室ら男性陣と鉢合わせになった際にも、体を隠そうとする素振りすら見せなかった。
『ケンガンオメガ』では拳願会職員として働いており、会の中心になっている。煉獄との対抗戦では企業専属闘技者の選考を担当し、反会長勢力からの闘技者派遣交渉を行う。煉獄との対抗戦本番では、2年前のトーナメントと同じく実況を担当。
護衛者[編集]

滅堂の私兵。『滅堂の牙』という「矛」に対する、「盾」にあたる存在。相当な人数が存在し(拳願号に乗り合わせた人員のみで1000人以上)、一人一人が並の闘技者を寄せ付けない実力を誇る。ほとんどが身寄りもなく幼少期から訓練を受けた者たちだが、吉岡のように一部の者は外部から招聘されている。

護衛者になり立ての者は集団で基礎訓練を行い、その過程を終えると銘々に自由な鍛錬を行うようになるが、スカウト組はその限りではない。

その真価は一糸乱れぬ統率力にあり、ある程度の実力者集団が相手でもそれが烏合の衆であれば多少の人数差をものともせず鎮圧できる。服装は黒スーツで統一され、本来の業務である滅堂の護衛の他、拳願絶命トーナメントの運営も行う。

ちなみに、三羽烏以下の護衛者が苗字でしか呼ばれないのは本名ではなくコードネームだからで、滅堂の「スパイ映画みたいでカッコいいから」という鶴の一声によるもの。また、ネーミングは一部の例外を除いて鳥取県の地名からとられている[32]

鷹山 ミノル(たかやま ミノル)
声 - 松田健一郎
滅堂の最高戦力である「三羽烏」の一角。37歳。滅堂直属の護衛にして、大日本銀行の秘書的存在。格闘スタイルはいわゆる「喧嘩殺法」。口腔マスクをしている。
『牙に最も近い男』と呼ばれており、不意打ちとはいえ王馬を一瞬で昏倒させる実力がある。王森と同じく滅堂の片腕的なポジションだが、先代滅堂の牙である王森には尊敬に近い感情を抱いている。
過去にアギトと戦い敗れた際に顔に傷を負っている。またそれが原因でアギトを恨んでいる描写がある。『滅堂の牙』の座を目指し、何度敗れても諦めない不屈の精神力は、滅堂やアギトに高く評価されている。
東電のクーデターでは滅堂の側近として鬼頭と交戦。左手中指を切断された上に掌の中ほどまで切り込まれる深手を負うも、それ以外の傷はほとんど負わないまま数合打ち合ったのみで圧勝した。アギトの辞任後も次期『牙』にはならず、「コソコソ動いている奴ら」に備え滅堂の身辺警護に徹することを決めている。
モデルはプロレスラーの高山善廣鈴木みのる[33]
王森 正道(おうもり まさみち)
声 - 土師孝也
「三羽烏」の一角。四代目滅堂の牙』にして現・片原滅堂直属護衛。43歳。大日本銀行の秘書的存在。外部からのスカウト組で、滅堂の片腕的なポジション。鷹山と共にいることが多い。代替わりにより一線から退いているが、その実力は本物。
拳願絶命トーナメント3回戦を前に、滅堂から代表闘技者の座を決めるためアギトと勝負するよう指示され、戦いの末敗北したため彼を仕合に送り出す。その際にアギトの戦闘スタイルである「無形」の欠点を指摘し、彼がさらなる戦闘スタイルである「武」を手に入れるきっかけを作った。
モデルはプロレスラーの大森隆男丸藤正道[34]
巌城(いわき)
護衛者一番隊隊長兼護衛者総隊長。38歳。序列的には滅堂直属護衛の王森、鷹山と並ぶ。ポジション的には現場の責任者といったところ。
吉岡(よしおか)
護衛者二番隊隊長。元・暗殺者。30歳。『滅堂の牙』の座を狙いアギトと戦うが敗北、左目を失うと同時に逆に自らの「牙」を折られてしまったという過去を持つ。左目を潰される前はさらに強かったとのこと。
2回戦以降は山下商事の世話役を担当する事になったので絡む機会が多くなった。王馬の練習相手にもなり、王馬の実力に感嘆している。
左目のアイパッチは自作のもの。料理・掃除・裁縫が得意で女子力が非常に高く、山下商事の面々が滞在するペンションではその家事技能を遺憾なく発揮している。
無手の格闘が得意で、戦闘能力は王馬も認める程で強豪闘技者にも匹敵する。武器術は苦手としているが、元暗殺者だけはありどんな武器でもある程度は使えるようである。
J(ジェイ)
護衛者三番隊隊長。36歳。黒髪のサングラスをした男。高知県出身。トンファーを武器としている。趣味は野球。鷹山とは同期で、今でも正月に2人で飲みに行くほどの仲。トレードマークのサングラスは滅堂からのプレゼントの模様。弓ヶ浜が6代目牙に就任した時には彼を祝福していた。
船岡(ふなおか)
護衛者四番隊隊長。34歳。滅堂が殲滅部隊を組織する際、隊員にスカウトされたほどの猛者。滅堂の護衛に専念したいという理由から申し入れを固辞した模様。
気高(けたか)
護衛者五番隊隊長。27歳。両目が髪で隠れている青年。隊長の中では最年少。性格は控えめで殆ど喋らない。同じく無口な十一番隊隊長の美萩野や殲滅部隊の羽合とは気が合うらしく、プライベートでは3人揃って行動することが多い。
名和(なわ)
護衛者六番隊隊長。28歳。長髪の美青年。小太刀を使って闘う。隊長の中でも特に腕が立つらしく、滅堂に殲滅部隊に勧誘されている。
相生(あいおい)
護衛者七番隊隊長。33歳。二番隊の吉岡と同じく、滅堂のスカウトで護衛者になった。格闘技、武術の経験がない。元ラグビー日本代表。フィジカルだけで隊長まで上り詰めた一種の「天才」。
桂見(かつらみ)
護衛者八番隊隊長。46歳。禿頭に髭面の大男で、坂東と見た目の特徴が一致している。坂東との見分け方は顎髭の形。隊長内最年長。怪力が最大の武器。
用瀬(もちがせ)
護衛者九番隊隊長。31歳。鼻にマスクを着けた痩身の男。元は滅堂の命を狙う暗殺者だった。同じく元・暗殺者の吉岡とは護衛者になる前から面識があったらしい。鼻マスクは傷隠しではなく、ただのお洒落。隠密行動が得意。
山王(さんのう)
護衛者十番隊隊長。38歳。空手の達人。特定の流派に所属したことがなく、先輩の護衛者に空手を教えてもらった。漫画やゲームが大好きで、作中の技を自分の空手に取り込むこともある。
美萩野(みはぎの)
護衛者十一番隊隊長。33歳。顔中にピアスをしたモヒカンの男。見た目は奇怪だが物凄く良い人として護衛者の中では評判。無口だが部下の信頼は篤い。五番隊隊長の気高、殲滅部隊の羽合と仲が良い。毒を使った戦法が得意らしい。
淀江(よどえ)
スキンヘッドで細目の男。36歳。いつもにこやかだが、目は笑ってないタイプ。
片原に危害を加えようとしたハサドをあっさりと倒す実力者。しかしハサドを蹴り飛ばした際、血しぶきが王馬にかかったせいで「王馬を汚した」と激怒した桐生に監視室で日江津と共にいる所を強襲され、徹底的に「破壊」されてしまった。一命はとりとめたものの、東電のクーデターではハサドに逆襲され敗北した。
日吉津(ひえづ)
片原滅堂直属の護衛者。37歳。淀江と一緒にいたというだけで、桐生の理不尽な強襲に巻き込まれた不幸な男。
奈喜良(なぎら)
滅堂直属の護衛者。38歳。格的には王森、鷹山の下で護衛者隊長と同等。護衛者が分断された際は、臨時の指揮を任されるなどかなりの実力者の模様。
髪型をいじるとマジギレするので、護衛者内では触れてはいけない話題となっている。
弓ヶ浜 ヒカル(ゆみがはま ヒカル)
「元」六代目滅堂の牙』、現煉獄A級闘士。
安長(やすなが)
五番隊の隊員で、三朝の元部下。弓ヶ浜が出奔する際に殺害される。
殲滅部隊[編集]

護衛者とはまた異なる独自の集団で、通称「護衛者別働隊」。護衛者の中から選りすぐりの猛者を選別した特攻部隊である。それぞれの隊員が護衛者の隊長クラスを上回る実力を有する。各々得意な戦法は違う。

「SB」と入った腕章をしており、黒スーツで統一されている。東電のクーデターでは屋外で戦う雷庵を援護した。

片原 烈堂(かたはら れつどう)
片原滅堂の実子にして、殲滅部隊の隊長。21歳。アギトが「牙」の後任に推すほどの実力者。
右目が前髪で隠れており、左目は額から頬にかけて刺青のような模様が入っている[注 7]。使用武術は師の三朝と同じくシラット。王馬やアギトも認めるほどその実力は高いが、本人は器用貧乏を自負しており、「徒手を突き詰めた奴には勝てない」と語っている。また父である滅堂を目標として、将来的には滅堂と同じ舞台で活動しようとしている。
スピンオフでは隠れシスコンであることが発覚し、異性に対してガードの甘い鞘香を常に気にかけている。
3回戦後半から護衛者を何人も殺害していた桐生を追っており、王馬によって撃破された彼を確保する。身内の仇をとってくれた恩を返すため、準決勝第1仕合の開始を2時間遅らせ王馬が休憩時間を取れるように滅堂に掛け合った。
王馬の生存を2年間にわたって秘匿しており、『ケンガンオメガ』では彼や雷庵と共に「蟲」の対処にあたる。シスコンぶりは健在で、姉に悪い虫が付いていないか風水に確認したり、退院祝いの席で姉に接触して鼻の下を伸ばしていた光我を密かにマークしている。また八代目滅堂の牙に自分よりも適任な人物として、殲滅部隊の部下でもあり、自身の拳法の師であった三朝を推薦している。
使用武術・シラット
シラットには武器術もあることからナイフも使用する。
三朝(みささ)
殲滅部隊隊員。27歳。烈堂の副官的存在。元々は護衛者五番隊の隊長だったが、烈堂の誘いで殲滅部隊に加入した。六番隊隊長・名和とはライバル関係らしい。非常に謙虚かつ丁寧であり、物腰はかなり柔らかい。
使用武術はシラット。173cm、68kgと体躯には恵まれておらず、殲滅部隊内では最小かつ最軽量で、隊長格を含めても名和に次ぐ小兵だが、烈堂の拳法の師であり、徒手の戦いなら殲滅部隊で断トツ。闘技者基準ではトップクラスの若槻や王馬や加納からはその実力を高く評価されており、煉獄最強であるロロンも、実力は脅威で戦えば楽には勝てないとその実力を認めている。特に狭い空間での戦闘に長けており、体格で勝る相手を確実に仕留めるために、急所を的確に狙い撃つ技術を磨いている。シラットの肘の捌きで相手の体勢や攻撃を崩したり、捌く技を得意とし、小柄な体格による的の小ささもあってまさに「鉄壁」の防御を誇る。小兵かつ軽量ゆえに馬力はヘヴィー級にはおよばないが、軽く殴っただけで岩にヒビを入れる程の打撃力を有し、相手の読みのことごとく裏をかいて「意識の外」から予想だにしない攻撃を加えることで、体格差を超えたダメージを与える。烈堂には「持ってるものをうまく使えば、そうそう負けることはなくなる」と語っている。しかし、勝負をすぐには決めず、ギリギリまで遊んでしまう悪癖があり、殲滅部隊の皆生からは「悪い癖」だと言われている。
『ケンガンオメガ』では殲滅部隊を抜け、烈堂の推薦で八代目滅堂の牙』に就任しており、煉獄との対抗戦では、滅堂が対抗戦に八代目滅堂の牙を派遣するのを決めたことから、4人目の代表選手として出場が決まる。アギトに弓ヶ浜が出奔した時にかつて自分の部下であった安長を殺したことから、弓ヶ浜への制裁役を譲って貰うよう頼んでおり、実績の無い新人である自分は大事な局面ではなく、序盤の内に出場したほうがいいと考えて特殊な試合ルールである第4試合に自ら志願し、裏切り者の弓ヶ浜を「制裁」すべく挑発してリングに立たせ、『滅堂の牙』対決にもちこむ。序盤は弓ヶ浜の暴言をあえて受け流しつつ、押し出し場外を狙う作戦に付き合って、時間経過でリングが狭まり巨軀を活かしにくくなったタイミングで反撃に転じて、シラット特有の肘技で猛攻に出る。狭くなったリングで動きが制限され、不利を悟った弓ヶ浜からの反撃を許さずに、肘技で完璧に捌き切り体勢を崩して、急所の多い頭部へ打撃を集中させ、最後は顔面に拳を叩き込み、ほとんど傷やダメージを負うこともなく新旧牙対決を制する。戦いを見ていたアギトからは「"牙"の名に恥じぬ実力を示した」と評価され、彼から名実共に八代目『滅堂の牙』として認められた。第9回戦に阿古屋の出場が決まった時には、阿古屋をヤバい奴だと認識している光我に対して、阿古屋の異常性を自身の反面教師として、特に注意して試合を観るように言い、いくら強くなったとしても阿古屋みたいになったらお仕舞いだと忠告した。
使用武術・シラット
拳法のみならず、武器術の体系も含む東南アジア発祥の総合武術。「柔」の動きが特徴で、攻撃のみならず、防御、捌きにも用いる「肘」は、独特かつあらゆる武術と一線を画する。
皆生(かいけ)
殲滅部隊隊員。黒髪の美剣士。25歳。顔の刀傷は、過去の立ち会いでつけられたものらしい。元・護衛者一番隊隊長。烈堂の誘いで殲滅部隊に加入した。鞘香に惚れていることは周囲にバレバレだが、本人は気付いていない。そして鞘香だけが皆生の好意に気付いていない。
羽合(はわい)
殲滅部隊隊員。河野春男を凌ぐ人間離れした巨体を持つ男。31歳。元・護衛者八番隊隊長だったが、片原烈堂の勧誘で殲滅部隊に加入した。護衛者隊長の気高、美萩野の二人とは気が合うようで、休日は一緒に遊ぶことが多い。
天狼隊[編集]

元・白夜新聞闘技者の二階堂蓮が率いる、護衛者の特殊部隊。

十王通信[編集]

特定の派閥には属していないが、政界に強いパイプを持ち強大な権力を有する。企業序列第12位。

坂東 洋平(ばんどう ようへい)
声 - 楠見尚己[30]
十王通信闘技者で、「素手による大量殺人犯」の一人。通称『血染めの象牙』。51歳。神奈川県出身。
脳神経医学を研究する元・帝都大学医学生であり、「蟲」からの資金提供を受けて30年前当時では最先端の技術を用いた“精神転送”の研究を行っていた。学生ながら当時の脳研究の第一人者と言われていたが、3年次に暴力団の事務所を単身で襲撃、組員17名を殺害し、5名に重軽傷を負わせる。さらに後日、身柄の確保に赴いた警官の内2名を殺害し、4名に重軽傷を負わせた後、あっさりと投降。エリート医学生の突然の凶行として、当時のマスコミを大きく賑わせた。
学生時代は細身であったが、現在は筋骨隆々とした体格。恵まれた体躯からの怪力と、ためらいのない殺意が武器。格闘技経験こそないものの、暴力団員や警察官と素手で交戦した経験があるためか長年服役していたにもかかわらず非常に戦い慣れている。
技術面では格闘家に劣るため基本的な戦術は一撃必殺、もしくはスタミナを活かした持久戦。また、各関節の可動域が140度と異常に広い「超軟体体質」とでも呼ぶべき特異体質の持ち主で、両手足に架せられた拘束錠を一切破壊することなく抜け出し、関節技を無効化する。この体質を利用し、関節を強引に外してリーチを伸ばした腕を鞭のように振るい、間合いの外から相手を撲殺する攻撃も可能。この技は射程が上・横・左・右の四方に限定される、筋肉への負担が大きすぎて多用すると肩関節の炎症や関節包面断裂といったダメージを受ける、精密機動が要求されるため距離感を損なうと使えなくなるといった欠点があるが、一般人では視認すら困難な速度で両腕を振り回すことにより、対象の頭部に直撃すると「頭が爆発した」と錯覚するほどの破壊力を発揮するため防御は難しい。それ以外にも頸椎狙いの攻撃を後頭骨と頸椎で挟み込んで迎撃する、肘を逆方向に曲げ背中に回った相手を絞め殺すといった常人離れした技を使う。判決後は25年間、法務大臣が替わるたびに述べ45回にわたって死刑を執行されているが、その特異体質により毎度生き延びている。
快楽殺人者ではないと自称しているが、拳願絶命トーナメント出場によって得られる「人を壊す権利」に興味を示し、未だ道半ばな「研究」のために権利獲得に挑戦することを決め、永島を一撃で殺害しトーナメント出場権を勝ち取る。だがトーナメントへの出場許可が下されたのは、絞首刑で殺せない自身を秘密裏に抹殺するのが目的であった。
トーナメント1回戦で自らを始末しに来た英と対戦。体内に仕込まれた多彩な仕掛けを駆使したトリッキーな戦い方に翻弄されながらも、英が放った正中を貫く刺突に対し脊柱を曲げることで致命傷を回避、カウンターで首をへし折って勝利する。
仕合後、英が体内に仕込んでいた致死性の高いウイルスに血液感染していたことが判明し、余命いくばくもない状態となっていたが、古海製薬の協力を得て治療に成功し2回戦も続投。仕合では初見と対戦、1回戦では出し惜しみをして勝利への渇望が満たせずにいたため、最初から切り札を使って攻める。関節技が通じないというアドバンテージ、一撃必殺の攻撃力、長いリーチを活かして技術の差を覆し、「狩る」ように持久戦に持ち込もうとしたが、初見が事前の情報収集で自身の体質について知っていたことと、自身の体質を過信していたせいで骨そのものを折られ、反撃を試みるもそのまま投げ飛ばされ脳天から地面に激突。何もかも初見の掌の上だったことを悟りながら敗北した。
本来なら致命的な一撃となるはずが、亀のように頸椎を体内にめり込ませることで衝撃を軽減し、しばらく身動きが取れなくなるほどの大ダメージを受けながらも生存。その後は厳重に拘束されるがクーデター中に戒めを解き、SH冷凍職員を狙う守護者の大郷を殺害して彼らを救った。
トーナメント後は再収監され、面会にやって来た健蔵に自分のスポンサーが「蟲」であったことを語る。
キャラクターのモチーフはハンニバル・レクター[36]
永島 銀司(ながしま ぎんじ)
十王通信闘技者候補。通称『狂信鬼』。顔の左半面に「人は裁かれねばならない」と縦一行で書かれた刺青を入れている。カルト教団「救世界」の狂信的信者であり、対立する宗教団体「神の軍勢」の幹部と信徒、計56名を殺害した。鉄製の手錠を指先で飴細工のように千切る怪力の持ち主。
同じ「素手による大量殺人犯」である坂東と、拳願絶命トーナメント出場権を巡って生死を賭けた殺し合いをさせられることになる。トーナメントへの出場と引き換えに得られるという「つかの間の自由」を、「邪教徒を根絶やしにせよとの天命」と受け取り、坂東を邪教徒と見なして攻撃を仕掛けるが、一撃で葬られた。
中腰の姿勢で手を貫手にし、極限まで肘を後方に引き寄せた奇っ怪な構えを見せている(単行本を買う時はこのポーズを取ることを公式から推奨されている)が、自分の間合いに入る前に一撃で葬られたため戦闘力は未知数である。
高田 清助(たかだ せいすけ)
笑顔が特徴的な十王通信の社長。速水以上の野心家とも言われており、法務大臣の許可を得て永島と坂東を戦わせ、勝者を代表闘技者として迎え入れるよう根回しの末に戦いを仕組む。
坂東暗殺のために利用されたことを知り、法務大臣への報復を考えていたが、坂東が倒れたことで計画を変更。2回戦からのルール変更を受けて古海にコンタクトを取り、彼に治療を受けさせる。坂東が2回戦で敗退した直後、東電の龍から「我が主[注 8]から内々に話がある」と告げられ彼に同行する。

ベルシイ石油[編集]

ハサド
声 - 櫻井孝宏[23]
通称『アラブの旋風』。27歳。国土の4割を砂漠に包まれた中東の小国の第1王位継承者で、物事を大局的に見て列強に渡り合うために必要な「知識」を自国に持ち帰るため弟に国を任せて単身旅に出たという過去を持つ。タイ政財界の重鎮であるラルマー13世とは友人同士。
文献をもとに独学で首里手を習得している。ムチミを活かした目にも止まらぬ神速の突きを武器とし、過去に仕合開始わずか2秒で決着と言う拳願仕合最短決着記録を打ち立てた(後に、その記録は御雷によって塗り替えられる)。また、祖国に伝わる「砂漠掌」という武術も使える模様。
拳願絶命トーナメントの予選バトルロイヤルで初登場。他の闘技者を瞬く間になぎ倒していき、力の底を見せることなく予選を通過するも、「闘技者は商人の駒である」と豪語する片原に食って掛かったせいで護衛者の淀江に排除され、船外に蹴り出されてしまい失格となった。この展開が読者に与えたインパクトは大きく「強そうなキャラが一瞬でザコになる」という現象を意味する「ハサどる」という単語が生まれたそうである。[37]
その後、蕪木の潜水艦に拾われて数日彼と行動を共にし、その間に乃木に雇われ速水の護衛に就かされる。東電によるクーデターの際には彼に同行し、かつて自身を敗北させた淀江を含む護衛者3人を瞬殺するも、計画が頓挫する間際に本来の務めを果たし速水を捕縛した。
使用武術・首里手
鈴木 栄作(すずき えいさく)
ターバンを着用し、チョビ髭で浅黒い肌をした小太りの男性。アラブの石油王のような外見だが、純正日本人であると思われる。ハサドの一連の顛末は彼にも予想外だったようで、かなり取り乱していた。

アンダーマウント社[編集]

平成18年設立。革新的なサービスを矢継ぎ早に発展させ、起業からわずか10年で急成長を遂げたIT企業。検索エンジンSNSといったインターネット関連事業を主軸とし、SNSのアクティブユーザーは全世界で16億人超。また、自然科学、とりわけ神経科学の研究に注力している。

健蔵が、人間と機械を直結する「電脳」という理想の真・IT社会を実現するために立ち上げた会社。拳願会加入からも5年しか経っていないが、すでに企業序列上位に食い込む実力派企業でもある。その功績は社長である太田正彦の手腕と言われているが、社内では替え玉説が囁かれている。電脳化研究には「蟲」からの資金提供で進められていたが、必要なデータが集まったためか絶命トーナメントのころに一方的に契約を打ち切られている。企業序列第28位。拳願仕合通算戦績68勝5敗。

山下 健蔵(やました けんぞう)
声 - 平川大輔[16]
アンダーマウント社の真の社長にして、何年も引きこもり生活を続けている山下一夫の長男。25歳。
幼少期は運動が苦手ながらも聡明な子供だったが、学生のころに人間には「進化」が必要だと考え自室で動物実験を行うようになり、狂気を感じた一夫が対話をやめてからは引きこもるようになる。この件がきっかけとなり、山下家はバラバラになってしまった。その後は学業に意義を見出せなくなって学校に行かなくなり、再就職先を探していた太田を影武者に立てて、己の理想を実現するために会社の運営を行っていた。
他人を全く信用しておらず、通信販売で購入した商品の配達を受け取る以外では一切外界と接触しないが、そのまま家から一歩も出ずに日本を掌握する野望を持っている。拳願会々員の資格を持っていないため、会長になるつもりはない。
拳願絶命トーナメントに金次第で忠誠を買える呉一族を送り込むが、自分たちを利用しようとしていたことに気付いた恵利央が反旗を翻したことで命を狙われる立場となる。父親にも秘密で戦車並みの装甲を備えたシェルターに改築した自宅に籠城するも、「外し」を使った呉一族の精鋭部隊に拘束されてしまうが、山下商事が仕合に勝ったことで見逃され、反省。康雄と共にヘリコプターで願流島へ向かう。願流島ではセグウェイを駆り、クーデター鎮圧後に父親と合流、敗退時に彼が負うことになる借金の肩代わりを申し出る。
トーナメント終了後は引きこもりをやめ、正式にアンダーマウント社の会長に就任。同時に実家を出て生活を始めた。
自身の存在を突き止め直接交渉してきた「蟲」を電脳化の研究パートナーとしていた。絶命トーナメントと前後して資金援助を停止されたことがきっかけで、晒首刑務所へと再収監された坂東に面会し自分より前に結社から資金援助を受けていたという確証を得る。
2年後、楓から父が王馬と龍鬼のDNA鑑定を行ったと聞かされたため、独自に調査を行って「蟲」の工作により鑑定結果を改竄されたことを確かめ、山下商事を訪問して結社の情報を伝え、禁忌に触れてしまった父に警戒を促す。実はこの行動は「蟲」を誘き出すための罠であり、父に警護をつけた上で乃木や滅堂の指示の元に行っていた[38]
太田 正彦(おおた まさひこ)
声 - 亀岡孝洋[16]
アンダーマウント社の表向きの社長。47歳。前の会社をリストラされたところ、当時中学生だった健蔵と出会い、影武者に抜擢された。『求道の拳』に登場する六真会館所属の空手家・太田正男の実兄だが、本人に運動経験はない。
月例報告などの全ての社長業務を行っているが、社員からの評価はさほど高くなく、裏に本物の社長がいるのではないかと噂されている。その噂は的中しており、全ての業務は健蔵の指示通りに行っている模様。彼自身も健蔵のことを「社長」と呼び、心底敬服している様子。呉一族を雇う旨を伝えられた際に大きく取り乱すなど、健蔵と比べると小人物。
健蔵の会長就任後も、彼を支えている。
呉 雷庵(くれ らいあん)
声 - 松岡禎丞[39]
アンダーマウント社の代表闘技者。暗殺集団「呉一族」最凶の男。通称『魔人[注 9]。21歳。容姿は若かりし日の恵利央に酷似している。対象を「蹂躙」することを至上とする極めて好戦的な性格であり、あくまでも依頼を受けた標的のみを確実に殺害する呉一族の中で、ただ独り欲望のままに殺戮を行う異端者である。
呉一族が代々伝えてきた武術を使い、古流柔術などの動きにも対応できる。ただ、自らの優れた身体能力のみで蹂躙することを好み、自分の血を使った目つぶしなどの喧嘩じみた技も使用する。呉一族独自の肉体改造法によって先天的に高い耐久力を誇り、比較的細身の体型ながら非常にタフ[注 10]。その上「外し」により潜在能力を100%解放することができ、解放後は自分より大柄な相手を片手で放り投げるほどの怪力を獲得する。これらの理由から、Aブロック随一の実力者と見られていた。加納が語った「若槻より格上」の1人。
会場では何度か問題行動を起こしており、仕合前には理人を挑発、「外し」を使って一方的に殴って姿を消し、仕合後には御雷にも喧嘩を売っているが恵利央に今後の計画について教えられたため矛を収めた。
トーナメント1回戦では茂吉と対戦。序盤は西洋武術中心の立ち回りに圧倒されたかに見えたが、「外し」を使い桁外れな力で蹂躙し、最終的には生来の耐久力でほとんど無傷のまま勝利した。仕合中、会場の全勢力を挑発する行為に出る。
2回戦では王馬と対戦。1回戦より力量を上げた王馬に驚かされたものの持ち前の身体能力で徐々に追い詰め、「外し」を発動して「前借り」を使った彼と壮絶な打ち合いを繰り広げ、生まれて初めて「勝負」を楽しみ始める。王馬が「前借り」を維持できなくなったのとほぼ同時に自身も蓄積ダメージで「外し」を使えなくなり、それでも呉の技を一切使わずに単純な力押しだけで攻めたてたが、頸部を攻撃され続けたことで一瞬意識を失い、その隙を突かれてラッシュを叩き込まれ、人生で初めての敗北を喫する。
仕合後は王馬より早く回復し、クーデター勃発時には呉一族として守護者の鎮圧に当たる。
トーナメント後は消息不明で、2年が経った『ケンガンオメガ』でも妹と連絡を取っていなかったとされていたが、実際は呉の里の恵利央邸に居着いており、「蟲」に追い詰められていた一夫の前に2年前に死亡したはずの王馬と共に現れ、情報収集のための生け捕りの指示を無視して相手を殺戮していく。習得していた一族の技を使いこなしており、1年前から繰り返している完治した王馬との組手でも勝率では上回る。その後、煉獄との対抗戦にも代表選手として出場することになる。
本番では第7試合に出場し、アラン・呉と戦う。序盤は「鬼魂」を使ったアランを「中々いい玩具」と見て打ち合うが、観客にエドワードと夏を発見すると遊ぶのをやめて一族の技で容赦なく一蹴、最後は「外し」て顎を素手で引き裂き相手を殺害する。反則負けとなるも、そのまま本命の標的であるエドワードを追ってリングを去る。
モデルはハイアン・グレイシー[40]
主な技
外し
獅子咬(シシガミ)
呉の技のひとつ。首の骨を折るのではなく一瞬で外す技。雷庵は鍛えられ武器を持った人間を相手に、3人同時に技を決めることができる。
無明(ムミョウ)
平手打ちで相手の目を擦る目潰し。
仏殺(ブッサツ)
肘打ちで相手の喉を下からかちあげる技。
剛体(ゴウタイ)
相手の胴へ肩から体当たりする技。
破山(ハザン)
上段と中段を同時に拳で突く、空手の山突きに似た技。
蹴突(シュウトツ)
胴体への後ろ回し蹴り
本山 ほたる(もとやま ほたる)
太田の秘書。19歳。やや流されやすい性格。太田が健蔵に電話をかけるところを目撃しており、太田の秘密にうすうす感づいている模様。
コスモとは高校時代の同級生で、通っていたのは家に近い普通高校だが実は非常に頭が良く、高校在学中に世界的にも最高学府とされるハルバード大学に論文を送った結果学位を得ている。大学卒業資格を得てしまったため、進学はせず就職を選んだ。
『求道の拳』に登場する六真会館所属の空手家・本山仁の実妹でもある。
『鬼』の王、『鳥人』の戸塚、『魔獣』岡部
アンダーマウント社の闘技者。名前とシルエットのみ登場。名前は当時の裏サンデー連載作家から取られている。

ゴールドプレジャーグループ[編集]

近年、成長を遂げたナイトレジャー界最大手企業。創立時期不明(昭和30年代と推測される)。理乃の代で急成長を遂げ、今やその企業規模は拳願会でも上位に食い込みつつある。グループ名は、江戸時代の吉原遊廓「快楽楼」に由来する。通称「不夜城からの刺客」。企業序列第25位。拳願仕合通算成績36勝7敗。

御雷 零(みかずち れい)
声 - 小野大輔[23]
ゴールドプレジャーグループ正闘技者。通称『雷神』。26歳。前闘技者を難なく倒し、正闘技者の座を獲得した。
暗殺拳「雷心流」の当主。本来、雷心流は政争の類に一切関わらないことを代々鉄の掟として守っていたが、かつて倉吉理乃の暗殺依頼を受けた際、彼女に一目惚れして依頼を放棄。彼女のために掟を破って闘技者となり、「暗殺拳としての雷心流」を終わらせ拳願会の頂点に立ち、不殺の境地に至った新たな雷心流を作るために拳願絶命トーナメントに参戦する。かつては殺し屋であった事から殺す事に何の躊躇いも無い性格であった、理乃との交流を経て人間味が増したと言われるようになった。
戦法はスピード重視。高速で動き続けることで相手を翻弄し、手数の多さを活かして堅実かつ的確に急所攻撃を繰り出し相手を仕留めることを得意とする。反面、常人離れした耐久性の持ち主には素手による「殺す技術」が通じにくいため苦手としている。
トーナメントの1か月前にデビュー戦を行い、洪小虎と戦うが、圧倒的な力の違いを見せつけて完勝。「若槻や関林など、他の強豪闘技者と比較してもなお力の底が見えない」とまで評される実力を秘め、初見でさえも理乃に言われるまで、存在を気取ることができなかった。
トーナメント1回戦では根津と対決。雷閃で文字通り一瞬で勝利を収め、ハサドの持つ拳願仕合最短決着記録を更新した。
2回戦ではサーパインと対戦。序盤から執拗に頭部へ攻撃を集中させたものの、思うように打撃の効果を与えられず苦戦を強いられる。しかしビルマの鉄槌に対してのカウンターを放ち、さらに脳を揺らすことを狙って攻撃を繰り出し、手足の骨に大きなダメージを負いながらも勝利。相手を殺さず倒せたことに達成感を覚える。
クーデター中は複数の守護者を相手取り、理乃を庇いつつ悠々と制圧したが、3回戦直前に桐生による襲撃を受け真意を掴めぬまま仕合に臨むことになる
3回戦では黒木と対戦。闘技場に出ても襲撃のことを考えていたが、黒木の言葉で考えを断ち切った。祖父から聞かされていた、自分の父を殺した黒木に対しては暗殺家である以上殺されることもあると、黒木への憎しみは持っておらず、黒木を倒すことで拳法としての「雷心流」の強さを証明しようとする。理乃の「命令」で暗示を強化することで自身の限界以上の速度を発揮し、相手の動体視力を超えたものの「先読み」で完璧に対応されてしまい、その速度が仇となって痛烈なカウンターを受けてしまう。極限状態の中で全ての縛りを忘れ手数で押す作戦に移行したが、渾身の下突きを心房の位置に打ち込まれ意識を失い敗北した。
トーナメント後も闘技者としての籍は残っており、氷室が煉獄との対抗戦に出場させようとしたものの、零を二度と政争の道具として利用したくないという理乃の意向で対抗戦への参加は見送られた。2年数ヶ月後の「中」への潜入に同行した際に理乃との関係は終わっていることが明かされた。
名前の由来は建御雷神[41]
使用武術・雷心流
1200年の歴史を持つ一子相伝の暗殺拳。日本神話の雷神・建御雷神が創始したとされる。「政争ニ関スル案件、是ニ関ワラズ。」という信条を持ち、過去歴史の表舞台に現れたのは文永の役第四次川中島合戦のわずか2回のみ。1588年の刀狩令で武士以外の帯刀が禁じられてからは、素手での暗殺が基本となっている。
その極意は「雷に成る」ことにあり、「雷神が宿る」という自己暗示によるリミッターの解放と、荒業で身につけた走ることに特化した足を使うことで、0からトップスピードまで一瞬で加速し、短距離走でならば呉一族をも上回る速度を発揮する。
速さを重視するがゆえに突進系の技法は全て最短経路を辿るため、軌道が直線的になるという欠点を抱える。とはいえ、一流武術家の動体視力ですら追えない速度にカウンターで対応するというのは机上の空論でしかなく、3回戦の黒木との闘いまでその速度を攻略できた者はいなかった。
主な技
雷閃
雷心流最速とされる伝統的な型。急加速を利用して、相手とのすれ違いざまに突きを加える技。雷心流独自の鍛錬の末に完成する。
体にかかる負担が甚大で短時間しか最高速度は維持できないという弱点もあり、一撃で勝負を決められないほど頑丈な相手には不向き。黒木によると零の雷閃の速さは零の父よりも遅いとのこと。
理乃の能力で暗示を強化することで限界を超えた脅威的なスピードを発揮できるが、その代償として身体への負担も多くなっており、短時間の交戦でも重度の脱水を始めとした肉体的消耗を強いられるという欠点もある。
夢幻歩法
第65代当主・御雷静(みかづち せい)が考案した「雷閃」を放つための型。緩急を付けた不規則な歩法。
陽炎
時代と共に形を変える「常時最新の型」。顔面の経穴である晴明・四白・神庭・迎香・下関・承漿へと部位に応じて打つ型を変え、より深くダメージを浸透させるという突き技。
慘雷(サンライ)
発勁・鎧通し・裏当て・徹しなどと同様、外装を透過して内部に直接衝撃を与える技。体を固定し威力を逃がさないようにして、拳打や頭突きで相手の顎に全衝撃を返すという技。この技だけで仕留めることができなかった場合には、「陽炎」などを併用して小刻みに頭部へ打撃を与え続けて継続的に脳を揺らし、徐々にダメージを蓄積させて相手を倒す。
練氣(れんき)
雷心流の型の一つで、元は中国から伝わったのバランスを整えて伝達をスムーズにする技術とされる。現当主である零は氣のなんたるかを完全には理解していないが、不安や焦燥感を打ち消すために戦闘前のルーティンとして欠かさず取り組んでいる。
倉吉 理乃(くらよし りの)
声 - 豊崎愛生[39]
ゴールドプレジャーグループの若き代表。通称『女王蜂』。年齢不明。柔らかな顔立ちにグラマラスなスタイルの美女で、初見からは「拳願会の性的暴風雨(セクシャルバイオレンス)」と呼ばれている。
「性本能(種族保存本能)」で「雄」の「自我本能」を抑圧し、強制的に傅かせる「命令」を発することができるという特異能力を持っており、どんな「超雄」も決して逆らうことができないことから『超雌』と称される。ただし判断力が低下した狂戦士となるのを避けるため、「命令」の強度に段階をつけることで制御しやすくしている。さらに指一本で洪の脳内麻薬を止める、トーナメント出場権を強奪しに来た刺客の隠しカメラに気付くなどしており、「下手な闘技者よりも化け物じみている」とまで言われている。
御雷とは下の名前で呼び合い、膝枕をするなど、単なる闘技者と雇用主以上の関係を築いているようである。ただし御雷が戦えなくなった時のために代理の闘技者候補を3名用意して会場に連れてくるという、堅実な経営者としての側面もある。秘書たちからは「全てが最高」と慕われるが、彼女たちのあまりの有り様から周囲は何があったのかを聞くことができない。
実は東電会長の速水の娘。複雑な家庭環境で育ったせいもあって「不自然な死」に対する嫌悪感を捨てられないという、拳願会員としては欠点となりうる弱さを抱える。そのため仕合中に闘技者を死なせないように、一度でも敗れた闘技者には退職するよう「命令」しているが、そのために闘技者が謎の失踪を遂げるという悪評も立っている。
『ケンガンオメガ』で煉獄との対抗戦が決まった際に、氷室から零の出場要請を受けるが、零を二度と政争の道具にしたくないとして断固拒否する。対抗戦の会場には訪れており、父に駒として洗脳を受けている義弟の正樹に憐憫の情を向ける。対抗戦終了後に速水を殺すよう正樹を嗾けたことが示唆されている。
森 政志(もり まさし)
通称『暴君』。路上仕込みの喧嘩術で勝利の山を築いた、ゴールドプレジャーグループの元・正闘技者。相当な強者だったようだが、ゴールドプレジャーグループの正闘技者を決める戦いにおいて、御雷に瞬殺されてしまう。
音市(おといち)
理乃の秘書。年齢不明。ゴールドプレジャーグループ系列のキャバクラホステス出身で、現在は経営する側になっている。ナイフの扱いが得意で理乃の護衛役でもあるが、実力は一般人以上闘技者未満。日焼けは太陽光だけでするのがポリシー。
美音(みおん)
理乃の秘書。年齢不明。元ホステスで音市と同様の経歴を持ち、戦闘能力も同程度。刃物の扱いが苦手なので鈍器を使って戦う。

岩美重工[編集]

昭和25年設立。日本最大の機械メーカー。船舶・海洋事業、原動機事業などの他、兵器開発に注力しており、「兵器のデパート」と呼ばれる世界でも有数の軍需企業である。社訓は「死は金なり」。企業序列第7位。通称『極東の死神軍団』。拳願仕合通算戦績111勝61敗。

絶命トーナメント中に行った賭けによりガンダイを傘下に収めており、2年後の『ケンガンオメガ』では拳願会での影響力を強めている。

ムテバ・ギゼンガ
声 - 楠大典[39]
洪小虎を超える闘技者を求めた東郷とまりがついに探し当てた最強の殺戮傭兵。全身余すところなく刺青を入れた、いかにも恐ろしげな容貌の巨漢の黒人。43歳。
シエラレオネで起こった反乱軍のクーデターの鎮圧のため政府から雇われた際、完全武装した反乱軍を単身・素手で一発の銃弾にも当たることなく皆殺しにした逸話を持ち、『虐殺者(ジェノサイダー)』の通称に加え、「コンゴの死神」「伝説の殺戮傭兵」「アフリカの最強生物」「暗黒大陸の殺人マシーン」「非情の拝金戦士」などの様々な異名で恐れられる。かつて呉堀雄と戦ったこともあり、堀雄をして「正直、二度と戦いたくない」と言わしめた。出光とも面識があり、かつてドバイで護衛の仕事を受けたことがある。
非合理を嫌う性格で、傭兵らしく不用意に深追いしない、慎重かつクレーバーな戦闘スタイルが特徴。ウィークポイントを突き、無駄なく倒す戦法が基本で、効率よく相手を破壊するために急所や負傷箇所への攻撃をためらわずに行い、心理戦も巧み。あくまでも傭兵であるため徒手格闘に精通しているわけではないが、トーナメントの中で急速に格闘技術を培っており、2回戦ではボクサーを真似て戦場では使わない「フットワーク」を即席で使いこなし、機動力で相手の攻撃を空振りさせつつ、タッチボクシングのように負傷箇所を狙いダメージを蓄積させるという技能も見せた。ただ、「勝つこと」ではなく「生き残ること」が傭兵の本懐なので、リスクを避け、最も生き残る確率が高い方法を選択する。
実は過去の戦いの中で負った傷により完全に失明しており、現在は全盲である。だが、視力を失ってはいるものの、それ以外の感覚、特に嗅覚と聴覚が非常に発達している。ムテバ本人曰く「常人以上に視えている」らしく、心拍や呼吸を聞いて相手の心理を読んだり、聴覚と嗅覚で会場全体の様子を知覚してみせた。嗅覚の情報だけで対象の年齢や人種すらかなり正確に把握でき、面識があれば個人まで特定可能。その発達した嗅覚だけの個人の特定可能能力は出光から「本当に盲目」なのかと言わしめる程。盲目でありながら常人でも狙うのが難しい眼球を的確に狙う様は「名手」と評される。また、失明時の反省から、五感の一部を戦闘中に失うことがあってもそれ以外の感覚で戦闘を継続できるように訓練を積んでいる。なお、1回戦以降、岩美重工が開発した振動感知・赤外線感知など5種類のモードを使い分けられる義眼を提供されており、被験者第一号として仕合中に性能のモニタリングを行っている。
サップ風のコーディネートを好む伊達男でもあり、服のことになると話が止まらなくなる。また絶倫のようで、トーナメント開催地に向かう拳願号の船室内では、とまりにあてがわれた女たちを食い散らかしており、仕合の入場前にもつまみ食いとして女たちを食い散らかしていた。
とまりの「命の価値は不平等」と言う考えに同意し拳願仕合に参戦。彼女からは「テメーに勝てる人間はこの世に居やしねえ」と太鼓判を押されている。トーナメントを「戦い」ではなく「一方的な人間狩り(マンハント)」と称し、「狩りこそが我が人生」と嘯く一方で「快楽殺人鬼ではない」とも語っており、殺人をためらうことはないが無用な殺しは嫌う傾向にある。
トーナメント1回戦で目黒と対戦。開始直後に背負い投げを決められ、マウントポジションから首を締められる。目黒の柔道技術と急所攻撃にも一切怯まない特異体質に苦戦しつつも、睾丸を潰してマウントを解くと、目黒の醜悪さに嫌悪感と侮蔑の念を抱き、「殺処分」を宣言。気道を潰して首をへし折り、潰した右目を二本貫手で抉って脳を破壊することで、相手を殺害した。
2回戦ではマーヴェラス・セキと対戦。目突きを受け返されて以降は体格差もあって圧倒され、両耳を潰されるという痛手を負ったが、研ぎ澄まされた嗅覚を頼りに戦闘を続け、目突きを多用することで生じさせた意識の隙を突いて決定打となる「心臓抜き」を放つ。それでもなお立ち上がられ、一撃を食らわされたことで失明以来初めて「戦士」としての本能が疼くこととなったが、セキがすでに戦闘不能であることを察し、彼が貫いた「プロレスの流儀」に敬意を表して裏投げからの3フォールを決めてプロレスの勝ち方で勝利を飾った。本人曰く「プロレスは嫌いでは無い」とのこと。
クーデター時には関林らが居る医務室に駆けつけ、「そういえばプロレスの授業料を払っていなかったが、持ち合わせが無いので働いて返す」として、雇い主には内緒で怪我人たちの窮地を救う。
3回戦では若槻と対戦。このころには義眼にも慣れつつあり、相手の隠し球の1つである組み技を経穴を突くことでかわす一方で、圧倒的なパワーへの警戒から一進一退の攻防を繰り広げる。若槻が鼻を狙っていると考えたため、敢えて嗅覚を犠牲にして義眼による捕捉を開始し、一瞬の隙を突いて首筋に貫手を放つが目線の動きから目が見えていることを悟られており、筋肉によって受け止められ爆芯で右腕を破壊されてしまう。重傷とはいえ十分に戦闘続行可能だったが、傭兵としてのスタンスからこれ以上の継戦は本業に差し支えると判断し独断で棄権する。
仕合後にとまりから詰問され、追及をかわすために自身直通の連絡先が書いてある名刺を渡し、1回だけ無料で仕事を受ける契約を結び、会場を去った。
その後、アゼルバイジャンでの目撃情報を最後に消息を絶ち、『ケンガンオメガ』では休暇を取っていたが、対抗戦で活躍できる闘技者以外の強者を求めるとまりから接触を受け、出場を要請される。だが、試合が煉獄の「不殺」ルールだった場合は自分ではやりにくいと考えたため、コネを使ってユリウスを呼び、ユリウスを岩美重工の闘技者として出場させることにした。報酬は美女と美味い酒の各1ダースで、ユリウスが勝てば追加報酬が出ることになっている。対抗戦はとまりや出光と共に観戦しており、対抗戦の最中に出光から依頼を受ける。
使用武術・軍隊格闘術
軍隊格闘術(サイレントキリング)の達人。急所攻撃、騙し、化かしを得意とし、ルール無用の戦いでは右に出る者はいない。古代中国の暗殺術や、経穴攻撃など中国医学にも通じている。
主な技
目突き
ムテバの得意技。聴覚をもとに「位置情報」を把握し、的確に眼球を破壊する。さらに、その残虐性からインパクトが強いので、無意識に対処に注意を向けさせることで、「心臓抜き」の奇襲を成功させやすくしている。
心臓抜き
標的の肉体に外傷をつけないために古代中国などで使われた暗殺技術の通称。肋骨の下をくぐり抜けて心臓に直接軽く触れることでその鼓動を止めるという技で、力はそれほど必要ではないが胸部の筋肉が緩んでいなければ十分な威力は発揮できない。タフネスで知られるセキを一撃で戦闘不能に追い込むほどの威力を誇る危険な技。
洪 小虎(ほん しゃおふー)
破竹の快進撃を続ける中国拳法家。通称『四川の人食い虎』。29歳[42]。「極意拳」という流派を修めており、脳内麻薬のコントロールを最大の奥義とする。それによって痛覚をシャットアウトできるため、痛みを無効化し、加減なしの強力な打撃を放つことができる。唯一の敗北は『滅堂の牙』との対戦によるものであり、『滅堂の牙』と対峙し、再起不能を免れた数少ない闘技者の一人でもある。以来、復讐の機会を待ち続けてその腕を磨いてきた。
拳願絶命トーナメント開催1か月前の拳願仕合において御雷と対戦したが、圧倒的な実力差を見せつけられ、両膝を蹴り砕かれ動けなくなり敗北。敗北を認めず砕けた膝で立ち上がるという驚愕の気概を見せるが、理乃の「おすわり」の一言で脳内麻薬の分泌を止められ、蘇った痛覚により完全に戦闘不能となる。
『ケンガンオメガ』でも現役で、関林、河野に次ぐ実力を持つ岩見重工派閥の戦力とされる。
東郷 とまり(とうごう とまり)
声 - 小林ゆう[39]
兵器製造に力を注ぐ、岩美重工の女性経営者。26歳。奇抜な言動とは裏腹に確かな経営手腕を持つが、同時に「死の商人」「日本経済界の奇人」の異名を持つ危険人物としても知られている。凶相な上に言葉遣いも乱暴だが、檜山に女性としての危機意識を持つよう注意するなど、面倒見の良い一面も見られる。その一方で理乃にはすっかり玩具にされている。
拳願絶命トーナメント開催の1か月前、自社最強の闘技者である洪小虎を擁してゴールドプレジャーグループとの拳願仕合に臨むが、思わぬ完敗を喫してしまう。理乃への復讐を誓い、新たに見出したムテバを擁してトーナメントに挑む。
反権力主義の塊のような性格であると同時に超合理主義者でもあるため、利益のためにあっさり信念を捨てて拳願会長の座を目指す。同じ合理主義者であるムテバとは雇用主と闘技者という関係においてなかなか相性が良いが、彼の服に関する長話には辟易している。
技術の発展に関しても柔軟な思考を持っており、その想像力の豊かさはムテバをして「ロマンチスト」と言わしめる。彼に提供し性能試験を行なっている義眼も、幼少期に見たとあるSF映画を参考にしたものである。
ユリウスの敗北による東洋電力の求心力の低下、それによる乃木の台頭を危惧しガンダイを自身の傘下に加えようとするも、鹿野と対立(組むことに対してではなく、ガンダイが岩美重工の傘下に入ることを拒絶した)。2回戦で勝利した企業の軍門に下る賭けを鹿野と行い、これに勝利したことで拳願会での地位をさらに強固なものとする。
3回戦で契約違反でこそないものの勝手に仕合を棄権したムテバに激怒するも、「最強の傭兵への無料依頼権1回分」をもぎ取ったことで一応は矛を収めた。
『ケンガンオメガ』では拳願会の役員。組織内での発言力を増すため、対抗戦には関林と春男を出場させて2勝を確保する心算があったが、彼らの出場辞退により計画を変更。2年前のトーナメントで雇ったムテバに再び接触を図ったものの、彼から代理として指名された元東電闘技者であるユリウスを自身の派閥からの出場選手として送り込む。
湯梨浜 房枝(ゆりはま ふさえ)
とまりの秘書。とまりの人命軽視主義を問題視している。とまりの付き添いでテロ鎮圧や新兵器のプレゼンをするために世界各地を飛び回っているため、非常に多忙。ネームドキャラにも関わらず地味な外見なのが特徴
ユリウス・ラインホルト
元東洋電力闘技者。

義伊國屋書店[編集]

日本書店業界の頂点に立つ企業。バーなどにも出資している。企業序列第19位。

金田 末吉(かねだ すえきち)
声 - 遊佐浩二[23]
大屋健が将棋センターで意気投合して連れてきた、和服で細目の男。通称『大物喰い(ジャイアントキラー)』。27歳。かなりの腕を持つ将棋指しであり、トーナメント開催前のパーティー会場で賭け将棋を行い、挑戦者をことごとく破っている。この時、大屋に連れて来られた山下も対戦したが、やはり完敗した。父親はすでに死亡しており、兄が1人、姉が3人いる。
生まれついての虚弱体質で、物心つく前から何度か死にかけてきた。幼少期から父の友人の下で紅人流を学んでいたにもかかわらず高校時代は筋力・持久力共に女子生徒にさえ劣っており、現在でも「格闘技経験があるのかも疑わしい」と評される程度の動きしかできない。しかし、強さへの飽くなき渇望から習得した「先読み」という技術を使うことができる。高校時代はこの技術を用いて後にプロとして活躍することになる3名のスポーツ選手をそれぞれの専門競技で打ち破っており、将棋部ながら「四天王最強の男」と恐れられていた。
実は大屋に接触したのも「弱者」として強者に挑戦するべく、闘技者になってトーナメントに参加するという目的のためであり、彼が抱える闘技者である氷室に目をつけ「先読み」のために監視を行っていた。代表闘技者の座を賭けて氷室に勝負を挑み、当初は氷室の攻撃に全く対応できず防戦一方だったが、肋骨や内臓へのダメージを受けながらも「先読み」により氷室の動きを見切ったことで徐々に攻勢に出、最後は右腕を破壊して勝利。それによって大屋から実力を認められ、氷室に代わって義伊國屋代表闘技者となる。
大久保、理人、氷室と一緒にいることが多く、串田には4人まとめて「4バカ」と呼ばれる。この中では一番常識人だが、それゆえに若干影が薄く、単行本の表紙にも唯一登用されていない。また、4人中彼だけが女好きでもない。顔のパーツが串田とほぼ同じことを指摘されているが本人たちに自覚はない。また、カラオケでは盛り上げ専で、妙にキレのある動きを見せる。
1回戦でガオランと対戦。試合映像では見たことのない技に防戦一方になりながらも「先読み」でしぶとく喰い下がり、自身の本音をぶつけて相手の本気を引き出し、全力のガオランに10手先まで読んで食らいついたが力およばず敗北する。実は氷室戦でのダメージが抜けきっておらず、戦法自体もトーナメント戦に向かないことから氷室からも棄権を勧められていたが、多数の鎮痛剤を用いた状態で仕合に臨んでいたことが仕合後に明らかになった。ガオランからは強敵(とも)と認められ、その後は遺恨無くガオランと普通に交流を深めている。
『ケンガンオメガ』でも闘技者として活躍中。山下の依頼で新人2名を闘技者にするための指導係を任され、光我を新日本プロレスに案内する。煉獄との対抗戦は実力は申し分無いが、対抗戦の直前に大きな仕合が決まっているので万全の状態で望めると約束出来ないので参加は難しいと事前に通告しており、ノエルとの仕合で負った肋骨2箇所の骨折からの回復が間に合わず、正式に参加を辞退することになった。
『ダンベル何キロ持てる?』にもゲスト出演しており、アマチュア将棋トーナメントでひびきと忠勝のコンビを破り優勝している。
使用武術・紅人流(くじんりゅう)
戦場における甲冑武者同士の戦いを前提とした介者剣術の流派。鎧を着た相手を投げる、足をかける、などバランスを崩した後、得物で仕留めるというように、「いかに早く相手を組み伏し、止めを刺すか」に主眼が置かれており、素手の攻防は技術体系の一つに過ぎず、当身(打撃)はごく限られた状況でしか使用されない。そのため、単純な殴り合いに特化した相手との相性は悪い。
主な技
釣瓶落とし
突きを予測して相手の懐に入って首を取り、顎を抑えたまま後頭部から地面に叩きつける技。
下弦薙ぎ
体勢を一気に低くして足払いをかける技。
梯子外し
相手の突き手を取り、そのまま体を捌いて関節を取る技。相手の体勢が崩れていれば体ごと倒れてそのまま肘を折る。
天地返し
相手の突き手を躱し、抱え込むような形で腕を取って投げる技。投げの後は腕を極める。
陰陽交差構(オンミョウコウサノカマエ)
左腕を振りかぶり右手を腰溜めに構え、左足を前に出して半身になった構え。
主な技術
先読み
詰め将棋をイメージして金田が身に着けた、高度な攻撃予測技術。事前に相手の動きを読み、相手が動く前に攻撃を回避するという芸当を実戦の場で行っており、その技術は超人の域に達している。
見たことのない攻撃に対しては対応が遅れるという欠点があるが、完全な状態では動体視力で捉えきれないような攻撃にも対応できる。ただし、先読みするには相手の動きをしばらく観察する必要があり、体力のない金田はダメージを最小限に留めるため序盤は防御に徹しなければならない。
氷室 涼(ひむろ りょう)
声 - 水中雅章[16]
義伊國屋代表闘技者。通称『氷帝』。25歳。普段は義伊國屋グループ出資のバー「大宇宙」でバーテンダーをしている、褐色の美青年。喫煙者。4勝無敗の少ないキャリアながら、すでに強豪闘技者と並び称されるに至り、義伊國屋歴代闘技者最強と見込まれる程の実力者。王馬とは同郷にあたる「狼弎」の出身で、およそ15歳の時に非合法に戸籍を用意して「中」から出る。
截拳道の達人であり、直突きを基点とした高速のコンビネーションを最大の武器とする。非常に治安の悪い地域で生まれ育ったこともあって武器の扱いも一通りこなし、片腕でも十分に強い。
拳願絶命トーナメント直前、拳願号の船中で金田に出場権を賭けた勝負を挑まれ、序盤は圧倒するも、動きを見切られた末に右腕を折られる。頭に血が上ったため動きが読まれていたことに気付くことができないまま、鶴瓶落としで後頭部から床に叩きつけられ、顔面にストンピングを受け敗北。闘技者の座を奪われる。
しかし、その後は特に遺恨もなく金田と共に交遊するなど良好な関係を築いており、弱者でありながら高みを目指し挑み続ける姿勢に対し「最ッ高に格好いいぜ」と高く評価している。また女性にモテるらしく、女の子の連絡先を入手しては理人や大久保にいじられている。チャラ男だが自覚はなく、二階堂や桐生に同族嫌悪のような反応を示しては周囲を呆れさせている。大久保によると「声までナルシスト」。
『ケンガンオメガ』でも闘技者として活躍中。山下の依頼で龍鬼を闘技者にするための指導係を任されるが、心を閉ざしている彼の扱いには手を焼いている。その一方で初対面で話の流れでぶん殴ったことから光我からは怨まれている。対抗戦が正式に決まった後は一夫からの依頼を頼まれ、行方がわからない、ユリウス、黒木、初見、アギトの行方を追っている。煉獄との対抗戦は金田と同じく、拳願仕合のスケジュールで対抗戦の直前に大きな仕合が決まっていて、万全の状態で望めるとは難しいと事前に通告しており、本番の約1ヶ月前に行われた渡慶次との仕合で勝利したものの負傷したため、正式に参加を辞退している。
使用武術・截拳道(ジークンドー)
利き手・利き足を前に出す構えや独特のトラッピングを擁し、型に捕らわれない戦術を重視した中国拳法をベースとする近代武術。目突き(ビルジー)、金的、関節蹴りなどあらゆる禁じ手を解放し、実戦想定タイムわずか6秒の「超短期決戦」を極意とする。最も強力な武器は最短最速の連打(コンビネーション)で、最速と言われるミドル級ボクサーの平均拳速10m/秒に対し、氷室は“最短距離を突く”縦拳によって15m/秒という規格外のハンドスピードを実現している。さらに、相手の攻撃を捌きつつ即座に攻撃に転じる「受即攻」の無駄なき動作は、対戦相手に実際の数値以上の速度を体感させる。
大屋 健(おおや けん)
声 - 浦山迅[16]
義伊國屋書店会長。65歳。常にワンカップ酒で酔っ払っているが、闘技者を見る目は確か。モットーは「よく飲み、よく遊べ」で、死ぬまで酒はやめないと公言している。
27歳の時に拳願会に加入して以来、32年もの間、闘技者同士の戦いを見届けてきており、自身も東西・老若を問わず純粋な強さを持つ闘技者のみを雇ってきた。その中でも最強と見込んだはずの氷室が敗北した際は少なからず動揺していたものの、迷うことなく勝者である金田を代表闘技者に変更している。打算で動く自分のような商人とは違い、純粋に夢を追う闘技者を少し羨んでいる。トーナメントは結果的に初戦敗退であったが、金田を選んだことには後悔はしておらず、トーナメントを利用した宣伝で、複数の企業と出場に必要だった50億を楽々補填出来る程の契約を行っていた。
王馬と関林の戦いの際に、野次を飛ばした自分に絡んできた山下を気に入り、後日酒を酌み交わして意気投合。互いに「ケンちゃん」「カズちゃん」と呼び合う仲になる。願流島でも多くの時間で行動を共にし、一夫が出版社を辞める際には、嫌味な上司に一泡吹かせようと、義武と一緒に高級車で迎えに来た。

西品治警備保障[編集]

昭和37年設立。国内最大級の民間警備会社。子会社には損害保険会社、防災設備メーカー、データセンター事業などを有する。社長に見出された「西品治七拳」と呼ばれる優秀な7名の闘技者を擁している。企業序列第26位。通算戦績288勝62敗。

かつては東洋電力派閥の傘下であったが、『ケンガンオメガ』では乃木グループ派閥についている。

今井 コスモ(いまい コスモ)
声 - 花江夏樹(ドラマCD)[4] / 榎木淳弥(Webアニメ)[19]
西品治警備保障の代表闘技者。大学生。通称『絞殺王(キング・オブ・ストラングラー)』。19歳。史上最年少の14歳で闘技者となって5年間無敗を貫いており、周囲からは天才と呼ばれる。
かつては誰彼構わず喧嘩を売るほどの不良で、喧嘩を吹っ掛けたヤクザに殺されかけた所を『求道の拳』に登場する総合格闘家の暮石光世に救われ、それが縁で彼に弟子入りし武道家となった。
マイペースで人懐っこい性格から高校時代はグループを問わず友人が多く、ベテラン闘技者である関林や若槻、トーナメントでの対戦相手だったアダムにも親しげに接しており、かなり年が離れている上に社会的な地位も高い滅堂に至ってはたまに家に遊びに行くような仲。周囲からは子ども扱いされるのが悩みの種。自分が闘技者をしていることは1歳下の弟を始め家族にも秘密にしているが、時折ボロボロになって帰ってくるためうすうす感づかれている。かなり純情で、女性に対する免疫がない。
戦闘スタイルは柔術がベースで、闘技者でも屈指の寝業使いとして知られ、主に絞め技を得意とする。ただし、俗に「切れやすい肌」と言われる擦り傷を負いやすく血が止まりにくい肌質なので、上着を着ないで寝技をかけると地面の状態によってはダメージを負うことになる。師匠が得意とする関節技はあまり使用しなかったが、死闘の中で覚悟が決まったこともあり相手の骨を折ることへの躊躇を捨てている。打撃センスも高く、さすがにヘビー級の相手を打撃だけで倒すことこそできないものの、闘技者としては小柄ながらミドル級以上の打撃を繰り出すことができる。普段の態度とは裏腹に、戦いの場では相手を威圧するほどの気迫を持つ。
「天才」と称されながらも苦戦を強いられることについては、若さと信念の不足から詰めの甘さを見せるためであると指摘される。本当は「勝つこと」が好きなのだが、拳願絶命トーナメントまでは「闘うことが好き」だと思い込んでおり、勝利に対する執着心に欠ける面が見られた。
自分が闘技者であることに誇りを持っており、トーナメント開始前にはただ金のために闘技者枠を奪い取ろうとした敵を容赦なく倒している。
本戦ではアダムと当たり、序盤は寝技で圧倒するも、彼の圧倒的はパワーの前に得意の絞め技を封じられてしまう。打撃戦となり体格差から苦戦を強いられたが、本気を出し「ゾーン」を解放することでアダムを破り、前腕にヒビが入るなど満身創痍となりつつも、2回戦に駒を進めた。
2回戦では確実に絞め技を決めるため上着を脱ぎ、序盤からあえて打撃技のみで攻め立てる。一瞬の隙を突いて「ゾーン」を開放するが、殺人衝動により変貌した阿古谷に力技で技を解かれてしまう。突如殺し合いに身を置いたことに恐怖し降参しようとしたが口を封じられ、組み伏せられて肋骨を折られる。激痛から失神した時に師匠からの言葉の真意を悟り、勝利をつかむため土壇場で覚醒、アドレナリンが切れてなお執念を見せつけ、咬傷による左大腿動脈損傷、肋骨3本の骨折など重傷を負いながらも辛勝。
そのダメージは大きく、しばらくは安静を強いられ車椅子で移動していた。クーデターではD班に襲撃され、負傷したアダムやガオランに代わって護衛者トップクラスの強敵である龍と立ち会い、新たな技能の「先読み」を獲得しようとするが、何かを掴む前に龍が戦う必要性を失い逃走したため不完全燃焼に終わる。
その後、西品治から闘技者交代を宣告されるも、代理候補である大久保に勝ったことで出場権を確保し3回戦に臨む。3回戦では王馬と対戦、互いに満身創痍とは思えない猛攻を繰り広げ、新たに修得した「先読み」により彼を苦しめ「負けたくない」意地から躊躇なく骨を破壊しにかかる。折れた肋骨によって内臓が傷つきながらも戦い続け、「先読み」と「ゾーン」で勝利を確信したがさらにその裏をかかれ、「水鏡」により絞め落とされ敗北した。
トーナメント後の『ケンガンオメガ』でも西品治警備保障の闘技者を続けている。トーナメントでベスト8入りしてからの2年で打撃レベルを飛躍的に上げており、「表の世界」でトップクラスのストライカーでも打撃では勝てないレベルに成長を遂げている。しかし所属企業が乃木派閥なので、他派の人数の関係から煉獄との対抗戦への出場は見送られる。
なお、名前の由来は鳥取県にある今井書店とブックセンターコスモから。[43]
使用武術・柔術
主な技術
ゾーン
相手が攻撃に全意識を集中させる0.1秒にも満たない刹那を見極めて死角を突く技。天才であるコスモ以外不可能であるとされている。
大蛇絡め
相手の背後から組み付き足で両腕を拘束して動きを封じる技で、そのまま裸締めを掛けて意識を奪う。師匠の暮石が開発した我流の技。
先読み
相手の行動を予測する技術。元の使用者である金田のように10手先まで読むことはできず、せいぜい1、2手が限度だが、反射神経と身体能力で直後の行動にだけ適切に対応できるよう補う形とした。これにより反射神経で劣るコスモでも阿古谷と瞬花が連携して行っていた戦術が可能となり、オリジナルとは別の技術へ進化している。
西品治 明(にしほんじ あきら)
声 - 松風雅也[39]
西品治警備保障の社長。色黒の爽やかな男。30歳。ペナソニックの瓜田や良とは幼なじみ。高校時代、良の父親の手で自身の父親を殺されているが、父が速水の忠臣として相当あくどいことに手を染めていたことを察していたため、瓜田や良を恨んではおらず、今でも彼らとの仲は良好である。
暮石のジムの後輩でもあったことから、彼の弟子であるコスモからは「先輩」と呼ばれている。コスモを弟のようにかわいがり、未成年の彼を「社会勉強」と称してキャバクラに連れて行くなどかなりヤンチャ。ちなみに、コスモの父は高校時代に所属していたサッカー部のOBである。
自身も格闘技経験があることから闘技者を見る目は確か。「善き弱者」であることに意味はないという考えを持ち、拳願会々長になる野望を持つが、一方で自身の野望のためにコスモを犠牲にしていることに罪悪感を覚えている。
拳願絶命トーナメントでは西品治七拳の中で最も伸び代があると踏んだコスモを代表に選出し、彼を仕合の中で成長させて次の大会で会長の座に着こうと画策。2回戦終了後のクーデターでは父からの縁で速水の下につくよう説得されたが拒絶する。クーデター鎮圧後はコスモに闘技者交代を宣告するが、彼の熱意を受けて交わした約束を守り、3回戦出場を認める。
3回戦でコスモが敗北した後、自身の真意を語り、彼を過小評価していたことと自身を過大評価していたことを詫び、もっと上を目指すよう励ました。
アダム・ダッドリー
元ボスバーガー闘技者。

ボスバーガー[編集]

昭和47年創業。日本発祥のハンバーガーチェーン。日本人の好みに合わせたハンバーガーを開発、販売している。ハンバーガーフランチャイズの国内シェア率第2位。ハンバーガーの本場・アメリカにも進出している。企業序列第15位。拳願仕合通算成績52勝31敗。

アダム・ダッドリー
声 - 堀井茶渡[39]
ボスバーガーの代表闘技者。通称『皇帝』。28歳。両腕に刺青を入れた大柄な白人男性で、上顎の前歯にはFUCK(アニメ版ではDAMN)の文字が刻まれている。
アメリカで活動していたストリートファイターであり、元はアメリカのNHLアイスホッケーチーム「テキサス・スノーマンズ」お抱えの乱闘要員[注 11]。テキサスのストリートファイト・チャンプであるパンク・アボットを倒した所を見初められ、原口のスカウトに応じて来日する。父親はブルライダーで、好物は牛全般。在日2か月で、箸は苦手だがラーメンも好みらしい。
アイスホッケーで培った、発達した脊柱起立筋に基づく強靭な体幹を最大の武器とするストライカー。足場の悪い氷上であっても相手を殴って昏倒させ、腰の入った打撃を放てる環境ならばただのパンチだけでヘビー級の格闘家をも一撃で吹き飛ばす。その威力は最早交通事故と同域に達しており、アメリカではその力でヘビー級相手にKOの山を量産してきた。
拳願絶命トーナメント1回戦では、コスモのマウントポジションを強引に解きストライカーの土俵に持ち込むなど善戦するも、ゾーンを開放したコスモに三角絞めを極められ敗北する。仕合後すぐに意識を取り戻し、以降は西品治警備保障の面々と行動を共にするようになる。
登場時は傲慢で口の悪い性格のキャラクターだったが、自分を倒したコスモともその後は良好な関係を築いており、本人の気分としてはすでに西品治警備保障所属のつもりでいる。自分が負わせたものとはいえコスモの負傷を心配しており、2回戦開始後に彼が万全の状態ではないと知ると交代を申し出なかったことを悔やんでいる。
2回戦終了後、東電の龍が率いるD班と交戦。ガオランと共闘し大半を撃退することに成功したが、青龍刀による隙のない斬撃を繰り出す龍には歯が立たず、脇腹を深く切られる重傷を負う。大事には至らず治療を受け回復したが、西品治から打診されていたコスモの代理は断らざるを得なくなった。
トーナメント終了後も日本に残留し、西品治警備保証に所属を移す。コスモに拳願仕合でリベンジすべく、「喧嘩」との違いに苦労しながらも暮石から格闘技術の猛特訓をつけてもらっている。
『ケンガンオメガ』でもクレイシ道場の門下生を続けており、「長所を生かす」訓練で「技術」より「能力」を伸ばし、異様にのけぞった姿勢や地面すれすれまで頭を近づけた前傾姿勢から変則的な強い打撃を放てるようになっている。光我が蔵地の紹介で道場に来た際は、光我をスケートリンクに連れて行き、暮石の指示で余計な「力み」を逃がす訓練の相手をした。対抗戦には、所属企業が乃木派閥ということで、他派の人数の関係から出場は見送られる。
『ダンベル何キロ持てる?』にも登場。テキサスで立ち往生していたひびきたちをハリウッドまで連れて行った。
ロナルド 原口(ロナルド はらぐち)
声 - 真殿光昭[39]
ボスバーガー社長。39歳。拳願会では若手の部類だが、経営手腕は確か。インパクトのある顔は、メイクではなく素顔。実はハンバーガーよりラーメンが好物で、将来はラーメン業界に参入したいと考えている。ノリが軽く、仕合順を決める時に乃木に絡むも、一蹴されてしまう。
トーナメントを前に拳願仕合出場経験もあるパンクをスカウトしにテキサスに向かったとき、彼に勝利したアダムを見初めて自社の闘技者に選んだ。
速水の下についていたため、クーデター鎮圧後に拘束されてしまう。

若桜生命[編集]

明治22年創業の生命保険会社。企業形態は相互会社。保有契約高業界首位であり、機関投資家としての規模は拳願会でも最大級。企業序列第11位。通算戦績1366勝909敗。

阿古谷 清秋(あこや せいしゅう)
声 - 小山力也[39]
若桜(わかさ)生命の代表闘技者。31歳。表の世界では警視庁機動隊隊長を務める。階級は警部。『処刑人』の通称が示す通り、「正義執行」と称して夜な夜な暴力団・凶悪犯・過激派といった「悪」を秘密裏に始末している。
使用する武術は逮捕術で、大盾など機動隊の使う武器をイメージした型を繰り出す。相手の攻撃に対して軸をずらしていなす防御特化の戦いを得意とし、その前腕は不自然なまでの耐久力を誇り、体重差が3倍近くある相手の攻撃を受けても顔色一つ変えない。
真の武器は圧倒的な速さの反射速度で、常人で0.08から0.1秒程度のところ、阿古谷の場合は0.074秒。それに加え、気の遠くなるような反復練習を行ったことで思考を放棄して反射レベルでの攻撃が出せるようになっている。さらに、瞬花の体内時計を利用し、体内に埋め込んだ超小型骨伝導インプラントから伝わる信号を読み、解析した攻撃のパターンに合わせて的確な反撃を繰り出すことで、相手に何もさせずに勝利することを得意とする。金田の「先読み」と似ているが、金田が動きを予測して相手が行動を起こす前に回避するのに対し、阿古谷は「反射神経を活かし、相手が動き始めてから反応して回避あるいは防御する」という違いがある。0.1秒に満たない意識の隙を突くコスモの「ゾーン」に対しても、檜山からの通信が一瞬遅れたにもかかわらず意識を切り替え防ぐことが可能。
私刑を続けるうちにいつしか「悪」に魅入られ殺人衝動を抱える、いわゆるダーティハリー症候群に陥ってしまっていた。仕合中に檜山の指示を受けるのも殺人衝動を抑え込むための措置であり、この関係が崩れると普段の堅実なものとは異なる残虐で凶暴な戦闘マシンに変化し、目潰しや噛みつきなどの危険な技を使うようになる。また、始末しているのは凶悪犯だけでなく、本人は善良な市民であっても血縁者に凶悪犯がいるような者も「悪の芽」として殺害している。自分自身が理想のために罪を重ねている自覚はあり、いずれは自らも断罪されなければならないと断言しているが、おかしいのは自分ではなく正義のない現世の方だと考えている。
トーナメント1回戦では河野春男を相手に終始圧倒。途中で春男の攻撃の質が変わったことで檜山の解析が役に立たなくなるというアクシデントにより殺人衝動に呑まれかけるが、自滅に近い形で春男が戦闘不能となったため、結局は全ての攻撃をさばき切りほぼ無傷で勝利する。
2回戦ではコスモと対戦。檜山とのコンビネーションで「ゾーン」を封じるが、自分たちの不正が西品治たちに暴かれたことがきっかけとなり、殺人衝動を開放してしまう。凄まじい握力で締めを解くと左大腿部を食い千切り、自身の殺意に臆したコスモを組み伏せ拷問のように肋骨をへし折るが、土壇場で覚醒した彼の猛反撃を受ける。大蛇絡めをかけられても壁や地面に叩きつけて振りほどき、とどめを刺そうとしたところでゾーンからフロントチョークをかけられてしまい、折った肋骨を連打して抵抗したがコスモの執念に負け意識を失い敗北した。
2回戦終了後の東電によるクーデターの際は、守護者を「悪」と判断し殺害しようとするが、滅堂から対象を殺さないよう命令を受けていた加納に止められる。「正義執行を妨げるなら貴様も殺す」と加納に詰め寄るが、「まずは守護者を排除すべき」と説得され同意、加納と共に守護者を殲滅した。
『ケンガンオメガ』でも警察官と若桜生命の闘技者を続けている。檜山との連携は止めたが、何者にも遅れを取らない「完璧な正義の力」を今まで以上に求めてさらに強くなっている。だが、その反面、殺人衝動も強くなっており、光我が闘技者に合格する半年前、故意に対戦相手の室淵を殺害しようとして無期限出場停止になっていた。
偽者の幽崎が殺害された事件で現場近くの監視カメラで確認された龍鬼を怪しみ独自に捜査していたが、見失った隙にセントリーの従業員が殺害されるという新たな事件に遭遇。一連の連続殺人を調べる過程で、「虫のタトゥー」を体に彫った集団が拳願会所属企業に潜入していることに気付く。そして、龍鬼の「資質」を見極めるために復帰戦の仕合をセッティングし、殺すつもりで戦いを挑む。トップクラスの闘技者として龍鬼を圧倒し、反撃を止めた彼を打ちのめすが、待機していた護衛者に取り押さえられる。仕合後、龍鬼から「殺さなくてよかった」「おかしかったのは俺の方なのかも」という言葉を聞き、共に正義をなす「同志」を見つけたと歓喜の表情を浮かべる。
仕合後、若桜生命派閥を敵に回せないという事情と、殺されかけた室淵本人からの推薦もあって、7人目の対抗戦代表選手に内定する。本番においては試合に出すリスクは高いが、イーブンで最終戦を迎えた場合にトリを任せるのは不安である、と考えた若槻の提案に乗った山下に指名され、第9試合に出場しニコラと戦う。自分に近しい反射速度を持つニコラと打ち合いを演じ、防御特化の自分にとって天敵となる、一時的に感覚を消失させる「毒」に苦しめられる。麻痺のせいで回避も防御もできずに何度も殴られるが、相手に組み付いて肩を食い千切り、自身のダメージも度外視して鉄槌や頭突きで相手の頭部を攻撃し続ける。殺人衝動が止まらなくなり、レフェリーのコールでは試合を止められず、このままでは殺し合いになるという判断から強制的に試合終了となり、リングに上がったロロンによって引き剥がされ、医務室から駆けつけた理人とメデルに取り押さえられて対抗戦終了まで拘束される。
キャラクターモチーフは『ウォッチメン』のロールシャッハやパニッシャー[44]
使用武術・逮捕術
司法警察職員およびそれに準ずる職務を行う者が習得する、相手を拘束・制圧することに特化した術技。日本拳法剣道杖術などをベースに作られており、その性質上、素手のみならず様々な武器術も習得する総合武術である。
主な技
大盾
頑丈な左前腕を機動隊が使用するに見立てた構え。反射神経を生かし、攻撃の軸をわずかにずらして受けてダメージを抑えることで、檜山の「解析」が終わるまでの時間稼ぎを行う。受け流してるとはいえ体重が300kg以上ある春男の攻撃にダメージを受けてるそぶりを見せてないことから、ガオランには内心「鉄で出来てるのか」と驚嘆されていた。
トーナメント後には、盾を用いた戦法の中で唯一完全な攻略法が存在しない「押し込み(抑え込み)」という新たな戦法を開発。この場合、左前腕で相手の喉を抑えることで動きを制し、反射速度を活かして抵抗を封じながらマウントを取り、警棒代わりの右鉄槌で一方的に殴りつける。
リッパー
ナックルパートの部分を使い、拳の回転で皮膚をカットする技。肉まで切り裂く理人のレイザーズ・エッジとは違い出血の割に与えるダメージは少ないが、傷口から肉を直接抉るための布石として使われた。
制圧の構え
アギトがトーナメント1回戦で見せた前傾の構えをアレンジした、攻撃に特化した阿古谷オリジナルの構え。
噛みつき
殺人衝動に飲まれた時に使用する技。噛みついた部分の肉を食い千切り、位置によっては大量出血させる。
檜山 瞬花(ひやま しゅんか)
声 - 渕上舞[39]
若桜生命社長。28歳。絶対にズレない正確な体内時計を持っており、トーナメント時のくじ引きでも2番目に高い数字を出した。体内時計を利用して相手の呼吸の「間」を読み、次の行動パターンを予測できる。
父と叔父が急死したため6年前に社長の座を引き継ぐ。信頼していた従兄で副社長であった健人が家族殺しの真犯人で、自身も命を奪われかけるが阿古谷に救われたことで彼に過剰な依存心を抱くようになる。阿古谷とは肉体関係を持つと同時になかば共依存のような関係にあるらしく、彼に見捨てられそうになった際には激しく取り乱していた。こういった経緯もあって阿古谷の殺人を黙認しているだけでなく、拳願会員の力を使って標的の情報を収集するなど共犯関係にある。また、彼の目指す「悪のない世界」においては自身も血縁者に犯罪者がいる「悪の芽」であることから、いつか彼の手にかかり死ぬことを覚悟して受け入れている。
小柄かつ着物姿なので、スピンオフではとまりやアダムに座敷わらしと言われていた。
檜山 健人(ひやま けんと)
若桜生命の元副社長で瞬花の従兄。会社の乗っ取りを画策し先代社長と先代副社長を殺害、何食わぬ顔で瞬花に近づき5年前に彼女を絞殺して会社の実権を奪おうとしたが、突如現れた阿古谷に首を折られて死亡した。

NENTENDO[編集]

ゲーム会社。拳願会最古の派閥『三傑』の一社。企業序列第10位。

河野 春男(こうの はるお)
声 - 水島大宙[39]
NENTENDOの代表闘技者。通称『デストロイヤー(破壊者)』。22歳。ネパール出身。本名は「ハル」で、秋男の養子となり改名した。
かつては幼少期から素手で猛獣を倒すなどの伝説を残した怪童で、ヒマラヤの山奥にある戦士の村で「闘神(インドラ)の化身」と畏怖された最強のグルカ兵だった。しかし、来日後に美食や娯楽などに満たされた贅沢な暮らしを覚えてしまった結果、明るかった性格も短気で陰鬱になり、視力も低下して眼鏡が必要になり、引き締まっていた身体も醜く肥え太った外見になってしまった。ゲームが趣味で、ゲームができないとストレスが溜まり、攻略がうまく進まないとキレて家を破壊する。
拳願仕合の激戦区とされるゲーム業界において最強の闘技者と言われており、過去には8社もの闘技者が参加したバトルロイヤルで圧勝した経歴を持つ。使用する武術は特に無いが、持ち前の身体能力と天性の格闘センスを武器にする。蹴りを躱してバク宙するなど肥満体とは思えない身軽さで巨体を意のままに操り、タックルで阿古谷を闘技場の壁まで吹き飛ばす規格外のパワーを持つ。
1回戦では阿古谷と対戦し圧倒的なパワーで攻め立てるが、間を読まれすべての攻撃を捌かれた上に集中攻撃を喰らい意識を失う。レフェリーのストップがかかる直前に闘争本能のみで立ち上がり、医学的にありえない速度で痩せながら、それまでより遥かに威力の増した攻撃で一時は阿古谷を追い詰めたかに見えた。だが、序盤に阿古谷が膝を狙い続けたことで自重に耐えれなくなり倒れ、顔面への前蹴りで完全に意識を断たれ敗北した。
敗北後、「仕合に勝てないお前に用はない」とばかりに秋男に捨てられてしまうが、関林と鬼王山の仕合を見て感化され、「周囲の期待を裏切ったクズな自分を変えたい」と関林に弟子入りし、以前の明るく礼儀正しい性格を取り戻す。2回戦後の東電によるクーデターの際は、山下を庇いながら医務室の面々と共闘し守護者の撃退に努める。山下を別室に逃し守護者たちと交戦する中で蘭城にレイピアで胴体を貫かれ重傷を負うが、治療を受け回復しヤクと再会を果たす。
トーナメント終了後は正式に超日本プロレスに入門。秋男との養子縁組も解消されたが、良い関係ではなくとも日本に連れてきてもらった恩はあると考え、貰った名前は大切にしようと改名はしていない。
『ケンガンオメガ』ではプロレスラー兼岩見重工派閥の闘技者として活躍中で、“サバンナのサイボーグ”マシンジャガーという出身地とは全く関係ないのリングネームを授かり、覆面レスラーとしてデビューしている[45]。大食らいは変わっておらず、全国巡業のたびに日本中の美味い食べ物を食べて毎回最低でも10kg太り、現在は2年前より20kgほど大きくなっている。あまりに食べ過ぎるので、蔵地から注意されるほど。ゲーム好きも同様で、時々トレーニングをサボってゲームセンターに遊びに行くこともある。対抗戦出場選手の候補に挙がっていたが、煉獄の試合で重傷を負ったホセの穴を埋める必要が出たため、参加を辞退している。
『ダンベル何キロ持てる?』では第111話に登場。
河野 秋男(こうの あきお)
声 - 塾一久[39]
NENTENDO社長。丸く太った外見の小男。63歳。根っからの小悪党だが、商才はある模様。三傑の内の一社としてもプライドからか、拳願会での地位復権に異常な執着を見せている。
自社の代表闘技者とすべく春男ことハルをスカウトして養子として迎え入れ、ハルを堕落させる一因を作ったが、春男がしょっちゅう暴れては家を壊すのが悩みの種になっている。トーナメントで春男が負けたことで春男を見捨てた。
実は速水の下についており、クーデター鎮圧後に拘束される。トーナメント終了後、クーデターの責任を追及され社長を引退した。

セントリー[編集]

『三傑』の一社。企業序列第20位。

茂吉・ロビンソン(もきち・ロビンソン)
声 - 村瀬克輝[23]
セントリー代表闘技者。通称『滅殺する牧師』。34歳(ケンガンアシュラ) → 36歳(ケンガンオメガ)。イギリス出身。
牧師の成りをしており優しい笑みを浮かべているが、烈堂に並ぶシスコンであり、異母妹のエレナのためなら不良時代を彷彿させる様な容赦ない性格と口調を見せる。
伝説の闘技者・琴浦茂之介の末裔で、使用する武術は彼が考案したという「バリツ」。世界でも唯一の継承者であると見られている。
かつては修行を押し付ける父に嫌気が差して家出をし、バリツを用いて悪事を働いていたこともあった。しかし、父の死後その友人である牧師のもとに身を寄せることになり、その時初めて会ったエレナと暮らすうちに「血」の尊さを知り、次第に慈愛溢れる性格に変わっていった。
トーナメント1回戦では雷庵と戦い、ボクシングを軸とする立ち回りで序盤は善戦し、一本背負いで顔面から地面に叩きつけることで勝利したかに思われたが、「外し」を使用した雷庵に圧倒的な力の差を見せつけられ敗北。当初は殺害されたかと思われたが、英の処置で一命を取り留める。しかし首に大ダメージを受けたせいか、仕合後数日間人工呼吸器に繋がれたまま昏睡に陥り、最終日にようやく目覚める。
治らないような怪我では無いとのことだが、四肢がまだうまく動かせず、トーナメント終了後は闘技者に復帰するため、イギリスに帰国してリハビリに励んでいる。
『ケンガンオメガ』にてリハビリを終え、2年ぶりに闘技者として復帰するために来日し、理人との仕合が決まる。復帰前にイギリスの裏試合で調整しており、負傷した2年前よりも動きのキレが増していたが、黒木と2年間修行して成長した理人に次第に圧倒されていき、ブランクから全力を出し切る前に巻き返せない状況に追い込まれ、自ら負けを認めて降参する。仕合後は対抗戦の代表候補に選ばれ、3カ月以内に勝負勘を取り戻せたならば正式に選手に選ばれる予定だった。
モデルは「人間風車」ことビル・ロビンソン[46]
使用武術・バリツ
幕末最強の武術家琴浦茂之介(ことうら しげのすけ)が、多流派の技術を積極的に取り入れる「無遷流(むせんりゅう)」をベースとして、大英帝国に渡り完成させた武術。東洋武術の理合と西洋武術の合理性を併せ持つ唯一無二の格闘術であり、古武術の指関節・柔道の投げ・ボクシングの華麗なフットワークと痛烈な拳打などを組み合わせた多彩な動きが特色。
高い実践性から往時は警察官や私立探偵など日常的に危険に身を置く者がこぞって門下生となったが、時代が移るとともに徐々に伝承者は減っていき、現在の使い手は茂吉だけとされる。
橋田 敬(はしだ たかし)
声 - 高橋伸也[23]
セントリー会長。眼鏡の老人。66歳。同じ派閥の秋男とつるんでいるが、悪人ではない。トーナメント終了後には、引退して気ままに余生を過ごしたいと思っている。
佐家 好二(さけ こうじ)
セントリーIT事業部の部長。
龍鬼を尾行していた阿古谷によって、路地裏で何者かに刺殺されているのを発見される。その後の捜査で、凶器には自らの指紋しか付いていなかったこと、幽崎らと同じく別人が整形手術で成りすましていたことが判明しており、体に「虫のタトゥー」が彫られていたことから幽崎、照美に続く第3の被害者であると判明する。

ペナソニック[編集]

昭和10年設立。日本最大の電機メーカー。運営は代々、創業者の瓜田一族が務めている。子会社には住宅総合メーカー、民間シンクタンク(研究機関)などがある。企業序列第9位。31人もの闘技者を抱えながらも特定の者を偏重せず、最適な駒を相手にぶつける方針をとっている。拳願仕合通算成績554勝402敗。

因幡 良(いなば りょう)
声 - 緒方恵美[20]
ペナソニック代表闘技者。暗殺拳・因幡流の当主。通称『黒呪の亡霊』。30歳。
床まで届く長い髪と四足歩行と言う不気味な出で立ちの男だが、長髪の下は意外と愛くるしい顔立ちをしており、結構明るい性格をしている。数寄造とは主従関係と言うよりは幼稚園のころからの親友である。西品治とも幼馴染の仲で、プライベートでは「瓜やん」「あきらん」と呼ぶ。自身の父親は数寄造の父親の命令で西本治の父親を暗殺した際に用心棒と交戦して致命傷を負い死亡しているため、高校生で当主の座を引き継いでいる。
トーナメント参加者では最小最軽量だが、暗殺者としては優秀で、「殺す技術」以外も身につけている。暗殺者としての本領を発揮できる奇襲こそが最も得意とする戦法で、多対一の乱戦にも強いが、戦闘スタイルは本来仕合向きではない。
自身の生業である暗殺業に誇りをもっており、目黒やムテバのような快楽殺人者と一緒にされることを嫌う。ただし、クーデターの時に医務室まで救援に来たのを見てからはムテバを見直している。
トーナメントでは王馬と戦い、身体能力で二回りは上回る彼を髪を利用する奇抜な戦法で翻弄するが、本気を出し「前借り」した彼に圧倒されていき、「不知火」で顔面を踏みつけられて力およばず敗北する。
治療後は西品治の依頼で、2回戦が行われる中で檜山が雇った闘技者並みの経歴を持つ護衛4名を、無傷のまま無力化している。クーデター発生時には医務室で守護者と交戦、負傷しつつも制圧に成功する。
使用武術・因幡流
因幡家の一家相伝の暗殺拳。「相手に力を発揮させず斃す」のが本領で、特殊な薬剤で強化した毛髪を自在に操り、体術と合わせたトリッキーな攻撃が特徴。同業者である呉一族とは商売敵の関係。当主は代々瓜田家に仕えている。
主な技
躙り(にじり)
因幡流独自の歩法。足の指の力のみを使って移動し、歩幅と速度をばらけさせて動きを読みにくくする技。
また、指の力だけで全体重を支えられるので、自分より20kg以上大柄な相手と綱引きで渡り合うこともできる。
蜘蛛髪(くもがみ)
長髪を自在に操る技。髪の毛は常人でも理論上は1本あたり15g×10万本で15tもの重量を支えられるだけあって、特殊な秘伝の薬剤をすり込んで強化された髪はワイヤーのように強靭となる。長年の鍛錬を経て自在に操れるよう洗練され、「巻けば鋼線、打てば鞭」の唯一無二の武器となり、鎖のように縛って相手の体勢を崩す、締め付けて動きを封じる、自分より重い相手を投げ飛ばすなど幅広い用途を持つ。束ねて振り回し、鞭のように相手に叩き付けることも可能。なお、普段は別の薬剤を使って髪をまとめている。
巻き打ち(まきうち)
倒立姿勢から腕力で伸びあがり、踵落としを繰り出す。
瓜田 数寄造(うりた すきぞう)
声 - 加藤将之[20]
ペナソニック社長。30歳。因幡や西品治とは幼少期からの友人であり、家柄では上下関係があるものの気軽に接する。父親は速水の傀儡であり、かつて速水からの命令に従い良の父親に明の父を殺すように命じた父親を蹴落として、23歳で社長に就任した。卓越した分析力で拳願試合では6年間無敗を通している。幼少期から眼鏡をかけているため、眼鏡をはずすと付き合いの長い良ですら一瞬誰か分からなくなる。
山下一夫に自社株10%(2800億円相当)を賭けた勝負を持ちかけるも敗北。王馬の一言でその賭けが有耶無耶になりそれを飲んだ山下の度量の深さに感嘆する。2回戦では西品治に若桜生命の不正の証拠をつかむよう頼まれ、電子機器の専門家として不正な無線の送受信が行われていたことを突き止めた。
名前の由来は「家電好き」からの変形[47]

古海製薬[編集]

天明元年創業。国内第2位の売上高を誇る日本5大医薬品メーカーの一つにして、「四龍」の一社でもある拳願会の古豪。高血圧治療薬を主力商品とし、近年はそのほかの医薬品の創薬・開発にも注力している。企業序列第5位。拳願仕合通算戦績812勝280敗。

若槻 武士(わかつき たけし)
声 - 加瀬康之[16]
古海製薬代表闘技者。0巻第弐話の主人公。通称『猛虎』。40歳[42]。拳願仕合歴代最多勝利数闘技者であり、自社の勝利の3割超をたった一人で叩き出している。
資産家の家系の出で、祖父の代から古海製薬とは縁があった。現役最古参闘技者の一人であり、成人前から古海製薬の闘技者として活躍していたためそのキャリアは20年以上になる。コスモや関林と親しく、初見には過去に敗れているが友好的に接している。普段は温厚だが、8年前に自分を倒した加納に対しては闘志をむき出しにする。携帯電話の地図機能を知らないなど、機械には疎い模様。
先天的に常人の52倍にもなる筋繊維密度を有する、通称「超人体質」の持ち主。その異常なまでの筋密度のため見た目以上に体重が重く、出生時の体重も一般的な新生児の4倍近い12150gもあり、吉成や鬼王山に比べれば細身な体型に描かれているが絶命トーナメント参加者の中でも3番目の重量を誇る。小学1年生の時からチタン合金でできたゲームのコントローラーを握りつぶしてしまう程の怪力を有し、当時はその怪力を持て余して苦しんでいたが、古海平八に「自分の本気がどれくらいか把握しておいたほうがよい」と言われ本気で平八を殴り飛ばし、自分の全力を知ったことで力の制御が出来るようになった。まだ身体ができていない小学5年生の時点で同時に複数人の高校生を病院送りにする程の実力を持っていた模様。加齢による筋力の衰えとも無縁で、現在の攻撃力は素手でコンクリートを砕くほどであり、筋力だけを見れば呉一族をも凌駕する。アダムからは「底が見えない」と評されているほか、超稀少な体質の持ち主であることから「医学史に残る超特異体質」「突然変異的に生まれる『怪物』」「先天的に超人的な耐久力を持つ」と述べられている。なお、身長と体重の数字が同じなので、拳願会職員には「ドラえもん」に例えられた。
幼いころから自分に目をかけてくれている平八には恩義を感じており、恩返しとしてトーナメントに優勝し、拳願会長になってほしいと考えていた。
幼少期から日本最大のフルコンタクト空手団体「六真会館」に籍を置き空手を学んでいたが、裏社会とは関わりを持たない掟により闘技者になる際に破門されている。因みに、元三強の丈二と同期に当たる。戦闘スタイルは突きや蹴りをベースで、異名の由来にもなったフルコン空手特有の前へ前へと出て行く「力の連打」による超近接での猛攻が持ち味。戦法自体はシンプルだが、「世界最強の打撃力」とも評される怪力のために、一発でも当てれば致命的なダメージを与えうる。若いころは身体能力ゴリ押しの戦い方をしていたが、加納に敗れたことがきっかけでテクニックも磨くようになり、青の助言に従い、隠し球として史上最強の打撃たる「爆芯」や組み技、伝統派空手の技術も習得している。そのため、ムテバからは「ただの怪力バカより厄介」と評されている。
筋力で自身を上回れるのは闘技者でもユリウスだけと言われている。真っ向からぶつかってくるタイプの相手とは相性が良く、苦手とする柔の技に特化したタイプ(=初見)や相手に合わせてくる無形タイプ(=アギト)以外の相手なら善戦すらさせずに完勝する圧倒的な力量を持つ。
速水が送り込んだ代表闘技者の座を狙った刺客を壁にクレーターが出来るほどの強烈な一撃で倒した。トーナメント1回戦では室淵と対戦。速攻を狙う室淵の先手を取り、ほぼ無傷のまま実質右手1本しか使わずに勝利する。
2回戦では自分と互角の筋力と自分以上の「骨格」を持つ格上のユリウスと対戦。手数と技を駆使してぶつかり合い、切り札の一つである「爆芯」を使わされたうえに技を見切られるなど苦戦を強いられ、頭を掴まれ壁に擦り付けられて右顔面の皮膚を損傷し右目も失明、「爆芯」の代償で足首の古傷まで悪化する。だが、最後は戦術の差が出た形となり、「爆芯」を囮に放った回し蹴りで辛うじて勝利した。
3回戦ではムテバと対戦。切り札の一つである組み技を切るもかわされ、打撃による猛攻を仕掛ける中で相手の目が見えていることに気づく。そこで鼻を狙っていると錯覚させることで急所への攻撃を誘い、頸動脈狙いの貫手を高密度の胸鎖乳突筋を締めることで防ぎ、相手の油断をついて爆芯を放ち右腕を破壊する。本業への影響を考慮したムテバが棄権したことで勝利を得たが、足の古傷への負担を重ねてしまった。
準決勝では互いの所属企業の目的が同じだったことから八百長の指示が出され、自身が決勝に進める形で方向が決まりかけていたが、山下商事側がそれに抵抗したことで正々堂々勝負することになった。仕合本番ではコスモや雷庵を倒した王馬を評価して油断することなく自身の持ち味を生かした猛攻で王馬を圧倒したが、「鬼鏖」で必殺の一撃を不完全ながら返されたことでより慎重になりふり構わず機動力を奪おうとする。しかし「鬼鏖」が自分が苦手とする無形の技であることまでは見抜けず、カウンターで強力な前蹴りが顎にクリーンヒットして大ダメージを受ける。それでも闘志は衰えず立ち上がって継戦の意思を示したが、限界を迎えて敗退する。
『ケンガンオメガ』では煉獄との対抗戦で、ガオランと共に真っ先に拳願会側の代表選手として選出される。対抗戦会場へ向かう途中、室淵に重傷を負わせた阿古谷を糾弾している。
モデルは「怪力王」こと若木竹丸[48]
使用武術・空手
主な技
爆芯(ばくしん)
若槻が「『牙』を超えるための牙」として編み出した技。全身の筋肉を「芯」に向かって収縮させ、空手で言うところのノーモーションの逆突きに近い形で一気に解き放つ拳打。急所に当たれば骨格で自身を上回るユリウスも倒せるほどの衝撃を発揮するが、加納との戦闘で負った右足首の古傷が原因で有効射程距離が通常の突きよりも拳2つ分ほど短く、発動時は古傷にかなりの負担がかかる諸刃の剣でもある。相手の組み技を強引に振り解くといった応用も可能。
組み技
青の助言で生み出した「隠し球」の1つ。齢30を超えて初めて飛び込んだ未知の領域で、打撃との勝手の違いに戸惑いはあったが、天下無双の怪力を遺憾無く発揮して8年あまりの極秘鍛錬で本職のグラップラーに引けを取らない技術を身につけている。その馬力で一度ガッチリ組んでしまえば、技術の有無に関わらず、急所を突きでもしなければ逃げるのは困難。ただムテバに言わせれば、技術だけなら一流半、怪力を加味してギリギリ一流とのことで、コスモ、目黒、大久保、加納といった最高峰クラスとは比較するのも烏滸がましいという。
古海 平八(ふるみ へいはち)
古海製薬代表。61歳。前社長の叔父から会社を受け継いだ。自称「動けるデブ」[注 12]だが、止まらない体重増加を危惧している。スピンオフでは自分の外伝が出ないか気にしていた。
若いころの多趣味が祟り、四浪三留で大学を卒業[注 13]。自分の助言を受けた幼少期の武士に本気で殴られ、プロテクターを準備する前だったことも災いして、全治6ヶ月の大怪我を負い留年が増えてしまったという過去を持つ。その後もしばしば武士の前で負傷しているため「ダメな大人なのでは」と疑われることもあったが、自らに重傷を負わせた武士に対して、その後も全く恐怖心や警戒心を態度に表さず「子供に接する大人」として付き合いを続けており、そういう面では器が大きいと言える人物である。
情に厚く義で動くタイプの人間。今の拳願会に不満を抱いている革新派でもある。商才はあまり無いと考えており、今の会社があるのは優秀な部下の支えや若槻の仕合での頑張りのおかげだと思っている。自身は拳願会長の器ではないと考えており、同じ四龍として優勝した暁には乃木を会長に推すことを乃木と確約している。その一方で泉の実力や乃木の手腕を信頼した上で、人の命を救う業種としての矜持から十王通信の高田からの要請を受け入れ、坂東の治療に手を貸している。準決勝で若槻が王馬に敗れた時に、これまで通り周囲に支えて貰えばいいと開き直り、次のトーナメントでは自ら会長を目指すことを決意する。
モデルは原作者の地元の友人[49]

ユナイテッドクロージング[編集]

企業序列第21位。アパレルメーカー。

室淵 剛三(むろぶち ごうぞう)
声 - 一条和矢[39]
ユナイテッドクロージング代表闘技者。通称『測定不能』。43歳。
アスリートの両親との間に生まれたサラブレッドで、中学生のころから陸上競技を始め、「神童」と呼ばれた。元デカスリートで、16歳で日本代表に選出されて以来25年のキャリアの中で国際大会での敗北はわずかに5回。国民的英雄だったが41歳にして引退、闘技者に転向する。以降2年間、格闘技に関しては完全な素人ながらも純粋な身体能力のみで勝利を重ねるが、かつて若槻と戦い敗北。
若槻にリベンジするために、さらに鍛えあげてトーナメントに挑む。「速攻」で勝負を決めようとするが先手を取られ、序盤から圧倒されながらも最大の武器であるクラウチングスタートからの飛び膝蹴りで一矢報いたかに見えたが、直後にみぞおちに右正拳突きを喰らい吹き飛ばされ敗北する。なおアニメでは一矢報いるシーンは省略されており、一撃で倒されたかのように描写されている。
ダメージの大きさからしばらく昏倒していたが2回戦までには回復している。トーナメント終了後も打倒若槻を目標に極秘トレーニングを積んでいると、大久保に連絡している。
『ケンガンオメガ』でも闘技者を継続しているが、阿古谷との仕合で暴走した彼の過剰な攻撃により意識不明の重体となる。怪我からの復帰1戦目で黒狼と戦うも、万全ではなかったために敗北してしまい、対抗戦のころには阿古谷に負わされた傷が悪化したため、拳願仕合の長期欠場を余儀なくされる。本人としては殺されかけた件については生きているからそれで良いと恨んではおらず、逆に阿古谷の実力を評価して、対抗戦の代表選手に推薦している。現在は復帰に向けてリハビリ中。
『ダンベル何キロ持てる?』にも登場。
モデルは室伏広治[50]
柳 真(やなぎ まこと)
ユナイテッドクロージング会長。44歳。滅堂相手でも怯まず噛み付く度量がある。敗北を素直に認め、勝者を讃えることができる好人物。トーナメントで室淵が若槻に負けた時には側にいた古海に若槻が勝利したことを讃え、古海に健闘を祈ると言った。
若者向けのファッションセンスがゼロという服飾業界の人間として致命的な弱点を持つ。

マーダーミュージック[編集]

平成14年設立。メジャーとは一線を画したバンドのリリースを続けている。企業序列第87位。拳願仕合通算戦績96勝27敗。

沢田 慶三郎(さわだ けいざぶろう)
声 - 保志総一朗[20]
マーダーミュージック代表闘技者。通称『暗黒鳥』。25歳。オネエ口調で話すオカマで、トーナメントは予選から参加したものの圧倒的な実力で勝ち残った一人。高校時代は不良で1年生にして番格を張っており、理人とはそのころからの腐れ縁。派手好きで、戸川からは「成金趣味」と言われている。
日本舞踊の名家の生まれで、バレエダンサーを経て闘技者となった。バレエにより培った指先一本まで自在に操るボディコントール、あらゆるスポーツの中でトップクラスのバネと柔軟性から繰り出す足技を得意とする。最もリーチが長く、G(加速度)を載せることで自重の何倍も威力を増幅させ、あらゆる角度から繰り出される変幻自在で強力な回し蹴りが持ち味で、数多くの巨漢を屠ってきた。その威力は60キログラム近い体重差のある目黒をやすやすと蹴り飛ばすほどである。
トーナメントではユリウスと当たるものの後述の理由により不戦敗。その後闘技場に向かう通路にて目黒と交戦。一時は目黒を圧倒するものの、目黒が暴走し出したことによりトーナメントで闘う予定であったユリウスと闘うが、急所の首筋を狙った渾身の右回し蹴りが鎧のような僧帽筋で受け止められてしまい通用せず、足を掴まれ圧倒的な力で床に叩きつけられて戦闘不能になり、そのまま右足を折られ敗北する。逆の足まで折られそうになるが山下の闖入で難を逃れ、医務室へ搬送された。
2年後の『ケンガンオメガ』でも闘技者を続けており、対抗戦の選手候補者に名前が上がっていた。
名前の由来は沢田研二から[51]
戸川好子(とがわ よしこ)
声 - 桑谷夏子[20]
マーダーミュージック社長。25歳。メロディックデスメタルバンド「DeathProof」のギタリストでもある。沢田とは友人関係で、プライベートでもよく遊ぶが、服装センスには「メタルお馬鹿」と苦言を呈されている。拳願会の女性経営者の中では最年少の部類。結婚願望はない模様。
予選を勝ち抜きトーナメント参加を勝ち取るが、二階堂に棄権しなければ電気供給を関連企業ごと断ち、構想中のダウンロード販売事業もつぶすと脅迫を受け、渋々トーナメントを棄権する。ユリウスが沢田にとどめを刺そうとしたときに颯爽と現れ(本当はただ通りかかっただけ)、(本当に何もしていないが)自分たちを助けても恩に着せるようなそぶりすらない王馬に惚れる。

東洋電力[編集]

拳願会最大派閥「百人会」の頂点に立つ企業。企業序列第2位。

ユリウス・ラインホルト
声 - 白熊寛嗣[20]
東洋電力代表闘技者。通称『モンスター』。36歳。異様に発達した筋肉を持つ禿頭の巨漢。
ドイツ医学の粋を集めて生み出された「最高の筋肉」の持ち主で、現在の肉体は常人なら死に至るほどのドーピングというハイリスクを乗り越えた末に手に入れたもの。2秒で時速300キロメートルに達するモンスターマシンとの綱引きに楽々勝利しバーベルを飴細工のように丸める程の怪力のみならず、一流陸上競技選手並みの瞬発力、筋肉を固めるだけで岩を砕くほどの耐久力を兼ね備えている。「真の強者に技など不要」という持論から武術は一切使用せず、タックル・パンチ・キック・投げ・張り手・ベアハッグといった攻撃を怪力に任せて特に型もなく使う。ただし、ただの怪力馬鹿ではなく、スポーツ生理学・医学・心理学・物理学を修めた優秀な頭脳の持ち主であり、高い知能によって肉体のスペックを最大限発揮することができる。
トーナメント中に加納が語った「若槻より格上」の一人。武術家でも戦争屋でもないにも関わらずアギトや若槻にも匹敵するトップクラスの闘技者と言われており、加納も純粋な身体能力のみで見ればBブロック最強だろうと評している。作中では自分と同等の超重量級格闘家と戦う機会が多く、「怪獣映画」を彷彿とさせる大迫力の戦いを見せる。
サイズの合う服がないので常にパンツ一丁。オーダーメイドしてもすぐに筋肉が成長して着られなくなるので、服を着ることを諦めた。自身の筋肉を維持するためにプロテインの摂取を欠かさない。好きな言葉は「剛能く柔を制す」。在日3カ月で、好きな日本食はTOFU。「ダンベル何キロ持てる?」に登場するシルバーマンジムの会員で、街雄と共にCMにも出演している。ハンブルグにプライベートジムを所有している。
トーナメント1回戦では沢田相手に不戦勝。直後に通路で沢田と対戦することになり、沢田の技を圧倒的なパワーで上回り圧勝するも、山下一夫の予想外の闖入によりトドメを刺さず立ち去る。
2回戦では互角の筋力を誇る若槻と殴り合いを繰り広げる。筋力は互角であっても骨格で上回っているため徐々に優位になり、劣勢を覆すために繰り出された若槻の必殺技も頭脳戦で見切ってみせたが、その技を警戒しすぎたことが仇となり超至近距離から頭部への回し蹴りを連続で食らってしまい、意識を失い倒れた。
仕合後、クーデター発生と共に自身が捨て駒でしかなかったことを知り、怒りのまま守護者B班と交戦を開始する。
トーナメント後は消息不明で、『ケンガンオメガ』では対抗戦出場選手の候補として氷室が行方を追っていた。対抗戦が間近に迫ったころ、ムテバから接触を受けてとまりの岩美重工派閥から代表として派遣される。2年前に若槻に敗れてからさらなる進化を遂げ、彼の力を凌駕したと豪語し、技を超えた真の力を見せるべく第3試合に出場、ムドーと戦う。自分よりわずかに体格で上回り、二虎流に似た武術まで使いこなすムドーに苦戦を強いられ、一度はカウンターで大ダメージを受けてダウンを取られる。だが、マッスルコントロールを突き詰めた「神殺しの削岩機」でマウントポジションのムドーを強引に吹き飛ばし、前腕の回転で相手の受けを弾きつつ全身全霊で頭部へ叩きつけた左鉄槌がフィニッシュブローとなり、技術も駆け引きも関係ない力だけで技をねじ伏せ、拳願会側待望の初白星を挙げた。試合後はムドーはおそらく「蟲」とは無関係だと王馬たちに伝え、「馴れ合うのは今回限り」としつつもかつて自分を倒した若槻と勝利を讃え合った。
モデルはストロングマン出身の総合格闘家マリウス・プッツナウスキー[52]
使用武術・なし
主な能力
神殺しの削岩機(シュタインボラーディガットゥーテン)
筋肉に全てを捧げたユリウス意外には不可能とされる筋肉操作(マッスルコントロール)で、絶命トーナメントからの2年間で到達した更なる高み。本来マッスルコントロールとは「狙った部位を収縮させる」という意味だが、ユリウスは、まるで筋繊維一つ一つが独立したかのように、ミリ単位で収縮と弛緩を使い分けるレベルまで突き詰めている。
マウントを取られ仰向けで腕を満足に振りかぶれない状況でも、超重量級の相手を吹き飛ばすほどの剛力を発揮できる。さらに筋肉を極限まで収縮させ、一気に解放した全身全霊の一撃を耐え切れる生物は存在しないとまで言われており、受けが真髄の武術を使うムドーを以ってしてもダメージを捌ききれなかった。その際には「使い方」こそ違えど若槻の「爆芯」と原理は同じで、「旋回により発生したエネルギーで、相手の受けを弾き飛ばす」ことが可能。
速水 勝正(はやみ かつまさ)
声 - 金尾哲夫[20]
東洋電力会長。76歳。左顔面にケロイドの痕のようなものがある。GPグループ代表の理乃は実の娘にあたる。
最大派閥の長だけあって個人の権力ならば滅堂をも上回るとも言われている。さらに野心家であり、目的のためであれば容赦無く殺人を犯し、目黒のような殺人鬼を手元に置いて長期間匿うことすら厭わず、「蟲」とも通じている。若いころにも一度滅堂に対して反旗を翻した経験がある。また諸外国の有力者や自身の傘下の企業なども大きな目的のための犠牲として切り捨てようとするなど冷酷な性格の持ち主。滅堂に代わり拳願会の王となるべく策をめぐらせ、積極的に裏工作を行う。かつては滅堂や鎧塚と共に理想を追い求めた同志だったが、当時の思い出を尊重する気配は全くなく、改心を願う鎧塚の言葉を「生涯、温い思い出と戯れておれ」と切って捨てた。しかしその傲慢さから格下を侮り見下しており、それがのちに仇となる。
「天狼衆と守護者1000名を島内に侵入させ機を見てクーデターを実行する」という真の目的を隠すために優勝狙いを装い、正闘技者以外に5名の刺客を雇い海一証券と白夜新聞の2枠を奪ったほか、マーダーミュージックを棄権に追いやり、あじろ水産と夜明けの村に八百長仕合をさせ、栃木ディスティニーランドには電力の無償供給の条件としてを1回戦突破を命じた。さらに黒使を囮にタンカーを使って島内に引き入れた388名の始末屋なども護衛者によって鎮圧されてしまうが、これによって会場内にとどまる護衛者の数を削ぐことに成功、さらにその隙に捨て駒にするつもりで雇っていた天狼衆に起爆装置なしの時限爆弾を会場中に仕掛けさせる。2回戦で早々に手駒を失うことになったが、守護者を介して2回戦敗退が決まった十王通信の高田にコンタクトを取る。
その後滅堂の名を騙って敗社を第2VIPルームに集めさせ、守護者による会場の制圧を開始する。時限爆弾を盾に新たな拳願会を設立するため会員たちに寝返るよう要求するが、実は各国要人を人質としたクーデターそのものがブラフで、その真意は拳願会員や各国要人との関係など、滅堂が築き上げてきたもの全てをドームの爆破と共に灰燼に帰し、自身の手で新たな歴史を築くことにあった。真の計画については一部の腹心にしか教えておらず、起爆装置なしの時限爆弾を用意したのもそのためであった。しかし同様の策を考えていた滅堂によって集められていた呉一族50名、護衛扱いの武術家、敗退した闘技者たちにより追い詰められていき、切り札の爆弾も天狼衆の離反によりすでに撤去され、自身もハサドの裏切りによって拘束されてしまい、わずか2時間足らずでクーデターは失敗に終わった。
以来表舞台から姿を消しており、2年後の『ケンガンオメガ』では以前ほどの権力は無くなっているものの、依然として強い影響力を持っている。野心を未だ失っておらず、山下と交渉し、正樹を代表として出場させる代わりに、彼が勝利した場合は拳願会副会長の座を貰うことを約束させる。そして対抗戦本番で、正樹が最強の兵として完成したことに歓喜する。しかし、対抗戦終了直後に反旗を翻した正樹に頭部を圧搾され死亡。
速水 正樹(はやみ まさき)
『ケンガンオメガ』から登場する、東洋電力の新たな所属闘技者。通称『一投必殺』。現役の大学生で、「殴慶ボーイ」のお坊ちゃん。21歳。速水勝正の息子で2年前に死亡した“泣き男”目黒正樹の弟とのことだが、年齢が若いものの目黒と同じ名前と顔を持ち、戸籍上では該当する人物はおらず、性格も理知的であるなど謎が多い。
狂人で話が通じなかった目黒と違ってコミュニケーション能力が高く、天性の人たらしで、場の空気を和らげられる「リーダーの資質」を持っている。学友からは頼りにされ、中学卒業まで通っていた柔道教室でも評判は良好で、今でも時々顔を出しては子供達に柔道を教え、礼儀正しい好青年として父兄の信頼も厚く、東洋電力会長の御曹司であることを鼻にかけず非常に謙虚、という欠点のない人物。
戦闘スタイルは柔道がベースで、それに打撃技を組み合わせて戦う。小中高大と学生生活を通じて柔道部には所属した経験はなく、大学では柔道同好会J-BOYSとボランティアサークルを兼部しているだけだが、殺されかねないほどの過激な乱取りを兄と繰り返していたので実戦経験は豊富であり、形勢判断が素早く的確。勝てるのなら構えにこだわることもなく、右構えでも左構えでも戦える。
その正体とは、速水が目黒正樹を元に「蟲」の技術を用いて最強の兵として生み出した本物を超えるクローン。格闘家として類稀なる才能を持っていながら、狂気に呑まれ、真の実力を発揮するには至らなかった目黒とは違い、狂気を抑制することが可能であり、目黒と同じダメージを快楽に転化する体質に由来する異様なタフネスをそのままに、多幸感や殺人衝動に流され暴走することなく戦い続ける。骨折や脱臼を顔色一つ変えずに整復し、受け身が取れずに頭から地面に叩きつけられようが平気で立ち上がる。さらに速水正樹という人格を「完璧な目黒正樹」に作り変えるために呉氏の洗脳技術「回生」を施されており、生前の目黒の独白をイヤホンで幾度も繰り返し聴き続けている。
3年前に闘技者登録されて以来仕合に出場していなかったが、デモンストレーションとしてニュージェネレーションズ最強の黒狼を倒し、速水と山下の交渉で10人目の対抗戦代表選手となる。
対抗戦では第8試合に出場し、「同型」である柔道家の嵐山と戦う。嵐山の「振り」の速さに対応できず、受け身も取れないまま何度も投げ飛ばされるが、ゾンビのようなしぶとさで笑みを浮かべたまま立ち上がり続け、次第に起き上がるまでのスピードが速くなっていく。鼻や左肘を破壊されながらも、兄より強いが殺すための技を使わない嵐山には恐怖を感じておらず、不殺ルールで相手が攻めあぐねている隙を突いて鎖骨を肘打ちで叩き折る。そして片腕となって「振り」をかけ損ねた嵐山を一本背負いで投げ飛ばし、顔面へ鉄槌の連打を加えてノックアウトを奪い、柔道家として自分より三回りは強い相手にジャイアントキリングを達成した。対抗戦終了直後に拳願会副会長の座を獲得して有頂天に立っていた速水に反旗を翻し殺している。事前に理乃から速水について聞いていたことが示唆されている。
阿久 富士夫(あく ふじお)
声 - 竹内栄治[20]
あらゆる汚れ仕事を内々に処理する始末屋。通称『アグノスティックフロント』。打撃にも非凡な才能を見せるコスモをしてやり難いと言わしめる程のストライカーとしての実力を持ち、武器の扱いにも精通する。
東電の依頼を受け、闘技者の枠を奪うため拳願号内でコスモを襲撃するが、二階堂から貰ったスタン警棒で攻撃しようとした瞬間、ゾーンに入られ裸締めで意識を絶たれた。
金次第でどんな仕事を請け負う冷徹な性格だがサディストではなく、依頼内容によっては不要な労力を避けるために相手に降伏を促す事もある。雇われた面々の中では一番常識的で、変態性の高い面子によく突っ込みを入れていた。
禍の人(仮称)
「禍」マスクの包帯男。無口で奇っ怪な外見に反して意外と気さく。拳願号内で若槻を襲撃したが、正拳突き一発で壁にたたきつけられ敗北した。
マスクの人(仮称)
髑髏マスクの男。一日に平均15時間のプレイをする重度のゲーマー。拳願号で御雷を襲撃するも22秒で倒された。ただし、御雷は5秒で倒すつもりだったので健闘したとはいえる。
守護者(ガーディアン)[編集]
護衛者にあやかり速水が組織した私兵。護衛者が黒服なのに対して守護者は白服に身を包んでいる。護衛者に比べ編成期間は短いものの、ランキング制を取り入れ守護者同士を戦わせ、上位陣をランカーと称して厚遇することで練度を底上げしている。実力は高く、闘技者や呉一族をして「油断できない」「強い」と評されており、「蟲」から加入している一部の上位陣は王馬同様「憑神」(=「前借り」)を使うことが可能。総数は1000人であり、速水の真の戦力の一翼として、百人会傘下の企業の関係者を装い島内に侵入していた。トーナメント2回戦終了後に会場内で反乱を起こすが、滅堂などの勢力の手で壊滅させられる。
鬼頭 軍司(きとう ぐんじ)
声 - 西凛太朗
守護者ランキング1位。トーナメント中速水の護衛を務める守護者の片割れ。36歳。「人斬り軍司」の異名を持つ剣の達人で、並の呉一族では相手にならないほどの手練れ。東電の2回戦敗退を受け会長を見限ろうかと考えたが、龍の説得で思い留まる。
クーデター中は速水の側に控え、呉一族を斬り伏せていた。鷹山を「負け犬」と挑発して戦闘になり、一騎打ちの末に彼の指を切断し掌の中ほどまで刃が食い込む深手を負わせるも得物を奪われ、圧倒的な実力差の前に叩きのめされる。生死は不明だが、多分生きている[53]
龍 旼(ロン ミン)
声 - 神尾晋一郎
守護者ランキング2位。トーナメント中速水の護衛を務める守護者の片割れ。29歳。長髪で胸元に百足の刺青をした男。青龍刀(柳葉刀)の扱いに熟達しており、ガオランをボクシングの間合いに入れさせないほどの手練れ。「蟲」であるため王馬と同じく憑神を使用することができ、真の実力は鬼頭以上とも言われている。
2回戦の全行程終了後、D班を率いて行動を開始する。ガオランとアダムの二人を同時に相手取ってなお優位を保ち、アダムには深手を負わせた。駆けつけたコスモとも交戦するが、東電のクーデター失敗とともに速水を見限って撤退し、追っ手を2名斬殺しながら仲間と連絡を取っていた。しかし、トーナメント終了後、願流島の海岸で何者かに刺殺されているのが護衛者によって確認される。
春秋戦国時代に存在した最強の武芸者と同名だが、詳細は不明。
主な技
憑神
師岡(もろおか)
守護者ランキング3位。30歳。鎖鎌使いだが鎖鎌が破損した場合に備えてクロスボウも扱う。部下に致命傷を負わせても顔色一つ変えない冷徹な性格。雷庵と交戦し鎌と隠し持っていたクロスボウで傷を負わせたものの、外しを使った彼には太刀打ちできず、不殺命令を無視され首をへし折られて死亡した。
蘭城(らんじょう)
声 - 杉田智和
守護者ランキング4位。31歳。レイピア使いで無手の戦いも得意。負傷していたとはいえ、春男を一蹴するほどの実力者。「蟲」でもあるため憑神を使用できる。「虎の器」である王馬の回収を指示されており、医務室襲撃の指揮をとるも山下商事の面々だけは見逃そうとしたが、意識を取り戻した王馬と交戦しレイピアを折られる。憑神状態で王馬を捕らえようとするも、真の力を思い出した彼により叩き伏せられた。その後は収容施設に捕らえられていたが、トーナメント終了後に牢の中で夏に毒を飲まされ暗殺されていることが判明する。
主な技
憑神
茂呂(もろ)
守護者ランキング5位。27歳。薙刀使い。雷庵を襲撃したが、外しを使用した彼に長刀の上から殴り飛ばされ死亡した。
福部(ふくべ)
守護者ランキング6位。剣術使い。拳願絶滅トーナメント開催中は食あたりで入院していたため、願流島に来ることができず、クーデターにも参加しないまま無傷で生存した。本編未登場[54]
大郷(だいごう)
守護者ランキング7位。45歳。棍棒使い。部下とともにSH冷凍職員たちを襲撃したが、拘束を解いて現れた板東によって頭蓋を叩き割られ死亡する。

海一証券[編集]

企業序列第24位。

目黒 正樹(めぐろ まさき)
声 - 川本宗幸[23]
海一証券代表闘技者。通称『泣き男』。33歳。正規の闘技者を倒し代表闘技者の座を奪った。
生まれながらのサイコキラーで、善悪の区別がつかず自分の欲求のままに人を殺す。かつて“鬼の目黒”と呼ばれた柔道家・目黒広樹の息子で、自身も7歳のころから父の道場で柔道をしていた。12歳のころには少年柔道全国大会で優勝、13歳の時点で相手になるのは父と世界大会の日本代表に選ばれた石田だけと言う程の才能を見せていた。長い間素直な少年を装っていたが、徐々に殺人狂の本性を抑えられなくなり、4日間で門下生である石田・宗光・鈴本、そして自らの父の計4名を次々に投げ殺し失踪。未成年だったために「少年M」として実名報道はされず、警察の捜査は難航し、以後20年消息を絶つ。その間、速水が匿っていた。
常に口から出した舌・焦点の合わない目・ゴリラのような四足歩行といった見るからに狂人と言った容貌だが、平常時ならなんとか会話できないこともない。興奮すると血涙を流す。
基本的なスタイルは柔道だが、目つぶしや噛みつきを含めた獣のような戦い方もする。柔道家としての実力は高く、13歳時点で大人の投げに耐える強靭な足腰と相手を一撃で投げ殺す怪力を有していた。武術の特性として本来ノーギ(上着を着ていない)相手には不利であるが、柔道でつかむ袖と襟の位置にある二の腕と鎖骨を掴んで投げ技をかけることで柔道家特有の弱点をカバーしている。蹴り足を取って投げるなどほかの武術にも適応しており、柔道の持ち味であるマウントの攻防も得意とする。さらに、痛みに比例して脳内麻薬の分泌が上昇する特異体質により「すべてのダメージが快楽に転化される」ため、目や三半規管を潰されてもひるむどころか嬉々として力が増し、異常なまでの耐久性を見せることから、ムテバをして「怪物(フリークス)」「狂獣」と称されるほど。
トーナメントではムテバ・ギゼンガと対戦。闘いの序盤相手がノーギで自分に不利な状態ながらいきなり投げ倒した上にマウントポジションを取り、一度はムテバを追い詰めたかに見えたが、本気を出したムテバにより気道を潰され、首をへし折られ、眼窩から脳を貫手で直接攻撃されるという急所への連撃を受け、最期は自身が殺した父達の亡霊に対して「ああ…楽しかった…」と笑みを浮かべながら絶命。トーナメントにおける唯一の死者となった。
父親をも躊躇なく殺害するも、尊敬する人物が父親でもあり、柔道を教えてくれたことを現在まで感謝しているので、本人なりに父親への情はあった模様。
『ケンガンオメガ』では東洋電力の闘技者として同じ名前と顔を持つ弟だという速水正樹が登場するが、戸籍上では兄弟は存在しないことになっている。
外見はヴェノムのオマージュ[55]
使用武術・柔道
野村 公平(のむら こうへい)
海一証券社長。眼鏡をかけた出っ歯な男。54歳。経営者としては可もなく不可もなく、といったところらしい。速水の傀儡となったが、1回戦突破失敗の責任を取らされ拘束される。クーデター失敗後は蕪木の手で解放された。クーデター鎮圧後は協力を強制されていたということで、放免された。
台詞があるのは42話だけで、名前付きの拳願会員では最もモブに近い。
乾 町三(いぬい まちぞう)
海一証券元闘技者。拳願絶命トーナメントに参加するはずだったが、目黒に襲撃され敗北する。

禍谷園[編集]

先代から重蔵に会社が引き継がれた時に社名を現在のものへと変更している。企業序列第14位。

鬼王山 尊(きおうざん たける)
声 - 三宅健太[30]
禍谷園代表闘技者にして大相撲で活躍する現役力士。通称『土俵の喧嘩屋』。20歳。本名は川村尊。三兄弟の末弟で、兄は双子で大相撲史上初の双子横綱。自身も十両で全勝優勝を果たしている。
「出稽古」と称して他の格闘技のジムなどに殴りこみに行くなど素行が悪く、兄たちの前で話が出ること自体がタブーとされる。トーナメントでも化粧回しの上に綱を締めるという不遜な恰好で入場している。
鼻っ柱が強く粗暴な性格だが、危なっかしい行動を取る桜の面倒を甲斐甲斐しく見るなど、優しい所もある。また、花見で酔った紫音に抱けと脅された際は押されながらも男女の関係は節度を持つ事が大事と嗜めたり、守護者が襲撃した際に兄達が暴れる姿を見て、好戦的な面は自分と変わらないと内心突っ込むなど、割と常識的。
強靭な足腰に裏打ちされた凄まじい攻撃力を誇り、鉄砲柱を張り手数発でへし折ることが出来るという。自身と同じくらいの体格を誇る関林を片手で投げ飛ばすほどの怪力を有し、ヘヴィー級レスラーを一撃で昏倒させる彼の逆水平による連打を食らっても全くひるまないなど耐久面でも優れる。また、幼少時から伝統的な相撲で自由な攻撃が許されていないことに疑問を持っており、それが元で相撲を見限り、「古代相撲」と称してパンチやキックでも戦う。現代相撲を否定する戦闘スタイルであることから、温厚な性格で知られる長兄の龍王山堅をも激怒させ、「相撲への冒涜」と額に青筋を浮かべながら評している。ただ、相撲が短期決戦に特化している関係から、持久力には難がある。
トーナメント1回戦では関林と対戦。終始関林を圧倒するも、相手の耐久力の高さから苦手な長期戦にもつれ込み、切り札の「古代相撲」まで解禁するが倒し切れなかった。最後は自身の持つ格闘技に対する信念の差が現れる形で、必殺の「激旺」を受け返され膝をついたところで渾身のパワーボムを喰らい、脳震盪を起こして意識を失い敗退した。なお、この仕合はウェブ投票でベストバウト第1位に選出された。
当初はプロレスラーをショーをするために鍛えていると見下しており、トーナメントの対戦相手である関林も「八百長野郎」とバカにした発言をしていた。だが、敗北を経てからは関林の実力を素直に認めるようになっている。
トーナメント終了後は真面目に相撲を頑張り、2年後の『ケンガンオメガ』ではますます力をつけて関脇に昇進、異名も『不良関脇』に改まっている。怪我で休場することもあったが、闘技者と力士を両立している。煉獄との対抗戦でも選手候補に挙がったが、当初の開催時期が11月で本業の場所中と重なるので参加は難しいとされ、選考から外れた。
モデルは元大関雅山[56]
使用武術・古代相撲
野見宿禰の時代にまでさかのぼる最古の角力を復活させた「原初の総合格闘技」としての形。現代の相撲では禁じ手とされる殴る・蹴るを使用する。特に強靭な足腰から繰り出されるハイキックは関林の意識を一瞬奪うほどだが、短期決戦に特化した現代力士の肉体で使用するには不向きなので、スタミナを大幅に消耗する両刃の剣でもある。極めようとすれば現在の相撲のスタイルから離れざるをえなくなるため、関林から「総合格闘の真似」と揶揄されてしまう。
主な技
激旺(げきおう)
重心を極限まで下げた姿勢から、鍛え抜かれた脚力を利用して繰り出す変形ぶちかまし。攻撃は直線的になるが、通常のぶちかましと比べてスピードは2倍、威力は4倍に達し、射程距離は土俵の直系に等しい4.55メートル。射程距離内なら室淵のスプリント以上に速く、あまりの速度故動体視力が追いつかないほどである。
禍谷 重蔵(まがたに じゅうぞう)
声 - 天田益男[39]
禍谷園社長。61歳。左目に大きな傷、また左額から右頬にかけて傷がある。自身もかつては『大轟拳』の異名を持つ闘技者で、その時代を代表する闘技者であった。通り名のとおり現役時代はパワフルな戦い方を得意としており、現在でもトレーニングを続けている。
元々鬼王山の双子の兄達に「天狗の鼻をへし折ってもらいたい」と頼まれトーナメントに参加。鬼王山の詰めの甘さから優勝することはないと踏んでいた。が、実力を認めており、この敗北を糧にさらなる成長を期待している。
秋山 桜(あきやま さくら)
声 - 寺田晴名
禍谷園秘書。年齢不明。乃木グループ秘書である秋山楓の姉。マイペースな性格で鬼王山などを無意識に振り回している。方向音痴でよく迷子になる。だが、一流企業の社長秘書を勤めるだけあり、能力は極めて優秀。楓からはお姉ちゃんと呼ばれて慕われている一方で、姉としての意地で楓に自分のおっちょこちょいな部分を見られる事を気にしている。
毎年新雪が降るとやけにクオリティの高い重蔵の雪像を作成するという謎の習慣がある。
本編の出番の少なさの割に設定が決められているのは、元々は古海製薬(若槻武士)の秘書という設定であったため[57]

夜明けの村[編集]

大正7年開村。拳願会唯一の財団法人。大規模農場「鎧塚農場」を運営していた大地主「鎧塚実篤(よろいづか・さねあつ)」が、理想郷を目指し、所有する全ての土地を寄贈し興した共同体。所在地は九州。拳願会には農場時代から引き続き所属。所有地は200km²超で、そこに400名弱が暮らしている。拳願仕合通算戦績:282勝103敗。企業序列第27位。

鎧塚 サーパイン(よろいづか サーパイン)
声 - 檜山修之(ドラマCD・Webアニメ[4][23]
夜明けの村代表闘技者。通称『吼える闘魂』。30歳。ミャンマー出身。常に歓声をかき消すほどの大声で叫んでいて、暑苦しい印象を与える青年。熱血だが意外と話が分かる男。
タイの闘神と言われたガオランと10代のころから因縁があり、彼と闘うことを望んでいるため昔はわざわざ国境を越えてまで勝負を挑みに来ていた。社交的な性格で、ラルマーや鞘香のような財界の大物およびその家族とも交友がある。
父や兄も夜明けの村の闘技者で、仕合中に死亡した兄の後を継いで2年前に闘技者となった過去を持ち、現在は夜明けの村で祖国を追われた村の住民や自身の兄弟達とともに生活している。実光には恩義を感じており、その関係は良好である。またミャンマーには姓がないため便宜的に実光と同じ名字を名乗っている。外国人闘技者の中では在日歴が長い部類で、毎朝納豆を食べていることから他の外国人から妙に尊敬されている。ただ侍が今も京都の「エイガムラ」に住んでいると思っていたりとかなり認識にズレているところがある。
使用する格闘技はミャンマーラウェイ。ほとんどガードを行わないという武術の特性からインファイトの猛攻が得意で、相手が自身より大柄であってもスタイルを崩さない。幼少期からの修行で骨折を繰り返すことにより、異常な程の骨密度と太さを兼ね備える殴り合いに特化した骨格を手に入れている。特に頭蓋骨は兜のごとき異様な骨密度を誇り、殴った相手の手が逆に壊れてしまう。ガオランが今までで唯一KOできなかった相手でもあり、2倍の体重差がある相手の渾身の一撃を受けても膝をつかないほどの耐久性を持つ。体を丸めた前傾姿勢を基本的な構えとし、大きく曝すことになる背骨も生半可な攻撃では罅すら入らない頑健さであり、骨格と関節の硬さが筋肉を一層引き締めることで打撃のダメージを無効化させることができるため、どれだけ的確に攻撃を急所に加えてもその効果は半減してしまう。打撃の威力も桁違いで自身と同程度未満の体格の相手であれば、ガードの上からでも骨に罅を入れられるほど。
トーナメント1回戦では賀露と対決。八百長のことは知らず、最後まで賀露と全力で闘い、壮絶な殴り合いの末に勝利する。2回戦の前に東電や行政の思惑によって夜明けの村の土地が発電所開発のため失われようとしていることを知り、村と兄弟達を守るために勝利を誓う。
2回戦では御雷と対戦。相手のスピードに翻弄されながらも自身の頑丈さを活かして一発逆転を狙ってカウンターの大技を繰り出していたが、頭突きへのカウンターで放たれた慘雷で脳を激しく揺らされ苦境に追い込まる。それでも必死に食らいつき、ローキックを連発して軸足に重傷を与え、決死の覚悟により御雷を驚嘆させたが、2度目の慘雷で限界を迎え遂に倒される。
仕合後、村を守れなかったことで失意のどん底にあり、ガオランからの励ましにも応じることが出来なかったが、彼の仕合を目にしたことで覚悟を固め再起を誓う。
2年後の『ケンガンオメガ』でも闘技者を続けている模様。実光の意向で対抗戦には出場しないが、会場に来てガオランに声援を送る。
使用武術・ミャンマーラウェイ
別名ビルマ拳法。1000年以上の歴史を持つミャンマーの伝統武術で、脊髄への打撃、首相撲からの投げ技が認められる等、ムエタイとの共通技術が多いが、素手で試合を行うという相違点があり、素手故に効果的なガードをすることが困難なので、殆ど全ての攻撃を防がずに攻め切る。
主な技
ビルマの鉄槌
持ち味である頑丈な頭蓋骨を活かした必殺の頭突き。17仕合中8仕合で決まり手となっている技で、相手の攻撃を誘ってカウンターで繰り出すことを得意とする。その威力は仕合会場の地面に罅を入れるほど。
鎧塚 実光(よろいづか さねみつ)
声 - 佐々木省三[30]
夜明けの村村長。東電傘下。76歳。現在の拳願会員の中ではかなりの古参で、かつて共に理想を追い求めた東電会長である速水のことを「勝ちゃん」と呼ぶ。村の土地を発電所建設により奪われる瀬戸際にあり、初戦突破が開発を止めるための条件として東電に示されたものだったが、1回戦後に契約を反故にされ右ブロックを突破せざるを得ない状況に追い込まれている。クーデター鎮圧後は協力を強制されていたということで、放免された。
『ケンガンオメガ』では、対抗戦への闘技者派遣を拒否している。
ネウェンパイン
サーパインの兄。故人。立ち退きを迫られた故郷の村を救うため日本に向かい、撤回の条件として要求された法外な金額を稼ぐために5年間闘技者として戦い続けていたがある仕合の後に死亡、そのころにはすでに村はなくなっていた。実光によれば「鬼神のごとき強さだった」とのことで、拳願仕合でも強豪として名を馳せていた。「戦士は施しを受けない」が口癖の高潔な男で、自身の村の苦境も雇用主である実光には一切伝えていなかった。
パーパイン
サーパイン、ネウェンパインの父親。故人。かつては『昭和の名闘技者』として知られていた。

あじろ水産[編集]

企業序列第382位。

賀露 吉成(かろ よしなり)
声 - 斧アツシ[30]
あじろ水産代表闘技者。通称『日本海の大入道』。51歳。
この道40年のベテラン漁師。過去に人喰いホホジロザメを海中で絞め殺す、暴風雨吹き荒れる中で難破船の乗組員全員を単身で担いで泳ぎ救出する、日本領海内に不法侵入した環境保護団体『シーチェパード』の船舶を撃沈して国際テロリストを捕らえた、などの伝説を持っている。
ほかの選手のように格闘技の経験はないが、活け締めを応用した脊髄への正確無比な打撃など長い漁師生活で培った巧みな技術を使う。驚異的なタフネスと張り手一発で人を吹き飛ばすパワーを有し、さらにアダム並の体幹の強さと沢田並の平衡感覚を持っている。ただし長い船上生活の影響で普段から陸酔いに悩まされており、地上で全力を出すためには意図的に平衡感覚を狂わせなければならない。万全の状態では巨体からは想像できないような身軽な動きを使う。
ちょい足しではガオランと行動を共にする事が多く、ノリの良い一面を見せる。
トーナメントでは、1回戦で鎧塚サーパインと対戦。八百長により本来敗北予定であったが、速水への謀反からサーパインを潰すため本気で仕合に臨む。漁の技術と身体能力を駆使して頑丈なサーパインと渡り合い、幾多の攻防の末、頸椎への肘打ち下ろしが決め手となり敗北した。
トーナメント後の2年間は一度も仕合に出ておらず、ブランクがあることから対抗戦の候補とするかは保留され、結局出場はしなかったが、サーパインと共に会場には応援に来ている。
主な技
鯨葬(ゲイソウ)
を撃つ動作をそのままに、大上段から拳を振り下ろす技。
活け締め
脊髄を破壊し魚の鮮度を保つ処理方法の応用。首筋に打撃を加え、衝撃を受けた脊髄を機能停止させブラックアウトを引き起こす。
網代 光臨丸(あじろ こうりんまる)
声 - 小林操[30]
あじろ水産社長。ねじり鉢巻と角刈りがトレードマークの男性。68歳。外見のせいか「その筋」の人から異常にモテるが、本人に「そっちの気」はない。デスクワークが苦手で、普段は社長自ら漁に出ている。
漁港を閉鎖しないために東電の駒としてトーナメントへの参加を要求されしぶしぶ受諾するが、実際は既に速水の漁港の再開発計画は進行していることが発覚し謀反を決意。賀露の敗北後、東電に命を狙われることを危惧した実光の強い勧めで賀露を彼に任せ逃亡を図ったが、その直後蕪木に襲撃され拘束される。クーデター失敗後は蕪木により解放された。クーデター鎮圧後は協力を強制されていたということで、放免された。

栃木ディスティニーランド[編集]

日本発の遊園地で、若者が行きたいデートスポットランキング上位の常連。日本以外にはフロリダカリフォルニア香港上海パリにも支部があり、日本の企業であることは意外に知られていない。略称はTDL。最近では制服で楽しむ「制服ディスティニー」が人気らしい。企業序列第8位。

根津 マサミ(ねづ マサミ)
声 - 星野佑典[30] / 緑川光(『ダンベル何キロ持てる?』第9話)
栃木ディスティニーランド代表闘技者。通称『夢の国から来た男』。22歳。リーゼント頭のヤンキー。
栃木で最大の暴走族「爆音地帯」3代目総長。その体格と腕っ節を買われ18歳で裏の世界に入り、裏の格闘団体では拳願仕合、煉獄に次ぐ業界第3位の規模を誇る「毘沙門」で絶対王者として君臨していた。栃木ディスティニーランドの大ファンであり、夢野にスカウトされて拳願仕合に移籍した。
普段は手足を極限まで折りたたみ自分の体格よりはるかに小さいマスコットキャラクターの「モッキー」のきぐるみを着ている。仕合前に頭だけ残して着ぐるみを脱いだ際の視覚インパクトは絶大。
長いリーチを活かす鋭さ・重さ・速さを兼ね備えた蹴りが武器。
夢の国である栃木ディスティニーランドが東洋電力と裏取引をしていることを知り、栃木ディスティニーランドを夢のまま終わらせようとしていたが内心では葛藤しており、トーナメントでは仕合前に対戦相手の御雷に無視されたこともあって冷静さを欠いてしまい、開始直後に「雷閃」を顎にくらって脳震盪を起こし、実力を発揮する前に文字どおり瞬殺されてしまった。敗北後は美姫に励まされて再起を誓い、その後はトーナメント観戦を楽しんでいる。
トーナメント終了後に美姫と婚約、『ケンガンオメガ』までの2年間で結婚し、それを機に闘技者を引退した。
『ダンベル何キロ持てる?』にはTDLの職員として着ぐるみを着て登場する。
主な技
エレクトリカルブロー
長身から繰り出されるボディーブロー。
夢野 国博(ゆめの くにひろ)
声 - 松本大[30]
栃木ディスティニーランド社長。57歳。野望は大きいが器は小さい。外見が夢の国とは程遠いと自覚しているため、各種行事には覆面を付けて参加している。
「初戦を突破したら供給する電力を永久に無償にする」と言う取引を速水としていたが、実際は「とある人物達」とのコネクションを手に入れるために速水と取引をしていただけであり、速水のこともそのための繋ぎとしか見ていなかった。しかしトーナメントに負けたため、蕪木にボディガードと共に襲撃され拘束される。クーデター失敗後は蕪木により解放された。しかし他の人質達とは違い自らの意思で速水に協力していたということもあって無罪放免とはいかず、拘束こそされていないものの沙汰を待つ状態にある。
竹丸 美姫(たけまる みき)
声 - 金澤まい[30]
同テーマパークのマスコットキャラクターである「ホナルド」の着ぐるみを着た女性。「泡姫(マーメイド)」二代目総長で、根津を「先輩」と呼び尊敬している。トーナメント後には根津と婚約した。

モーターヘッドモータース[編集]

昭和23年創業の世界的機械工業メーカー。二輪車の売り上げは世界第1位、四輪車の売り上げも世界第7位。モータースポーツにも注力している。株式会社ホークウインドという会社が前身。企業序列第23位。

黒木 玄斎(くろき げんさい)
声 - 玄田哲章[30]
モーターヘッドモータース代表闘技者。通称『魔槍』。51歳。ヒゲ面の壮年男性で、英語圏では「Beard God(ヒゲ神)」の通称で呼ばれている。
沖縄発祥の殺人拳法・怪腕流の使い手であり、本人も呉一族と並び称される暗殺者。その技は普通の空手が健康体操に見えるほどの異常な完成度を誇り、「殺す技術」だけでなく「壊す技術」も兼ね備える優れた暗殺者である。鍛え上げられた四肢は肉どころか鉄板をも穿つほどの威力を誇り、余興で精緻な仁王像を素手で石壁に彫りあげるなど技術面も卓越している。さらに35歳にして先読みの極致に達しており、至近距離からのライフルの弾速にすら対応できるほどの能力を持っている。何十年もかけた修行の末に、理想に過ぎない「使うべき瞬間に使うべき技を使う」という武の極致を体現しており、肘の脱臼を遠心力だけで即座にはめ直し、指が何本も折れていても攻撃の手を緩めない。3日3晩絶えることのない大炎に囲まれ祈祷を続ける「煉獄業」のような死者が出るような荒業すらやすやすと達成する。戦える相手が自身しか居らぬほどに強くなりすぎたが故に大きな「孤独」を抱えている。まともに闘える者はトーナメントでも殆ど居ないと言われており(実際にトーナメントの位置決めの際、黒木の対戦相手は最後まで決まらなかった)、アギトに匹敵する使い手と目されている。なお、殺人拳の使い手だが、「生きる資格のない外道」と「生死を懸け闘う価値のある武人」しか殺さないと決めている。
交友関係は広く、生前の二虎とは面識があり、平良とも酒を酌み交わす仲だった。それ故に弟子を見誤った平良の死を惜しんでいる。また御雷にとっては先代雷心流当主であった父親の仇でもある。一度は弟子入りを断った理人に的確なアドバイスを送る、零に対して一撃でとどめをさすのではなく稽古をつけるかのように相手するなど、見た目とは裏腹に以外と面倒見がいい。
滅堂からの依頼を受け、旧友の鷹風に頼んで拳願絶命トーナメントに参加する。1回戦では理人と対戦。理人を実力差すら弁えない弱者と見ており、最初は寸止めだけ、彼が一撃当ててからは流儀に合わせてしばらく戦うが、結局は下馬評通り終始理人を圧倒し、殆どダメージのないまま初戦を突破する。その夜、理人から弟子入りを志願されるが拒否、その代わりに経験値を埋めるために闘技者を観察するよう助言している。
2回戦では友の仇である桐生と対戦。師匠を上回る技を使い、二虎流の技まで使って見せた桐生に驚かされ貫手が貫通した手で右手の指をへし折られるという大ダメージを負ったが、彼の使う技が基本の2つ以外は全て付け焼き刃でしかないことを見抜き、左手を囮にして折られた右手で決定打となる一撃を加え勝利する。
3回戦では御雷と対戦。自身が倒した御雷の父親より遅いと判断していたところを暗示の強化によって覆され、今大会で初めて膝をつかされる。しかしその後は相手の突進を完全に「先読み」し的確なカウンターを加えて追い詰め、最後はラッシュで隙が生じたと見せかけることで攻撃を誘導し心房狙いの渾身の下突きを叩き込んで意識を刈り取り、初撃のダメージ以外はほとんど受けないまま勝利した。
準決勝のアギト戦では、彼を「対等の宿敵」「真の強者」と認め、お互いに「気の起こり」を読んで壮絶な攻防を繰り広げ、魔槍で先制の一撃を加える。進化を果たしたアギトに武と無形の組み合わせを使われて、右手の第2から第5指までを折られ、左肘を脱臼するほどのダメージを負う。しかしそれにも怯むことなく戦法の切り替わりのタイミングを的確に見切り、「虚」を突くことで打撃のダメージを蓄積させていく。さらに龍弾を見切り小手返しで相手の右手首を完全に破壊、左肘の脱臼や右手指を全て折られたとは思えないような猛攻で遂にアギトに勝利する。
決勝では王馬と対戦。「前借り」の実用化という自分の知らない二虎流を完成させた相手の動きをも徐々に見抜き、先代を上回る操流の技量に決定打を欠きながらも次第に優勢に立つ。最後は決死の覚悟で放たれた「鬼鏖」を右腕を犠牲に防いで即座に左腕で痛打を加え、本トーナメントの優勝者となった。
トーナメント優勝後も求める己とは程遠いと、更なる修行を積んでいる。押しかけてきた理人との奇妙な師弟関係も続いている。
『ケンガンオメガ』までの2年間はアメリカで理人に厳しい修行を課し、まだ怪腕流の技術を使いこなせる段階にはないとして「基礎のみ」を伝授した。乃木から対抗戦への出場要請を受けていたが断り、代わりに理人を日本へ向かわせる。対抗戦本番はアメリカから試合を観戦に来ており、理人を倒して第2試合の直後に重傷の状態で勝負を挑んできた隼を、彼の覚悟を尊重し殺さずに首筋への手刀一撃で昏倒させ、生き急ぐ事なく強くなるよう諭して立ち去る。
使用武術・怪腕流
琉球発祥の沖縄空手をベースとする暗殺拳。その技術は帯刀した薩摩藩士と渡り合うために生まれたと言われ、経穴や気功など中国武術や沖縄伝統武術の要素も併せ持つ。徹底的な四肢と指の部位鍛錬を行うことが特徴で、手足に重度のダメージを受けた状態でも行われる苛烈な物であるため、極めた者は指が骨折した程度なら問題なく戦い続けることができる。さらに、ありとあらゆる関節を気が遠くなる年月をかけて鍛え上げるため、関節技で瞬間的に折ることはほぼ不可能。二虎流の開発にも関わっているため、筋肉を強制的に収縮させ折れた指で拳を握るという「抱骨」の元になったらしい技術も有している。
なお、『求道の拳』に登場する「中地流」およびそこから派生した「新刀流」と同様、「天地流」という唐手から派生した武術にあたる。
主な技
魔槍(まそう)
黒木の異名でもある、鍛え抜かれ槍と化した四肢から放たれる打撃技。特にその貫手は肉を抉り臓腑を貫くほどに鋭い。普通は「防御」として使われるボクシングでいうところの単なるパーリングでも、皮膚が裂け血が噴き出すほどの破壊力を秘めている。
無動(むどう)
怪腕流の極意。コスモや金田が「先読み」と呼称するものと同種の技術。相手が攻撃する瞬間を見極め、その「直前」に動くという技術で、自身の動体視力では捉えられないものに対処する場合、「撃つ」のではなく相手が来る場所へ「置く」という形で使用する。他の使用者が主に回避で使うものと理論上は同一のものだが完成度が別次元で、相手が速ければ速いほど強力になるカウンターとしても機能することから、先読み一つの「極致」にして攻めの先読みと評される。
三戦(サンチン)
琉球空手に伝わる単純にして究極とも言われる受けの型。黒木ほどの使い手ならば、巌のような耐久力を発揮する。
鷹風 切己(たかかぜ きりみ)
声 - 竹内良太[30]
モーターヘッドモータース社長。テンガロンハットの男性。59歳。
一年の大半を海外で過ごし、しかも決まった住居を持たないという変わり者。趣味はバイク。自分がたまたま金持ちの家に生まれてたまたま会社を引き継いだだけだと考えており、権威や権力が苦手だと語る。インディアンの部族から『イエローホーク』というインディアンネームを貰って以来人生哲学に目覚めたと公言している。
当初絶命トーナメントに参加するつもりはなかったが、旧友の黒木から頼まれて参加を決める。自社を「万年中堅」と卑下していたが、黒木の活躍で思いがけないほど上位に食い込むことができた。トーナメントでは最終的に優勝を果たしたものの、自分には荷が重すぎると乃木に拳願会会長の地位を譲る。
主なモデルはモーターヘッドレミー・キルミスター[58]

白夜新聞[編集]

「四龍」の一社。明治12年創立。日本最大の新聞社。新聞の発行のほか、出版、スポーツ大会の開催、芸術作品の展示や公演なども行っている。日本はおろか世界各国の主要都市に支部を展開しており、堅固なネットワークを持つ。拳願仕合通算戦績:1422勝691敗。企業序列第3位。

二階堂 蓮(にかいどう れん)
声 - 沢城千春[23]
通称『番人』。24歳。失伝したとされる日式中国拳法「天狼拳」の達人で、旧日本軍特殊部隊「天狼衆」の長。台湾出身。端正な容姿から初参戦にして早くも黄色い声援を浴びる。キザなナルシスト。
東電に雇われて、武本を倒し白夜新聞正闘技者の座を奪う。トーナメントでは桐生刹那と対戦。どちらも美形であることから会場中の女性客を興奮させた。
東電関係者の中では割とまともな部類に入るが、普段から過剰な露出の服装を好むセンスは致命的なまでに変態的で、松田からは猥褻物に例えられた。話が長く若干口が軽いのが欠点。また壊滅的なファッションセンスとは裏腹に人見知りが激しい部分がある。船に乗る前に酔い止めを配るなど意外に気が利く。
拳法家としての実力はかなり高く、達人と謡われた武本を無傷で圧倒し、若くして奥秘までも極めている。暗殺者としても優秀で、自作の暗器を携帯している。同郷で同じく天才拳士とされる劉と比べると、個人の戦闘では分が悪いが戦場であれば不覚を取ることはないとされる。
トーナメント1回戦では刹那を格下と侮り油断していたことで開始早々左肩を破壊され、「奇龍」を打ち込んで一矢報いるも、カウンターを喰らった上に刹那の中の「阿修羅」を覚醒させてしまう。その後は圧倒され続け、得体の知れない悍ましさに恐怖を覚え、あまりの力量差の前に降参を決意するも左胸に羅刹掌を食らい敗北する。仕合後は心停止に陥っていたが部下の救命措置で蘇生、最大の目的であった爆弾の設置も自身の仕合の裏で部下たちに命じて完了させていた。
仕合後すぐに姿を消したが2回戦終了後、要人爆殺の責任を速水が全て自分たちに押し付けようとしていることを知り叛逆を決意、仕掛けていた爆弾をクーデター前に全て回収していた。
同僚で唯一死亡した目黒にも仲間意識はあったのか、願流島を発つ前に島内に作られた墓へ献花している。
トーナメント後は大日本銀行に就職しており、『ケンガンオメガ』では護衛者の「天狼隊」隊長として天狼衆を率いている。
使用武術・天狼拳
忍術と中国拳法を融合させた日式中国武術。日中戦争時、突如現れ中国軍を圧倒した正体不明の拳法家達(=天狼衆)が使用したが、その後失伝したと言われていた。一対多、あるいは集団戦を想定した戦場の拳であり、の末裔であるため隠密行動や破壊工作を得意とし、素手の格闘だけでなく武器術も体系に含まれている。
主な技
嵐(ラン)
拳による高速のラッシュを繰り出す技。
背地背水脚(ハイチハイスイキャク)
仰向けダウンの状態から、倒立のような形で真上に蹴り上げる技。
奇龍(クイロン)
天狼拳の奥秘。両手の間で超圧縮した空気を相手の至近距離で炸裂させ爆音で強制的に動きを止める「虚」、背後に回り耳元で秘伝の呪詛を囁くことで催眠状態にする「幻」、催眠で無防備となった相手に渾身の発勁を叩き込む「光」、という3段階の手順を瞬時に行うことで完成する技。申し合わせ有りの組稽古ですら発動するのは不可能と言われる高難度を誇るが、片腕が破壊されていても使用できるという利点もある。
光打(グァンダ)
いわゆる発勁。単発で使うこともあるが、「奇龍」のフィニッシュとしても使われる。
炎(イェン)、蔡(ツァイ)、梅(メイ)、黄(ファン)
二階堂の配下の「天狼衆」。速水の依頼を受け、主が仕合をしている間にトーナメント会場のいたるところへ爆弾を設置した。
『ケンガンオメガ』では「天狼隊」として大日本銀行に所属している。
赤野 鉄砂希(あかの てさき)
白夜新聞社長。66歳。企業ランクは高いが、現在は特定の闘技者を雇っていない。
トーナメント開始前に二階堂によって会長就任の夢を絶たれる。速水の傀儡となり1回戦突破失敗の責任を取らされ拘束される。クーデター失敗後は蕪木に解放され、協力を強制されていたということで放免された。
武本 久安(たけもと ひさやす)
武本流実戦拳法の創始者。82歳。45歳から37年間で90回以上の野仕合を行いその全てに勝利し『武神』と呼ばれるに至った。老齢ながらいまだ現役で、達人とも評されていたが、拳願号船内で二階堂に敗れ闘技者の座を追われる。

帝都大学[編集]

前身は天和4年設立。明治10年に日本初の国立大学として設置される。世界大学ランキングでは不動のアジア一位。あらゆる分野の最前線で卒業生が活躍している日本の名門校である。拳願仕合通算戦績:1827勝842敗。企業序列第18位。

英 はじめ(はなふさ はじめ)
声 - 石田彰[20]
通称『解剖魔』。0巻第伍話の主人公。年齢不明。その名の通りの解剖狂で、闘技者の体を解剖したがっては心実を困らせている。治療に携わって死なせてしまった子供たちの写真をアルバムに集め、その悲劇と絶望に快感を覚えている。自覚がある狂人で人間性には問題を抱えているが、理性で狂気をコントロールしている。ただし、医師としての腕は一級で、医務室のドクターそっちのけで瀕死の重傷を負った茂吉の蘇生に成功している。不謹慎な発言は多いが、腕がいいため赴任先でもよく患者たちと打ち解けているなど奇妙な人徳がある。1回戦以降は山下商事も面々などと保護者兼護衛として行動を共にするようになる。子供のころは虫取りが得意だった模様。
表向きの顔はフリーランスの外科医だが、その正体は日本政府から派遣された始末人で、今までも国家に仇なす者を秘密裏に始末してきた。例として、大規模なテロ計画を企んでいたカルト教団「神の軍勢」の教祖や、犯罪者を攫い臓器売買をしていた病院長といった悪党を暗殺している。
人間を生きたまま解剖するための手段として禽拿術を修めているほか、視床下部を術式により制御し痛覚遮断を行うなど、自分の体にも様々な改造を施している。
今回は死刑執行してもなお生き延び続けている坂東洋平を始末するため、このトーナメントに送り込まれた。抽選の結果1回戦からターゲットと戦うこととなり、禽拿術が通用しないと分かると、様々な仕込を利用して坂東を致死性ウイルスに血液感染させる。首をへし折られ仕合自体には敗北したが、強制的に心肺を動かし続ける仕込みと太宰の施術で無事蘇生した。
それ以降はトーナメントの医療スタッフとして負傷した闘技者の治療に専念しており、東電によるクーデターの際には医務室で戦っていた。
王馬がトーナメント後に倒れたことを護衛者から聞かされ、「誰か」が自分宛に置いていった心臓を彼に移植し命を救う。状況の異常性を鑑みて山下にはやむを得ず手遅れだったと伝え、以降は2年間にわたり彼の生存の秘匿に協力していた。
対抗戦ではドームの医務室に控えて負傷者の治療にあたる。
使用武術・霊枢禽拿術(れいすうきんなじゅつ)
黄帝内経」にあるとされる最古の禽拿術。指先を鍼に見立てて人体の急所である経絡経穴を突くことで、激痛を与える、意識を奪うなど様々な効果をおよぼすことが可能。その特性上第2・3指を破壊されると使用を封じられる。
主な技
絶刺(ゼッシ)
二本の指で首の後ろの経穴「唖門」を突き、二度と意識が戻らないように神経を破壊する技。
肉体改造
痛覚遮断
自身の視床下部に施した術式。洪の痛覚遮断や目黒の痛覚変質とは異なり、脳内麻薬を利用しない完全な痛覚のシャットアウトを行う。骨折などのダメージにも一切ひるまず、掌の肉を突き破る骨剣や踵が吹き飛ぶ高圧ガスをためらうことなく使用できる。
骨剣
自身の両大腿骨から削りだした一対の剣。普段は両前腕の中に格納されており、使用時は掌を突き破って出現する。(自身の大腿骨は人工骨に置き換わっている模様)
仕合前のボディチェックを掻い潜っている、かつ自分の体の一部なので反則にはならない(と本人は言っている)。使用時には自らの血管を傷つけ出血するため、相手を斬りつけた時に体内に仕込んだウイルスを血液感染させることができる。
高圧ガス
蹴り足のに仕込んだ高圧ガスを爆発させ推進力とすることで、威力を大幅に増加させる。2倍以上の体重を持つ坂東をよろめかせるほどだが、使用後は踵が吹き飛ぶため、連続使用はできない。
抗体
様々な病原体に対しての抗体を持つ。常人ならば死に至る細菌兵器でも体内に潜伏させておくことが可能。その気になれば大規模なバイオテロを起こすことも可能だが、上層部から使用を制限されている。
太宰 由紀夫(だざい ゆきお)
声 - 増谷康紀[30]
帝都大学総長。55歳。帝都大学出身。坂東とは同期だが、浪人したため年齢は上。「いざという時の切腹用」で常に帯刀しているが、誰からもツッコまれない。
拳願会長の座に興味はなかったが、学生時代の親友であった坂東が十王通信の闘技者としてトーナメントに出場することとなったため、道を誤ったかつての旧友に引導を渡す目的で政府から派遣された英を闘技者として招き入れる。
吉沢 心美(よしざわ ここみ)
声 - 前川涼子[20]
帝都大学秘書兼看護師。26歳。れっきとしたナースだが、服装は一見コスプレのように見える。何かあるとすぐ解剖したがる英に若干引き気味ながらも惚れており、母親のように何かと面倒を見ている。適応が早く、英の奇行や、裏の仕事についても一定の理解を示している。基本的にしっかり者だがやや天然で、英とは会話がかみ合わずツッコミを入れられることもある。上司の太宰に対しては、内心で帯刀しているのはイヤだと感じている。
『ケンガンオメガ』でも英との縁は続いているようで、共に対抗戦の負傷者の治療を担当している。

八頭貿易(株)[編集]

昭和22年設立。社名に「貿易」とあるが、いわゆる総合商社である。社長の飯田正自ら前線に立ち、世界中を飛び回っている。タイ王国の有力者、ラルマー13世の庇護の下、東南アジアを中心に勢力を拡大している。「四龍」の一社。拳願仕合通算戦績:253勝104敗。企業序列第17位。

ガオラン・ウォンサワット
声 - 平川大輔(ドラマCD)[4] / 津田健次郎(Webアニメ)[39]
史上初のヘヴィー級四冠王として世界的に著名なプロボクサー。通称『タイの闘神』。28歳。平時はタイ王国政財界の支配者ラルマー13世の側近件ボディーガードを務める。0巻第参話の主人公。
ラルマー12世(13世の父親)に見初められて5歳からムエタイを始め、史上最強のナックモエと謳われるようになる。だが、実戦において敗北の許されない立場であることから、パンチを軽視する傾向にある現代ムエタイの弱点を克服するためにボクシングに転向、その後わずか4年で4大団体統一ヘヴィー級王者に上り詰める。
ヘヴィー級では小兵ながらボクサーとしても当代最高峰と言える実力を持ち、高速のジャブ「フラッシュ」を最大の武器とする。ボクシングでは使われないサブミッションや寝技への対応も身につけており、投げられた直後の不安定な体勢からでも強烈な突きを放つことができる。さらに奥の手としては生殺の領域でのみ使用する、ボクシングとムエタイを融合させたガオランにしか使用できない戦闘スタイルを用い、その場合はボクシングの拳打はもとい、ムエタイの蹴りや肘、膝も組み合わせて闘い、頸動脈を肘で切り裂くなどの急所攻撃も厭わない。
サーパインとは少年期からの知り合いで、唯一KOできなかった(時間切れでガオランの判定勝ち)相手であり、終生のライバルと見込まれて一方的に絡まれている。暑苦しい性格や突然自宅などに侵入してくるなどの行為には辟易しているが、内心では好敵手として認めているところもあり数少ない親しい人間の一人なためかそこまで邪険にはしていない。また、トーナメントで自らに食い下がってきた金田に対しては「強敵(とも)」と認めており、仕合後は友誼を結んでいる。
また、熱烈な愛国者であり、仕合以外の日は、ボクシング王者という知名度を生かしてタイ王国の観光PRを行ったりしている[59]。好きなタイ料理はガパオライスで、辛い食べ物は苦手。そのため辛いタイカレーよりは日本式の辛さ控えめなカレーのほうが好み。カラオケの十八番はタイ王国国歌。在日1カ月。
おまけ漫画やちょい足しでは日本にまだ侍がいると勘違いしたり、賀露と共に行動して旅行に行く等、本編で考えられない程の天然振りと付き合いの良さを見せる。
在籍する「光栄ボクシングジム」は『ダンベル何キロ持てる?』の登場人物である上原彩也香の実家で、『求道の拳』に登場する真備覇楽とは同門に当たる。上原姉妹からは「ガオさん(ちゃん)」と呼ばれている。第102話で客演し所属ジムの体験キャンペーンを手伝ったが、あまりにツッコミどころの多い世界観に終始首を傾げ、結局最終ページまでツッコミを入れられなかった。
大会優勝を狙う飯田とラルマー13世との取引により、トーナメントの代表闘技者として出場する。1回戦では金田と対戦するも、リングや闘士が戦う場所は戦場であり聖地だという考えを持つため、武器を使う英や役者である千葉などの仕合を見てこの大会は見世物だと失望感を感じていた。当初は金田を「凡骨」と見ていたが、実力差を知りつつも真正面から食い下がる姿を見て「戦士」であると認める。それでも実力差の余り金田を殺してしまうことを懸念して手加減していたが、最後は彼の叫びに答える形で「ボクサー」としてではなく「闘技者」として迎え撃ち、本気の攻防を繰り広げこれを撃破、金田を好敵手と認め、1回戦を勝ち抜いた。試合後には金田とは交流を深めている。
2回戦では加納と対戦、卓越したボクシングの技術で彼を追い込み、彼に打撃戦では叶わないと認めさせ、「特注」を編み出されてからは適応され加納からはムエタイを使うよう言われるも、「武の極み」を使用し、生殺の領域での戦いとなり、ストライカーの真価を発揮する全力の攻撃でガードの上から骨をへし折ろうとラッシュをたたき込む。肘打ちで利き手の右拳を砕かれても戦意は折けず砕けた右拳を意に介さず猛攻を行うが、大久保との闘いで会得した「複合」によって投げ飛ばされ、一瞬の隙に顎を蹴り抜かれて意識を喪失し敗北を喫する。
試合後は右手の感覚がないことからボクサーへの復帰が危ぶまれたが、本人は闘い抜いたことに後悔はしておらず、トーナメント後にボクサーとして現役続行することを表明している。さらに右手が完治して以来、徹底的な部位鍛錬を行って「神拳」を完成させている。
『ケンガンオメガ』では煉獄との対抗戦で若槻と共に拳願会側の代表選手として真っ先に選出され、2年前のトーナメントでラルマーの期待を裏切ったことへの汚名返上の機会として出場を決意する。対抗戦の会場へ向かう途中、選出された闘技者たちが腕が立つだけで何のために戦うかという「信念」がないことを懸念していると王馬に語り、分が悪いと考えている。
案の定試合前からまとまりのないチームに頭を悩まされることになり、自分に注意を向けさせて小競り合いを止めるため自ら志願して第一試合に出場し、古今東西で唯一自分より格上であると認めたボクサーであるカーロスと戦う。初めは機動力で自身に勝る相手に翻弄されるが、徐々に動きの規則性を把握し攻撃を当てていく。その矢先に相手がカポエイラの蹴りを織り交ぜたスタイルに移行し再度苦戦を強いられるが、鍛え上げた神拳とムエタイの足技で次第に優位に立ち、最後は神の御光を顔面に入れて相手を戦闘不能にする。だが、ノックアウトされたかに見えたカーロスの執念によって一緒に場外へ転落、慣れない場外ルールで反射的に庇い手をしてしまい、タッチの差で試合としては場外反則負けになってしまう。敗因は自身の慢心のせいだと言うも、王馬やアギトからは誰が行っても負ける可能性はあったと擁護され、間接的に拳願会側は煉獄ルールの影響の大きさを知ることと、チームに纏まりが生まれた。
裏サンデーで行われたキャラクター人気投票では1位を獲得した。
使用武術・ムエタイ、ボクシング
打の極
ムエタイとボクシングを極め全ストライカーの頂点に立つ存在であるガオランが、編み出した最も自身を活かせる戦闘スタイル。「手」を主体に「足」をサブウェポンとし、ムエタイの動きを踏襲しながら手技のコンビネーションを多用する戦法となっており、首相撲が発達しパンチの重要度が低下した現代ムエタイと逆行するような、「打撃のスペシャリスト」の武術と化している。至近距離に入られた場合は、ムエタイでもボクシングでも反則のバッティング(頭突き)をも使用する。また生殺の領域での戦いでは肘で頸動脈を狙う攻撃を行うなど、殺害することも厭わない。
神拳(ゴッドフィスト)
絶命トーナメント後にガオランが身につけた何者にも砕けない右拳。サーパインの堅固な骨を目標として、骨折が完治した右手を空手家の部位鍛錬を参考に巻き藁打ちなどで徹底的に痛めつけ、昼夜を惜しまない狂気の努力により1年という短期間で完成させた。その硬さはメデルに「ボクサーの拳じゃない」と評されるほど。
主な技
フラッシュ
デトロイトスタイルから左手で放つ高速のフリッカージャブ。10オンスのグローブ装着時で一呼吸に13発、素手であればさらに手数が15発まで増す。
神の御光(ゴッドグロー)
神拳によって放たれる右ストレート。その速さは光(フラッシュ)を超え神の領域に至っており、骨の強度も相まって岩をも砕くほどの破壊力がある。
飯田 正(いいだ ただし)
声 - 徳本英一郎[16]
八頭(やず)貿易社長。58歳。野心家であり、トーナメントで勝ち残るためにラルマー13世と直接交渉してガオランを闘技者として借り受ける。拳願会全体で見ても「やり手」である。

ムジテレビ[編集]

1957年設立。テレビジョン特定地上基幹放送事業者。各地域の系列30局とのネットワークを持っている。総合格闘技団体「アルティメット・ファイト」のスポンサーであり、大会の地上波放送を行っている。拳願仕合通算戦績:748勝103敗。企業序列第4位。

大久保 直也(おおくぼ なおや)
声 - 小西克幸[23]
通称『格闘王』。32歳。表格闘技界で最大の団体とされる「アルティメットファイト」の絶対王者であり、総合格闘技戦績は26戦26勝。そのうち最終ラウンドまで生き残った相手は一人もいない。表武術界の最強候補の一人ともいえるビッグネームであるため交友関係は広い。
小学生のころは野球選手を志す野球少年だったが、小学生としては恵まれた体格を見込まれてレスリング部に勧誘され、最初はレスリングを中高の6年間、次にボクシングのオリンピック強化選手となりながらもわずか2年で総合格闘技へ転向した経歴を持つ。また高校時代はレスリング部に所属する一方で大阪では有名な不良でもあり、大阪中のワルの上に立つ大番長だった。
女好きでギャンブル好きと理人と共通点が多いが、ギャンブルの腕は(イカサマ込みで)理人とは対照的。理人、氷室、金田と合わせて串田に4バカと呼ばれており、その中では最年長かつ最強の実力者である。挑発的な言動から「ビッグマウス」とされ世間から批判的にみられることも多いが、実は20年近くレスリングやグラップリングの練習を欠かさず行う努力家としての一面もある。カラオケでの十八番は演歌。
初戦は加納アギトと対戦。あらゆる能力において自身を上回る相手に対し、「複合」という持ち味を活かして序盤は優位を保っていたが、仕合中に“進化”したアギトによるこめかみへの一撃で失神し敗北。フロントスープレックスをかけられるがそれ以上の追撃をアギトが行わなかったため死を免れる。仕合後、途中まではアギトに食らいついていけたにも関わらず、"進化"によって引き離されてしまったことで心を折られかけたが、トラウマを乗り越えて試合後にアギトへリベンジすることを誓う。
3回戦前、敗退者の中で怪我が軽く最も優勝に近い選手ということで西品治警備保障社長から代理の闘技者として出場するよう依頼を受け一時は承諾するも、正闘技者であるコスモと出場をかけた立会いをすることとなり、自身が仕合前に課したルールを守れなかったことから敗北を認め再出場を見送った。
『ケンガンオメガ』では山下からの要請で、対抗戦の拳願会側3人目の代表選手になることを承諾する。選手入場ではくいだおれ太郎の仮装と「ナンバのロッキー」と書かれたプラカードで現れるが、周囲がほぼノーリアクションだった(ユリウスのみ困惑の表情を浮かべた[60])ことに憤慨する。
第11試合で赫と戦う。
使用武術・総合格闘技
大久保のファイトスタイルは特にレスリングとボクシングテクニックに特化したものになっている。最大の武器は「基本技術の圧倒的練度」であり、打・絞・極・投を技の継ぎ目が無いレベルで融合させた複合技を駆使する。また、対戦相手を殺しかけたことがあるためか蹴り技はあまり使用しない。
主な技
大久保タックル
ネーミングセンスはいまいちだが、アギトからテイクダウンを奪った技。
熱海 久(あたみ ひさし)
ムジテレビ会長。モノクルの老人。72歳。有能だが地味なので注目されることが少ない。
大久保の実力に信頼を寄せており、彼ならば滅堂の牙も倒しうると信じている。大久保が「進化」したアギトに完敗しても、大久保を代表にしたことを後悔しておらず、大久保がいつかリベンジを果たすことを願っている。
照美 観次(てるみ かんじ)
ムジテレビの人事部社員。38歳(本物)。
幽崎の死後、彼と同じく胸部を損傷した遺体として発見される。さらに捜査により別人が整形手術で成りすましていることも同様だと判明、一連の殺人の第2の被害者だと判明する。

ニュージェネレーションズ[編集]

拳願絶命トーナメント後の2年間でデビューした闘技者グループの通称で、山下商事がデータ管理しているフリーの闘技者たち。

打吹 黒狼(うつぶき こくろう)
色黒なフリー闘技者の男性。通称『ウルフソルジャー』。30歳。
1年前にデビューしたばかりのルーキーだが、既に7勝を重ねており、うち3勝は20勝以上挙げている闘技者からの白星で、原田や室淵にも勝っている[注 14]。今一番勢いのある闘技者で、山下曰く、「闘技者の新人王」。
理人より一回り大きな巨漢ファイター。地元ではスポーツ一家の有名人で、幼少期から様々な競技で実績を挙げており、中でもポイント制防具空手団体の名門「月輪会」の全国大会を5年連続制覇している。ファイトスタイルのベースも防具空手で、「破壊力」と引き換えに「手数」と「当てる」ことに特化した高速コンビネーションで押し込み、足が止まったところで全力のぶん殴りで仕留めるという、シンプル故に攻略の難しい戦法を得意とする。鳩尾に打撃が決まっても倒れないなど、タフネスにも優れている。さらに、確かな実力に驕ることのない冷静沈着な判断力も大きな武器であり、必勝スタイルに固執せず、通用しなければ次々と攻め方を変えてくる切り替わりの速さを持つ。他にもキックボクシングなどの複数の武術を齧っている。
谷石製薬(株)の闘技者をする仕合で龍鬼の拳願仕合デビュー戦の相手に選ばれ、ガタイとパワーで圧倒的に優位に立ちながらも格闘技術の差によって翻弄され、持ち前の打たれ強さで粘ったものの、必殺のスティンガーを纏鎧で防がれ、地伏龍を顔面に受けて敗北する。
煉獄との対抗戦の出場選手に志願しており、ニュージェネレーションズ最強の闘技者として有力候補になっているが、初参戦となった速水正樹に締め落とされて敗れる。
使用武術・防具空手など
主な技
スティンガー
蹴りの威力を拇指に集約した、必殺の変形前蹴り。威力を一点に集中することにより、硝子瓶を穿ち、骨を砕く鈍器と化す。威力を出すために不可欠なジャブをも上回る速さは膝先のスナップが肝で、左右1000回ずつの素振りを8年間毎日欠かさず行うことで身につけた。
百合川 泰樹(ゆりかわ たいじゅ)
ニュージェネレーションズの1人。異名は『BRUTAL LILY(ブルータル リリー)』で、日本語訳で「残酷な百合」。26歳。
使用武術はパンクラチオン。実力はニュージェネレーションズ最強候補の黒狼に匹敵するレベル[61]
汐留の土地をかけた仕合にセント不動産の闘技者として出場。龍鬼と大変な激闘を繰り広げ[61]、「地伏龍」を防ぐなど健闘するが、敗北した。
使用武術・パンクラチオン
現代の総合格闘技とは一線を画する凶暴性・暴力性を持った古代総合格闘技。
幽崎 無門(ゆうざき むもん)
元・煉獄「A級」闘士。通称『ゴースト』。崑崙派蛇形拳の使い手。28歳(本物)。
かなりの実力者で徳尾の復帰戦の相手として拳願仕合にデビューするが、相手を殺すつもりで仕合に臨む。打撃戦では「偽身」で相手を翻弄したかに見えたが、技の弱点を見切られ、回転式膝十字で左膝を破壊されて起立が困難になり、敗北する。
だが、仕合後、何者かによって殺害されているのを路上で警官に発見される。遺体の状況から、相当な達人の素手によって正面から胸部を損傷し、即死に近い状態で殺されたことが分かっている。
さらに、豊田が知る闘士時代の幽崎は「七星蛇形拳」の使い手であったことから、闘技者になった幽崎は別人が成りすましていた疑いが浮上。隼の調査で本人は煉獄を去ってから1か月経たないうちに殺害され、遺体を焼かれて個人を特定できる痕跡をことごとく「隠滅」されていたと判明した。
その正体は夏の弟子の1人であり、「蟲」に所属する戦闘員タイプの下級構成員[62]。A級闘士に相応しい実力者だった本物の幽崎よりもわずかに強く[62]、拳願会の有力闘技者潰しを任されていたが、初戦で徳尾に負けて後がなくなる。挽回を図ろうとして膝を破壊された状態のまま龍鬼を抑えるべく戦いを挑むが失敗、返り討ちにあって死亡した。
使用武術・崑崙派蛇形拳(コンロンハジャケイケン)
中国拳法の蛇形に特化した拳で、形意拳の型のひとつにも類似のものが存在する。両手の指先を揃えたような構えが特徴で、その特殊な握りからフリッカージャブに似た打撃を放つ。組技に持ち込まれた状況でも足の経穴三陰交に指を突き立てて脱出するなど、徹底した硬気功で作り上げた指先は、突く、払う、掴む、毟る、掻くなど、あらゆる動作が脅威となる。
主な技
偽身(ウェイシン)
「崑崙派蛇形拳」の秘傳。筋・腱の動き、体の重心、目線・呼吸の変化を利用して「気配を飛ばす」技で、偽りの動きで作り出した「虚体」よりコンマ数秒遅く(速く)「実体」が動くことで、その「ズレ」で先読みをくるわせる。武に優れた者が行う「先読み」につけ込むため、武の理に近づいた者ほど囚われてしまい、先読みに長けた者にとっては天敵になりうる達人殺しの技。ただ、初見でしか通用しないのが弱点であり、トリックが割れてしまえば如何様にも対処できてしまう。
化蛇(ファシー)
偽身と合わせた不規則な軌道から相手の顔面へ、掌を上に向け第一・第二・第三指を揃えた打撃を放つ。
村雨 秀哉(むらさめ しゅうや)
若手の闘技者。通称『鬼鯱』。身長2メートル前後の巨漢。
ベースはボクシングで、決め技として不完全な発勁モドキの鉄槌を持つ。組み合わせとしては今一つだが、ガタイを活かしたごり押しは十分に驚異的。顔面に掌底がモロに入っても怯まないタフネスと、図体の大きさからは想像できないスピードから、光我には「ヒグマ」と例えられた。ただ、頭に血が昇ると攻撃が荒く大味になるのが弱点で、フィニッシュの鉄槌は右手でしか打てない。
中小裏格闘技団体であれば目立った活躍ができるであろうポテンシャルを持つが、戦績からも分かるとおり、闘技者の中での実力は最下層[注 15]。光我の闘技者採用試験の相手として選ばれ、六真会館で仕合を行う。初手で掌底を食らい冷静さを欠くも、徐々に自分のペースを取り戻していったが、光我が必殺技として温めていた三日月蹴りとブラジリアンキックを受けて敗北した。
渡慶次 幸太(とけし こうた)
ニュージェネレーションズの一人。通称『暴走ちんすこう』。拳願仕合に移籍する前は他の裏格闘技団体で活躍しており、黒狼でも勝てるかどうか分からないというほどの実力者。
11月に行われた仕合で、氷室を相手に善戦し、敗北したものの傷を負わせている[63]。モデルはプロ格闘家でラウェイファイターの渡慶次幸平[64]

その他闘技者[編集]

横田 将靖(よこた まさやす)
声 - 竹内栄治[20]
拳願仕合戦績15勝4敗
非公式仕合戦績27勝0敗
牛民フードサービス所属闘技者。通称『我道館[注 16]空手の喧嘩番長』。会員証を賭けた非公式仕合で王馬と対戦。一撃で仕留められた。
下田 佐治(しもだ さじ)
声 - 五味洸一
大亜細亜航空闘技者。通称『獣人』。34歳。サンボがベースのサブミッションを得意とし、サンボでは反則の絞め技を使う[65]
予選では理人に絞め技を極めるが、理人の馬鹿力にサブミッションが外され敗北する。
ジェリー・タイソン
声 - マシューまさるバロン[20]
22世紀ファックスコーポレーション闘技者。通称『ロケットマン』。34歳(ケンガンオメガ)[注 17]デトロイト出身のアフリカ系アメリカ人
元は陸上競技の短距離走者だったが、中国に渡ったことを機に象形拳を会得、さらにそれを発展させて兵器の動きを模す「J式象形拳」を開発する。その昔、刑事をしていたことがある[66]
予選ではほかの闘技者をなぎ倒しながら王馬と戦うが、金剛ノ型「不壊」を破ることができずに敗北した。
怪我自体は軽かったため、願流島に先乗りする。トーナメント本線では、Aブロック1回戦より飛び入りの解説者となっている。初日の解説が好評を博したため、2回戦からは正式に解説者を任される。
トーナメント後も闘技者を続けていたが、翌年には連敗したことで体力の限界を感じて引退を決めた。『ケンガンオメガ』では拳願会の職員を勤めており、対抗戦の準備では鞘香の補佐に回り、煉獄との対抗戦本番は2年前のトーナメントと同じく彼女とコンビで解説を担当。
使用武術・J式象形拳 (JERRY'S SHOUKEI-KEMPO)
主な技
スカッドミサイル (SCUD MISSILE)
両腕を前に突き出すような形で構えて突進するジェリーの最高傑作ともいえる技。何度かわされても即座に軌道を修正し、全身を連動させ超スピードで全質量を相手に叩き込むことができ、側面からの攻撃も跳ね返せるため乱戦で最も威力を発揮する。
パトリオット (PATRIOT)
空気抵抗を極限まで抑えるために左肩を前に出した超前傾姿勢で突進し、相手と接触する瞬間拳を突き出す超攻撃特化の技。
HEADBUTT BOMB
頭突き技。
原田 徳治郎(はらだ とくじろう)
ふじま運送闘技者。通称『憂国のハラトク』。政治団体「晩稲会」の行動隊長で、敵対組織からは「特攻のハラトク」と恐れられている。得意技は「ハラトクラッシュ」。予選では賀露と対戦、ラッシュを受けきられ強烈な張り手の一発を喰らって敗北した。
『ケンガンオメガ』では打吹と仕合を行い、惜敗したことが語られる。
後田 武郎(うしろだ たけろう)
声 - 徳本英一郎[16]
いずみ食品代表闘技者。通称『火を吐く醇風掌』。34歳。醇風掌(じゅんぷうしょう)という拳法の使い手。音に聞こえた闘技者であったが、予選でハサドに攻撃を仕掛けたところにカウンターでラッシュをくらい敗北。その後はトーナメント本戦期間限定で、義武の護衛として雇われる。
モデルは原作者の地元の友人[67]
アキ 斉藤(アキ さいとう)
声 - 下妻由幸[16]
鹿王院建設代表闘技者。通称『8ビートボクシング』。36歳。戦闘スタイルはアマチュアボクシング。音に聞こえた闘技者であったが、予選で一瞬で間を詰めたハサドに顎を打ち抜かれ敗北。その後はトーナメント本戦期間限定で、義武の護衛として雇われる。
モデルは原作者の地元の友人[67]
パンク・アボット
テキサスを拠点にストリートファイトを行っている、『米国最強のケンカ屋』。42歳。熟練した試合運びと痛烈な一撃は他のストリートファイターと明確に一線を画しており、ルール無用のケンカ殺法とはいえ、精錬された技術はもはや「武術」の域にある。過去には日本のある企業に雇われて拳願仕合に出場した経験もある元闘技者である。
各地のストリートを荒らしまわっていたころのアダムと戦い、路上の妙を見せつけて追い込んだかに見えたが、交通事故のような威力のパンチを顔面に食らってノックアウトされる。
琴浦 茂ノ介(ことうら しげのすけ)
19世紀の幕末に活躍した伝説の闘技者。『幻技』と呼ばれ、江戸十傑に名を連ねた稀代の武人。無遷流の皆伝であり、バリツの創始者。
拳願仕合の一強時代を築いたが、更なる強敵を求めて日本を飛び出し、格闘技が隆盛を誇っていた大英帝国で西洋武術を習得、柔術と組み合わせて独自の武術であるバリツを確立した。
使用武術・無遷流(むせんりゅう)→バリツ
無遷流は他流派の技を積極的に吸収し、取り込む異質な古流武術。
金田の師匠(本名不明)
金田の父(故人)からの頼みで、金田に紅人流を伝授した老人。元闘技者であり、両目の負傷で失明したため引退した。凡夫に過ぎない弟子が闘技者になることを止めようとしたが、父親譲りの頑固さに負け、勝利を祈りながら笑顔で送り出す。
ジョニー・ウォータース
バビロン企画所属の闘技者。22歳。アメリカCA州出身の黒人男性。アルティメットファイトライト級(−70.3kg)ランキング第2位のストライカー。PFPランキングでは大久保より格上で、怪我さえなければとっくにチャンピオンになっていたほどの逸材。
西品治警備保障と試合を行うが、コスモの打撃2発で倒されてしまう。
徳尾 徳道(とくのお とくみち)
「売れない小説家」を本職とする闘技者。35歳。「尾道 二徳(おのみち にとく)」のペンネームで活動しており、通称の『二徳』はそのペンネームに由来する。著作は「マンドラゴラの住人」など[68]
バックボーンはサンボ。20歳を過ぎるまでは格闘技未経験者で、学生時代に文学を学ぶためにロシア留学してサンボに出会い、それから10年弱で格闘技のトップ層へ上りつめ、知人の紹介で5年ほど前から拳願仕合に参戦するようになる。剛のサブミッションの技術に関しては「表」でも「裏」でもトップクラスとされ、馬力のある打撃も持ち味の一つ。また異常な程に恵まれたタフネスさを持ち、そのタフさを活かしたカウンターも得意とする。強靭な肉体を自身は『メロスの身体』と称している。
拳願絶命トーナメントの前、敗れはしたものの加納をあと一歩のところまで追い詰めた実力者。ただ、この仕合で半年間の療養を余儀なくされ、トーナメントには参加できなかった。トーナメント後に加納は拳願会を去ったために再戦の機会を失っており、トーナメントで成長を遂げた彼とどれほど戦いが成立するかは未知数である。
副業の闘技者はネタ集めを兼ねた執筆に専念するための最低限の生活費を稼ぐ手段であり、「世に認められる日まで暖衣飽食と無縁でいなければならない」と、生活資金であるファイトマネーが尽きるまでは仕合に出ることはないため、比較的ベテランながら仕合間隔が長い。だが、作風が独特なので一般には全く受けておらず(一応、一般受けを考えて自分なりに色々と抑えているつもりではいるらしい)、これまで出版した5冊もろくに売れていない。読み書きを覚えたばかりの龍鬼からも、「使っている言葉は難しいが話が単純で捻りがない」「設定資料を読んでいるようで会話が不自然」などと酷評されるレベル。その上、「お金の使い方『だけ』は昔の文豪並み」らしく、復帰のペースは割と早い。だが日本文学界の頂点に位置する人によると、「一流がスタートラインとすればもう既にスタートラインから踏み出している」と評価を受ける程文章の実力は高く、売れない理由は文学の道を突き進み続けたための人生経験不足とのこと。拳願仕合には完全にアルバイトと割り切って参戦しているが、仕事はきっちりこなさないと気が済まない性格なので、負けるのは嫌な模様[69]
かつて太宰治に憧れて文学の道を志し、文学部に所属する傍ら様々な運動部の助っ人を行っていたが、その強靭な肉体や素質もあり、周囲から自身の夢を否定され続けたため、自身が望まずして得てしまった才能を「呪い」とし、望まぬ才能を押し付けられた己の運命への復讐のためにサンボを始め、やがてその実力を買われて裏格闘技に身を投じ、いくつかの団体で実績を上げて拳願仕合に参加した。そしてアギトに負けたことで、自身が相当な負けず嫌いであり、復讐が単なる逆恨みだと気付き、現在に至る。
最近になってフリーランス闘技者として再び復帰を決め、ゼネラル食品の闘技者として黒狼との仕合を行う予定だったが、急遽龍鬼に交代する。その約1カ月後、再度の復帰戦として幽崎と仕合を行い、達人殺しの「偽身」を見切って躊躇なく膝関節を破壊しほぼ無傷で勝利する。仕合後、豊田が観客として現れたことで煉獄との間で何か起きようとしていると推測し、山下に鎌をかけて対抗戦の開催を聞き出すと、観戦するために日時を教えてもらえるよう頼む。当初は選手として参加するつもりは一切なかったが、仕合直後から新作執筆のために熱海の旅館で缶詰に入り、わずか1ヶ月でファイトマネーを使い切ってしまった事で山下に助けを求め、対抗戦への出場を申し出て8人目の代表選手になる。
本番では第10試合に出場して劉と戦う。体格やタフネスでは劉を上回っていたため、当初こそカウンターで2度のダウンを奪うことに成功するも、劉の手数の多さに徐々に押され始めるる。強力な打撃を連続で受け続けても立ち上がり続け、ロシアンフックを打ち込むも受け流されバックキックを食らって場外に落とされ敗北した。
決着後に歩み寄ってきた劉に再戦を希望するも、「さよならだけが人生だ」と拒否され、握手を交わした。
使用武術・サンボ
ロシア発祥の格闘技。似ているとされる柔術や柔道の「柔の技」とは対照的で、直線的で力強い「剛の技」が本質。
留学中に入門していたのはモスクワ中心部にある有名サンボジムで、『ダンベル何キロ持てる?』に登場するジーナ・ボイドとは同門である。
主な技
腕ひしぎ十字固め
相手の肘関節を極めるサブミッション技。徳尾は完全にマウントを取られた状態からでも相手を崩し、返し技として使うことが可能な腕前を持つ。
回転式膝十字
相手の突きを躱して後足に飛び付き、体を回転させる勢いで相手を転倒させると同時に膝関節を破壊する技。
ノエル・ワグナス
通称『英雄』。デビューはコスモと同時期で、トーナメント組にも匹敵する実力者だが、怪我で長期離脱していた。対抗戦目前の仕合で金田と壮絶な読み合いを繰り広げ、相手の肋骨を2本折ったが敗北している[70]
新之助(しんのすけ)
およそ300年前、第1回拳願仕合となる「将軍位争奪マッチ」に紀州藩側の闘技者として出場した、葵の御紋を入れた覆面を被る武人。
その正体は当時の紀州藩藩主であり、後の8代将軍・徳川 吉宗本人である。武勇に非常に秀でており、6代将軍家宣の正室・天英院や7代将軍家継の生母・月光院らに擁立され、自ら闘技者として仕合に出場(一夫曰く「リアル暴れん坊将軍」)。浅右衛門の猛攻に苦戦しつつも、ヘーリング・ブロイエル反射を利用した胸への掌打で迷走神経失神を引き起こし、勝利する。闘技者として拳願仕合に参加したのはその1回だけだった。
山田 浅右衛門 貞武(やまだ あさえもん さだたけ)
「将軍位争奪マッチ」に尾張藩側の闘技者として出場した、伝説の死刑執行人、『首切り浅右衛門』。刀身一体の「武器人間」で、刀なしでも実力は高く、体格がほぼ同じ新之助を吹っ飛ばす馬力を持つ。「拝み斬り」による猛攻で新之助を苦しめたが、とどめを刺すため息を吸い込んだタイミングで胸を強打され、肺に急激な圧力がかかって迷走神経が誤作動を起こし、脳への血流が停止したために失神、敗北した。
主な技
拝み斬り
両の掌を合わせ撃ちつける浅右衛門の秘技。全身の筋肉の連動により、浅右衛門自身が刀と化す「刀身一体」の技。その威力は凄まじく、岩をも粉砕した。

レフェリー[編集]

拳願仕合には基本的に反則が存在しないため、審判が果たす役割は少なく、主な仕事は仕合開始と終了の合図を出すこと。

山本 小石(やまもと こいし)
声 - 徳本英一郎[16]
スキンヘッドで太った男。62歳。レフェリー歴21年のベテラン。仕合を止めるのはやや遅め。審判の存在が戦いを「殺し合い」から「仕合」に昇華させるという持論を持つ。後進に道を譲ろうと考えていたが滅堂から直々に慰留されたため、70歳前後までは現役を続行しようと思っている。ただ、後進を育てるのは若い田代に任せようと考えている。
15年前に行われた前回の拳願絶命トーナメントでもレフェリーを務め、今回の拳願絶命トーナメントではAブロックを担当する。
アニメ版では全試合のレフェリーを担当している。
モデルは新日本プロレスの山本小鉄[71]
田城 もさし(たしろ もさし)
眼鏡の中年。44歳。レフェリー歴8年。歌手、コメディアンを経てレフェリーになった異色の経歴を持つ。厳格なレフェリングに定評がある一方で、オフでは闘技者と気さくに接する。あだなはマーシーだが、拳願会ではあまり定着していない。歌が上手く、好きな歌手はラッツ&スター
拳願絶命トーナメントではBブロックを担当し、決勝戦の審判を山本から委ねられた。
モデルはタレントの田代まさし[72]
アンナ・パウラ
拳願仕合唯一の女性レフェリー。26歳。ブラジル出身。レフェリー歴2年。決着コールは早め。日本留学中にスカウトされた過去を持ち、語学堪能なため外国人闘技者の通訳をすることもあり、ブラジル格闘家糸のパイプ役としても活躍している。
拳願絶命トーナメントではCブロックを担当する。
ブラジリアン柔術の経験があるが白帯で辞めており、プライベートでは格闘技よりサッカーが好き。
チーター 服部(チーター はっとり)
後ろ髪を結った髭の男。55歳。チーターはあだ名であり、本名を知るものは少ない。元々レスリングの経験があり、闘技者として活躍していたが、怪我で引退し17年前レフェリーに転向した。仕合を止めるのが遅い傾向にあるが、本人曰く、仕合の流れを重視してのことらしい。元闘技者だけあり、実力を見極める眼力はピカイチ。拳願会のレフェリー育成も担当している。
拳願絶命トーナメントではDブロックを担当する。
モデルはタイガー服部[73]

闘技者採用部門[編集]

乃木の拳願会会長就任に伴い導入された採用試験の立ち合いを見届ける部門。不採用になった闘技者候補と揉めることも多いため、腕の立つ人間を集めている。

菅原 豊(すがわら ゆたか)
採用部門の部長。58歳。髪型はオールバックで、メガネをかけ、ズボンをサスペンダーで吊っている。一夫とは以前から面識があった[74]
戦闘能力としては結構強い方で、本物の樫尾より少し強く、下級闘技者くらいなら一人で制圧する実力がある[74]
光我の闘技者採用試験の監督を担当した。試験の直後、樫尾が別人に入れ替わっていることに気づき公園で戦闘となるが、ワイヤーで頭部の上半分と右腕を切断されて殺害されてしまう。
樫尾 亨(かしお とおる)
採用部門に所属する男性。30歳(本物)。ノーネクタイにシャツ、ジレを着た青年。光我の闘技者採用試験の監督を担当した。
実は「蟲」である夏の弟子が本物の樫尾を殺害して入れ替わっており、光我の採用試験の直後、菅原に別人だとバレてしまう。反撃で負傷しつつも菅原を殺害して口を封じるが、これ以上の潜入は難しいと師に報告した後で熱りが冷めるまで身を潜めることにし、それから2ヶ月後に山下を始末する指示を受けて再び姿を現す。仲間と協力して光我をナイフで刺して重傷を負わせてから、逃げた山下を追跡したが、駆けつけてきた王馬と雷庵によって妨害され、「外し」た雷庵の「獅子咬」で首の骨を外されて死亡する。
本物は菅原より少し弱いが、2人で連携すれば中級闘技者ぐらいまでなら押さえ込める実力者だった[75]

その他拳願会員[編集]

鍋 美樹男(なべ みきお)
声 - 柳沢栄治[20]
牛民フードサービス社長。拳願会会員証を賭けた非公式仕合をして、会員証に釣られた者達を「鴨」と称して小銭稼ぎしていた。絶命トーナメントには興味がなく、マイペースに小銭稼ぎするつもりだったが、王馬により会員証を奪取されたため大損してしまう。
『ケンガンオメガ』で浅利がダークウェブで調べた拳願会所属企業に名前が載っているが、会員資格を取り戻しているか詳細は不明。
周防 みほの(すおう みほの)
周防製鉄(企業序列414位)社長。23歳。急死した父から社長の座を引き継ぐが、100年に一度の世界的金融危機の直撃を受け、業績を急降下させてしまう。起死回生のチャンスをつかむため拳願絶命トーナメントに送り込んだ闘技者も予選で理人に瞬殺されてしまい[注 18]50億円を無駄にし、本戦での勝敗の賭けでも負け続け、個人資産の差し押さえまであとわずかのまさに風前の灯といった状況だったが、山下商事に残った全財産を賭けたことで70億円の借金を完済できた。それからはツキが回ってきたようで、以降の賭けでは大きく黒字を出している。
トーナメント後は、2年間で山下に「名の通った企業の代表」と認められるほどに成長している。
なお、現在のアニメ版では登場していない。
谷石 団悟(たにいし だんご)
谷石製菓(株)の社長。ゼネラル食品との仕合では黒狼を擁して臨むも、急遽代役となった龍鬼を王馬と勘違いして黒狼に初手から全力で当たるよう助言した。
瀬根 螺留丸(せね らるまる)
ゼネラル食品の社長。
価格相場5000万円前後の地方の食品加工工場の買収権を賭けた谷石製菓との仕合で、報酬や敗北時の損失補填を山下商事がしてくれるという条件を飲み、闘技者を二徳から龍鬼へ変更することを了承した。

煉獄[編集]

豊田 出光(とよだ いでみつ)
「煉獄」の主催者である資産家。49歳。戦後の土地売買で財をなした広域暴力団「豊田會」設立者の孫で、18歳で父の遺産と地位を全て放棄し裸一貫からスタートすると、わずか20年で拳願会総資産額上回る個人資産を手にし、その気になれば国を持つことのできるほどの財力をたった1人で保有する生ける伝説で、「職業:日本一の資産家」と称される。
決まった住居を持たず、常に世界中を転々としている。在庫を抱える必要がなく、身一つで便利な「情報」を商品として扱い、大金を積んでも自分と話したい、お近づきになりたいと思わせるように仕向け、会費10万円設定の講演会1時間で2万人を集め、参加費が億単位の食事会は5年先まで予約が埋まっている。
「ダンベル何キロ持てる?」に登場する豊田忠勝の末裔で、彼が味方の裏切りで死んだことから、裏切りを警戒して誰も信用していない。
その思考は欲望に忠実な子供そのもので、食べたいものを食べるためにヘリで食材をデリバリーさせて現地で出来立てを作らせ、欲しいものを手に入れる過程で戦争や盗難で行方不明になったはずの美術品を大量に収集し、自分用の水族館を作ってしまうなど、どんな欲求でも実現する力を持っている。裏工作や奸計を巡らせることは好まず、攻める時は常に直球。
ヘビー級格闘家に匹敵する巨体を持つが、実力的にはトップクラスにはおよばないことを自分でも認識しており、拳願仕合なら下位闘技者と勝ったり負けたり位だとされる[76]
宇宙開発にも出資しており、直近の目標である5年以内の月旅行を前に「地球を征服する」べく、手始めに拳願会を手中に収めて日本経済を完全に掌握しようとしている。金に糸目をつけず、優秀な格闘家を次々にスカウトしており、中小裏格闘技団体の主力選手を引き抜いて興行をできなくさせるだけでなく、拳願会からも闘技者を移籍させている。「煉獄」と「拳願会」の合併でアジア最大の裏格闘技団体を設立するため、1年後に双方13名の代表選手による対抗戦でどちらが吸収されるかを決めようと提案する。
敵情視察を兼ねて、隼を伴い龍鬼vs百合川、徳尾vs幽崎(偽)の仕合を観戦する。幽崎(偽)が殺害された際、最も怪しいはずの自分を疑わなかった一夫を「人をよく『見て』いる」優秀な男だと認め、友人として別人が幽崎に成り代わっていた可能性を伝えた。
渋谷 玲(しぶや れい)
出光の側近。

対抗戦出場メンバー[編集]

カーロス・メデル
黄金帝』の異名を持つ煉獄の闘士。43歳。かつて5階級制覇を達成したボクシング界の生ける伝説にして、現在でも格闘技に関わる人間なら知らない者はほぼいないというほどの著名人。母国メキシコでは神のような存在であり、『アカプルコの伊達男』の異名でも知られる。ホセとは出身や誕生日が同じなことから友人[77]
14年前にミドル級平均を下回る小兵でありながらボクシング主要4団体でミドル級4冠を達成し、その後はひとつづつ階級を上げ、スーパーミドル級ライトへヴィー級クルーザー級、ヘヴィー級まで制覇するという偉業を成し遂げる。「環境」にさえ恵まれれば史上初のへヴィー級4冠王になれたはずだったが、プロボクサーとして強過ぎたことが原因で、ヘヴィー級王者の一角を倒してからは他団体のチャンプ達からさえも試合を敬遠されるようになり、加えて所属ジムが契約していた悪徳プロモーターのせいで次の試合が一向に決まらず、プロレスへの転向や日本格闘技界への移籍などが囁かれながらも実現には至らないまま、遂にはガオランがボクシングに転向するより以前に一線から退き、無念のまま表格闘技界から姿を消す。そして南米屈指の激戦区であるブラジル裏格闘技界に身を投じた後、日本の煉獄へ移籍した。
ボクシングスタイルは典型的なファイタータイプ。現役時代は階級を上げるごとに肉体を一から作り直すのが特徴で、現在は限界まで体を絞ってバンタム級程度の痩身となっており、40キロ超の重りとなって力を削いでいた骨格に不釣り合いな筋肉を落として極限まで軽量化したことで、攻撃力と防御力こそ低下したものの、ヘヴィー級時代のトップスピードを上回る機動力を獲得している。メデルの仕合を見た加納からは「40キロ超の重りを身につけた状態でボクシングヘヴィー級の頂きを獲った」と言われている。最小限の力で加納や黒木と同じく「気の起こり」を読んで攻撃前に回避する域に到達しており、ガオランの「フラッシュ」でも捉えることは困難。さらに裏の異種格闘技戦を行うにあたってヘヴィー級ボクシングではいずれ敗北すると考えたため、減量で過剰な体重を落とすだけでなく、新しい技術を欲して、小兵の自身に最も必要な「距離」を稼ぐために「蹴り」が中心のカポエイラを習得し、さらに東洋武術の地功拳の要素をも融合させたことで、カポエイラとは全くの別物の武術となっており、「打」の完成形と呼ぶべき独自の武術を編み出した。極限まで絞った身体とカポエイラは好相性で、40キロ近く体重差のあるガオランの前腕骨にヒビを入れるほどの破壊力を秘めた蹴りを放てる。ボクシングも裏格闘技もガオランより経歴が長く、老獪な闘い方も心得ている[77]
対抗戦では第1試合に出場し、ガオランと戦う。表面上はヘヴィー級4冠を成し遂げたガオランとの戦いを喜ぶが、「表」の世界で大成した彼が自分の居場所である「裏」に土足で踏み込んだことに憤りを覚えていた。自分の体重差40キロ弱、プロボクシング換算で12階級も上のガオランを相手に、序盤は機動力で翻弄、動きの規則性を捕捉され殴り合いで追い詰められてからはカポエイラの足技を繰り出して流れを握り続ける。だが、部位鍛錬を経たガオランの神拳を蹴り砕くことができず、渾身のボディーブローでダウンを奪われ、裏格闘家としての意地で即座に立ち上がったものの軽くないダメージを負う。以降は自分のペースを崩されてムエタイの足技を解禁した彼に追い詰められていくが、「例え倒されても勝つ」ために、相手をリング際まで誘導、顔面への「神の御光」で意識を絶たれながらも執念で体を引っ掛けたまま一緒に場外に転落、一瞬先に地に腕をつかせることに成功し、勝負で負けたが試合には勝利した。
仕合後にはガオランを倒せなかったことで「繋ぎ」に無駄があることが分かったため、カポエイラを一旦封印し、多少スピードを犠牲にしても打撃力を上げるべく、ひとまずフェザー級まで増量しパンチ力を補う方針を固める。第9試合が没収されると、ロロンがやり過ぎないよう理人と共に医務室からリングへ駆けつけ、暴れ続ける阿古谷をジャブで気絶させて拘束する。
使用武術・ボクシング、カポエイラ
隼(はやぶさ)
煉獄のA級闘士。通称『羅亡(ラボウ)』。29歳。忍者マニアであり、時代劇のような古めかしい口調で話す。一人称は拙者で返事は「忍」。
本名アルバート・リーシンガポール出身で、貿易業を営む資産家家庭5人兄姉の三男。大好物はシンガポールチキンライス。元マジシャンという変わった経歴を持ち、幼少期に一時期だけ太極拳を学んでいたが、中学入学前に辞めている。
元々はマジシャン一本では食っていけないので、副業として様々な事情によって「殺せない標的」に死以上の苦痛を与える“壊し屋”をしていたが、裏格闘家に転身。煉獄に移籍する前は中国の裏格闘技団体「英雄故事」のミドル級チャンピオンで、当時は相手を躊躇なく破壊する残虐さから『破壊王』の異名で呼ばれていた。
合理主義者であり、マジシャンになったのはどんなマジックもロジカルなトリックの上に成り立っているため好きだという理由から。噂を聞き付けた裏格闘技団体「英雄故事」からスカウトされ、一試合のギャラが壊し屋の3倍以上で、なおかつ体重制を導入していて他団体より安全に稼げるため、これを引き受け、ミドル級のチャンピオンまで登り詰めた。だが、ミドル級チャンピオンになったある日、時間潰しを目的に偶然見た忍者映画にハマって忍術に傾倒、我流で忍術を習得しようと試行錯誤していた時に豊田からスカウトを受け、日本の煉獄へ移籍することを決めた。ちなみに、日本にまだ忍者がいると信じていて、目下の目標は口寄せの術を体得すること[78]
壊し屋時代に一度組んでマレーシアで仕事を受けたことがあるムテバによると、その当時で彼が知る壊し屋の中でもベスト3に入る腕前だったという。体重差20キログラム以上の理人を相手に、蹴りはガードしなければ顎を叩き割られるほど、肘打ちは全力で力んで脳震盪を最小限にしたにもかかわらずしばらくダメージが抜けなかったほどの破壊力を持つ。さらに特有の部位鍛錬により、手足の爪は猛禽類鉤爪のように鋭利に変形している。ただ、鋭いといっても体の表面に刺さる程度で、威力は魔槍とは比べるまでもなく、喉のような急所に当たっても体格差がある相手を一撃では倒せない。
拳願会との対抗戦に自ら出場を志願し、豊田の意向で選手に決定する。第2試合で相対したいと願っていた忍者マスターである「魔槍」こと黒木の弟子となった理人と戦う。理人のことは黒木と戦う前の踏み台に過ぎないと見做しており、洞察力こそ想定以上だったものの、得意の忍法を駆使して一方的に攻め立てる。だが、師匠のように格好良く勝つことを諦めた彼の誘導に乗ってしまい、カウンターのレイザーズ・エッジを受けて左大胸筋を断裂し大量に出血。長期戦は不利と判断して、最終手段の薬効狙いの蹴りを中心に戦術を組み替えて一進一退の攻防を繰り広げ、毒が回ったところで膝を蹴って転ばせ、裸締めによって締め落とし辛勝する。試合後、理人の合理では割り切れぬ底知れなさを見て次に戦えば勝てないと確信し、己の「殻」を破るために重傷を押して死んだとしても本望だと黒木に立会を申し込むも、殺されることなく一撃で倒された。その後は治療を受けており、いつのまにか黒木を忍者マスターであり自分の師としており、毒は卑怯だと言う理人に煉獄ルールでは反則でないと反論した。阿古屋とニコラの暴走時には、メデルと理人に比べて重傷であったために止めには行かなかった。
異名の“羅亡”と隼は、鳥取県にある会社名の捩り[78]
使用武術・隼式忍法
あらゆる創作物の忍者マスターの系譜を継ぐと自称する隼が作った忍法。
主な技
スクラッチ・オブ・デス
部位鍛練で得た鋭い手の爪で繰り出す斬撃。その切れ味はテニスボールミカンのように抉る。
忍法ミスディレクション
スクラッチ・オブ・デスのパフォーマンスを組み合わせて「指」と「」を印象に残し、「手」と「足」のどちらがくるか相手を疑心暗鬼に陥らせたところで、「手」をフェイントにして「足」で攻撃する。
忍法肩透かし
攻撃のタイミングをずらして、相手の「虚」をつく、「偽身」の簡易版といえる技。洞察力の優れた実力者ほどはまりやすく、ミスディレクションも複合して使えば尚更効果的。
猛襲態(モウシュウタイ)
空手の熊手のように第一関節を曲げた両手を大きく振り下ろし、鋭い爪で相手を切り裂く技。途中で動きを切り替えて高速の掌底打ちに移行することも可能。
蓮華王
忍法ミスディレクションと忍法肩透かしの併せ技から繰り出す連打。一撃ごとに拳の握りを変える。
象眼突き
合掌状態で放つ諸手突き。相手の正中を狙い爪で突き刺す。
梟爪脚(キョウソウキャク)
敵を踏み台にして連続蹴りを繰り出し、対空し続けながら攻撃する技。人間は上からの攻撃に無防備なので、対処が難しい。六真会館の青館長が編み出したオリジナル技「四聖獣・朱雀ノ型」[79]によく似ている。
毒持ツ復讐者(トキシックアベンジャー)
毒物を満たした壺に拳足を漬け込み「毒を帯びた手(足)」を完成させるという、中国拳法に伝わる鍛錬「薬効」(日本でいう奇拳「毒手」)を用いた蹴り。薬効を施したのは両足の親指だけで、毒の威力は極めて弱く、皮膚接触では無毒で、何度も血中に打ち込まれて初めて僅かに効果を発揮する程度。体重100kgを超える理人に対しては、序盤から何度も蹴りを当て続けた上で梟爪脚の連打を加えてようやく効いたほどだが、これが逆に身体が重くなった理由を分かりにくくしている。忍法ミスディレクション、忍法肩透かしが破られた場合の最終手段。
雀刺し
相手の背後を取って首筋にオーバーヘッドキックを放つ技。完璧に決まれば並みの相手なら動けないほどのダメージを受け、仮に倒せずとも突き刺さった爪からさらに毒が回る。
トア・ムドー
煉獄の闘士で、対抗戦メンバーのひとり。通称『破壊獣』。45歳。パイナップルヘアと入れ墨が特徴の巨漢。特徴的な髪型は、専属の美容師にセットしてもらっている[80]
ニュージーランド出身で、マオリ族伝説の勇者であるジョナ・ムドーの血を受け継ぐ男。東洋武術に似た思想を持つ求道者であり、自身が最強であることを天上まで知らしめるために戦っている。大戦士ジョナの末裔であることやムドーの名には興味がなく、むしろマオリの守護神とされる祖先を「過去の亡霊」として超えることを目的としている。そのために兄の反対を無視して中国裏格闘技界に身を投じて「英雄故事」の無差別級チャンピオンとなり、後に隼と同時に引き抜きを受けて「煉獄」へ移籍した。
ユリウスよりわずかに大柄な超重量級格闘家で、「煉獄の筋肉番長」「ニュージーランドの筋肉国宝」とも呼ばれる。フィヨルドランド国立公園を生身で削る身体能力の持ち主であり、パワーはユリウスに引けを取らない[80]。一族に伝わる二虎流に似た技術に関しても一流の使い手。
第3試合に煉獄側の代表として出場し、自身と互角の重量級戦士であるユリウスと戦う。力押ししかしてこないユリウスを戦士ではないとして、己が身につけた技術によって優位に立ち、「呼吸する山」の痛烈な一撃で一度はダウンを奪い、マウントを取って一方的に攻撃を加える。しかし、自分を吹き飛ばして「水」を破るために使ったのが筋肉操作の力技だと分かったために、小技と侮って「受け」を選択するという愚を犯し、上段からの振り下ろしに「呼吸する山」で合わせようとした両手を弾き飛ばされ、脳天に渾身の一撃を食らって地面へ叩き伏せられノックアウト。煉獄側の初黒星となり、叩きつけられた床が割れるほどのフィニッシュブローのダメージで起き上がることができず、倒れたまま搬出される。
モデルはオールブラックスの伝説的WTBジョナ・ロムー[80]
使用武術
ムドー家に伝わる、受けと交差法(カウンター)を極意とする伝統武術。二虎流に似た要素を多く持つがあくまで別物であり、「蟲」とも無関係とされる。
主な技
水(ワイ)
全身を弛緩させ衝撃を散らす技。二虎流・水天ノ型によく似ており、ユリウスのボディーブローを不自然なほどに胴体へめり込ませ、ダメージを散らし無効化した。
風(ハウ)
攻撃の方向を曲げ受け流す技。二虎流・操流ノ型によく似ており、ユリウスのラッシュによるダメージを完璧に捌き切った。
呼吸する山(マウンガナマフ)
ムドー家秘奥義。水と風の複合で、受けた攻撃に己の力を加え、相手へと返す技。ユリウスのパンチに対して体を回転させ右裏拳を放った際には、彼から8カウントを奪うほどの強烈なカウンターとなった。
弓ヶ浜 ヒカル(ゆみがはま ヒカル)
煉獄のA級闘士。「元」六代目滅堂の牙』であり、『裏切りの牙』の異名を持つ。23歳。
かつては大日本銀行に所属する若手の護衛者であり、アギトの引退後に平の隊員から一気に抜擢され“滅堂の牙”となり、先代に劣らない実力と目されていた。だが、『滅堂の牙』になる前から煉獄に内通し、『滅堂の牙』への就任も最初から名前を利用するだけのつもりで、間も無く滅堂を裏切って、よりファイトマネーが高額な煉獄に移籍する。出奔する際に三朝の元部下だった5番隊の安長を殺害している。なお本人は移籍するまで騙しきれていたと思っているが、実際には滅堂、王森、鷹山らは裏切りを勘付いた上で、反骨心のある若者が好きな滅堂の意向で見逃されていただけであり、将来裏切る者を『滅堂の牙』に任命するべきではないという忠告を押し切って滅堂が指名した。
山田浅右衛門と同じく武身一体となった「武器人間」であり、「武芸百般」を自称し様々な武器術を素手に応用した独自の拳法を操る。大柄な体格に見合うだけのパワーを有し、長身のわりに敏捷。高名な武芸者に取り入っては奥義を盗んで我が物にすることから、『コレクター』の通称でも呼ばれている。牙に上り詰めただけあって煉獄基準でもトップクラスの実力者ではあるが、勝敗数からも分かる通り頂点に立っているわけではない。歴代滅堂の牙の中では間違いなく最弱で、選出理由は成長性と野心だったが、煉獄に移籍した時点で慢心して成長は止まっていた[81]。複数の流派を習得しているものの、技術どうしの連携や応用は不得意としておりロロンからは節操なく技術を取り込み過ぎたと酷評されている。
裏切りの件以外でも、ホセとの喧嘩を仲裁した光我を出光が直々に招待した来賓であるにもかかわらず暴行するなど、品性に問題を抱えているので、ホセには「糞」呼ばわりされ、カーロスやロロンからも嫌われている。自らを「搾取する側」と捉え、他人を全て「踏み台」「ゴミ」と見ている。
拳願会との対抗戦では煉獄側の代表選手として参加が決まっていたが、対抗戦3ヶ月前にホセと試合を行い、終始一方的に試合を運び勝利したものの、反撃で右腕の骨を折られて全治2ヶ月の重傷を負う。その後、負傷を完治させて臨んだ対抗戦では、『滅堂の牙』であるアギトや三朝との直接対決を避けて相手の思惑を潰そうとしていたが、後輩の三朝から「雑魚」と挑発されて第4試合に出場。最初から「踏み台」である三朝とはまともに戦うつもりはなく、体格差を活かして相手を場外へ強引に押し出そうとする。しかし序盤に勝負を決めなかったことが仇となり、次第に狭まるリングが心理的な壁となって動きを制限されていき、リーチを活かせず肘技を中心とする連打で急所を滅多打ちにされる。「決めに来る瞬間」を狙って組み技で逆転を狙ったが、それすらも三朝に読まれており、顎関節脱臼、頸椎への肘下ろしという大ダメージで足が止まり、そのまま肘打ち上げからの鉄拳を受けノックアウト、顔面が陥没して瀕死になったため即座にレフェリーから試合続行不可能を判定され敗北した。
使用武術
上条流槍術(かみじょうりゅうそうじゅつ)
槍術を素手に応用した型。両手でを構えた姿勢から左手で突くのが基本であるが、手首の返しで直線だけではなく打撃の方向を自在に変えられる。
黒鬼二刀流(コクキニトウリュウ)
二刀流を素手に応用した型。両の拳を二振りのの握りに見立てており、刀を振る動作で相手を殴打する。
裂森流居合術(サキモリリュウイアイジュツ)
居合術を素手に応用した型。右手を刀に見立て、腰だめの姿勢から抜刀の動作で手刀を繰り出し相手を斬りつける。前転で間合いを詰め連続で手刀打ちを繰り出すこともできるが、初撃が最も効果的であり2発目以降は決定力が薄れる。
破魔流拳法(ハマリュウケンポウ)
多彩な蹴り技を主体とする真っ当な拳法。遠距離での攻防に適しており、相手を懐に入れたくない時に使う。
主な技
田楽刺し(でんがくざし)
上条流槍術の技。両手でを構えた姿勢から左親指の第一関節で突きを放つ。
脛打ち
黒鬼二刀流の技。低い姿勢から脛を狙って拳を振るう、初見殺しの攻撃。
ナイダン・ムンフバト
対抗戦メンバーのひとり。通称『オルドスの鷹』。26歳。
1年前から煉獄に潜入している「蟲」の一員。「頭領」直属の兵隊であり、右前腕部にムカデの白タトゥーを入れているが、夏らと異なり普段は見えないが力むことで浮き出てくる仕様になっている。これまで格闘団体に潜入していた「なりすまし」ではなく、ナイダン・ムンフバト本人である。
孤児として生き、15歳の時に自らの希望で蟲に加入、モンゴル相撲の達人であったジャダンバの元で修行を積む。3年間の「基礎鍛錬」をただ1人突破し、6年後、「力」と「天空の眼」を会得。最後の試練で実力を示して正規兵の座を勝ち取るためにジャダンバと立ち会いをするが用済みになった彼を殺害、頭領直属兵へと昇進した。同じA級闘士であった劉とは特に親しい友だった。
使用武術はモンゴル相撲。「天空の眼」で見極め「力」で倒すのが基本戦術。組技専門格闘士特有の「粘りつくような筋力」と独特の「響く打撃」が持ち味。王馬も舞台に上がった姿を見ただけでかなり強いと判断し、力で勝てるのは拳願会側の代表者の中ならユリウス、若槻、雷庵の3人だけとされる。打たれ強さも並ではなく、ボディに膝蹴りやラッシュを受けてもビクともしない。動きは機械のように正確無比で、一切の無駄も隙もない。
対抗戦では第5試合に出場し、龍鬼と戦うために自ら「蟲」であることを明かす。自分を殺さずに勝負をつけようとして動きが直線的になった龍鬼を圧倒し、鵡角の教えに反して「蟲」の殺害を思い留まる彼の矛盾を指摘する。龍鬼が本気を出せないのは「環境」のせいだと考え、「原因」である山下や光我を始末しようと考えるが、それが龍鬼の逆鱗に触れ「天空の目」の予測を超える猛攻を受ける。ルールを無視してどちらかが死ぬまで戦おうとし、自分に倒されるようなら「オメガ」ではないと、マウントを取って首を絞めて殺そうとするが、追い詰められた龍鬼の反撃で頸動脈を打ち抜かれて致命傷を負い、さらに任務の仕上げとして「力」で龍鬼の手を深く押し込み自分自身に止めを刺す。「未来が繋がった」と龍鬼を祝福して「繋がる者」として自分達を導くよう頼み、試合場に上がってきた劉にニコラに気をつけるよう忠告した後、出血多量により絶命した。
使用武術・モンゴル相撲
ナイダンが使用するのは内モンゴル自治区で主な流派で、着用する民族衣装もそれに準拠している。腰から下への攻撃を禁止しているレスリングのグレコローマンスタイルにルールが近いため、構えの腰の位置が高いのも特徴。
主な技
力(フチ)
自分の方から力をかけて相手のバランスを崩し力を分散させる技。王馬の「操流ノ型」やムドーの「風」のように力をずらして威力を流すのではない、言うならば「剛の操流」。組みの極意である「不動」と同義であり、組みついた相手の抵抗を封じたまま投げに移行する。鎖で腕に繋いだ馬4頭を倒すことなく綱引きし続ける修行を経て完成し、完璧なタイミングがわかれば鎖の繋がった腕を翻すだけで馬を軽々転倒させれる。使いこなすには「天空の眼」を開かなければならない。
天空の眼(てんくうのめ)
「俯瞰の視点」を自由自在に発動する技。超一流のアスリートだけが到達できるという、所謂「ゾーンに入った」状態を指す。「力」の使用には不可欠。相手が自分より速くても完璧に動きを見切り、背後からの攻撃に対しても反撃することが可能となるが、あくまで経験則から相手の動きを予測しているに過ぎないので、予測を上回る動きをされると捉えられない。
呂 天(ルゥー ティエン)
煉獄A級闘士。通称『三鬼拳「百足」』。
香港出身で、地元では知らぬ者がいないほどの拳法家。三鬼拳随一の実力者と言われており、傲岸不遜な雷庵が強さを認めるほどで、挑発で放たれた彼の拳を軽々止めている。
その正体は桐生を鍛えた「もう1人の十鬼蛇二虎」による「蠱毒房」を生き抜いて正式な弟子となった「蟲」の上級戦闘員であり、タトゥーは舌に入れている。ナイダン同様「なりすまし」ではなく、本人のままで煉獄の闘士として溶け込んでいた。
二虎流を切り捨て全てのリソースを「無形」に費やした「第二世代」。表向きの流派は五王拳だが、真の戦闘スタイルは二虎から受け継いだ「無形」であり、「無形」と「武」のどちらも不完全だった加納に対し、「無形」の技術のみを極めている。さらに、二虎流が「手詰まり」だと考えた二虎の意向で、エドワードから呉氏の「鬼魂」を伝授されている。
かなり初期の段階で煉獄代表として対抗戦への出場が内定していた。対抗戦本番では第6試合に出場し、蠱毒房に入る時に付けられた腕輪を見せることで加納を挑発して舞台に立たせる。序盤は五王拳を使うが加納の「無形」で攻撃を潰され、「他人の技」を使っていることを見抜かれたため、自らも「無形」を解禁。5分間の攻防の末に加納を上回り、「武」をも解放した彼を投げ飛ばしストンピングの連打で追い詰めたかに見えたが、「獣心」を克服し「武」と「無形」の完全な融合に成功した彼に圧倒される。切り札の「鬼魂」を使用しユリウス並みのパワーとスピードを発揮したものの、龍弾で顎を打ち抜かれてダウン、敗北した。
使用武術
五王拳(ごおうけん)
表向きの戦闘スタイルである一撃必殺の殺人拳。強烈無比な一撃を放つには「溜め」がいるので、急戦で攻め立てる相手とは相性が悪い。
無形
本来の戦闘スタイル。正式な二虎の弟子として学んでいるため、「技の深度」において蠱毒から途中で出奔した加納を上回っている。
主な技
鬼魂(グイフン)
エドワードから伝授された呉氏の禁術で、呉一族の「外し」と同じ技。雷庵からは「不細工な外し」と酷評された。品種改良されていない者は負担に耐えられないはずだが、「万に一つ」の可能性を掴み、深刻な肉体の損傷を度外視することで使用可能になる。解放率は96%。
アラン・呉(アラン・ウー)
出光が外部から招いた対抗戦メンバー。第7試合に出場。
嵐山 十郎太(あらしやま じゅうろうた)
対抗戦メンバーのひとり。『柔王』の異名を持ち、ドネアに比肩する実力と言われていることから「双王」の一角と称される。
16歳の時に柔道日本選手権100kg超級で初優勝し、18歳で3連覇を成し遂げるも、強くなり過ぎて高みを目指す意義を見失い、如何なる大会にも出場しなくなる。しかし、「絶望」の最中にいた19歳のころ、ニュースで見た当時12歳の目黒正樹が自分を脅かす宿敵になると直感、それからは目黒と戦うことを目標とすることで活力を取り戻す。目黒を王座で待つことを決意して、20年前、弱冠20歳で柔道世界選手権100キロ超級を制した。同じ年、目黒が連続殺人犯となったと知ると、失踪した彼を追うように表舞台のみならず裏からも完全に姿を消し、以降15年間は世俗を捨てて修練に没頭し、山中へ籠りひたすらに自己を追求。15年目からは対人稽古を解禁して煉獄に参戦し、闘士達との実戦を重ねて己の柔を極限まで研ぎ澄ましてきた。そして2年前に目黒の死を知るが、試合で速水が見せる武才から「速水正樹は2年前に死んだはずの目黒正樹そのものである」と確信を抱く。
戦闘スタイルは柔道。なんでもありの場で柔道一本を貫いており、一切打撃技を使わないのが弱点であるが、愚直なまでに我を貫き柔道のみに全てを注いだ経験こそが最大の強みでもある。加納でも見たことがないほどの投げの使い手で、表舞台を去ってから20年に渡って投げ技を追求し、その弱点を克服した技「振り」を生み出している。重心の操り方が人間離れしており、二虎流で言う操流の技術に関しては王馬の遥か上を行っている。また、体格がほぼ同じ相手を足払いだけで吹っ飛ばすことができる。活動期間の短さ故、知名度は高くないが、20年前当時の実力でも現世界王者のテディが勝てる保証がないと言い、黒木と「同類」の猛者であり、現役時代より更なる高みに到達している。ただ、煉獄で戦うには強くなり過ぎていて、不殺に加えてダウン制により投げ技からの追撃を禁じられる煉獄ルールとは相性が良くないが、如何なる条件であろうと勝つことこそが真の勝者の証だという考えから、自分の強さがルールに左右されている時点で未熟だと感じている。
対抗戦では第8試合に出場し、速水と戦う。受け身がとれないほどの速度でリングに投げ飛ばし続けて圧倒したものの、殺人が反則負けとなる煉獄ルールでは異様にタフな速水は天敵と言えるほどに「相性」が悪く[注 19]、殺さずに勝つための決め手を欠き、攻めあぐねたところに肘打ちで右鎖骨を砕かれる。一転して不利になってもなお柔道に拘り続けたが、流石に左腕一本では速水を投げることはできず、逆に一本背負いで投げ飛ばされ、追撃で顔面に鉄槌の連打を受けてノックアウトされる。
対抗戦の後は拳願会に移籍する。当時は電撃的な移籍発表だったという。拳願仕合では15戦無敗。リアルチャンピオントーナメント出場権獲得をかけてアギトと対戦する。
使用武術・柔道
主な技
振り(ふり)
嵐山が20年かけて完成させた新たな「投」。理屈は二虎流の操流ノ型と同じで、衣服を二指で挟むだけ、指先をかけるだけ、極めつけは皮膚の摩擦だけで、相手を掴まず(組まず)無造作に刀を振るように投げる。投げ技の弱点である組み(掴み)と投げの間に生じる時間差が存在せず、「予備動作」がないので“拳眼”程の動体視力でも見切れないほどに技が速い。そのため、先に組み付かれたとしても相手が投げの動作に移る前に投げ飛ばすことが可能で、あまりの速度に柔道の大天才であっても受け身を取ることが難しい。あらゆる戦闘技術を模倣できる加納を以てしても、真似は不可能と即答する程。ただ、技が強力過ぎる上に威力の調整が打撃よりも難しいので、使い続ければ相手を殺しかねず、速水のように異様に打たれ強い相手を不殺で倒すには相性が悪い。拳願会に移籍してからは打撃を解禁。これまでの投げ一辺倒から重い打撃と振りを交ぜる連携攻撃に進化した。
ニコラ・レ・バンナ
煉獄A級闘士。通称『パリの死神』。甘いマスクを持つことから、煉獄屈指の人気闘士でもある。
元はフランス軍人で、存在も活動内容も最高機密で決して表沙汰にならない特殊部隊に所属していた。聡明で、目立つことが好きな性格をしていて、格闘能力は部隊随一、武器の扱いも右に出る者はいなかった。しかし6年前、ある国の紛争地帯に派遣された際、民間人の大量虐殺、および仲間の隊員全員の殺害を実行し、人の形をした遺体が一つも残らないほどの残虐行為をはたらいて、軍上層部と政府によって消される前に姿をくらまし、裏社会を隠れ蓑にするために来日、そして何故か潜伏するには目立ちすぎる裏格闘技界に身を置いた。戦争犯罪を認める事になるのでフランス政府は日本政府への引き渡し要求ができず、始末するために送り込まれる暗殺者も返り討ちにしている模様。
戦闘スタイルはフェンシングがベースの創作武術「殺破手」。両手を広げた長さが191センチメートルと、リーチが身長よりも10センチメートル近く長いので、フェンシングとの相性は良い。さらに、最高反射速度は人間の限界を超越し、阿古谷にも迫る0.078秒で、本気で先手を取りに行けば防げる者はほぼ皆無と言っていい。戦績の数字だけを見るとA級での戦績は4勝9敗であり参加メンバーの中で赫の次に弱く、過去にはB級に降格したこともあるほどで、対抗戦不参加のA級闘士の中にも成績ならニコラより優れた者が存在するのだが、殺すためにしか本気を出せないせいで殺しが厳禁の煉獄では結果が残せなく試合でのムラが激しいだけで、ハマった時は強く瞬発力ならA級上位陣に匹敵するという。
同じ煉獄側の闘士であっても本来は敵同士という考えから仲間意識はほとんどなく、チームもあくまで対抗戦限定というスタンスで、ナイダンのことも、嫌いではなかったが死んだ以上はもう関係ないと発言するなど、人間関係に対して非常にドライ。
ネルネール邸を訪れていた串田の記憶から、偶然にも従軍前に撮影した写真と現在の顔が違うことが発覚、裏格闘家のニコラはギロームの弟とよく似た別人であることが判明する。髪型や服装によって雰囲気が似ているとはいえ直接面識がない者でも見分けがつく程度でしかなく、「蟲」の「成りすまし」ほどの精度はない。
現在ニコラを名乗っているのは、彼と同じ部隊にいた親友のジャン・リュックという男。ニコラ以外の他の隊員と同様に身寄りがなく、配属された時点で個人情報は削除されている。軍でのキャリアを捨てて敢えて苦難の道を選び、自ら地獄行きを志願したニコラのことを真の勇者、自分の世界の主人公として崇拝していた。だが、ニコラが大量虐殺を行った日、戦いの末に主人公であったはずのニコラを殺してしまい、自分の世界の中心であったニコラが死ぬわけがないという思いから、「死んだニコラがジャンであり、生き残った自分こそがニコラである」と考え、以降はニコラとして生きるようになる。
かなり初期の段階から煉獄代表として対抗戦出場が内定していた。対抗戦では第9試合に出場し、阿古谷と戦う。自分より体格も反応速度も上の阿古谷と打ち合いになるも、「毒」の打撃によって戦闘の主導権を握り、心肺機能や両手を封じて優位に立った。右肩を食い千切られたことで本気を出して殺し合いになり、頭部を執拗に攻撃されるが、喉や足を攻撃して相手の動きを封じながらレフェリーを無視して猛攻を仕掛ける。レフェリーのコールでは試合を止められず、このままでは殺し合いになるという判断から強制的に試合終了となり、リングに上がったロロンによって引き剥がされ、それでも阿古谷を殺そうとしたためロロンに鳩尾を殴られて戦闘不能になり、対抗戦終了まで身柄を拘束される。
使用武術・殺破手(さはでぃ)
素手に応用したフェンシングをベースに、フランスの格闘技サファーデの動きをミックス、そして半年間の通信