コモン・クロール

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コモン・クロール
企業形態 非営利
創業者 ジル・エルバズ英語版
主要人物 ピーター・ノーウィグノヴァ・スピバック英語版カール・マラマッド英語版カール・ボラッカー英語版伊藤穰一
ウェブサイト commoncrawl.org
対応言語 英語

コモン・クロール英語: Common Crawl)は、非営利団体501(c)団体の一つで、クローラ事業を行い、そのアーカイブデータセットを自由提供している[1][2]。コモン・クロールのウェブアーカイブは主に、2011年以降に収集された数PBのデータで構成されている[3]。通常、毎月クロールを行っている[4]

コモン・クロールはジル・エルバズ英語版によって設立された[5]。顧問には、ピーター・ノーヴィグ伊藤穰一が含まれる[6]。クロールする上では、Nofollowおよびrobots.txtポリシーを尊重する。データセットを処理するためのソースコードも公開されている。

データセットには著作権で保護された作品が含まれており、それらはフェアユースに基づいたうえでアメリカ合衆国から提供されている。他国の研究者は、文章をシャッフルしたり、共通のデータセットを参照したりするなどして、他国の著作権法を回避している[7]

歴史[編集]

2012年、Amazon Web Servicesによってクロールを開始[8]

同年7月に、メタデータファイルとクローラーのテキスト出力を.arc英語版ファイルでリリースした[9]。そのため、以前は.arcのファイルしか含まれていなかった[9]

2012年12月、blekko英語版は2012年2月から10月までに実施したクロールでのメタデータをコモン・クロールの検索エンジンに寄付した[10]。寄付されたデータは、「スパム、ポルノ、過度すぎる検索エンジン最適化の影響を回避しながらクロールを改善する」のに役立つ結果になった[10]

2013年、カスタムクローラーの代わりにApacheソフトウェア財団Nutch英語版クローラーの使用を開始[11]。2013年11月のクロールから、従来の.arcファイルの使用からWeb ARChive英語版形式に切り替えられた[12]

コモン・クロールのフィルタリングバージョンは、2020年に発表されたOpenAIGPT-3の学習モデルに使用された[13]

データを使用する際の課題の1つは、膨大な量のウェブデータがあるにもかかわらず、その一部のみがより良く文書化してしまうことである。これにより、コモン・クロールのデータを使用するプロジェクトの問題を診断しようとすると、課題が発生する可能性がある。解決策としては、すべてのデータセットに、その動機、構成、収集プロセス、および推奨される用途を文書化したデータシートを添付することである[14]

ノーヴィグ・ウェブデータサイエンス賞[編集]

SURFnet英語版との協力で、コモン・クロールはノーヴィグ・ウェブデータサイエンス賞を後援している。これはベネルクスの学生、研究者に開かれたコンテストである[15][16]

脚注[編集]

  1. ^ Rosanna Xia (2012年2月5日). “Tech entrepreneur Gil Elbaz made it big in L.A.”. Los Angeles Times. http://articles.latimes.com/2012/feb/05/business/la-fi-himi-elbaz-20120205 2014年7月31日閲覧。 
  2. ^ “Gil Elbaz and Common Crawl”. NBC News. (2013年4月4日). http://www.pressheretv.com/gil-elbaz-and-common-crawl/ 2014年7月31日閲覧。 
  3. ^ So you're ready to get started”. 2018年6月2日閲覧。
  4. ^ Lisa Green (2014年1月8日). “Winter 2013 Crawl Data Now Available”. https://commoncrawl.org/2014/01/winter-2013-crawl-data-now-available/ 2018年6月2日閲覧。 
  5. ^ “Startups - Gil Elbaz and Nova Spivack of Common Crawl - TWiST #222”. This Week In Startups. (2012年1月10日) 
  6. ^ Tom Simonite (2013年1月23日). “A Free Database of the Entire Web May Spawn the Next Google”. MIT Technology Review. https://www.technologyreview.com/2013/01/23/253951/a-free-database-of-the-entire-web-may-spawn-the-next-google/ 2014年7月31日閲覧。 
  7. ^ Schäfer, Roland. “CommonCOW: Massively Huge Web Corpora from CommonCrawl Data and a Method to Distribute them Freely under Restrictive EU Copyright Laws”. Proceedings of the Tenth International Conference on Language Resources and Evaluation (LREC'16) (Portorož, Slovenia: European Language Resources Association (ELRA)): 4501. https://aclanthology.org/L16-1712. 
  8. ^ Jennifer Zaino (2012年3月13日). “Common Crawl To Add New Data In Amazon Web Services Bucket”. Semantic Web. オリジナルの2014年7月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140701235708/http://semanticweb.com/common-crawl-to-add-new-data-in-amazon-web-services-bucket_b27341 2014年7月31日閲覧。 
  9. ^ a b Jennifer Zaino (2012年7月16日). “Common Crawl Corpus Update Makes Web Crawl Data More Efficient, Approachable For Users To Explore”. Semantic Web. オリジナルの2014年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140812101154/http://semanticweb.com/common-crawl-corpus-update-makes-web-crawl-data-more-efficient-approachable-for-users-to-explore_b30771 2014年7月31日閲覧。 
  10. ^ a b Jennifer Zaino (2012年12月18日). “Blekko Data Donation Is A Big Benefit To Common Crawl”. Semantic Web. オリジナルの2014年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140812101151/http://semanticweb.com/blekko-data-donation-is-a-big-benefit-to-common-crawl_b34177 2014年7月31日閲覧。 
  11. ^ Jordan Mendelson (2014年2月20日). “Common Crawl's Move to Nutch”. Common Crawl. 2014年7月31日閲覧。
  12. ^ Jordan Mendelson (2013年11月27日). “New Crawl Data Available!”. Common Crawl. 2014年7月31日閲覧。
  13. ^ Brown, Tom; Mann, Benjamin (1 June 2020). "Language Models are Few-Shot Learners". arXiv:2005.14165 [cs.CL]。
  14. ^ Gebru, Timnit; Morgenstern, Jamie (19 March 2020). "Datasheets for Datasets". arXiv:1803.09010 [cs.DB]。
  15. ^ Lisa Green (2012年11月15日). “The Norvig Web Data Science Award”. Common Crawl. 2014年7月31日閲覧。
  16. ^ Norvig Web Data Science Award 2014”. Dutch Techcentre for Life Sciences. 2014年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月31日閲覧。

外部リンク[編集]