コンピュータ
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テレコンピュータ(英: telecomputer)、あるいは単に、コンピュータ(英: computer)とは、広義には、計算やデータ処理を自動的に行う装置全般のことであり[1]、現在では[注釈 1]とくに断らないかぎりエレクトロニクス技術を用いた電子コンピュータ(英: electronic computer、漢字表記では電子計算機)を指している[1]。テレピュータ(英: teleputer)やピュータ(英: puter)とも呼ぶ[1]。
コンピュータという言葉は元々は計算をする人間の作業者のことを指す言葉であったが、今では計算を行う装置あるいはシステムを指すものに変わった。 歴史的には、機械式のアナログやデジタルの計算機、電気回路によるアナログ計算機、リレー回路によるデジタル計算機、真空管回路によるデジタル計算機、半導体回路によるデジタル計算機などがある。 かつては(1970年代や1980年代ころまでは)コンピュータといえばアナログコンピューターも含めたものであった[1]が、1990年代や2000年ころには一般には、主に電子回路による、デジタル方式でなおかつプログラム内蔵方式のコンピュータを指す状況になっていた。演算(広義の演算)を高速・大量に行えるのでその用途は多様であり、現在、数値計算、情報処理、データ処理、制御、シミュレーション、文書作成、動画編集、ゲーム、バーチャル・リアリティ、画像・映像の認識(computer vision)、人工知能などさまざまな用途に用いられている。さらに近年では、大学の研究室や先端的な企業の研究所などでは量子回路(電子回路とは異なるもの)を用いた量子コンピュータについても研究・開発が為されてきており、すでに実用段階に近づきつつある様相を見せている。
様々な種類があり、 メインフレーム、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ(マイクロコンピュータ)などの他、さまざまな機器(コピー機、券売機、洗濯機、炊飯器、自動車など)に内蔵された組み込みシステムやそれから派生したシングルボードコンピュータもある。2010年代には板状でタッチスクリーンで操作するタブレット(- 型コンピュータ)、板状で小型で電話・カメラ・GPS機能を搭載したスマートフォンも普及した。
世界に存在するコンピュータの台数は次のようになっている。
- 組み込みシステムは、2018年時点でおよそ100億台あると推計されている[2]。
- スマートフォンは、2018年時点で33億6千万台が稼働状態と推計されている[3]。
- サーバ・デスクトップPC・ノートPCは、2019年時点で20億台を超えると推計されている[4]。
コンピュータ同士を繋ぐネットワークは、1990年代に爆発的に普及して地球を覆うネットワークとなり、現在ではインターネットおよびそこに接続された膨大な数のコンピュータがITインフラとして様々なサービスを支えている。
表記・呼称[編集]
日本では「コンピュータ」や「コンピューター」という表記が多く使われている[注釈 2]。
日本の法律用語では刑法や著作権法等で「
中国(中国大陸・香港)や台湾などでもよく使われる電脳(日本語発音:でんのう)は、日本でも趣味的な分野で多用される。漢字2文字で書けて便利なため。人工頭脳(じんこうずのう)[6] や電子頭脳(でんしずのう)とも表現する。
初期には手動の機械式計算機などとの違いを強調し「自動」の語が入ることもあったが、近年はほぼ見なくなった(ENIACなどの「A」=Autoである)。
語源[編集]
英語の「computer」は算術演算を行う主体であるが、元々は主体として人間を指していた。この用法は今でも有効である。オックスフォード英語辞典第2版では、この語が主体として機械をも指すようになった最初の年を1286年と記している。同辞典では、1946年までに、「computer」の前に修飾語を付けることで異なる方式の計算機を区別するようになったとする。たとえば「analogue computer」「digital computer」「electronic computer」といった表現である。
計算手は、電子計算機と区別する場合はレトロニムで「human computer」とも呼ばれる。
概要[編集]
1940年代に最初の実用デジタルコンピュータが登場して以来、コンピュータの形態や性能は劇的に変化してきた。しかし現在のところ、基本的にはノイマン型の構成を受け継いでいる。
ハードウェア[編集]
記憶[編集]
記憶装置(メモリ)はアドレスを附与された領域の列で、各の領域には命令又はデータが格納される。
領域に格納された情報は書換可能か否か、揮発性(動力の供給を止めることで情報が失くなるという性質)を有つか否かは、記憶装置の実装方法に依存する。
記憶装置を実装する技術もまた時代と伴に大きく変化してきた。初期は電磁継電器(リレー)が、続いて水銀の入った管(水銀遅延線)や金属線を波(振動)が伝わる際の遅延時間を利用する部品が使われた。次にはフェライト製のトロイダルコア(磁気コアメモリ)や個別部品のトランジスタが使われた。そして、現在使われている方式の元祖と言える、集積回路による記憶装置は1960年代に開発され、1970年代にはコストパフォーマンスで凌駕し、それまでの主流だったコアメモリに替わり主流となった(インテルのDRAM、1103による(en:Intel 1103))。
また、補助的に用いられる、一般に大容量の補助記憶装置がある。例えば、SSDやHDDなどがそれである。
演算[編集]
演算装置は、加算・減算などの算術演算、AND・OR・NOTなどの論理演算、比較(2つの値が等しいかどうかなど)、ビットシフト等を行う装置である。
制御[編集]
制御装置は実行に必要な情報を記憶装置から読み出し、実行結果を記憶装置の中の正しい場所に収める。
入・出力[編集]
入出力(I/O。「アイオー」ともいう)は、「入力」(インプット input)と「出力」(アウトプット output)をひとまとまりに指すための総称である。入力のほうはコンピュータが外の世界からデータ類を得ることおよびその内容である。一方、出力のほうはコンピュータがデータ類を外に送り出すことおよびその内容である。
入出力インタフェース(I/Oインタフェース)は、コンピュータと周辺機器の間でやりとりを可能にするための仕組みであり、それが可能になるように仕様や規格が定められている[7]。
「入出力装置」も総称であり、(1)入力を得るためのもの(入力装置)(2)出力するためのもの(出力装置)(3)入力と出力を兼ね備えたもの(入出力装置) の3つに大別することができる。
1番目の入力装置としては例えば、PCのキーボード、マウス、スマホやタブレットの内蔵カメラやマイクロフォンなどがあり、他にもスキャナ、バーコードリーダーなどがある。
出力装置としては、PCのディスプレイ、スピーカー、プリンター、スマートフォンのバイブレーターなどがある。[注 1]
入力装置と出力装置を兼ね備えたものとしては、Wifiモジュール、無線LANモジュール、ネットワークカードなどが挙げられ、コンピュータがネットワークとの間でデータを送受信するために使われる。またスマホやタブレットのタッチスクリーンが挙げられ、これは入力装置と出力装置を合体させたものである[注釈 3]。 ゲーム機の振動機能付きのゲームコントローラーやPS VRのヘッドセット類も「入力と出力を兼ね備えたもの」という分類になる。[注 2]
アーキテクチャ[編集]
ソフトウェア[編集]
命令[編集]
コンピュータの中枢部であるCPUやMPUの命令は、二進コード、つまり「0」か「1」を並べたもの、で表現される。例えば、インテル系のマイクロプロセッサで使われるあるコピー命令のコードは10110000である。(以下便宜上、CPUやMPUを「CPU類」と呼ぶが)CPU類は限られた数の明確で単純な命令しか持っていない。機械語は人間の言語に比べるとずっと貧弱であり、かなり単純なことでしかできない。ただしその命令に曖昧さは全くない。多くのCPUで使われている命令の典型的な例は、「5番地のメモリの中身をコピーしてそのコピーを10番地に書け」とか「7番地の中身を13番地の中身に加算して結果を20番地に書け」とか「999番地の中身が0なら次の命令は30番地にある」といったものである。ある特定のCPUが実行できる特定の命令セットを機械語と呼ぶ。
実際には、人間が命令を機械語で直接書くことは通常はなく、かわりに高水準のプログラミング言語を使う。プログラミング言語で書いたコンピュータプログラムをコンパイラと呼ばれる特別なコンピュータプログラムによって一旦機械語に翻訳した後に、機械語で実行する。あるいはインタプリタによって自動的に機械語に翻訳しつつ実行する。プログラミング言語の中にはアセンブリ言語(低水準言語)のように、機械語に非常に近く、機械語と1対1で対応付けられる記述体型をもつものもある。逆に Python、Java、Prologのような高水準言語でプログラムを書く場合、CPUごとに異なる機械語をまったく意識する必要や知る必要がまったく無く、もちろん膨大な量の「0」と「1」の組み合わせの記述を書くというようなわずらわしいこともしなくて済み、かわりに人間が理解しやすい英単語と同様のあるいは英単語に似たキーワードおよび算数・数学などで慣れ親しんだ記号などを組み合わせてプログラムを書くことができる。
プログラム[編集]
コンピュータプログラムはコンピュータに実行させる命令を記述したものを意味する。ワープロソフトやOSなどの基本的なプログラムは莫大な量の命令からなる。汎用的な処理をプログラムごとに全て新たに書くのは効率が悪いため、例えば「画面に点を描く」「ファイルに保存する」「インターネットを通して他のコンピュータとデータを遣り取りする」のような定型的な処理はライブラリとしてまとめられる。
今日では、ほとんどのコンピュータは同時にいくつものプログラムを実行するように見える。これは通常、マルチタスクと呼ばれている。実際には、CPUはあるプログラムの命令を実行した後、短い時間の後でもう一つのプログラムに切り替えてその命令を実行している。この短い時間の区切りをタイムスライスと呼ぶ。これによって、複数のプログラムがCPU時間を共有して同時に実行されるように見える。これは動画が実は静止画のフレームの短い連続で作られているのと似ている。このタイムシェアリングは通常、オペレーティングシステムというプログラムで制御されている。
オペレーティングシステム[編集]
具体的に処理すべき作業の有無によらず、コンピュータに自らの演算資源を管理し「ユーザーの指示を待つ」という動作を取らせるためにさえ、ある種のプログラムを必要とする。典型的なコンピュータでは、このプログラムはオペレーティングシステム (OS) と呼ばれている。オペレーティングシステムをはじめとする、コンピュータを動作させるのに必要となるソフトウェアを全般に「システムソフトウェア」と呼ぶ。
コンピュータを動作するためオペレーティングシステムは、ユーザー、もしくは他のプログラムからの要求に応じてプログラム(この意味では、アプリケーションソフトウェアもしくは単にアプリケーションという用語も使用される。ソフトウェアという用語も似た意味合いだが、これはプログラム一般を指すより広い概念である)をメモリー上にロードし、プログラムからの要求に応じていつ、どのリソース(メモリやI/O)をそのプログラムに割り当てるかを決定する。
オペレーティングシステムはハードウェアを抽象化した層を提供し、他のプログラムがハードウェアにアクセスできるようにする。例えばデバイスドライバと呼ばれるコードがその例である。これによってプログラマは、コンピュータに接続された全ての電子装置について、その奥深い詳細を知る必要なくそれらの機械を使うプログラムを書くことができる。また、ライブラリと呼ばれる再利用可能な多くのプログラム群を備え、プログラマは自ら全てのプログラムを書くことなく、自らのプログラムに様々な機能を組み込むことができる。
- CUIとGUI
ハードウェアの抽象化層を持つ現在のオペレーティングシステムの多くは、何らかの標準化されたユーザインタフェースを兼ね備えている。かつてはキャラクタユーザインタフェース(CUI)のみが提供されていたが、1970年代にアラン・ケイらが Dynabook構想を提唱し、「暫定 Dynabook」と呼ばれる Altoと Smalltalkによるグラフィカルユーザインタフェース環境を実現した。なお、「暫定 Dynabook」は当時のゼロックスの首脳陣の判断により製品化されなかった(ゼロックスより発売されたグラフィカルユーザインタフェース搭載のシステム Xerox Starは「暫定 Dynabook」とは別系統のプロジェクトに由来する)が、この影響を受け開発されたApple Computer(現:Apple)の LISAや Macintosh、マイクロソフトの Windowsの発売、普及により、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が一般的にも普及することとなった。一方、UNIX系OSでも1980年代からX Window Systemが開発されグラフィカルユーザインタフェースが実現した。CUIとGUIはそれぞれ長所と短所があり、GUIは初心者に優しいので初心者向けにはもっぱらGUIを使う操作法が教えられ、上級者あたりになるとGUIとCUIを併用することになり、コンピュータ技術者やシステム運用エンジニアなどはしばしば主にCUIを使いGUIは補助的に使う。現在CUIを使う人はGUIとCUIを同時並行的に使用しGUIのマルチウィンドウのいくつかをCUI状態で使うといったことも一般的である。またLinuxなどではGUIモードとCUIモードを根本的に切り替えるということも可能である[8]。
- コンピュータのタイプごとのOS
世間に普及するコンピュータを台数を基準として見た場合、最も多いのは組み込みシステムであり、すなわちエアコンや炊飯器などの家電製品、乗用車、各種の測定機器、工作機械などに組み込まれた非常に小さく安価なコンピュータであり、組み込みシステムでは組み込みOSと呼ばれるOSを用いる。2019年時点でのシェアを見ると、東京大学の坂村健が開発し無料配布可能で機器開発者が改変することも許されているTRON系OSのシェアが世界第1位のおよそ60%であり、24年連続トップ[9]。TRON系のなかでもITRONが最も普及している[9]。TRON以外はPOSIX系つまりUNIX系、Linux類である[9]。たとえば米リナックスワークスのLynxOS、米ウィンドリバーのVxWorks、米シンビアンのSymbian OSなど。なお小規模な組み込みシステムのなかには、明確なOSを内蔵していないものもある。
次に台数が多いのがスマートフォンであり、スマートフォンのOSおよびそのシェアは、2021年9月時点でAndroidが約72%、iOSが 約27%である[10]。なおAndroidも広い意味でのLinuxの一種であり、より具体的に言うとLinuxのカーネルを一部改編し他のオープンソース・ソフトウェアを組み合わせたものである。つまりおよそ7割の人々が実は意識せずにLinuxの一種を毎日使っているわけである。
ノートPCやデスクトップPCのOSおよびそのシェアとしては、2021年時点でWindows 75.4%、MacOS 15.93%、ChromeOS 2.59%、Linux 2.33%となっている[11]。なお、このMacOSはFreeBSDを基にしたOSでありUnix系である。
スーパーコンピュータのOSは、2021年現在、ほぼ100%、Linuxである。スーパーコンピュータ用は2000年ころはUNIXが9割ほどを占めていたが、その後の10年間つまり2010年ころまでにそのほぼ全てがLinuxに置き換わるということが起きた[注釈 4]。
デジタルとアナログ[編集]
デジタル計算機とアナログ計算機の分類もあるが、単にコンピュータを指す場合は前者を用いる事が多い。現代では後者がマイナーな存在となったためである。
コンピュータという語を特に「電子」計算機を指す語として使う場合もあり、その用語法では、アナログ計算機のうち特に電子式アナログ計算機を指すのが「アナログコンピュータ」ということになる。
また、対象が連続量ではなく、整数のような離散的であるものは(例えばエレクトロニクスを使っていなくても)「デジタル」である。例えば、そろばんはデジタルである。
アナログ計算機は、電気的現象・機械的現象・水圧現象を利用してある種の物理現象を表現し、問題を解くのに使われる計算機の形態[12]。アナログ計算機はある種の物理量を別の物理量で表し、それに数学的な関数を作用させる。入力の変化に対してほぼリアルタイムで出力が得られる特徴があり(これはいわゆる「高速型」の場合の話である。時間をかけてバランスが取れた状態を見つけ出すとか、移動量の合計を得るといったような「低速型のアナログ計算機」もある)、各種シミュレーションなどに利用されたが、演算内容を変更するには回路を変更する必要があり、得られる精度にも限界があるので、デジタルコンピュータの性能の向上とDA/ADコンバータの高精度化・高速化によって役目を終えた。
なお、かつて電子式アナログコンピュータの重要な要素として多用されたものと同じ機能を持つ電子回路は、IC化された「オペアンプIC」として今日でも広く使われているが、モジュール化され簡単に使えるものになっているため、一般にコンピュータとは見なされてない。
アナログ計算機が「量」(物理量)によって計算するのに対して、デジタルコンピュータは、数(digit)によって「計数的」に計算する。現代ではもっぱらエレクトロニクスを用いて、2値論理による論理演算と、二進法による数値表現を使っている(タイガー計算器のように歯車の離散的な角度により十進法を表現するものもデジタルな計算機であるし、機械として見ると2値論理方式の機械でも、数の扱いとしては3増し符号などにより十進法のものもある。数値の表現法である「x進法」と、論理のモデルである「x値論理」は、厳密には別のものであることに注意されたい)。
歴史[編集]
古代[編集]

- 紀元前2000年頃 古代バビロニアで手動式デジタル計算器であるアバカスが(そろばんは中国起源説もある)発明される(古代ギリシアでは紀元前300年頃に伝わって来たとされており、日本では西暦1400年頃の室町時代に明から伝わって来たといわれる)。
- 紀元前2世紀 - アンティキティラ島の機械。 紀元前150年 - 紀元前100年ころに古代ギリシア人によって作られた、現在確認できるものでは世界最古の歯車式アナログ計算機。
17・18世紀[編集]
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ブレーズ・パスカルの歯車式計算機「パスカリーヌ」(1642年)とその機構図 |
- 1620年 イギリスのエドマンド・ガンターが、手動式アナログ計算器である計算尺の原型となる対数尺を発明。
- 1623年頃、ドイツのヴィルヘルム・シッカートが、ネイピアの骨を応用し、乗算と加減算を行なえる歯車式の計算機を作った。加減算に関しては繰り上がりができたが、乗算に関しては繰り上がりができなかった。
- 1642年 フランスのブレーズ・パスカルが歯車式計算機パスカリーヌを開発。約50台が作成された。(英語版記事 en:Pascal's calculatorが参照可)
- 1673年 ドイツのゴットフリート・ライプニッツがライプニッツの環を発明[13]。その後パスカリーヌより高機能な計算機を開発し、60年間に約1500台が販売された。
- 1698年 ライプニッツが二進法の数理を確立。
- 1725年 織機の制御にパンチカードが使われ始める[14]。
19世紀[編集]
- 1801年 ジョゼフ・マリー・ジャカールがジャカード織機を発明。
- 1822年 解析機関の設計者チャールズ・バベッジが第1階差機関の実験モデルを作成。
- 1823年 バベッジによる階差機関の開発開始。
- 1833年 追加予算が打ち切られ、階差機関の開発が中止となる。
- 1843年 シュウツ親子により階差機関が完成。
- 1854年 ジョージ・ブールがブール代数を発見する。
- 1865年 万国電信連合(現・国際電気通信連合)設立。電気通信分野における初の標準化機関であり、国際機関。
- 1871年 バベッジが解析機関の実現を見ぬまま死去。解析機関のオペレータであるエイダ・ラブレスは世界最初のプログラマとされる。
- 1889年 ハーマン・ホレリスがパンチカード方式の自動集計機を実現。
- 1897年 フェルディナント・ブラウンが陰極線管(通称ブラウン管)を発明。
20世紀[編集]
- 1905年 イギリスの物理学者のジョン・フレミングが二極真空管を発明。
- 1906年
- 国際電気標準会議(IEC)設立。電気電子関連技術を扱う国際的な標準化団体。
- リー・ド・フォレストが三極真空管を発明。
- 1936年 アラン・チューリングが、論文 On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem を発表。同論文でチューリングマシンを提示。
- 1938年 ドイツのコンラート・ツーゼが、自宅で機械式の計算機V1を作成。後にZ1と改名。
- 1939年 ツーゼがZ1をベースに演算部がリレー、記憶部が機械式のテスト用の計算機Z2を作成。
- 1940年 ツーゼがZ2をベースに全リレー式の計算機Z3を作成。Z3は(意図的にそのように設計されたものではないが)1998年に万能(チューリング完全)であると証明された[15][16][17][18]
- 1942年 ジョン・アタナソフとクリフォード・ベリーが真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ABCを作成。
- 1943年 ローレンツSZ42暗号機によるドイツ軍の暗号を解読するため、イギリスでColossusが発明される。
- 1944年 ツーゼがZ4を作成。メモリ部分は機械式に戻る。
- 1945年 ジョン・フォン・ノイマンのEDVACに関する報告書の第一草稿が発表。プログラム内蔵方式が提唱される。
- 1946年 ペンシルベニア大学で真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ENIACが作成される。一般に広く知られた初のコンピュータ。
- 1947年 AT&Tベル研究所のウォルター・ブラッテン、ジョン・バーディーン、ウィリアム・ショックレーらがトランジスタを発明。
- 1948年 マンチェスター大学のフレデリック・C・ウィリアムスとトム・キルバーンが、初のプログラム内蔵式のコンピュータThe Babyを発明。
- 1949年 モーリス・ウィルクスとケンブリッジ大学の数学研究所のチームによるEDSAC稼働。
- 1951年 EDVAC稼働。
- 1951年
- 1952年
- 米IBMが商用のプログラム内蔵式コンピュータIBM 701を発売。
- ETL Mark I(リレー式)を通産省工業技術院電気試験所(現:産業技術総合研究所)が完成。
- 1953年 MITにてWhirlwindが実用化された。量産機AN/FSQ-7が1958年からSAGEに使われ、後のIBMのコンピュータ技術の基礎となった。
- 1956年
- FORTRANが誕生(最初のFORTRANマニュアルのリリース)。
- 「FUJIC」(富士フイルム)稼働。
- アメリカ合衆国ブルックヘブン国立研究所のウィリアム・ヒギンボーサムが、アナログコンピュータ(オペアンプ)とオシロスコープを用いた『Tennis for Two』を開発。
- 米IBMによる磁気ディスク(ハードディスクドライブ)「IBM 350」の初出荷。5Mキャラクタ。
- 1957年 MUSASINO-1が稼働(日本電信電話公社電気通信研究所、現・NTT研究所[注釈 5])。パラメトロンを利用した最初のコンピュータであった。
- 1958年
- 米テキサス・インスツルメンツのジャック・キルビーが集積回路(IC)を発明。
- フランク・ローゼンブラット、パーセプトロンの論文を発表する。
- 1960年 日本国有鉄道が日本初のオンラインシステムであるマルス1を導入[19][20]。
- 1960年 米ディジタル・イクイップメントが、世界初のミニコンピュータPDP-1を発売。
- 1961年 米IBM、IBM 7030を発売。
- 1962年 世界初のシューティングゲームとされている「スペースウォー!」が開発される。
- 1963年
- 1964年
- 米IBMがメインフレームのSystem/360を発売。商用初のオペレーティングシステムが生まれる。
- コントロール・データ・コーポレーション、CDC 6600を製造開始。1969年まで世界最高速の地位にあり、世界で初めて成功したスーパーコンピュータとも言われる。
- 1965年
- 1966年 ACM、チューリング賞を創設。
- 1967年 米IBMがフロッピーディスクを開発。
- 1968年 ダグラス・エンゲルバートが、マウスやウィンドウなどをデモンストレーション。
- 1969年
- 後にインターネットの母体となるARPANETが運用開始。UNIXオペレーティングシステムの開発が始まる。
- エドガー・F・コッドがリレーショナルデータベースを提唱。
- 1970年
- 1971年 インテルが世界最初のシングルチップの4ビットマイクロプロセッサ、i4004をビジコンと共同開発。10月に発売されたビジコンの電卓141-PFに搭載される。
- 1972年
- 1973年
- 1974年
- 4月、インテルが8ビットのマイクロプロセッサi8080を発表。
- 12月 MITSが、世界初の一般消費者向けマイクロコンピュータAltair 8800を発売。主に組み立てキットとして販売された。
- ゲイリー・キルドールが8ビットCPU(8080)用のディスクオペレーティングシステムCP/Mを開発。
- 1975年
- 1976年 NEC、TK-80を発売。6万台を売り上げ、初期のマイコンとしては異例の大ヒットとなる。
- 1977年
- ビル・ジョイが開発した1BSDが初めて配布される。
- Apple ComputerがパーソナルコンピュータApple IIを発売。
- 富士通、日本初のベクトル型プロセッサFACOM 230-75APUを開発し航空宇宙技術研究所に納入。
- 1978年 米国シカゴで最初の電子掲示板「CBBS」が開設される。
- 1979年
- 1980年
- CERNの研究員ティム・バーナーズ=リーが、World Wide Webの元となるEnquireを開発。
- シャープがポケットコンピュータPC-1210を発売。ポケットサイズでBASICが動作する初のデバイス。
- 1981年
- 1982年
- 米サン・マイクロシステムズがTCP/IPを採用したワークステーションを発売。
- GRiD Systemsが世界初の折りたたみ型ラップトップコンピュータGrid Compassを発売。
- 世界初の(狭義の)コンピュータウイルスElk Clonerが出現。
- NECがPC-9801を発売。
- エプソンが初期のハンドヘルドコンピュータであるHC-20を発売。
- 1983年 リチャード・ストールマンがGNUプロジェクトを開始。
- 1984年
- 1985年
- デイヴィッド・ドイッチュが量子コンピュータの原モデルである量子チューリングマシンを定義した。
- Apple ComputerがLaserWriterを発売。ページ記述言語としてPostScriptを採用したレーザープリンターで、ページレイアウトソフト「PageMaker」とともにDTPの時代を切り開く。
- フィリップスが初のCD-ROMドライブであるCM100を発表。
- マイクロソフトが最初のWindows製品であるWindows 1.0を発売。
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1989年 東芝がノートパソコンDynaBookを発売(IBM PC/XT互換)。
- 1990年 マイクロソフトがWindows 3.0 を発売。初の成功したWindows製品となった。
- 1991年
- リーナス・トーバルズがスクラッチビルドによるUNIXライクなOSカーネルLinuxを発表。
- ティム・バーナーズ=リーがWorld Wide Webプロジェクトを発表する。
- フィル・ジマーマンが公開鍵暗号PGPを開発し公開した。
- 1992年 シリコングラフィックス、OpenGLを公開する。
- 1993年
- 1994年
- ティム・バーナーズ=リー、W3Cを設立。World Wide Web関連のプロトコルを策定する標準化団体。
- マイクロソフトがWindows NTを発売。
- 1995年 マイクロソフトがWindows 95を発売。
- 1996年
- サン・マイクロシステムズにより、Javaの開発環境が公式にリリースされた。
- ECMAScriptが策定されJavaScriptが標準化される。
- The Open Groupが創設され、UNIX戦争が終結した。
- USロボティクス、Palm Pilotを発売。最も成功した携帯情報端末となる。
- 1997年
- チェス専用スーパーコンピュータ・ディープ・ブルーがチェス世界チャンピオンガルリ・カスパロフに勝利した。
- この頃、Netscape CommunicatorとInternet Explorerのシェア争い(第一次ブラウザ戦争)を背景に、Webブラウザの機能が飛躍的にリッチになる。
- 2000年 2000年問題。大きなトラブルはなかった。
21世紀[編集]

- 2001年
- インターネット・バブルが崩壊。
- 4月、Apple ComputerがMac OS Xを発売。10月にはiPodを発表。
- 2003年 中国で人工知能を応用したインターネット検閲システムグレート・ファイアウォールが本格稼働開始。
- 2004年 Mozilla Firefox 1.0 がリリース。この頃から第二次ブラウザ戦争が勃発し、デスクトップにおけるGoogle Chromeの覇権が固まる2014年頃まで続く。
- 2007年 AppleがiPhoneを発売。Mac OS X派生のモバイルオペレーティングシステム iPhone OS(現:iOS)を搭載し、以降スマートフォンの普及が急激に進んだ。
- 2008年 GoogleがLinuxベースのモバイルオペレーティングシステムAndroidをリリース。
- 2009年 米IBM、意思決定支援システムワトソンを公開する。
- 2010年 AppleがiPadを発売。
- 2011年
- アジア太平洋地域インターネットレジストリのIPv4アドレスが枯渇。
- D-Wave Systemsは世界初の商用量子コンピュータシステムであるD-Wave Oneを発表した。量子アニーリング方式により最適化問題を解く専用計算機である。
- 世界のパソコン出荷台数がピークの3億5280万台に達する。
- 2012年 Google、スタンフォード大学との共同研究であるグーグル・ブレイン(Google brain)を構築し、ディープラーニングの有用性が認められる。
- 2014年 アマゾン、AIアシスタントAmazon Alexaを発表、スマートスピーカーのAmazon Echoに搭載される。
- 2016年 Google DeepMindが開発したAlphaGoが世界最強の棋士と目される李世乭に勝利した。
- 2020年 OpenAIが高性能な自然言語処理モデルGPT-3を公開する。
種類[編集]
- スーパーコンピュータ(スパコン、HPCサーバ)
- メインフレーム(汎用コンピュータ、汎用機)
- ミニコンピュータ(ミニコン)
- オフィスコンピュータ(オフコン)
- ワークステーション (WS)
- コンピュータ・クラスター
- 組み込みシステム(基本的にはマイクロコントローラを用いる)
- シングルボードコンピュータ
- 汎用サーバ
- エンタープライズサーバ
- PCサーバ
- パーソナルコンピュータ(パソコン、PC)
- ノートパソコン
- デスクトップパソコン
- ゲーミングPC(GPUを搭載している高性能PC。ゲーム用途だけでなく、高い処理能力が必要とされるさまざまな用途に使用されている。)
- マイクロコンピュータ(マイコン。1970年代後半から1980年代にかけて一般的であったもの。PCの前段階。)
- シンクライアント
- ワードプロセッサ
- ゲーム機
- 据置型ゲーム機
- 携帯型ゲーム機
- (※ 近年ではNintendo Switchのように据置型と携帯型の境界を無くすような、単純に分類できないタイプの売上が伸びている。)
- スマートフォン
- タブレット
- 携帯電話機(フィーチャーフォン)
- PDA(個人情報端末、ハンドヘルドコンピュータ)
- ポケットコンピュータ(1980年代に使われたもの。マイクロコンピュータと電卓の中間的性質のもの)
- プログラム電卓(ユーザが作成するプログラムをもとに複雑な手順の計算を自動的に行える電卓)
- 関数電卓、電卓
研究段階のコンピュータ[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 「現在」と言っても、あくまで出典の『日本大百科全書』の【コンピュータ】記事の改訂版が書かれた1990年代や2000年ころの話。
- ^ 長音符の扱いについて、JISのルールと国語審議会のルールが食い違っている。(長音符#長音符を付ける流儀・付けない流儀参照) JIS Z 8301では長音符を付けない、というルールが提示されており、それに沿う形で工学専門書では長音符をつけない。工学分野の論文でも長音符をつけないのが一般的である。それに対して国語審議会の報告に沿った基準では長音符をつけるとしており、新聞社、放送局、小中学校教科書などでは長音符付きで表記している。コンピュータ関連のメーカーに関しては、会社ごとに対応が別れている。マイクロソフトの日本法人は(もともとはJISの規定のほうを尊重し「2音の用語は長音符号を付け、3音以上の用語の場合は省くことを原則とする」という規定(JIS Z 8301:規格票の様式及び作成方法)に即した表記ルールを採用していたが)、2008年11月に、あくまで自社製品に関してのみの話として、国語審議会の報告のほうの影響を受けた内閣告示をもとにした「言語の末尾が-er、-or、-arなどで終わる場合に長音表記をつける」というルールに変更するとした[1]。同社の担当者は、一般消費者は工業系・自然科学系の末尾の長音を省略する傾向の表記に対して違和感を感じていて、コンピュータが一般消費者の必需品になるにつれて違和感を感じる人の割合が増加してきたからだ、といった主旨の説明を述べた[2]。ただしメーカーにより主なユーザの範囲が異なり、表記方法も異なる。
- ^ 液晶画面の上に、「タッチパネル」と部品メーカー側が呼ぶ(それ単体だけでもそう呼ぶ)透明でフィルム状のセンサをかぶせているものである。使用者から見ると透明なものが重なってしまっていて全然区別がつかないが、厳密に言うと、純粋に出力機能を果たす液晶画面の部分と、純粋に入力機能を果たすセンサの部分は、別のものとして存在している。スマートフォンやタブレットのメーカーは、たとえば液晶画面はA社から仕入れて、一方、フィルム状のセンサの部分は別のB社から仕入れて、スマホやタブレットを自社工場で組み立てる段階でかぶせる場合もある。修理する場合でも、液晶部品とセンサ部品は別々に扱われることがある。もっとも、あらかじめ合体させたものが1ユニット(1部品、1商品)として流通している場合も多い。ケースバイケースである。
- ^ 英語版の記事 en:Usage share of operating systems#Supercomputers にUNIXとLinuxのシェア入れ替わりのグラフが掲載されている。
- ^ 21世紀の現在、「NTT研究所」は研究開発分野ごとにサービスイノベーション、情報ネットワーク、先端技術の3総合研究所とIOWN総合イノベーションセンターの4つに分かれている。
- ^ 他にも3次元ディスプレイなどもあり、多様である。
- ^ ソリッドステートドライブ(SSD)、SDメモリーカード、ハードディスクドライブ、磁気ディスク装置、光学ドライブ装置などは、ストレージ(記憶装置)と分類され、I/Oには分類されない。コンピュータとSSDやHDDがデータのやりとりをするためにはI/Oインタフェースが必要で、I/Oインタフェースはコンピュータの側にもSSDやHDDの側にも搭載されるものであり、SSDやHDDの装置の筐体の内部にI/Oインタフェースが搭載されているとしても、SSDやハードディスクなどは入/出力装置とは分類しない。
出典[編集]
- ^ a b c d 『日本大百科全書』コンピュータ
- ^ Introduction to Embedded Systems
- ^ "So, How Many Smartphones Are There in the World?"
- ^ HOW MANY COMPUTERS ARE THERE IN THE WORLD?
- ^ 『日本における計算機の歴史 : 富士通における計算機開発の歴史』NAID 110002753426§3.1
- ^ 全国書誌番号:57000106
- ^ IT用語辞典e-words【入出力インタフェース】[3]
- ^ [4]
- ^ a b c 組み込みOSのAPIはTRON系OSがシェア60%、24年連続トップ
- ^ [5]
- ^ [6]
- ^ Universiteit van Amsterdam Computer Museum (2007)
- ^ "ライプニッツの環". 英辞郎 on the WEB. 2023年3月22日閲覧。
- ^ Sorrel, Charlie (8 April 2008). "A Picture History Of Computer Storage". WIRED (英語). 2023年3月22日閲覧。
- ^ RTD Net: "From various sides Konrad Zuse was awarded with the title "Inventor of the computer"."
- ^ GermanWay: "(...)German inventor of the computer"
- ^ Monsters & Critics: "he(Zuse) built the world's first computer in Berlin"
- ^ "Konrad Zuse earned the semiofficial title of "inventor of the modern computer", About.com
- ^ 竹井和昭「開発物語 みどりの窓口の予約システム「マルス」の開発史」『通常ソサイエティマガジン』第13巻第1号、電子情報通信学会、2019年、58-67頁、2020年5月26日閲覧。
- ^ “旅客販売総合システム「マルス」”. JRシステム. 2020年5月26日閲覧。
関連項目[編集]
- 総合索引に関する項目
- ソフトウェアに関する項目
- ハードウェアに関する項目
- コンピュータ・アーキテクチャに関する項目
- 研究に関する項目
- 社会・諸問題に関する項目
- ネットワークに関する項目
外部リンク[編集]
- コンピュータ博物館(情報処理学会)
- English:IPSJ Computer Museum (Information Processing Society of Japan)
- 情報・通信事典 e-Words
- コンピュータの歴史
- 日本経営情報開発協会編:「コンピュータ白書1969 経営情報システムの高度化とネットワークの形成」
- 『コンピュータ』 - コトバンク