ジメチルジスルフィド

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ジメチルジスルフィド
構造式ジメチルスルフィドの球棒モデル
IUPAC名ジメチルジスルフィド(系統名)
二硫化ジメチル(許容慣用名)
別名二硫化メチル
分子式C2H6S2
示性式CH3SSCH3
または (CH3)2S2
分子量94.19
CAS登録番号624-92-0
形状黄色透明液体
密度1.06 g/cm3, 液体
相対蒸気密度3.24(空気 = 1)
融点−85 °C-98℃のデータ有り
沸点110 °C
出典1. 国際化学物質安全性カード ジメチルジスルフィド ICSC番号:1586 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=1586&p_version=2&p_lang=ja 
2.安全衛生情報センター 製品安全データシート

ジメチルジスルフィド(Dimethyl disulfide、DMDS)、別名(二硫化メチル、二硫化ジメチル(Methyl disulfide)、ジメチルペルジスルフィド(Dimethyl perdisulfide)、2,3-ジチアブタン(2,3-Dithiabutane))は、有機硫黄化合物ジスルフィド)である。

刺激性が強く、ニンニクに似た特有の硫黄臭を持ち、特定悪臭物質に指定されている。一方で、タマネギキャベツなどの食品用香料として使用される。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[1]

性質[編集]

引火性(引火点24℃)、爆発性(爆発限界1.1~16v/v%)があり、人体に有害。強酸化剤、強還元剤、強塩基と激しく反応する。オクタノール水分配比が1.77、水への溶解度は0.25g/100mLと難溶性。エタノールエーテルほか有機溶媒に易溶。

存在[編集]

コチなど一部の魚、アブラナ科の植物、ニンニクなどに含まれ、特に腐敗すると誘導体の分解により発生する。

中国北京市で作られている、豆腐ケカビを付け、塩漬けして発酵させた「青腐乳」(別名「臭豆腐」、「青方」)にはインドールフェノールジメチルトリスルフィド酢酸エチルトリメチルヒドラジンなど[2][3]と共に含まれており、刺激性ある臭気成分が独特の風味として作用している。

用途[編集]

脱硫触媒用の初期硫化剤、農薬製造の中間体、硫黄の溶剤、チオメチル化剤、食品の香料。

工学用途では、略称のDMDSがよく使われる。オレフィンの構造異性体をGC(ガスクロマトグラフィー)分析する際、オレフィン部位のDMDS化を行うと分離能が向上する(Dimethyl Disulfide Adducts)。

有害性[編集]

急性毒性があるが、慢性毒性、発ガン性、蓄積性はないか、低いとみられる。水生生物毒性があり、生物分解されない(BOD/TOD比=0%)

  • LD50 190mg/kg (経口 ラット)
  • LC50 1.1mg/L/96H (メダカ)

出典[編集]

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 馬艶莉 他、「青方腐乳關鍵揮發性風味物質研究」『現代食品科技』2015年5期pp316-321、広州、華南理工大学 [1]
  3. ^ 劉玉平 他、「臭豆腐中揮發性香成分提取与分析」『食品科学』、2011年32巻24期pp228-231、北京、中国食品雑志社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]