ダブルハイフン

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ダブルハイフン英語: double hyphen、゠)は、2本の平行線で表されるハイフンである。二重ハイフン(にじゅうハイフン)とも呼ばれる。ハイフンの長さは半角幅である。しばしば数学記号の等号 ( = ) や下駄記号 ( 〓 ) で代用される。横書きでは2本の横線だが、縦書きでは90度回転し2本の縦線となる。

主に日本語アイヌ語において使用される。欧文でも稀にハイフンの代わりに使用されることがあり、場合によっては右上がりに書かれることもある。

用法[編集]

日本語[編集]

外来語カタカナで表記する際、単語などの区切りに対し使う。固有名称に使うことが多い。

  • 原語でのハイフン「」或いはenダッシュ「–」の置き換えとして使う。長音符「ー」とはっきり区別できる効果がある。中黒「・」を使ったり間に何も入れないこともあるが、ダブルハイフンを使えば原語での区切りの種類を明示することができる(中黒は原語での語区切りに使う)。例:キャサリン・ゼタ゠ジョーンズ (Catherine Zeta-Jones)、ラ・ガレンヌ゠コロンブ (La Garenne-Colombes)、ワインバーグ゠サラム理論 (Weinberg–Salam theory)。
  • 原語での語区切りで使う。
    • 語区切り全てに対し使う。この場合、中黒は地名や人名などの列挙に使うことができるので、列挙に読点を使わずに済む[1]。例:レオナルド゠ダ゠ヴィンチ[2][3] (Leonardo da Vinci)。
    • 姓名の間の区切りに使い、それに対し姓の中・名の中での区切りには通常のハイフンを使い区別することがある[4]。例:ホー゠チ‐ミン (Hồ Chí Minh)。

その他の言語[編集]

  • アイヌ語ローマ字表記で人称接辞に使われる。
  • 西洋諸言語で、ハイフンの位置で改行したときに使うことがある。
    例: man‐eater をハイフンの位置で改行すると、通常は
    man‐
    eater

    となる。しかし単語の途中で改行するときにはハイフンが挿入されるので、 maneater を改行しても同じようになり、区別できない。通常はこれらを区別できなくても大きな問題はないが、辞書など厳密な表記が望まれる文書では、man‐eater を改行したときは
    man⹀
    eater

    と書き、本来の表記がわかるようにすることがある。
  • アメリカホテルウォルドルフ゠アストリア」は、1949年から2009年まで「Waldorf⹀Astoria」が正式な表記だった(単なるハイフンに変更)。
  • 右上がりのダブルハイフンが、コプト語で区切りを表す句読点として使われる。
  • フラクトゥールのハイフン
    フラクトゥールフォントでは、ハイフンとして右上がりのダブルハイフンが使われる。ただしこれは、文字としてはダブルハイフンではなくハイフンであり、このフォントではハイフンがそういう字形だということにすぎない。

符号位置[編集]

記号 Unicode JIS X 0213[5] 文字参照 名称
U+30A0 1-3-91 ゠
゠
ダブルハイフン
KATAKANA-HIRAGANA DOUBLE HYPHEN[6]
U+2E17 ⸗
⸗
DOUBLE OBLIQUE HYPHEN[7]
U+2E40 ⹀
⹀
DOUBLE HYPHEN[8]

出典[編集]

  1. ^ 本多勝一『〈新版〉日本語の作文技術』「第四章 句読点のうちかた」朝日新聞出版、2015年(原著1982年)
  2. ^ 村川堅太郎ほか『詳説世界史』再訂版(山川出版社、1990年)160ページ
  3. ^ 『広辞苑』第七版「モナ‐リザ」項の語釈冒頭の作者表記などに見られる。『精選版日本国語辞典』『大辞林』『大辞泉』は「レオナルド゠ダ゠ビンチ」とする。国語辞典の仮名見出しでは外来語の区切りにハイフンが使われるが、語釈ではダブルハイフンが使われることがある。
  4. ^ 三省堂コンサイス外国人名事典』
  5. ^ Japanese Graphic Character Set for Information Interchange, Plane 1 (Update of ISO-IR 228)
  6. ^ Unicode Standard 14.0
  7. ^ Unicode Standard 4.1: フラクトゥールのハイフンは、ハイフン U+2010 またはハイフンマイナス U+002D で符号化され、レンダリング時にダブルハイフンとして表示されるべきである。
  8. ^ Unicode Standard 7.0:古いドイツ語の写本・手稿にみられるダブルハイフンの転写用で、非標準の句読点として使われることもある。フラクトゥールで二重になっている通常のハイフンを表現するためのものではない。