チャームクォーク

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チャームクォーク
組成 素粒子
粒子統計 フェルミ粒子
グループ クォーク
世代 第二世代
相互作用 強い相互作用
弱い相互作用
電磁相互作用
重力相互作用
反粒子 反チャームクォーク(c)
理論化 シェルドン・グラショー
ジョン・イリオポロス
ルチャーノ・マイアーニ(1970)
発見 バートン・リヒター (SLAC)
(1974)
サミュエル・ティン (BNL)
(1974)
記号 c
質量 1.27+0.07
−0.09
 GeV/c2
[1]
崩壊粒子 ストレンジクォークダウンクォーク[2][3]
電荷 +23 e
カラー 持つ
スピン 12
チャーム 1
弱アイソスピン LH: +12, RH: 0
弱超電荷 LH: +13, RH: +43
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チャームクォーク: charm quark、記号:c)は、物質を構成する主要な素粒子の一つで、第二世代のクォークである。

概要[編集]

チャームクォークは、+2/3e電荷を持ち、クォークの中で3番目に質量が大きく、約 1.3 GeVである(これは核子の質量の約 1.5 倍である)。

チャームクォークは、1970年シェルドン・グラショウジョン・イリオポロスルチャーノ・マイアーニにより存在が予測された。当時、クォークは、アップクォークダウンクォークストレンジクォークのみが知られていた。予測は複数の事象を統一的に説明できるようにされたのであるが、ごく簡単に言えば、ミューオンミューニュートリノ、ストレンジクォークの組みの関係は、電子電子ニュートリノ、ダウンクォーク、アップクォークの組の最初の3つの粒子と類似性があり、最初の組にも後の組のアップクォークに相当するものがあるのではないかと考えたのである。そこで実際に存在すれば魅力的だと「チャーム」と名付けられた。

この予測は、1974年サミュエル・ティン率いる米国の ブルックヘブン国立研究所(BNL)のチームとバートン・リヒター率いる スタンフォード線形加速器センター(SLAC)のチームによって、それぞれ独自にチャームクォークと反チャームクォークからなるジェイプサイ中間子(J/ψ)が発見されたことにより確認された。BNL のチームは新しい粒子を J 中間子と命名し、SLAC のチームは ψ 中間子と命名したが、名前を一本化する協議が失敗し、妥協案として J/ψ中間子が採用された。サミュエル・ティンとバートン・リヒターは、ジェイプサイ中間子の発見により1976年ノーベル物理学賞を受賞している。

チャームクォークを含むハドロン[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ K. Nakamura et al. (Particle Data Group) (2010年). “PDGLive Particle Summary 'Quarks (u, d, s, c, b, t, b', t', Free)'”. Particle Data Group. 2010年8月11日閲覧。
  2. ^ Carl Rod Nave. “Transformation of Quark Flavors by the Weak Interaction”. 2010年12月6日閲覧。 “The c quark has about 5% probability of decaying into a d quark instead of an s quark.”
  3. ^ K. Nakamura et al. (2010). “Review of Particles Physics: The CKM Quark-Mixing Matrix”. J. Phys. G 37 (075021): 150. http://pdg.lbl.gov/2010/reviews/rpp2010-rev-ckm-matrix.pdf.