トウバナ属

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トウバナ属
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: トウバナ属 Clinopodium
学名
Clinopodium L.[1]
タイプ種
Clinopodium vulgare L.[2]
和名
トウバナ属(塔花属)[3]
  • 本文参照

トウバナ属(トウバナぞく、学名:Clinopodium 、漢字表記:塔花属)は、シソ科の1つ[1][3]

特徴[編集]

小型の多年草は対生し、縁に鋸歯がある。偽輪生で、茎先および葉腋に密に多数つく。は筒状で唇形となり、上唇は浅く3裂し、下唇はやや深く2裂し、萼に13脈あり、ときに喉部に長毛がある。花冠はまっすぐかやや曲がった筒部があり、唇形で、上唇は全縁となるかやや2裂し、下唇は3裂し開出する。雄蕊は4個あり、うち下側の2個がやや長く、4個とも斜上する。果実は4分果となり、倒卵円形で、基部に小さい着点がある[1]

分布[編集]

世界に約150種[4]あり、北半球の暖帯から温帯に分布する。日本には5-6種ある[1]

[編集]

和名および学名の記載はYListおよびThe Plant Listによる。

日本に分布する種[編集]

  • クルマバナ Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze subsp. grandiflorum (Maxim.) H.Hara - 花柄の基部に線形の小苞があり、花冠は紅紫色で長さ6-10mm。山野の道ばたなどの草地に生育する。南千島、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島に分布する[1]
    • オキナワクルマバナ Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze subsp. chinense - 分類上の基本種。全体に毛が密生する。琉球、中国大陸に分布する[1]
    • ヤマクルマバナ Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze var. shibetchense (H.Lév.) Koidz. - 茎は斜上し、花冠は淡紅紫色を帯びた白色。山地の谷間に生育する[1]
  • トウバナ Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze - 花冠は淡紅紫色で長さ5-6mm。田の畔ややや湿った道ばたなどに生育する。本州、四国、九州、琉球、朝鮮半島、中国大陸に分布する[1]
  • ミヤマクルマバナ Clinopodium macranthum (Makino) H.Hara - 花柄の基部に線形の小苞があり、花冠は紅紫色で長さ15-20mm。深山の草地に生育する。本州の北陸地方から東北地方に分布する[1]
  • イヌトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara var. micranthum - 萼に密に開出する長毛がある。花冠は白色でわずかに淡紫色を帯び、長さ5-6mm。山間の木陰などに生育する。北海道、本州、四国、九州に分布する[1]
    • ミヤマトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara var. sachalinense F.Schmidt) T.Yamaz. et Murata - シノニムClinopodium sachalinense (F.Schmidt) Koidz. - 萼にまばらに短毛がある。花冠は白色でわずかに紅紫色を帯び、長さ5-6mm。谷間の林内に生育する。樺太、千島列島、北海道、本州の近畿地方以北に分布する[1]
  • ヤマトウバナ Clinopodium multicaule (Maxim.) Kuntze - 草丈は10-30cm。花冠は白色で、長さ8-9mm。山地の木陰に生育する。本州の中部地方以西、四国、九州に分布する[1]
    • ヒロハヤマトウバナ Clinopodium multicaule (Maxim.) Kuntze var. latifolium H.Hara - 草丈は40cmになり、葉が広い。本州の中部地方から関東地方北部に分布する[1]
    • ヤクシマトウバナ Clinopodium multicaule (Maxim.) Kuntze var. yakusimense (Masam.) Yahara - 別名、コケトウバナ。全体に小型。奈良県の春日山屋久島に分布する[1]。準絶滅危惧(NT)(2012年、環境省)。

その他の主な種[編集]

  • Clinopodium brownie (Sw.) Kuntze
  • ニイタカトウバナ Clinopodium laxiflorum (Hayata) K.Mori
  • タイワンミヤマトウバナ Clinopodium umbrosum (M.Bieb.) K.Koch
  • Clinopodium vulgare L.

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『日本の野生植物草本III合弁花類』p.71, pp.85-86
  2. ^ Clinopodium L. Tropicos
  3. ^ a b 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花)』p.167
  4. ^ Clinopodium, The Plant List

参考文献[編集]