フレデリック・ポール

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フレデリック・ポール
Frederik George Pohl, Jr.
フレデリック・ポール、2008年UCR J. Lloyd Eaton Science Fiction Conferenceにて
ペンネーム ジェイムズ・マクレイなど
誕生 (1919-11-26) 1919年11月26日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク州
死没 (2013-09-02) 2013年9月2日(93歳没)
職業 小説家編集者
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ジャンル SF
代表作 『マン・プラス』、『ゲイトウエイ』
主な受賞歴 ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞
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フレデリック・ジョージ・ポール・ジュニアFrederik George Pohl, Jr., 1919年11月26日 - 2013年9月2日)は、アメリカ合衆国SF作家編集者ニューヨーク州生まれ。別名はジェイムズ・マクレイ (James MacCreigh)など多数 。マクレイ名義ではアイザック・アシモフとの共著がある。

人物[編集]

少年時代よりファン活動に参加し、19歳で雑誌の編集を任されるなど、SF界との関わりは早かった。

ファン団体フューチャリアンズに参加。会員にはアシモフ、ウォルハイムC・M・コーンブルースジュディス・メリルジェイムズ・ブリッシュデーモン・ナイトH・ビーム・パイパーらがいた。

アシモフの初期短編(特にキャンベルに没にされた作品)を自分の雑誌に多数採用して経済的に支えた他、処女長編『宇宙の小石』もポールが出版社に渡りを付けて出版された物である。

商業誌へのデビュー作は一編の詩で、「アメージング・ストーリーズ」1937年10月号にエルトン・アンドルーズ(Elton Andrews)名義で掲載された。初期の代表作はC・M・コーンブルースとの共作、『宇宙商人』(1953年)。これは、幾つかの大企業に牛耳られた未来社会を描いた長編で、風刺SFの古典となった。

また、1959年から1969年にかけて、SF雑誌「ギャラクシー」および「イフ」の編集に携わり、この間に3度のヒューゴー賞を受賞するほどの名編集者ぶりを発揮している。またこれらの雑誌で、ラリー・ニーヴンキース・ローマーらを育てた。

1976年にサイボーグを扱った『マン・プラス』でネビュラ賞 長編小説部門を受賞。その後も「ニュー・ポール」と称されるほど一新した作品を続出。この時期の代表作としては他に「ヒーチー年代記」が挙げられる。

ポールは数度の結婚経験がある(その相手には、SF作家・評論家のジュディス・メリルも含まれる)。最新の結婚相手はSFファンでありSF研究家協会の一員でもあったエリザベス・アン・ハル。彼女とは、アメリカのSF情報誌『ローカス』1984年5月号に「ベティ・アン[※ 1]へ…たのむ、ぼくと結婚してくれ。フレッド」という広告を載せてプロポーズに成功し、レスター・デル・レイを付き添い人として同年7月に結婚した。

1983年夏に来日。日本SF大会DAICON4にも参加した。2013年9月2日、93歳で死去[1]

作品リスト[編集]

  • 『宇宙商人』(The Space Merchants(1952)、C・M・コーンブルース共著、加島祥造訳、ハヤカワSFシリーズ) 1961、のち早川書房「世界SF全集21」 1971、のちハヤカワ文庫 1984 - 1975年ローカス賞 All Time Novel受賞
  • 『22世紀の酔っぱらい』(Drunkard's Walk(1960)、井上一夫訳、創元推理文庫) 1971
  • 『臆病者の未来』(The Age of the Pussyfoot(1969)、中尾明訳、ハヤカワSFシリーズ) 1973
  • 『マン・プラス』 (Man Plus(1976)、矢野徹訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1979、のちハヤカワ文庫 1989 - 1977年ネヴュラ賞 長編小説部門受賞
  • 『仮面戦争』 (The Cool War(1979)、矢野徹訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1982 - 1982年ローカス賞候補
  • 『JEM』(JEM The Making of a Utopia(1980) 、矢野徹訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1981、のちハヤカワ文庫 1989
  • 『時の果ての世界』上・下(The World at the End of Time(1990)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫) 1993
  • 『異郷の旅人』(Homegoing(1989)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫) 1993
  • 『チェルノブイリ』(Chernobyl(1987)、山本楡美子訳、講談社文庫) 1989
  • 『最終定理』(The Last Theorem(2008)、アーサー・C・クラーク共著、小野田和子訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 2010、のちハヤカワ文庫 2013
  • 「スター・チャイルド」シリーズ(ジャック・ウイリアムスン共著)
    • 『宇宙の珊瑚礁へ』(The Reefs of Space(1963)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫、スター・チャイルド1) 1990
    • 『スター・チャイルド』(Starchild(1965)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫、スター・チャイルド2) 1991
    • 『新たなる誕生』(Rougue Star(1969)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫、スター・チャイルド3) 1991
  • 「ヒーチー年代記」
    • 『ゲイトウエイ』(Gateway(1977)、矢野徹訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1980、のちハヤカワ文庫 1988 - ヒューゴー賞 長編小説部門ネビュラ賞 長編小説部門ローカス賞 長篇部門ジョン・W・キャンベル記念賞受賞
    • 『ゲイトウエイ 2 - 蒼き事象の水平線の彼方』(Beyond the Blue Event Horizon(1980)、矢野徹訳、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1982、のちハヤカワ文庫 1988
    • 『ゲイトウエイ 3 - ヒーチー・ランデヴー』上・下(Heechee Rendezvous(1984)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫) 1988
    • 『ゲイトウエイ 4 - ヒーチー年代記』上・下(The Annals of the Heechee(1987)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫) 1989
    • 『ゲイトウエイへの旅』(The Gateway Trip(1990)、矢野徹訳、ハヤカワ文庫) 1992

ジュブナイル[編集]

その他、短編、アンソロジー等多数。未訳作品については英語版(Frederik Pohl)等を参照。

注釈[編集]

  1. ^ ベティ・アンとは、アメリカのSF作家クリス・ネヴィルの代表作、『ベティ・アンよ帰れ』の主人公の名前。

出典[編集]

  1. ^ Frederik Pohl (1919-2013) LOCUS online 2013年9月2日