メガビット

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ビットの単位一覧
SI接頭語
2進接頭辞
IEC 60027-2による)
単位 記号 SI基準 慣用値 単位 記号
キロビット kbit 103 210 キビビット Kibit 210
メガビット Mbit 106 220 メビビット Mibit 220
ギガビット Gbit 109 230 ギビビット Gibit 230
テラビット Tbit 1012 240 テビビット Tibit 240
ペタビット Pbit 1015 250 ペビビット Pibit 250
エクサビット Ebit 1018 260 エクスビビット Eibit 260
ゼタビット Zbit 1021 270 ゼビビット Zibit 270
ヨタビット Ybit 1024 280 ヨビビット Yibit 280

メガビット (megabit) はデータの量の単位の一つで、Mビット (Mbit)、あるいは Mb とも略記され("M" は大文字、"b" は小文字)るが、本項では別記がない場合それぞれ「メガ」「ビット」表記で扱う。 1メガビットは 1,000,000ビットに等しい(ただし、後述するように場合によって異なる)。

解説[編集]

メガビットがよく使われるのは、データの転送速度や処理速度を表す場合で、たとえば「100Mbit/s Fast イーサネット」のように使われるように、特にADSLなどの一般家庭向け高速インターネット接続の速度はメガビット単位で表現されることが多い。電気通信分野では、メガ (M) はほぼ例外なく10進接頭辞(SI接頭語)で、 1メガビットは 106=1,000,000ビットであり、これは125,000バイトあるいは125キロバイトにあたる。

一方、半導体ソフトウェアの分野ではメガを2進接頭辞として扱うことも多く、この場合には1Mbは 220=1,048,576ビット{128キロバイト(KB)}である。RAMROM の容量を表す場合などに使われることがある。この2進法に基づく単位を、SI接頭辞との混乱を避けるためにメビビット (mebibit) とする呼び方もあるが、あまり普及していない。これらの単位の違いについては 2進接頭辞とSI接頭辞の項を参照のこと。

メガビットとテレビゲームのカートリッジ[編集]

1980年代のテレビゲームに端を発する、主に8~16ビットコンシューマーゲーム機時代には、「メガビット」(Mbit)はゲームのカートリッジ(ロムカセット)の容量を表すのによく用いられた。プログラマー岩崎啓眞は、初期のマイコンには4ビット、9ビットのものなどがあり、8ビット単位である1バイトは扱えないため、ビット単位で扱う習慣があったのではないかとしている[1][2]

1980年代はメーカーの広報やゲーム雑誌による紹介記事等でも、基本情報としてそのゲームのロムカセット容量が明記される事が浸透していた。『MSX』や任天堂の『ファミリーコンピュータ』において1メガビットのカートリッジが登場する(メーカーでは「メガロム」等と公称されていた)。1990年代に登場した『スーパーファミコン』や『メガドライブ』(セガ)の大多数のゲームは8メガビットカートリッジが標準的だったが、4メガビット[3]のものも珍しくなく、後には技術的発展により12、16、20、24、32メガビットへとカートリッジ容量は増加していき、内包されるデータと生産コストも増加していく[4]。この「メガ」単位の容量は(時に「ビット」を省略して)ゲームソフトの宣伝文句にも使われ、『ネオジオ』(SNK)では特にテレビCMにおいて100メガビット超のカートリッジ採用タイトルで、「100メガショック」というフレーズを用いていた。なお、90年代後半から浸透したCD-ROMは「メガバイト」単位が使われたが、CD-ROMはコスト次第で容量が変動するカートリッジと異なり、規格上の容量が固定されている[5]。またCD-ROMのタイトルでは個々のソフトの容量が明記されることはほとんど無かった。

2023年現在、利用者がパソコンスマートフォンにおいてメモリ容量やグラフィック、動画、通信容量などのデータのサイズを認識、または表す際にはバイトを単位とするのが一般化している。8ビット=1バイトであるから、4メガビットのカートリッジなら 512キロバイト、8メガビットなら 1メガバイトのデータをそれぞれ格納できることになる。80年代にゲーム会社が「メガバイト」でなく敢えて「メガビット」を用いた理由は不明だが、商業的理由や宣伝効果を目的としたもの、つまり容量を「見かけ上の数値で8倍にする」ことで訴求性を狙ったものではないかとする説もある[6]。これは一例として「16メガビット」として宣伝するか、「2メガバイト」として宣伝するかで利用者が受ける印象が変化するかを考慮する必要がある[7]

後年更にゲームソフトの大容量化が進んだ事、また媒体もCD-ROM、DVD-ROMBlu-ray Discの様な光ディスクフラッシュメモリといった不揮発性メモリへと移行していった[8]。それに伴い、ゲーム雑誌などのメディアも容量を明記する習慣は廃れていった。

脚注[編集]

  1. ^ 岩崎啓眞「Colorful Pieces of Game」 1990年7月 - 浅草REDにて
  2. ^ ROMや(非同期)SRAMは16ビットや8ビット単位の製品のほうが数が多く入手も容易だが(SRAMなら628128など)、DRAMは(近年の大容量化で4bitなどになっているが)以前は1ビットのものを必要なだけ並列に構成するのが普通だった。そのためDRAMチップの容量をバイト単位で表現すると問題があることからビット単位で表現していたため、メモリ業界では(以前は)他の種類のメモリの容量もビット単位で表現していた。
  3. ^ スーパーマリオワールド』(任天堂)など。
  4. ^ ファミリーコンピュータの例であれば最大の容量のカートリッジを用いたのは『メタルスレイダーグローリー』(ハル研究所)の8メガビット。スーパーファミコンでは『テイルズ オブ ファンタジア』(ナムコ)・『スターオーシャン』(エニックス)の48メガビットである。
  5. ^ 主に650MB、700MBの物が市販でも流通している。
  6. ^ ただし岩崎は、上記の理由を挙げこれを否定している。
  7. ^ 参考値としてパソコンのデスクトップサイズのビットマップ画像(1,024×768ピクセル、色深度 24ビット、無圧縮)が大体2メガバイトとなる。
  8. ^ 例外を除き各媒体の容量はDVD-ROM4.7~8.5ギガバイト、Blu-ray Disc25~128ギガバイト、フラッシュメモリは数メガバイトから100ギガバイト単位まで幅がある。

関連項目[編集]