モーセの発見 (ヴェロネーゼ、プラド美術館)
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スペイン語: Moisés salvado de las aguas del Nilo 英語: The Finding of Moses | |
作者 | パオロ・ヴェロネーゼ |
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製作年 | 1580年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 57 cm × 43 cm (22 in × 17 in) |
所蔵 | プラド美術館、マドリード |
『モーセの発見』(モーセのはっけん、西: Moisés salvado de las aguas del Nilo、英: The Finding of Moses)は、イタリア・ルネサンスのヴェネツィア派の巨匠パオロ・ヴェロネーゼが1580年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である[1]。ヴェロネーゼ、またはヴェロネーゼと彼の工房で制作された8点の同主題作のうちの1点である[2]。本作は、17世紀にヴェネツィアのデッラ・トッレ侯爵夫妻 (Marquis and Marchioness della Torre) の家に掛けられていた作品とおそらく同定される[1]。スペインでは、1666年のマドリードの旧王宮の目録に最初に記録され、現在はプラド美術館に所蔵されている[1][3]。
作品
[編集]モーセは『旧約聖書』の人物で、ファラオによるエジプト統治時代に生まれた[1][3]。ファラオは自国で増え続けるイスラエル人を恐れ、彼らの繁栄を断ち切る決心をした。そして、「生まれてくる男の子はみなナイル川に投げ込むのだ」 (「出エジプト記」1:22) と命じた[3]。モーセの母は、虐殺を逃れるために生後3ヶ月のモーセを川岸に捨てた。モーセは拾われて命を取り留めたが、救ったのはファラオの娘と侍女たちであった (「出エジプト記」2:5-6)[1][3]。
ヴェロネーゼは、この主題を当時のヴェネツィア近郊の別荘の周辺で1人の貴婦人に起きた出来事のように表現している[3]。上述の「出エジプト記」には記述されていない小人が描かれているが、16世紀のヨーロッパの宮廷にはしばしば小人がいた[1]。美術史上で、宗教的主題の作品がこれほど世俗的に扱われたことは稀である[1]。作品には、弾けるような筆致や豊かな色彩といったヴェロネーゼの技法が凝縮されている[3]。
ヴェロネーゼは本作以外にも工房作を含め同主題の作品を残しているが、その中には本作やナショナル・ギャラリー (ワシントン) にあるもののように縦長のものもあれば、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館にある作品のように横長のものもある[3]。
ヴェロネーゼの同主題作
[編集]- 『モーセの発見』、ナショナル・ギャラリー (ワシントン)
- 『モーセの発見』、リヨン美術館
- 『モーセの発見』、アルテ・マイスター絵画館 (ドレスデン)
- 『モーセの発見』、ディジョン美術館
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g “Moisés salvado de las aguas”. プラド美術館公式サイト (英語). 2023年10月3日閲覧。
- ^ L. Cirlot (ed.), Museo del Prado II, Col. «Museos del Mundo», Tomo 7, Espasa, 2007, pág. 173
- ^ a b c d e f g プラド美術館ガイドブック 2016年、278頁参照。
参考文献
[編集]- 『プラド美術館ガイドブック』、プラド美術館、2016年刊行 ISBN 978-84-8480-353-9