ロジスティック回帰

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ロジスティック回帰(ロジスティックかいき、: Logistic regression)は、ベルヌーイ分布に従う変数の統計的回帰モデルの一種である。連結関数としてロジットを使用する一般化線形モデル (GLM) の一種でもある。1958年デイヴィッド・コックス英語版が発表した[1]。確率の回帰であり、統計学の分類に主に使われる。医学や社会科学でもよく使われる[要出典]

モデルは同じく1958年に発表された単純パーセプトロンと等価であるが、scikit-learnなどでは、パラメータを決める最適化問題確率的勾配降下法を使用する物をパーセプトロンと呼び、座標降下法準ニュートン法などを使用する物をロジスティック回帰と呼んでいる。

概要[編集]

ロジスティック回帰モデルは以下のような形式である。x が入力で、pが確率(出力)、αとβがパラメータ。


ここで、n 個のユニットと共変動 X があり、以下のような関係にある。

結果のオッズ(1から確率を引いたもので確率を割った値)の対数は、説明変数 Xi の線形関数としてモデル化される。これを次のようにも表せる。

単純パーセプトロンの記法を使うと上記の式は以下のようにも表現できる。 は標準シグモイド関数

パラメータの推定はオッズ比に重大な影響がある。性別のような2値の説明変数の場合、 は例えば男性と女性の結果のオッズ比の推定である。推定には最尤法を使うことが多い。

このモデルの拡張として多分割(polytomous)ロジスティック回帰がある。複数カテゴリの従属変数や順序のある従属変数を扱う。ロジスティック回帰による階層分けを多項ロジットモデルと呼ぶ。

応用[編集]

社会科学分野での典型的な応用として、企業の過去のデータをもとに信用リスクを推定するという用法がある。

2値ロジスティック回帰はダイレクトマーケティングでよく使われ、ある提案に反応する人々を特定するのに使われる(従属変数は「反応する=1」と「反応しない=0」である)。ダイレクトマーケティングの2値ロジスティック回帰モデルは「リフトチャート」を使って評価される。これは、過去のメールへの反応のデータとモデルによる予測結果を比較する。

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ロジスティック回帰モデルは一般化線形モデルの一種である。p(x) が、予測値変数 x について成功の確率を表すとすると、次のように表される。

代数的操作を施すと次のようになる。

ここで、 は成功のオッズである。ここで、例えば p(50) が 2/3 となる場合であるとして計算してみると

したがって、x = 50 のとき、成功の可能性は失敗の2倍(オッズが 2 対 1 )である。

脚注[編集]

  1. ^ Cox, DR (1958). “The regression analysis of binary sequences (with discussion)”. J Roy Stat Soc B 20: 215–242. 

参考文献[編集]

  • Agresti, Alan, Categorical Data Analysis, 2nd ed., New York: Wiley-Interscience, 2002, ISBN 0-471-36093-7.
  • Amemiya, T., Advanced Econometrics, Harvard University Press, 1985, ISBN 0-674-00560-0.
  • Balakrishnan, N., Handbook of the Logistic Distribution, Marcel Dekker Inc., 1991, ISBN 0824785878.
  • Green, William H., Econometric Analysis, fifth edition, Prentice Hall, 2003, ISBN 0-13-066189-9.
  • Hosmer, David W. and Stanley Lemeshow, Applied Logistic Regression, 2nd ed., New York; Chichester, Wiley, 2000, ISBN 0-471-35632-8.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]