処格

ウィキペディアから無料の百科事典

処格(しょかく、ラテン語 casus locativus, 英語: locative case)とは、名詞形容詞の一つで、場所を示す。 所格地格位格依格於格などともいう。

サンスクリットにおいては独立の格形を保っているが、古典ギリシア語では与格に、ラテン語ではごく一部の名詞を除いて奪格に吸収された。ラテン語で書かれた書物のにおいて、出版地は処格形で示されている。また、スラヴ語では常に前置詞を伴うため、前置格(露:предложный падеж)という。ただし、チェコ語では6格と呼ぶ場合もある。

ウラル語族の一部(ハンガリー語フィンランド語等)では、処格に相当するものとして複数の格(内格出格入格接格向格等) が独立に存在する。

日本語[編集]

日本語では格変化を持たない。その代わりに処格に対応する以下の格助詞を付加する。

  • 存在・移動に関する動詞(ある、いる、住む、座る、行く、着く、置く、移る、移す、など:処格を必須のとして取るものが多い)に対しては「に/へ」[1](英語前置詞の「to」に相当)
  • それ以外の動詞に対しては「で(にて)」[2](英語前置詞の「at」に相当)と使い分ける。

朝鮮語でも類似の使い分け(「에」と「에서」)がある。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 「に/へ」には「与格」に相当する用法もある。
  2. ^ 「で」には「具格」に相当する用法もある。

関連項目[編集]