大塚明夫

ウィキペディアから無料の百科事典

おおつか あきお
大塚 明夫
2018年 東京ゲームショウにて
プロフィール
本名 同じ[1]
愛称 明夫さん[2][3][4][5]
性別 男性
出生地 日本の旗 日本東京都新宿区歌舞伎町[6]
出身地 日本の旗 日本・東京都国立市[6]
生年月日 (1959-11-24) 1959年11月24日(64歳)
血液型 B型[7][8]
職業 声優ナレーター[9]俳優
事務所 マウスプロモーション[10]
配偶者 あり(離婚歴あり)
著名な家族 大塚周夫(父、2015年没)[5][11]
富沢亜古(再従姉弟)
公式サイト 大塚 明夫|所属タレント|マウスプロモーション
公称サイズ(時期不明)[12]
身長 / 体重 182 cm / 73 kg
活動
活動期間 1988年 -
デビュー作 シルバー(『あいうえおアニメ 世界名作童話全集』)
声優テンプレート | プロジェクト | カテゴリ

大塚 明夫(おおつか あきお、1959年昭和34年〉11月24日[7][8][13] - )は、日本声優ナレーター[9]俳優東京都新宿区歌舞伎町出生、国立市出身[6]マウスプロモーション所属[10]。父は声優の大塚周夫[5]

来歴

生い立ち

東京都新宿区歌舞伎町にあった新宿赤十字産院(後の新宿赤十字病院)で生まれ、小学校入学時に国立市へ転居[6]

役者として活動する前は、役者である父の周夫とうまくいっておらず「誰が役者になんかなるか!」と息巻いて大学を中退。製薬会社に勤めるが、3、4日で退社し、父の周夫に「会社をやめてきたので、居候させて」と言っていた[14]。その後、マグロ漁業の船に乗ろうと考えていたが、歯の治療が間に合わず、乗る予定だった船も座礁して乗れなかったという[11]。23歳まではトレーラーの運転手をしていた[15]。その後、「ちょっと待てよ?」、「このままこの仕事を続けていても、歳を取ったとき、同じように働き続けるのは難しいのではないか」と考えるようになり、毎日の生活がルーティーンになっていることに退屈し、モヤモヤを解消しようと月給のもらえる社会人からドロップアウト[16]。そのころ、ある女性を好きになったものの、その女性には劇団員の彼氏がおり「男の人は夢があるほうが素敵」と言われ交際を断られたことがきっかけとなり、「役者になってやる」と発奮する[15]

それまで中途半端に生きていたため、選択肢が多いわけではなく、その限られた選択肢の中で「乾坤一擲、夢があるほうに進もう。」と考えて、役者の世界に足を踏み入れる[16]。母とは「30歳で目処がつかなかったら辞める」という話をしており、「目処は付くはずだ」という自信があったが、「みんなも夢を持とう!」とは決して言えなかった[16]

キャリア

最初は仲代達矢主宰の無名塾の入所試験に臨み、受験者1000人中6人まで選考に残ったが[14]、塾長の仲代の方針でその年は女性しか取らないということで落選[5]。次に父から学費17万を借りて、文学座の養成所である文学座演劇研究所に入所するも、研修生には残れず1年で卒業[11]。その後、賀原夏子主宰の劇団NLT[16]井上ひさし主宰のこまつ座に入団する[11]。しかし生活が苦しく、父から声優の仕事を紹介され[8][17]、現在に至っている[15]

声優デビュー作はOVA『あいうえおアニメ 世界名作童話全集』のシルバー[18]

デビュー後から現在まで一貫してマウスプロモーションに所属しているが、明夫はデビューから支えてくれた納谷六朗と妻の光枝、息子の僚介に恩義を感じているため、今後も移籍については考えていないという[19]

2006年3月25日、「東京国際アニメフェア2006」で開催された「第5回東京アニメアワード」で、声優賞(『ブラック・ジャック』)を受賞。

現在まで

2012年10月に開催された「マチ★アソビ vol.9」の「ニュータイプアニメアワード2012」にて男性声優賞を受賞し、ライダー(『Fate/Zero』)で男性キャラクター賞を同じく受賞している。また、2015年に「第9回(2014年度)声優アワード」にて富山敬賞を受賞[20]

2015年3月26日、自身初めての全編、著作『声優魂』を星海社より出版。帯には「声優だけは やめておけ。」というキャッチコピーが書かれている[21]。この帯の言葉は大塚がつけたわけではなく、「まさかあんなセンセーショナルな帯になるなんて、僕はちっとも予想してなかった」と述べている[22]。『声優魂』出版後、その内容を受けて、本気で声優を目指している若者に向けた少人数制の特別講義が企画され、同年9月、星海社が運営するウェブサイト「ジセダイ」上にて「ジセダイクリエイティブブートキャンプ」と題されサイト上にて参加者を募集。10月に開催された「マチ★アソビ vol.15」にて、講師に大塚と納谷僚介(マウスプロモーション代表取締役社長)の2名を迎え、1日1回限りの講義が行われた。このワークショップの模様は書籍化され、2016年6月、大塚の2冊目の著作『大塚明夫の声優塾』として出版された。

2016年5月10日、「ファミ通アワード2015」にて『メタルギア』シリーズのスネーク役として「男性キャラクターボイス賞」を受賞[23]

2017年1月7日、マウスプロモーションのHPにて結婚したことを発表した[24]。1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第10位に選ばれる[25]

人物・特色

洋画吹き替えにおいて数多くの作品に出演[26]。低く渋い二枚目役を演じる[27]。初のゴールデンタイムでの主役の吹き替えは『レッド・スコルピオン』のドルフ・ラングレンである。スティーヴン・セガールニコラス・ケイジデンゼル・ワシントンを専属、ドルフ・ラングレンやアントニオ・バンデラスデニス・クエイドサミュエル・L・ジャクソンウェズリー・スナイプスリーアム・ニーソンハビエル・バルデムなどの吹き替えを数多く担当。過去にはジャン・レノジェフ・ブリッジスアーニー・ハドソンマイケル・マドセンアーノルド・シュワルツェネッガーキーファー・サザーランドなどの吹き替えも多く担当していた。『水曜シアター9』の放送開始予告にはセガールの出演した映画の映像が使われているが、その流用された映像の吹き替えも大塚が担当した。『マスク・オブ・ゾロ』、『レジェンド・オブ・ゾロ』ではバンデラスが演じたアレハンドロ・ムリエッタ/怪傑ゾロの吹き替えを担当しているが、『それいけ!アンパンマン』でも怪傑ゾロをモチーフとしたキャラクター・ナガネギマンを演じており、歌唱も披露している。また、銀河万丈玄田哲章と並んでアーノルド・シュワルツェネッガーとシルヴェスター・スタローンの両者を吹き替えた経験を持つ数少ない人物でもある。

その他、ナレーションアニメゲームでの出演作品も多数。代表作の1つ、ブラック・ジャックは元々は俳優の内藤剛志が演じる予定であったが、内藤が急病で降板することになったため急遽代役として演じたことがきっかけとなった[28]

週刊アスキー』(アスキー・メディアワークス→現角川アスキー総合研究所)連載「進藤晶子のえ、それってどういうこと?」での対談にて、「いい声優は、いい役者でもあるはずです」と語っている。また、本人は吹き替えという仕事があることを光栄に思っており、「世の中に吹き替えがもっと浸透してほしい」と語ったこともある[29]

顔出しNGの声優ではなく、2015年11月16日放送のバラエティ番組『しゃべくり007』(日本テレビ)での松坂桃李が「いま、会いたい人」として大塚の名を挙げたものの出演はなく、その理由を日本テレビ側が「顔出しNGのため来られませんでした」とスタッフが説明したことについても、大塚は「え?私は別に顔出しNGではないのだが... まいっか!」と明確に否定している[30]。なお、松坂とは後に『モンスターハンター』の吹き替えに参加する形で共演した。

「『特技は空手』とプロフィールにあるが、やっていたのは若いころだけ」と『稲村優奈と川瀬晶子のAAAで行こう!!』(ラジオ大阪アニメイトTV・アニ★ロコ)で語った。

中学生の時に、『燃えよドラゴン』が封切られたため、ブルース・リーに気が狂ったように入れ込む[31]。中学3年生で少林寺拳法を習い、高校生までしていた[31][5]。大学に進学後は空手部に所属していた[31]

大型自動車牽引自動車普通自動二輪車大型自動二輪車運転免許を取得している。自動車はマニュアル車が好きで、イタリア車を保有していると『攻殻機動隊』のインタビューで語ったところがある[要出典]

その他エピソード

父との関係

頑固者の父との関係はなかなか難しいものがあったと回想している。しかし、父同様に役者の道に進み、さらに声を中心とする声優業が中心となったことで、次第にしっくりいくようになったと語る。「弟は役者ではないので、『未だに親父と何を話していいか分からない』とよく言っている」とのことである[32]。以前は周夫との共演は「あ、親父がクレジットに出てる。やだなあ」と照れていたが、お互い元気な内に何か芝居を創りたいとも語っていた。周夫に「(財産もないし)何も遺してやれなくてごめんなぁ」と言われた際に、「俳優として一番大切なものを遺してもらった」と返した。周夫がそれは何かと問うと「血だ」と答え、それに感動したと、周夫は後年インタビューなどで度々口にしていた[32]。また周夫は「感性に生きる仕事を選んでくれたことは嬉しい」とも語っている[33]

幼少時代は、周夫が『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)(第2作)』でねずみ男の声を演じていたことで「小ねずみ男」「ねずみ小僧」などとあだ名され、いびられたことがあり、このことを友達に明かしたことを後悔したという[33]。また、明夫が赤ん坊のころに、母親が不在で周夫が今日中に読まないといけない台本を読んでいたという際に、明夫が大泣きしたため、「うるさい」との理由で押し入れに閉じ込められたことがあったとも語っている[33]。このエピソードを明夫自身は「(役者としての父親が)そうするのも無理は無い」とし、「役者になっていなかったら(父親の)そういった心境も理解できなかっただろう」という趣旨のコメントした[33]。『ストレンヂア 無皇刃譚』のオーディオコメンタリーでは周夫の演じたねずみ男を真似て自己紹介し、山寺宏一から「それはお父さんの役じゃないですか」とツッコミを受ける一幕を見せた。その後、『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』に『鬼太郎』のキャラクターがゲスト出演した際には、明夫がねずみ男を演じている[34]

メタルギアソリッド4』では、オールド・スネークビッグ・ボスという親子役を親子で演じている[注 1]。また『メタルギアソリッド3』のネイキッド・スネークと前述のビッグ・ボス、『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』のゼアノートなど同一人物の壮年期と老年期、『バビル2世』のヨミのようにシリーズこそ違うが、1つの役を親子2代で演じた例もある。

また、『荒野の七人』を飛行機の機内で上映することになっていた際、予算の都合上で吹き替えを担当した声優が呼べず、若い者を起用しようということになり、「自分の息子なら文句ないだろう」として、明夫がチャールズ・ブロンソンの吹き替えを担当したことがあるという[33]。しかし吹き替えを担当した際、明夫の耳にはその場にいないはずである周夫の「違うなぁ」という声が聞こえてきたという[33]。その後2004年に放送された『レッド・サン』のテレビ東京版では周夫がブロンソン、明夫が三船敏郎の吹き替えで共演した。また2018年の映画『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』の日本語吹き替え版では、ブロンソンの「そっくりさん」俳優であるロバート・ブロンジーの吹き替えを周夫に近づけた声色で担当した。

2015年1月25日放送のテレビ東京系で放送されたバラエティ番組『SMAPの中間管理職・稲垣&草彅コンビ初MC「1位じゃなくっていいじゃない」』で、ナレーターとして父の周夫と一緒に自身の名前を連ねたが、事実上これが最後の親子共演となった。その後、2015年5月4日より父が長年演じていた『忍たま乱太郎』の山田先生(山田伝蔵)を引き継ぐことになった。その後も先述した『妖怪ウォッチ』での『鬼太郎』のねずみ男、リブート版の『チキチキマシン猛レース』のブラック魔王、『キングダム ハーツ』シリーズのマスター・ゼアノートなど、周夫がかつて演じた役を引き継いでいる。明夫は「結構そういうのがあってね。『たぶん周夫さん枠なんだろうな』という仕事もあって、周夫さんぽくやってみると喜んでもらえたりする。調子に乗ってよくやるんだけど」と語っている。また「(父の)セリフ回しだったりとかが残っていて。そこを親父だったらどう演じるだろうと探っていって音に出してみると、親父がまだ生きているような、会えるような気がするんだよ」とも語っていた[35]

交友関係

声優の矢尾一樹國學院大學久我山高等学校の同級生[36]であり、俳優の宇梶剛士国立市立国立第七小学校国立市立国立第一中学校[37]の後輩にあたる[6]

作品との関わり

メタルギアソリッドシリーズ
ゲームの『メタルギアソリッド』シリーズでは、主人公ソリッド・スネークの声優をずっと務めているため、かなり思い入れがあるとTGS2006で語っている。同じくTGS2006で小島秀夫が大塚との対談時に「スネークの動作には大塚さんの癖、タバコを吸うところなどを観察して取り入れている」と語っている。
スネーク役に抜擢された理由は、小島が『機動戦士ガンダム0083』のアナベル・ガトー役を観たことが決め手と、『HIDECHAN! ラジオ』第11回にて語っているが、そのほかにもう1つの理由としてメタルギアシリーズの隠れたテーマである「父を超える」に、親子で同じ職種である大塚父子がぴったり当てはまったから、ということも明かされた。同シリーズの『メタルギアソリッド4』は、ソリッド・スネークの父親にあたるビッグ・ボスが再登場するので、「ビッグ・ボスの声を周夫さんにやってもらいたい」と小島は大塚との対談時に語り、実現することとなった。
また、同作ではモーションキャプチャーにも挑戦している。『メタルギアソリッド ピースウォーカー』では、「声優」というスキルを持った本人がモデルの兵士が登場する(肩書きはベテランボイスアクター)。
2010年2月14日に開設された自身の公式ページでのコメント第一弾にもソリッド・スネークの「待たせたな」という台詞が記載された。
元々は「ゲームをする大人」に対して良い印象を持っていなかったが、本作に出会ったことがきっかけで、自身もゲーム好きになったそうである。その後、とある日の深夜に庭に止めていたバイクを盗まれそうになるも、たまたま寝ずにテレビゲーム(『バイオハザード』)をやっていたために物音に気付き、泥棒を追い払うことができたという。
実写映画化が発表された2012年12月16日の『週刊プレイボーイ』でのインタビューでは、「映画では、どんな俳優さんにスネークを演じてもらいたいですか?」との問いに、「演技がうまいけど、ほかの映画のキャラのイメージがついていない俳優さんが理想かな。オールド・スネークなら、『エクスペンダブルズ2』に出ていたチャック・ノリスがヒゲを頬まで生やしていて、かなり雰囲気ありました。キャラクターの特性上、銃を乱射するわけにもいきませんが(笑)」とチャック・ノリスの起用を希望している[38]
スティーヴン・セガールの吹き替え
セガールの吹き替えは現在はテレビ、ソフト媒体を問わず一貫して吹き替えを担当しており、半ば使命感を持って務めていると語っている[39]
最初に務めた作品はセガールのデビュー作、『刑事ニコ/法の死角』の『日曜洋画劇場』の再録で、演出家の佐藤敏夫による抜擢であった[39]
当初、セガールの吹き替えは主に津嘉山正種玄田哲章谷口節などが務めており、自分も違った持ち味でやろうと考えていた中で演出家の佐藤に「あなたの好きなように演じなさい。評価されようとか考えずにやりなさい」と言われたことが力になりストレスを感じずにぽんと喋ったらハマったと語っている[39]。以後も大塚にとって『刑事ニコ』は思い入れの深い作品となったと語っている[39]
ほかのキャラクターを吹きかえる際は相手を恫喝する時はそういった声の出し方がセオリーを出す必要があるが、セガールの場合は「常に自分が勝つ」というシチュエーションのためにそれを一切やらなくていいため、木管楽器のようなトーンを心がけていると語っている[39]。また、大塚は以前合気道を習っていたが、習っていた合気道の師範は日本に滞在中のセガールも指導していたことを知り、同じ師の下で武術を習っていた共通点に非常に驚いたという[39]
ニコラス・ケイジの吹き替え
男らしく低音で喋る俳優陣を数多く演じてきた大塚のキャリアの中でもケイジは異色の存在であり、先述のイメージを覆す高めの声で演じている。「彼の芝居は当てていて楽しいんです」と大塚自身もケイジの吹き替えを大変気に入っているとのことである[40]
大塚はケイジについて「ニコラス・ケイジって、なんでも演じるんです。しかも前のめりに一生懸命演じている。彼は作品を、"役がおもしろいか"どうかで選んでいると思います」と分析している[41][42]。大塚は自身の『声優論』において「どれだけ喋ってもギャランティーは変わらない」という声優業界の厳しい収入事情の例として、ケイジの主演作『アダプテーション』の主役の双子の兄弟、チャーリーとドナルド(どちらもケイジが演じており、声も両方大塚があてた)を演じたエピソードを挙げており「これがきつかった。なにしろ、メインキャラクター2人分を1人でアフレコするのです。台本の3分の2近くは喋ったでしょうか。思わず『2人分のギャラをくれよ』とぼやいてしまったものです(もちろんもらえませんでした)。ともあれ、声優のギャラは"発声量"には比例しない、ということです」と非常に辛い収録であったと述べている。しかし、ケイジの吹き替えを長年に渡り演じているために思い入れも強く「一方的に僕は(ケイジが)友人のような気がしているんですよ。彼の呼吸を自分に写しとって芝居をしているものだから、親しみ深い気がしてきましてね。そんな彼が、映画のなかでコミカルな演技をしようと一生懸命もがいている姿を観て、よし、これは僕もやんなきゃなって」と語っており、他人とは思えない存在であると同時に日々勇気付けられていると語っている[43]。また、『オレの獲物はビンラディン』の予告編のナレーションを務め終えた際には、「ニコラス・ケイジは、非常に演じがいのある俳優。『オレの獲物はビンラディン』も、“これはぜひやりたいな”と思っていたので、声優魂に火がつきました!!」とケイジへの強い愛情に満ちたコメントを寄せている[44]
マッシブ・タレント』の公開時には「初めてニコラス・ケイジを演じた『コットンクラブ』から30年以上が経ち、彼の芝居を長いことトレースして呼吸を合わせてきたからこそ、どんな仕事でも本気で挑んでいるのが伝わってきます。彼の仕事に対しての姿勢はとても他人事とは思えません」と敬意を表すると同時に、思い入れのあるニコラス・ケイジの作品に『フェイス/オフ』と前述の『オレの獲物はビンラディン』の2作品を挙げ「演じがいがありました」と回想。『シティ・オブ・エンジェル』や『リービング・ラスベガス』など、演じられなかったケイジの作品にも「ぜひ機会があれば挑戦してみたいですね。もう若い頃の声は演じられませんが(笑)」と意欲を見せている。また、100本以上も出演作のある役者であることから、大塚自身はケイジを演じる機会に恵まれたことを嬉しく思っているという[45]
スパイダーマン:スパイダーバース』では原語版でケイジが演じたスパイダーマン・ノワール役の吹き替えを担当したが、音響監督の岩浪美和は原語版の声優がケイジであると知らずに大塚を配役したため、偶然の一致であった。このことに関して岩浪は「ああ、やはりみんな考えることは一緒だな、と思いました」と感動を覚えたという[46]
2023年にはケイジが来日し、小島プロダクションに訪れる出来事があったが、この際大塚は「なんで呼んでくんないのー」と小島を介してケイジと対面するチャンスを逃したことを心残りに思う旨のコメントをしている[47]
デンゼル・ワシントンの吹き替え
デンゼル・ワシントンについても『グローリー』(ソフト版)以降、大半の作品で担当し、ほぼ専属(フィックス)となっている[16]
以前はデンゼルの出演作の日本語版に別役で出演しており、『青いドレスの女』ではトム・サイズモアの吹き替えを担当していたが、その際デンゼルを吹き替えていた山寺宏一(大塚に先駆けデンゼルを多く担当)の演技について「彼(デンゼル・ワシントン)の喋り癖を本当に上手につかまえている」と称賛していた。後に自身がデンゼルの吹き替えを務める際には山寺の演技を脳内でシミュレートした上で取り入れていたと明かし、その経験から近年デンゼルを務める際には「よく(山寺を差し置いて)俺にまわってくるな」と不思議に感じていると話している[48]
その他の担当俳優について
ドルフ・ラングレンの吹き替えについては「太い顎が特徴的な方ですが、どうしても僕はジャパニーズですから顔の形状が違うわけです。なるべく骨格から出てくる様な声に近づければと思いつつも、それだけにとらわれちゃうとお芝居がお留守になっちゃうので、そのバランスを考えながら演じています」と述べている[49]
アントニオ・バンデラスは『愛よりも非情』で初担当。バンデラスについては『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で担当した際に「彼はほんとに芝居が好きなんだなぁと実感します」と評している[50]
デニス・クエイドは『ワイアット・アープ』(ソフト版)で初担当。大塚は自身が担当した作品の中でも『オーロラの彼方へ』(日本テレビ版)と『ドラゴンハート』(ソフト版・日本テレビ版)の二作品が特に思い入れ深いと公言しており、「忘れられないなあ」と語っている[51]
リーアム・ニーソン津嘉山正種石塚運昇に次いで多く吹き替えている。自身のSNSではニーソンの代表作の一つである『96時間』の吹き替えを担当できなかったことが心残りであったと述べている[52]
ブラック・ジャック
当初は俳優の内藤剛志ブラック・ジャック役の声優としてキャスティングされていたが、急病のために降板[53]。別役で出演のためスタジオにいた大塚が音響監督山田悦司によって[54]代役に抜擢され、そのまま声優が変更されることはなく、以後ピノコ役の水谷優子と共にOVA・劇場版・テレビスペシャル・テレビレギュラー放送すべてのシリーズに出演している。アニメ『ヤング ブラック・ジャック』ではナレーション(=現在のブラック・ジャック)を担当(アニメの主人公=若き日のブラック・ジャックの声は梅原裕一郎)。
セガサターン版『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のサントラCDでのコメントにて、代表作に『ブラック・ジャック』を挙げる際に「ピノコやりたかったな」などと冗談をほのめかしていた。
今日からマ王!
『今日からマ王!』最終話後に監督の西村純二から作品の裏話として、フォンヴォルテール卿グウェンダルの青年時の声をだめで元々と願い出たところ、一応のアフレコを希望。そのまま、声を担当することになった。しかし17歳前後の役に苦闘し、「声優人生最大のピンチ」と言っていたと監督に楽しげに逸話を披露している(この逸話は作品の関連書籍にも記述されており、先にこの話が出たのは関連書籍の方である[要文献特定詳細情報])。
Fate/Zero
ライダー(イスカンダル)について「長年仕事をしていても滅多に出会えないホームラン級の素敵な役」[55]「神様ありがとう」[53]と絶賛している。その理由として、普段スネークやブラック・ジャックなど闇を抱えた男を演じることが多い中、闇は無いと豪語する役であったことや、実写映画や舞台では表現しえないダイナミックな人物であることを挙げている。また、作中一番印象的だったシーンとして「言葉による全力の戦い」である聖杯問答のシーンを挙げている。
スーパー戦隊シリーズ
スーパー戦隊シリーズでは悪役として度々出演している[26]。そのため『宇宙戦隊キュウレンジャー』のチャンプ / オウシブラック役のオファーが来た際も最初は悪役だと思い、ヒーロー役だと聞かされ驚いたという[26]。同作品メインライターの毛利亘宏は、配役が決定する前から大塚で当て書きしていたと述べている[56]
中盤でチャンプが大破し、一時的に物語から離脱するという展開は、大塚のスケジュールの都合によるものである[56]
次元大介
ルパン三世』シリーズにおいては、2021年放送開始の『ルパン三世 PART6』から次元大介役を担当。1971年のアニメ放送開始から50年以上にわたり次元を演じた小林清志が高齢で勇退し、その後任という形での起用となった[57]。なお、起用前には複数の作品でゲストキャラクターとして出演している[注 2]
起用に際しては、オーディションなどではなくオファーを受けたという。大塚は嬉しい思いの反面、子供のころから次元に憧れていることや「次元大介はほぼ清志さん」と思っていることなどから「次元大介のビジュアルから清志さん以外の声が聞こえるのは、僕自身が納得しかねる」と悩んだが、「人がやってるのを見て寂しい気持ちになるよりかは、自分が叩かれれば済む」と思い立ちオファーを受諾した[58][59][60]
上述の経緯から、「演技に関しては我流にせず、小林が築き上げた次元像を踏襲していきたい、その中でシンクロできない部分を自身の個性としてにじめば良い」という姿勢である旨の発言をしている[60]。また、収録は小林に会わないまま始まったが、1クール目収録後に発表された小林からのメッセージ(詳細は「小林清志#勇退」を参照)で今後の演じ方のヒントとなる言葉を貰え先の道が見えたといい、「ありがたいですし……涙が出そうになりました」と語っている[61]
大塚は、上述の小林のメッセージへの返答として以下のコメントを発表している[58]
身が引き締まりました。

清志さんの想い、 たしかに掴んで離さないよう精進します。

思えば僕は大魔王シャザーンで清志さんの声に出逢い、妖怪人間ベムを経て、そして次元大介に憧れました。小学5年生だったと思います。 清志さんが50年をかけて生命を吹き込んだ次元大介は、もはや清志さんそのものだと思っています。 次元大介から清志さんじゃない声が聞こえてきたらイヤです。もしかしたら誰よりも。 だからこそ、そんな自分さえも納得させ得る次元大介になろうと 勝手乍ら心に決めました。 江戸の粋、江戸っ子、JAZZ、胸にしっかり刻んで

バトン、受け取らせていただきます!

— 大塚明夫[58]

出演

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ

1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年

劇場アニメ

1989年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
2000年
2001年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年

OVA

1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2013年
2015年
2017年
  • 天地無用!魎皇鬼 第四期(柾木 阿主沙 樹雷)
2019年
2020年

Webアニメ

2000年代
2010年代
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年

ゲーム

時期不明
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年

吹き替え

担当俳優

アーニー・ハドソン
アーノルド・シュワルツェネッガー
アントニオ・バンデラス
ウィリアム・サドラー
ヴィン・ディーゼル
ウェズリー・スナイプス
エド・ハリス
エリク・ラ・サル
オデッド・フェール
ガブリエル・バーン
キーファー・サザーランド
クライヴ・オーウェン
サミュエル・L・ジャクソン
ジェームズ・ウッズ
ジェフ・ブリッジス
ジャン=クロード・ヴァン・ダム
ジャン・レノ
ジョシュ・ブローリン
ジョナサン・フレイクス
スティーヴン・セガール
テッド・ダンソン
デニス・クエイド
デンゼル・ワシントン
トニー・トッド
トム・サイズモア
  • 青いドレスの女ドウィット・オルブライト
  • ヒート(マイケル・チェリト)※テレビ朝日版(製作20周年記念ブルーレイ収録)
  • レリックヴィンセント・ダガスタ刑事
ドルフ・ラングレン
ニコラス・ケイジ
ニック・ノルティ
ハビエル・バルデム
マイケル・ヌーリー
マイケル・マドセン
ユルゲン・プロホノフ
  • インターセプター(フィリップス)※テレビ東京版
  • 対決バラチェフ大佐)※テレビ東京版
  • ビバリーヒルズ・コップ2(マックスウェル・デント)※テレビ朝日版
  • U・ボート艦長)※テレビ東京版
リーアム・ニーソン
リチャード・ノートン
ロバート・ギンティ

映画(吹き替え)