曲技飛行隊
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曲技飛行隊(きょくぎひこうたい、英:aerobatic team、エアロバティック・チーム)とは、航空機を用いて曲技飛行(芸術的な機動など)を行い、地上の観衆にアピールを行う航空隊のこと。
「アクロバット・チーム」「デモ・チーム」「ディスプレイ・チーム」とも呼ばれる。
航空ショーでのアトラクションの他、イベント会場上空を飛行することもある。
概要
[編集]航空史の初期においては、航空機は単純な飛行を行う能力しかなかった。航空機が発達するにつれて、その飛行能力は向上し、様々な運動を行えるようになった。例えば、急上昇や急降下、低空を高速で航過することなどである。様々な機動が行えるようになって、一部のパイロットはその機動・曲技飛行を地上の観衆に見せるようになった。運動性の高い戦闘機が考案された第一次世界大戦以降においては、各国で曲技飛行が行われるようになっていた。
現代の曲技飛行隊は、各国空軍・陸軍における事実上の広報部隊として設置されているものが多い。練習機や戦闘機、ヘリコプター(一部の陸軍部隊)を用いて曲技飛行を行っている。軍の部隊の曲技飛行では、芸術的・アクロバティックな運動のほか、多数機による構成であることを生かした編隊機動を行っている。機体自体も広報目的であるため、迷彩塗装などではなく、国旗やナショナルカラーなどに由来した派手な塗装をしている。稀にではあるが、PRなどを兼ねて機体塗装のデザインが一般公募される事もある。
他に軍の曲芸飛行隊の目的としては、最先端操縦技術の開拓・練成、外国に対し自国パイロットの練度を示威する目的も付随するとする考え方もある。これらの事から、総じて軍の曲芸飛行隊においては、全組織を見渡しても特に優秀な技術を持つパイロットやその候補者と位置づけられている者が配属されるのが常套である。
正式な曲技飛行隊以外にも、部隊の有志によるデモ飛行隊や、基地に所属する部隊が航空祭などで臨時に編成する飛行隊もある。
軍以外にも興業業者などの曲技飛行隊があり、この場合、主にスポーツ機を利用した飛行展示を行っている。
曲技飛行
[編集]アメリカンスタイルと言われるショーアップされた曲技飛行においては、パイロットが航空機に乗り込む前から観衆にアピール(ウォークダウン、ウォークバック)を行っている。日本のブルーインパルス、アメリカのサンダーバーズ、ブルーエンジェルスがこれに当てはまり、パイロット搭乗、エンジン始動、機体点検、離着陸後のタキシング等から演技に含まれており、離陸時においても、編隊離陸や単独機による急上昇離陸などが行われる。これに対し、ヨーロピアンスタイルのチームであるイタリアのフレッチェ・トリコローリ、イギリスのレッドアローズ、フランスのパトルイユ・ド・フランス等は地上での演技を行わず、展示飛行のみを実施している。
飛行展示中は、編隊や単独機での急上昇や急降下、横転、宙返りを始めとする様々な機動を行う。またスモークを用いて航跡を示し、絵や文字を描く課目もある。
曲技飛行隊の一覧
[編集]日本
[編集]- 民間
- 室屋義秀<機体:エクストラ EA-330S、EA-300L、EA-300SC> - 福島スカイパーク。個人での展示飛行以外にも航空祭などで臨時のチームを編成している。
- ウイスキーパパ競技曲技飛行チーム[1]<機体:エクストラ EA-300L> - 岡南飛行場。内海昌浩が世界選手権の日本代表チームを母体に結成。
- 栃木県航空協会レッドスバル[2]<機体:FA-200-180> - 大利根飛行場。2015年から曲技飛行の展示は中止している。
- TEAM GION<機体:エクストラ EA-300Lを予定> - 岡南飛行場。元航空自衛隊パイロットの山田健太郎が立ち上げたチーム[3]。
- エアロック・エアロバティックチーム<機体:ピッツS-2B、ピッツS-2C> - ロック岩崎が主催し、サニー横山などが参加していたチーム(解散)。
北アメリカ
[編集]アメリカ
[編集]- アメリカ海軍
- アメリカ空軍
- アメリカ軍の航空部隊では通常の航空機で機動飛行を披露する「デモチーム」が複数存在する。
- PACAF F-16 Demo Team <機体:F-16> - アメリカインド太平洋軍所属。三沢基地のアメリカ空軍第35戦闘航空団に所属するF-16がそのまま使われる。主に西太平洋地域で活動する[4]。
- F-22 Raptor Demo Team<機体:F-22> - ラングレー空軍基地に配備されたF-22の性能を披露するために基地祭などで機動飛行を披露している。
- 民間
- 多数のチームがあるためWikipediaに項目があるチームのみ記載。
- スターファイターズ <機体:F-104>
- アメリカ陸軍スカイ・ソルジャーズ <機体:AH-1 コブラ> - アメリカ陸軍の名を冠するが、退役軍人により構成、運営される民間の団体である。固定翼機ではなくヘリコプターを使用する非常に珍しいグループ。
カナダ
[編集]- カナダ空軍
- スノーバーズ <機体:CT-114チューター>
- CF-18 Demonstration Team <機体:CF-18 ホーネット> - 北米の航空祭に出張するデモチーム。毎年異なる塗装が特徴。
南アメリカ
[編集]ブラジル
[編集]- ブラジル空軍
- エスカドリラ・ダ・フマサ <機体:EMB-312>
チリ
[編集]東ヨーロッパ
[編集]ロシア
[編集]- ロシア航空宇宙軍
- 民間
ウクライナ
[編集]ベラルーシ
[編集]ポーランド
[編集]- ポーランド空軍
- ビアロ=チェルボネ・イスクリー <機体:TS-11 イスクラ、2022年解散>
- オルリク・エアロバティックチーム <機体:PZL-130>
クロアチア
[編集]ラトビア
[編集]- 民間
- バルチック・ビーズ <機体:L-39C>
チェコ
[編集]- 民間
- レッドブルがスポンサーを務める。レッドブルのオーナーであるディートリヒ・マテシッツが所有する機体をデモ飛行させるフライング・ブルズとは別のチーム。
西ヨーロッパ
[編集]イギリス
[編集]- イギリス陸軍
- アタック・ヘリコプター・ディスプレイ・チーム <機体:アパッチ AH.1>
- ブルー・イーグルス <機体:SA341 ガゼル、リンクスなど複数種>
- チヌーク・ディスプレイ・チーム <機体:チヌーク HC.4/5/6>
- イギリス海軍
- ブラックシーホークス<機体:ホーク>
- ブラック・キャッツ <機体:AW159 リンクス・ワイルドキャット>
- イギリス空軍
- 民間
- The Blades <機体:エクストラ EA-300>
- 元レッドアローズのベン・マーフィーがチームリーダーを勤める。
フランス
[編集]- フランス空軍
- パトルイユ・ド・フランス <機体:アルファジェット>
- 民間
- スイスのブライトリングのチームであるが本拠地はフランスであり、パイロットもパトルイユ・ド・フランス出身者が中心。
- ブライトリング・ウィングウォーカーズ <機体:ボーイング・ステアマン>
- 飛行中のボーイング・ステアマンの上部主翼に固定された女性がダンスを行う。
イタリア
[編集]- イタリア空軍
- フレッチェ・トリコローリ <機体:MB-339>
スペイン
[編集]- スペイン空軍
- 共に飛行教官が兼任。
- パトルーラ・アギラ <機体:C-101 アビオジェット>
- Patrulla ASPA <機体:ユーロコプター EC 120>
ポルトガル
[編集]- ポルトガル空軍
- アサス・ド・ポルトガル <機体:アルファジェット>
- ローターズ・ド・ポルトガル <機体:SA 319 アルエットIII>
スイス
[編集]フィンランド
[編集]- フィンランド空軍
- ミッドナイトホークス <機体:ホーク>
スウェーデン
[編集]- スウェーデン空軍
- 環境に配慮しスモークを極力使わず編隊飛行の演目が中心。
- 民間
- スカイキャッツ <機体:グラマン アグキャット>
- 農業用の複葉機であるグラマン アグキャットから農薬散布用の機材を撤去した改造機を使用。
- 夕暮れ時に大量の花火を使う演目や、翼の間と上で女性ダンサーが踊る演目が特徴。
ベルギー
[編集]- ベルギー空軍
- レッドデビルズ <機体:SF-260>
デンマーク
[編集]- デンマーク空軍
- ベビーブルー <機体:T-17>
ギリシャ
[編集]- ギリシャ陸軍
- ペガサス <機体:AH-64D アパッチ・ロングボウ>
- ギリシャ空軍
- ゼウス <機体:F-16>
オランダ
[編集]東アジア
[編集]中国大陸
[編集]台湾
[編集]- 台湾空軍
- 雷虎特技小組(サンダータイガース) <機体:AT-3>
韓国
[編集]東南アジア
[編集]フィリピン
[編集]シンガポール
[編集]インドネシア
[編集]マレーシア
[編集]タイ
[編集]ブルネイ
[編集]南アジア
[編集]インド
[編集]パキスタン
[編集]- パキスタン空軍
- シェルディルズ<機体:K-8>
西アジア
[編集]トルコ
[編集]- トルコ空軍
- ターキッシュ・スターズ(tr:Türk Yıldızları)<機体:NF-5>
- ソロ・テュルク(tr:Solo Türk) <機体:F-16>
ヨルダン
[編集]- ヨルダン空軍
サウジアラビア
[編集]アラブ首長国
[編集]- アラブ首長国空軍
- アル・フルサン<機体:MB-339>
イスラエル
[編集]- イスラエル航空宇宙軍
- IAF エアロバティックチーム<機体:IAI ツヅキット(~2010)、T-6A テキサン(2010~)>
オセアニア
[編集]オーストラリア
[編集]ニュージーランド
[編集]アフリカ
[編集]エジプト
[編集]モロッコ
[編集]- モロッコ空軍
- マルシェヴェルト<機体:CAP 232>