検索技術者検定

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検索技術者検定(けんさくぎじゅつしゃけんてい)は、一般社団法人情報科学技術協会が実施する情報検索技術検定。略称は「検索検定」。

概要[編集]

企業大学組織等において、研究開発やマーケティング、企画等のビジネスで必要とされる信頼性の高い情報を入手して活用できる専門家を認定する。これらの高度なスキルを持った人材は、企業、大学等の情報管理部門で情報調査の支援や利用者教育、情報分析と提供などを期待される「情報プロフェッショナル」であり、マネジメントの能力も必要とされる。1級、2級はこうしたプロフェッショナルを育成するもので、3級は情報調査のリテラシー能力を検定するものであり、上位級への入門的な位置づけになる。

1級[編集]

組織において情報検索業務に従事しており、実務経験が豊富な⼈、情報活動に関する⾼い知識とスキルを有する上級情報担当者等を想定。検索技術者検定2級(情報検索応⽤能⼒試験2級、データベース検索技術者認定試験2級含む)合格者であることが必要。

2級[編集]

組織において特許情報など情報検索業務に従事している人、あるいは自身のために情報収集活動を実施している人、大学で情報活用についての授業を履修した人、図書館員等を対象として想定。情報検索の情報源、データベース、検索システム、具体的な検索技術に加え、情報要求者とのコミュニケーション能力、問題解決に関する知識を認定。

3級[編集]

情報調査のリテラシー能力を検定する。一般の社会人や情報関係の授業を履修した大学生、専門学校生、図書館員等を対象として想定。 『検索スキルをみがく 第2版 -検索技術者検定3級 公式テキスト-』を勉強することで、合格に必要な知識を身に付けることができる。2013年までは「情報検索基礎能力試験」として実施されたが、情報調査環境の変化に伴い、出題範囲を見直すとともに名称も変更された。また、2020年からCBT形式に移行した。1993年から実施しており、毎年400人以上が受験。

実施時期と場所[編集]

1級、2級は例年11月末の日曜日に、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡などで行われる。

3級は2020年から会場型CBT(Computer Based Testing:コンピュータ画面に表示された問題に解答する)方式に変更した。実施期間は約6ヶ月、期間内に何回でも受験可能。

沿革[編集]

1985年~データベース検索技術者認定試験、情報検索基礎能力試験

1985年、同協会の前身である社団法人日本ドクメンテーション協会データベース検索技術者認定試験2級として実施。翌1986年には1級を開始、1989年科学技術庁(当時)の認定試験(2000年まで)となる。

1993年からは基礎的知識を試すものとして「情報検索基礎能力試験」を開始。

2003年~情報検索応用能力試験

2003年、検索技術や通信技術等の発展に伴い、「情報検索応用能力試験1級、2級」に改称

2014年~検索技術者検定

2014年、出題範囲及び名称を見直して「検索技術者検定」とし、基礎を3級に変更、段階的に受験できるようにした。翌2015年には試験30周年を迎えた。

2020年のは3級試験をCBT(Computer Based Testing)形式に移行させた。

公式テキスト[編集]

  • 2級用:『プロの検索テクニック 第2版 - 検索技術者検定2級 公式推奨参考書 - 』(情報科学技術協会監修、樹村房、2020年)[1]
  • 3級用:『検索スキルをみがく 第2版 - 検索技術者検定3級 公式テキスト - 』(情報科学技術協会監修、樹村房、2020年)[2]
旧テキスト
  • 2級用『情報検索の知識と技術 - 応用編 -』 (時実象一ほか編、情報科学技術協会、2015年)
  • 3級用『情報検索の知識と技術 - 基礎編 - 検索技術者検定3級対応テキスト』(吉井隆明編著、情報科学技術協会、2015年)
    • ←基礎用『情報検索の基礎知識 新版』(情報科学技術協会編・発行、2010年)

合格者団体[編集]

合格者の会として、サーチャーの会(東日本)、インフォ・スペシャリスト交流会(IS Forum)(西日本)があり、それぞれ30年以上活動している。会員は弁理士や企業の特許部門、図書館関係者が多い。

参考文献[編集]

  • 固武龍雄「データベース検索技術者認定試験 -この10年間をふり返って-」(『情報の科学と技術』Vol.45 No.12 p.636-641、1995年)[3]
  • 山崎久道「情報検索能力試験の25年からわかること」(『情報の科学と技術』Vol.59 No.5 p.202-207、2009年)[4]
  • 原田智子「情報検索能力試験の概要とインフォプロになるための受験のすすめ」(『情報の科学と技術』Vol.61 No.4 p.168-171、2011年)[5]

外部リンク[編集]