磯田道史

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磯田 道史
人物情報
生誕 (1970-12-24) 1970年12月24日(53歳)
日本の旗 日本 岡山県岡山市[1]
出身校 慶應義塾大学文学部史学科卒業
慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了
学問
研究分野 歴史学(日本近世・近代史・日本社会経済史)
研究機関 国際日本文化研究センター
学位 博士(史学)
主要な作品 『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』
『天災から日本史を読みなおす』
主な受賞歴 新潮ドキュメント賞
日本エッセイスト・クラブ賞
伊丹十三賞
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磯田 道史(いそだ みちふみ[2][3]1970年昭和45年〉12月24日[4] - )は、日本歴史学者[2](日本近世・近代史・日本社会経済史)。国際日本文化研究センター教授[5]岡山県岡山市出身[6]

人物[編集]

磯田の実家は備前岡山藩支藩である備中鴨方藩重臣の家系で、家には古文書などが残されていた。名前の「道」の字は、代々受け継がれている通字であった[7]。5代前の先祖に鴨方藩主の池田信濃守の教育主任だった磯田由道がおり、由道の甥に高山紀齋がいる[8]。磯田の父は農芸化学が専門の公務員で、母は高等学校教員英語)であった[9]

岡山市立岡北中学校を経て岡山大安寺高等学校在校中、『近世古文書解読辞典』を使って実家や岡山県立図書館の古文書の解読を行う[10]水本邦彦が教員にいたことや、京都には古文書や史跡が多そうだったことから京都府立大学文学部史学科に進学した。

しかし、当時、京都府立大学文学部に大学院がなかったことから大学の講義を受講しながら受験勉強する。翌年、慶應義塾大学文学部史学科に進学[11][12]。その後、慶應義塾大学文学部史学科を卒業し、2002年平成14年)同大学院文学研究科博士課程修了、「近世大名家臣団の社会構造」で博士となった(史学)。指導教授は田代和生であるが、入学時から速水融の指導も受けていた[13]

「明治150年」[14]を記念して天皇明仁皇后美智子(いずれも当時)へ2018年(平成30年)3月16日に進講している[15]

2021年度にも大規模改修に着手する岡山城(同市北区丸の内)の、フロアごとにテーマを設けて歴代城主や城下町の変遷を紹介する展示場の整備が行われる予定で、岡山市から監修を依頼されている[16]

NHK番組ブラタモリ#149「岡山」(2019年11月30日放映)に、岡山出身の案内人として出演した際に子供のころから歴史的なものに興味があったことを告白している。本人のコメントによると「小学生の時にこの街道で石仏の拓本をとっていて、同級生の女の子に”オジン”といじめられたのが今でもトラウマになっている」とのこと。タモリは「ずいぶん渋い小学生がいたもんですね」と笑っていた。

速水学派[編集]

歴史家の磯田道史は、歴史学者の速水融の直接の指導を受けた「速水学派」の最も若い世代に属する[17]。磯田道史は、速水融がいた慶應義塾大学経済学部ではなく、慶應義塾大学文学部に進学したが、磯田道史は著書の中で速水融の研究手法について「数字を出せるということは、時間や空間が異なる社会との比較も可能になります。その圧倒的な革新性は、高校生の私にも分かりました」(「歴史人口学は『命』の学問―わが師・速水融のことども」、磯田道史『感染症の日本史』文春新書、239―241)と評している[18]

役職[編集]

受賞歴[編集]

著作[編集]

単著[編集]

2010年には森田芳光監督で『武士の家計簿』のタイトルで映画化。
  • 『近世大名家臣団の社会構造』(東京大学出版会、2003年)
  • 『殿様の通信簿』(朝日新聞社2006年、のち新潮文庫
  • 『江戸の備忘録』(朝日新聞出版2008年、のち文春文庫
  • 『龍馬史』(文藝春秋2010年、のち文春文庫)解説:長宗我部友親
  • 『日本人の叡智』(新潮新書、2011年朝日新聞土曜版連載「この人その言葉」を新書化)
  • 『さかのぼり日本史 6 江戸 "天下泰平"の礎』(NHK出版2012年
  • 『歴史の愉しみ方-忍者・合戦・幕末史に学ぶ』(中公新書、2012年)
  • 『無私の日本人』(文藝春秋、2012年、のち文春文庫)解説:藤原正彦
  • 『歴史の読み解き方 江戸期日本の危機管理に学ぶ』(朝日新書2013年
  • 『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、2015年
  • 『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』(NHK出版2017年
  • 『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』(中公新書、2017年)
  • 『素顔の西郷隆盛』(新潮新書、2018年)
  • 『日本史の探偵手帳』(文春文庫、2019年)
  • 『歴史とは靴である 17歳の特別教室』(講談社、2020年 のち講談社文庫
  • 『感染症の日本史』(文春新書、2020年)
  • 『日本史を暴く-戦国の怪物から幕末の闇まで』(中公新書、2022年)
  • 『徳川家康 弱者の戦略』(文春新書、2023年)

共著[編集]

連載記事[編集]

  • 磯田道史の「古今をちこち」 - 『読売新聞』 第2水曜日朝刊 文化面
  • 磯田道史の「備える歴史学」 - 『朝日新聞』 土曜版be

出演[編集]

現在出演中のテレビ番組[編集]

司会・コメンテーターなど

過去に出演・司会をした番組[編集]

その他[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 磯田道史│著者プロフィール│新潮社”. 新潮社. 2019年12月11日閲覧。
  2. ^ a b “(耕論)震度7、熊本地震の衝撃”. 朝日新聞社. (2016年4月20日). http://www.asahi.com/articles/DA3S12312582.html 2016年4月20日閲覧。 
  3. ^ 山陽電子工業スペシャル 磯田道史 歴史トーク「岡山戦国絵巻 宇喜多直家と秀家」”. RSK山陽放送 (2019年). 2019年12月11日閲覧。
  4. ^ 2018年 - 伊丹十三記念館”. 伊丹十三記念館 (2018年). 2019年12月11日閲覧。
  5. ^ 研究者一覧”. 国際日本文化研究センター. 2016年4月20日閲覧。
  6. ^ 真備の江戸時代藩主の書状を寄贈 歴史学者磯田さん「復興の糧に」”. 山陽新聞デジタル (2018年12月26日). 2019年12月11日閲覧。
  7. ^ 「磯田道史 第3回 「自然災害は繰り返す。だから私はいままで起きた大地震の古文書を徹底的に読み込むのです」」現代ビジネス
  8. ^ 高山紀齋の生涯(『同窓会報』第398号より)東京歯科大学同窓会
  9. ^ 「磯田道史 第3回 「自然災害は繰り返す。だから私はいままで起きた大地震の古文書を徹底的に読み込むのです」」現代ビジネス
  10. ^ 「磯田道史 第3回 「自然災害は繰り返す。だから私はいままで起きた大地震の古文書を徹底的に読み込むのです」」現代ビジネス
  11. ^ 「家の履歴書」『週刊文春』2016年5月26日号
  12. ^ 「磯田道史 第3回 「自然災害は繰り返す。だから私はいままで起きた大地震の古文書を徹底的に読み込むのです」」現代ビジネス
  13. ^ 磯田道史「わが師・速水融が変えた「江戸」の貌」『文芸春秋』2020年、p212-219
  14. ^ 2017年(平成29年)が「明治150年」である
  15. ^ 両陛下ご動静(16日・金)”. 産経ニュース. 2018年3月18日閲覧。
  16. ^ 岡山城、フロア別に展示場整備へ 大規模改修、歴代城主など紹介”. 山陽新聞デジタル (2019年12月9日). 2019年12月11日閲覧。
  17. ^ 文春新書編集部. “エマニュエル・トッド、磯田道史が“衝撃”を受けた「日本の歴史人口学の父」速水融とは 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉 』(速水 融) | 文春新書編集部 | ちょい読み”. 本の話. 2023年8月16日閲覧。
  18. ^ 文春新書編集部. “エマニュエル・トッド、磯田道史が“衝撃”を受けた「日本の歴史人口学の父」速水融とは 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉 』(速水 融) | 文春新書編集部 | ちょい読み”. 本の話. 2023年8月16日閲覧。
  19. ^ 「学会賞等の受賞者一覧」茨城大学
  20. ^ 阿部サダヲ、“庶民の味方”で時代劇初主演 妻夫木聡と兄弟役”. ORICON STYLE (2015年7月4日). 2015年8月3日閲覧。
  21. ^ 東日本放送、松竹と初タッグ 中村義洋監督メガホンで「穀田屋十三郎」を映画化”. 映画.com (2015年4月6日). 2015年4月6日閲覧。
  22. ^ 「磯田道史の「古今をちこち」」『読売新聞』2016年4月13日
  23. ^ 第1部 講演「日本史のなかの疫病」(2020年度一般公開)国際日本文化研究センター

外部リンク[編集]