素根輝

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素根 輝
基本情報
ラテン文字 Akira SONE
日本の旗 日本
出生地 福岡県久留米市
生年月日 (2000-07-09) 2000年7月9日(23歳)
身長 162cm
選手情報
階級 女子78㎏超級
所属 パーク24
段位 五段
獲得メダル
日本の旗 日本
柔道
オリンピック
2020 東京 78kg超級
2020 東京 混合団体
世界選手権
2019 東京 78kg超級
2023 ドーハ 78kg超級
世界団体
2017 ブダペスト 70kg超級
2018 バクー 70㎏超級
ワールドマスターズ
2018 広州 78kg超級
2022 エルサレム 78kg超級
グランドスラム
2019 大阪 78kg超級
2021 タシケント 78kg超級
2022 東京 78kg超級
2016 東京 78kg超級
2017 東京 78kg超級
2018 大阪 78kg超級
2018 パリ 78kg超級
2019 パリ 78kg超級
グランプリ
2018 フフホト 78kg超級
2017 デュッセルドルフ 78kg超級
アジア大会
2018 ジャカルタ 78kg超級
2018 ジャカルタ 混合団体
アジア選手権
2022 ヌルスルタン 78kg超級
世界ジュニア
2017 ザグレブ 78kg超級
世界カデ
2015 サラエボ 70kg超級
2018年4月22日現在
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素根 輝(そね あきら、2000年7月9日 - )は、福岡県久留米市出身の日本の女子柔道選手。階級は78kg超級。身長162cm。握力は右45kg、左47kg。血液型はA型。段位は五段。組み手は左組み。得意技は大内刈体落[1][2]2021年開催の東京オリンピック 柔道 女子78kg超級 金メダリスト。

経歴[編集]

小学生時代[編集]

「世界で活躍する人になってほしい」とい願いから、「輝」と名付けられたという[3]。父親と5歳年上の長男、2歳年上の双子の兄も柔道に取り組んでいたことから、柔道は7歳の時に脩柔館で始めた。それまではピアノ水泳を習っていた。なお、兄弟には他に姉が1人いる[1][2][4]。幼い頃から中村美里に憧れを抱いていたという[5]。小学校5年の時に全国少年柔道大会の福岡県予選で全国優勝することになる古賀早也香に敗れたことが転機となり、今まで以上のトレーニングを積んだ結果、6年の時には県予選で古賀に一本勝ちすると本戦でも45kg超級においてオール一本勝ちで優勝を飾った。また、全国少年柔道大会の個人戦では優勝した男子選手の村尾三四郎に準々決勝で判定負けしたものの5位、団体戦では3位になった[1][2]

中学時代[編集]

久留米市立田主丸中学校へ進むと、1年の時には全国中学校柔道大会70kg超級で準決勝までオール一本勝ちするものの、決勝で大成中学校3年の粂田晴乃にGSに入ってから送襟絞で敗れた[1]。団体戦では準決勝で大成中学と対戦すると、先鋒戦で勝利するがチームは敗れて3位だった。近代柔道杯団体戦でも準決勝で大成中学Aチームと対戦して、大将戦で勝利するもののチームは敗れて3位にとどまった。2年の全国中学校柔道大会では準決勝までオール一本勝ちすると、決勝では大成中学3年の永田かなを指導1で破って優勝した[1]。団体戦では決勝で大成中学と対戦して、大将戦で永田と引き分けるなどして2位に終わった。3年になると、全日本カデ決勝で大成高校2年の粂田を合技で破るなどオール一本勝ちで圧勝して、17歳以下の世界一を決める大会である世界カデの代表に中学生として唯一選ばれた。世界カデでも5試合オール一本勝ちで優勝した。なお、団体戦にはケガのため出場しなかった[6]。パワー、技のキレ、スタミナどの点においても際立っており、超中学級との評価を受けている。さらには、年上の選手にも絶対に負けたくないと道場や倉庫を改装した自宅のトレーニングルームで朝から晩まで猛稽古を積んでいる[2][4][7]。続く全国中学校柔道大会では個人戦の決勝で帝京中学3年の高橋瑠璃を指導2で破り2連覇を果たした。団体戦では全試合一本勝ちして田主丸中学の初優勝に貢献した[8]

高校時代[編集]

高校1年[編集]

2016年に南筑高校へ進学すると、1年の時には4月の全日本カデで2連覇を達成した[9]。7月の金鷲旗ではチームの準決勝進出の原動力となるも、敬愛高校新森涼に指導3で敗れて3位だった[3][10]。9月の全日本ジュニアでは決勝まで進むと、今大会やインターハイの福岡予選で敗れていた高校チャンピオンである敬愛高校3年の児玉ひかるを指導2で破って高校1年生ながら優勝を飾った[11]。11月の講道館杯では高校1年ながら決勝まで進むが、東海大学2年の朝比奈沙羅に有効で敗れて2位だった[12]。12月のグランドスラム・東京では今大会の52kg級で2位になった親友で夙川学院高校1年の阿部詩の16歳141日に次ぐ16歳148日で決勝まで進んで朝比奈と対戦するが、指導1を先取するも追いつかれると、GSに入ってから指導2を取られて優勝はならなかった[13]。2017年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは準々決勝でウクライナのイリーナ・キンゼルスカ崩袈裟固で敗れるも、その後敗者復活戦を勝ち上がって3位になった[14]。3月の全日本選手権九州予選では準決勝で児玉に敗れて本戦への出場を果たせなかった[1]。続く全国高校選手権個人戦では決勝で大成高校2年の和田梨乃子を合技で破るなど、準決勝の指導2勝ち以外は全て一本勝ちして優勝を飾った。団体戦では準決勝の大成高校戦で勝利するもチームは敗れて3位だった[15][16]

高校2年[編集]

2年の時には4月の体重別準決勝でリオデジャネイロオリンピック銅メダリストであるミキハウス山部佳苗と対戦して、GSを含めて11分近い戦いの末に体落の技ありで破ると、決勝では三井住友海上稲森奈見に指導2を先取されるもGSに入ってから体落の技ありで逆転勝ちして、今大会を16歳で制した。1996年に66kg級で優勝した当時土浦日大高校3年の一見理沙以来21年ぶりとなる高校生優勝となった[17][18][19]世界選手権の個人戦代表にはなれなかったが、世界団体のメンバーに選出された[20]。7月の金鷲旗では準決勝の大成高校戦で4人抜きすると、決勝の夙川学院高校戦では4人抜きした阿部詩を横四方固で破った後に他の選手にも次々と勝利を収めて、たった一人で相手チーム5人全員に一本勝ちする史上に残る圧巻の内容でチームを初優勝に導いた[21][22]。8月のインターハイ団体戦では全勝したものの、チームは準決勝の桐蔭学園高校戦で敗れて3位だった。個人戦では順当に優勝を飾った[23][24][25]。9月の世界団体では初戦のみの出場だったが勝利すると、その後チームも優勝を飾った[26]。直後にはジュニア交流大会に出場してオール一本勝ちで優勝した[27]。10月の世界ジュニアでは初戦でヨーロッパジュニアチャンピオンであるフランスのロマヌ・ディッコから技あり2つを取った後に横四方固で破るなど準決勝まで全て寝技で一本勝ちすると、決勝では同じくオール一本で勝ち上がってきた三井住友海上の児玉と対戦して、指導2を先取されるも技ありを取り返して優勝を飾った[28][29]。初開催となった男女混合による団体戦では、初戦から決勝まで自らが試合に出る以前にチームが勝利を決めてしまったために、結局一度も試合に出ることなく優勝を果たした[30]。11月の講道館杯では決勝で環太平洋大学3年の井上あかりに開始早々の肩固で敗れて2位にとどまった[31][32]。12月のグランドスラム・東京では準決勝で韓国の金珉程を横四方固で破るが、決勝では朝比奈に反則負けして2年連続2位にとどまった[33][34]。2018年2月のグランドスラム・パリでは準々決勝でキンゼルスカを技ありで破るが、準決勝ではグランドスラム・東京で一本勝ちしていた中国の王彦に合技で敗れて3位だった[35][36]。3月の高校選手権は、団体戦の県予選決勝で自らは勝利したが他の選手が敗れたために出場できなかった。個人戦は最初からエントリーしなかった[37]

高校3年[編集]

3年の時には4月の体重別準決勝で稲森を大内刈で破ると、決勝では3戦3敗の朝比奈に指導2を先取されるもその後盛り返すと、GS含めて12分近い戦いの末に反則勝ちを収めて、今大会オール一本勝ちで2連覇を飾った。この際に、「朝比奈さんに勝たないと世界選手権に出られないと思い、強い気持ちで攻めた」「朝比奈さんは上から圧力をかけて私の左の釣り手を落としてくる。釣り手が落ちないように練習してきた」とコメントした[38][39]。続いて初出場となった全日本選手権では準々決勝までの3試合を一本勝ちした。準決勝では朝比奈と対戦して先に有効ポイントを取られるもそれが取り消しになると、GSに入ってから反則勝ちを収めた。決勝ではコマツ冨田若春にGSに入ってから反則勝ちして、オール一本勝ちでの優勝となった[40]。また、今大会における高校生の優勝は1993年に優勝した当時柳川高校2年だった阿武教子以来25年ぶりの事となった。初出場初優勝は史上初となる[41][42]。普段の練習や大会などの付き人には体格の似た兄の勝が務めている[43]。しかしながら、体重別と全日本選手権の両大会を制しながらも、グランドスラム・パリで敗れたことが原因で、世界選手権代表には選出されなかった[44][45]。一方で、世界団体の代表には昨年に続いて選ばれた[46][47]。また、ジャカルタで開催されるアジア大会女子78㎏超級代表に選出された[48]。なお、世界選手権代表に選ばれなかったショックのあまり、友人との連絡も暫く絶つほどだったという[49]。気を取り直して5月にはグランプリ・フフホトに出場すると、準決勝でGSパリで敗れた地元の王彦に指導2を先取されるも横四方固で逆転勝ちすると、決勝でも金珉程を合技で破ってオール一本勝ちでIJFワールド柔道ツアー初優勝を飾った[50][51]。7月の金鷲旗では2回戦から副将で登場して、準々決勝の創志学園高校戦で相手大将の63㎏級高校チャンピオンの浦明澄と引き分けた以外は7試合全てに勝利すると、準決勝の夙川学院高校戦では昨年の決勝に続いて金知秀など5人全員を破った。決勝の大成高校戦では3人抜きを成し遂げて、チームを2連覇へ導いた[52][53]。8月の強化合宿の際には、全柔連会長の山下泰裕から長身選手に対する組み手の指導を受けることになった。山下によれば、選手に対して直接アドバイスすることは基本的にしないとしながらも、今回は「つい思わず、気持ちを抑えられなかった」という[54]。8月のアジア大会では準決勝まで全て一本勝ちすると、決勝では金珉程をGSに入ってから背負投の技ありで破って優勝した。この際に、「世界選手権に出られなかったので絶対に結果を残してアピールしたかった」と語った[49][55][56]。9月の世界団体では初戦のモンゴル戦、準決勝の韓国と北朝鮮の南北合同チーム戦で一本勝ちすると、決勝のフランス戦は出場しなかったが、チームは優勝した。試合後には、「(朝比奈が個人戦で優勝して)目の前で優勝するのを見て、本当に悔しかった」「来年は(個人戦に)絶対に自分が出て、優勝してやるという気持ち」とコメントした[57][58]。11月のグランドスラム・大阪では準決勝で朝比奈を技ありで破るも、決勝ではロンドンオリンピック金メダリストであるキューバのイダリス・オルティスに反則負けを喫して、今大会3年連続2位にとどまった[59]。12月のワールドマスターズでは準々決勝で金珉程を合技、準決勝でボスニアヘルツェゴビナのラリサ・ツェリッチを体落で破ると、決勝ではオルティスにGSに入ってから反則勝ちするなどオール一本勝ちで優勝した[60][61]。2019年2月のグランドスラム・パリでは準決勝でアゼルバイジャンのイリーナ・キンゼルスカと対戦するも、開始早々に隣の畳からなだれ込んで来た男子選手が右膝に直撃した影響もあって、踏ん張りが利かず払巻込で一本負けしたが、その後の3位決定戦でスロベニアのアナマリ・ベレンシェク袖釣込腰の技ありで破って3位になった。この際に、「絶対に優勝したかったが、自分が弱かった。上背がないため(審判員からの)組み手の印象が悪く、指導が取られやすい。実力不足で、すごく反省の残る大会だった」とコメントした。一方で女子代表監督の増地克之は、隣の畳から選手がなだれ込むような状況を放置した大会運営に疑問を呈した[62][63][64]。3月に南筑高校を卒業した際には「挫折禁止ステッカー」が贈られた[65]。なお、パソコン周辺機器メーカーのエレコムと1年間のスポンサー契約を結んだ[66]

大学時代[編集]

大学1年[編集]

4月、環太平洋大学へ進学した[1][67]。体重別では決勝で朝比奈を10分近い戦いの末に小外刈の技ありで破り、今大会3連覇を達成した[68][69]。続く全日本女子選手権では準々決勝で山部、準決勝で稲森をそれぞれ大内刈の有効で破ると、決勝では朝比奈に9分5秒の戦いの末に反則勝ちを収め塚田真希以来の連覇となる2連覇を達成するとともに、世界選手権代表に選出された[70][71]。6月の優勝大会では1勝1分けでチームは3位だった[72]。7月のグランプリ・ザグレブでは準々決勝でベレンシェクを体落で破ると、準決勝ではキンゼルスカに反則勝ち、決勝ではツェリッチに不戦勝で優勝した[73][74]。8月に東京で開催された世界選手権では準々決勝でツェリッチに反則勝ち、準決勝でトルコのカイラ・サイトを合技で破ると、決勝でオルティスに8分以上の戦いの末に反則勝ちするなど全て一本勝ちして世界チャンピオンとなった。これにより、素根は高藤直寿近藤亜美、朝比奈沙羅、ダリア・ビロディドに続いて5人目となる世界カデ世界ジュニアシニア世界選手権の3カテゴリを制覇することになった。試合後、素根は次のようにこう語った。「何が何でも勝つという気持ちで試合しました。本当に優勝を目指していた大会なので良かった。東京五輪には自分が必ず出て、必ず金メダルを取るという気持ちがあるので、それを達成できるようまた努力していきたいです。」[75][76][77]。なお、素根が幼少の頃から憧れていた中村美里は、素根について次のようにコメントした。「(162センチの)小さい体をいかした技やスピード、攻めどころなどの見極めがうまい。組み手の徹底、担ぎや前後の技もあって海外選手からしたらやりにくいはず」「素根さんがこれだけ強くなって、重量級選手でありながら自分のような軽量級選手のことを『憧れ』と言ってもらえるのは素直にうれしい。このまま強い気持ちを持って戦い続けてほしい」[78]。10月には地元福岡のヤフオクドームで開催されたプロ野球日本シリーズ第1戦の福岡ソフトバンクホークス読売ジャイアンツ戦において始球式を行った[79]。11月には地元の久留米市より、自転車世界選手権プロスプリントで10連覇を達成した中野浩一に続いて33年ぶりとなるスポーツ大賞を授与された[80]。11月のグランドスラム・大阪では準決勝で冨田に反則勝ちすると、決勝でもオルティスを大内刈の技ありで破って今大会初優勝を飾った。今大会と世界選手権で優勝した場合は強化委員会で3分の2以上の賛成が得られると東京オリンピック代表が内定することになっていたが、強化委員34名全員の満場一致により、柔道では東京オリンピック代表の内定第一号となった[81][82][83]。代表内定となった素根は、「必ず金メダルを取る」と決意を語った[84]。12月には地元の久留米市から「くるめふるさと大使」を委嘱された[85]。2020年3月にはグランドスラム・エカテリンブルグに出場予定だったが、新型コロナウイルスの影響により全柔連が選手派遣を取り止めたために出場しなかった[86][87]。3月には新型コロナウイルスの影響により東京オリンピックの開催が1年ほど延期されることになった事態に対して、素根は「延期ということで、はっきりしたので前を向ける。あと1年、自分がより強くなる時間ができたと信じ、頑張っていく」とコメントした[88]

大学2年[編集]

5月に全柔連は常務理事会と強化委員会を開いて、1年延期になった東京オリンピックでは2月に決まっていた代表内定選手の権利を維持する方針を確認した。内定選手は激烈な代表選考をすでに経ているとしたうえで、国際大会の再開が今だ不透明で再選考が容易でないことを最大の理由に挙げている[89]。一方で金野潤強化委員長は「現場の監督、コーチが現内定選手で闘う自信をしっかり持っていることが一番の決め手」だと説明した[90]。その後、全柔連の全理事と監事の承認を得て、代表内定選手の維持が正式に決まった[91]。この際に、「いま自分が出来ることに取り組んでいきたい。自分の目標に向かって、努力していく」「五輪本番までに自分の足りないところを強化していきたい」とコメントした[92]。7月には1年延期された東京オリンピックについて素根は、「自分は東京五輪に懸けてやってきた。開催してほしいし、無観客になってもせめて支えてくれる親には見てもらいたい」とコメントした[93]。なお、新型コロナウイルスの影響により地元福岡で練習を重ねていたが7月いっぱいで環太平洋大学を中退した。以降は南筑高校を拠点に無所属で東京オリンピックに挑むことになった[94][95]

2021年[編集]

2021年2月にはグランドスラム・テルアビブに出場予定だったが、新型コロナウイルスの影響により出場を見合わせることになった[96]。1年3か月ぶりの試合となった3月のグランドスラム・タシケントでは決勝でブラジルのベアトリス・ソウザに反則勝ちするなどオール一本勝ちで優勝した[97][98]。4月からはパーク24所属となり、日本大学へ進学することになった[99]。7月に日本武道館で開催された東京オリンピックでは準々決勝でサイト、準決勝ではキンゼルスカをそれぞれ合技で破ると、決勝ではオルティスに反則勝ちしてオール一本勝ちでオリンピック初優勝を飾り、金メダルを獲得した。今回の素根の優勝により、女子では阿武、塚田に続き3人目となる三冠皇后盃全日本女子柔道選手権大会世界柔道選手権大会オリンピック柔道競技)を達成することになった[100][101]。試合後、素根は次のように語った。「コロナ禍の中でオリンピックが開催されて、感謝の気持ちでいっぱいです。この大会のために練習を頑張ってきたので、それが出せてよかったと思います。」「とにかく先に攻めて、絶対負けないという気持ちでした。」[102]東京オリンピック混合団体では初戦のドイツ戦でヤスミン・グラボウスキーを合技、準決勝のロシアオリンピック委員会戦ではアレクサンドラ・バビンツェワを背負投で破った。決勝のフランス戦ではディッコを合技で破って出場したすべての試合で勝利したものの、チームも敗れて銀メダルとなった[103][104]。11月、紫綬褒章受章[105]

2022年[編集]

2022年2月には東京オリンピック 柔道 女子78kg超級において金メダルを獲得した功績をたたえ、久留米市の久留米市役所東側出入口前に素根の記念のゴールドポスト(第71号)が設置された(ゴールドポストプロジェクト[106])。3月には左膝を手術した。そのため4月の体重別は出場を見合わせることになったが[107]、アジア大会代表には選ばれた[108]。オリンピック以来約1年ぶりの国際大会出場となった8月のアジア選手権では決勝で中国の徐仕妍を体落で破るなど、オール一本勝ちで優勝した[109][110]。12月のグランドスラム・東京では準々決勝でフランスのコラリ・ハイメを一本背負投、準決勝で冨田に反則勝ちでそれぞれ破ると、決勝で綜合警備保障秋場麻優を技ありで破って優勝した[111]。続くワールドマスターズでは準々決勝でハイメの小外掛で敗れた。これにより2019年2月のグランドスラム・パリでキンゼルスカに敗れて以来続いてきた素根の連勝記録が42で止まった。その後、敗者復活戦を勝ち上がって3位になった[112][113]。その直後の強化委員会で2023年の世界選手権代表に決まった[114]

2023年[編集]

2023年5月の世界選手権では準々決勝でイスラエルのラズ・ヘルシュコを合技、準決勝で韓国のキム・ハユンを技ありで破ると、決勝ではフランスのジュリア・トロフアに11分以上の戦いの末に反則勝ちして4年ぶりの世界選手権優勝を飾った[115][116]。8月には世界選手権優勝などの実績で2番手以下に大差を付けたと評価されて、パリオリンピックの代表に内定した[117][118]。6月の強化委員会で素根以外の世界チャンピオンは全員内定となったにもかかわらず、素根だけ慎重を期されて内定が見送られたことにより気持ちの整理が付かなかったが、ようやく持ち直すことになった[119]。12月のグランドスラム・東京再発性単純ヘルペスにより出場を見合わせた[120]

2024年[編集]

2024年3月のグランドスラム・トビリシでは準々決勝でブラジルのベアトリス・ソウザを横四方固で破るも、準決勝で伏兵であるドイツのレネー・ルヒトに技ありで敗れると、3位決定戦でも韓国のイ・ヒョンジに反則負けを喫して5位に終わった[121][122]。4月のアジア選手権では準々決勝でウズベキスタンのリナタ・イルマトワと対戦した際に左膝をケガして棄権負けとなり、7位にとどまった[123]

世界ランキング[編集]

IJF世界ランキングは3300ポイント獲得で、7位(2024年4月22日現在)[124]

世界ランキングの年度別変遷
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
順位 39 15 4 2 3 11 6 14

(出典[1]、JudoInside.com)

戦績[編集]

(出典[1]、JudoInside.com)

有力選手との対戦成績[編集]

(2024年12月現在)

対戦成績
国籍 選手名 内容
日本の旗 朝比奈沙羅 5勝3敗
フランスの旗 ロマヌ・ディッコ 2勝
ブラジルの旗 マリア・アルテマン 1勝
キューバの旗 イダリス・オルティス 4勝1敗
大韓民国の旗 金珉程 4勝
アゼルバイジャンの旗 イリーナ・キンゼルスカ 3勝2敗
中華人民共和国の旗 王彦 2勝1敗

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.comなど)

テレビ出演[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 「柔道全日本強化選手名鑑 2022」近代柔道 ベースボールマガジン社、2022年4月号
  2. ^ a b c d 「解体新書 素根輝」近代柔道 ベースボールマガジン社、2018年2月号 26頁-29頁
  3. ^ a b 1年生大将、南筑を4強に導く「目標のベスト4に入れたのは良かった」/柔道 サンケイスポーツ 2016年7月23日
  4. ^ a b 田主丸攻めてV2狙う サニックス旗福岡国際中学生柔道、26日開催 西日本新聞 2014年12月24日
  5. ^ 著名な柔道選手インタビュー 素根輝
  6. ^ Cadet World Championships 2015 - Sarajevo
  7. ^ 柔道女子のニューヒロイン素根輝がアテネ金の塚田真希から得たことは?
  8. ^ 平成27年度 全国中学校体育大会 第46回 全国中学校柔道大会 試合結果
  9. ^ 平成28年度全日本カデ柔道体重別選手権大会 大会結果掲載
  10. ^ 柔道女子準決勝 敬愛 対 南筑
  11. ^ 平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権大会
  12. ^ 平成28年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
  13. ^ 女子78キロ超級は朝比奈が初優勝 柔道グランドスラム東京大会 日本経済新聞 2016年12月4日
  14. ^ 男子100キロ超級、影浦が原沢破りV 柔道GP大会 日本経済新聞 2017年2月27日
  15. ^ 高1素根輝が初V「ホッとした」柔道全国高校選手権 日本経済新聞 2017年3月20日
  16. ^ 第39回全国高等学校柔道選手権大会
  17. ^ 阿部が男子66キロ級連覇=女子78キロ超級は16歳の素根-選抜体重別柔道 時事通信 2017年4月1日
  18. ^ 16歳、地元で初の頂点=選抜体重別柔道 時事通信 2017年4月1日
  19. ^ 16歳素根輝、リオ銅の山部撃破「気持ち上回った」 - 柔道 日刊スポーツ 2017年4月2日
  20. ^ 全柔連、女子代表9人を発表 軽量2階級で2人ずつ起用/柔道 サンケイスポーツ 2017年4月16日
  21. ^ 柔道・金鷲旗
  22. ^ 南筑の素根、圧巻の決勝5人抜き「気持ちが結果につながった」/柔道 サンケイスポーツ 2017年7月23日
  23. ^ 南筑エースの素根、2冠逃し「悔しい」/高校総体 サンケイスポーツ 2017年8月11日
  24. ^ 柔道女子78キロ超級、素根が初優勝 日本経済新聞 2017年8月12日
  25. ^ 各種データ 決勝記録
  26. ^ 日本が男女混合団体で金メダル 決勝でブラジルを圧倒 産経新聞
  27. ^ 素根らが優勝=柔道日ロジュニア 時事通信 2017年9月8日
  28. ^ 素根、梅津が優勝=柔道世界ジュニア 時事通信 2017年10月22日
  29. ^ World Championship Juniors 2017
  30. ^ Word Junior Championship Teams 2017
  31. ^ 柔道・講道館杯 世界選手権「金」の素根は準優勝 NHK 2017年11月11日
  32. ^ 平成29年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
  33. ^ 朝比奈、ライバル対決は指導で決着「互角だった。うかうかしていられない」/柔道 サンケイスポーツ 2017年12月3日
  34. ^ Grand Slam Tokyo 2017
  35. ^ 影浦、向、藤原がV 新井2位 柔道グランドスラム - 柔道 日刊スポーツ 2018年2月12日
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  37. ^ 「第40回全国高校選手権プレビュー」近代柔道 ベースボールマガジン社、2018年3月号 46頁
  38. ^ 橋本が男子73キロ級連覇=女子78キロ超級の素根も-選抜体重別柔道 時事通信 2018年4月7日
  39. ^ 素根が高校生24年ぶり連覇 朝比奈を初撃破 全日本選抜体重別柔道 西日本新聞 2018年4月8日
  40. ^ 第33回皇后盃全日本女子柔道選手権大会 決勝戦(冨田若春 - 素根輝)』(PDF)(プレスリリース)全日本学生柔道連盟、2018年4月22日http://www.gakujuren.or.jp/ajjf/2018042200/pdf/36.pdf2018年4月22日閲覧 
  41. ^ “全日本女子柔道、17歳の素根輝が初優勝”. 徳島新聞. 徳島新聞社. (2018年4月22日). http://www.topics.or.jp/articles/-/37977 2018年4月22日閲覧。 
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  43. ^ 素根輝、史上初の初出場優勝「感謝」兄が強力支援 日刊スポーツ 2018年4月22日
  44. ^ 【解説】内規に従えば順当な選出 「選考会」の文言を外せばすっきりする サンケイスポーツ 2018年4月23日
  45. ^ 素根、ア大会へ切り替え 世界選手権代表から落選で「これが今の実力」/柔道 サンケイスポーツ 2018年5月2日
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外部リンク[編集]