EWS4800

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EWS4800は、日本電気(NEC)が開発・製造していたエンジニアリングワークステーション(およびそのシリーズ)の番号名称である。パソコンPC-9800シリーズの通称「キュウハチ」に対して、(後発のUP4800シリーズも合わせ)「ヨンパチ」と呼ばれることもあった。

歴史[編集]

EWS4800は1986年9月に発表された。CPUプロセッサ68020、当時ワークステーションには定番であったUnixとしてはSysVベースのEWS-UX/Vを用意した。高機能・高性能のグラフィクスプロセッサ[1]のサポートによる「NECウィンドウ」と称するウィンドウシステムが当初は提供された[2]。その後、1990年5月発表のR3000採用機種以降はCPUのプロセッサをMIPSに変更した。

またMIPS化と前後してシステムソフトウェアに関して、EWS-UXのSVR4(SysV Release 4)ベースへのバージョンアップ、ウィンドウシステムにX Window Systemの採用など新世代化も進み、CAD/CAM系のグラフィックワークステーションやエンジニアリングワークステーションとしてシェアを伸ばした。

しかしその後、いわゆるPCサーバ(と、こんにち呼ばれているような分類に相当する製品群)に押され、1997年5月に発売したIAサーバExpress5800/50シリーズに始まる5800シリーズ(ゴーハチ)に主力商品の座を譲り、4800シリーズは、2001年11月に最終製品 EWS4800/530を出荷し、2006年3月にはシリーズ全機種が出荷停止となった。

一覧[編集]

68k系[編集]

  • EWS4800 (1986年) デスクサイド、CPU:MC68020 16MHz、メモリ:最大32Mバイト
    • グラフィックス:1280×1024ドット、1677万色中256色同時表示、ウィンドウ制御用グラフィックプロセッサ装備。
  • EWS4800/10 デスクトップ、CPU:MC68020 16MHz
    • 拡張スロット:VMEバス×2(以下、CISCベースのEWS4800では拡張バスは基本的にVMEバス
  • EWS4800/50 デスクサイド、CPU:MC68020 20MHz
  • EWS4800/2 デスクトップ薄型、CPU:MC68030 16MHz
  • EWS4800/4 デスクトップ薄型、CPU:MC68030 33MHz
  • EWS4800/20 デスクトップ、CPU:MC68030 33MHz
  • EWS4800/60 デスクサイド、CPU:MC68030 33MHz
  • EWS4800/30 デスクトップ、CPU:MC68030 50MHz
  • EWS4800/15 デスクトップ、CPU:MC68040 25MHz
  • EWS4800/15+ デスクトップ、CPU:MC68040 25MHz
  • EWS4800/30A デスクトップ、CPU:MC68040 25MHz
  • EWS4800/35 デスクトップ、CPU:MC68040 25MHz
  • EWS4800/75 デスクサイド、CPU:MC68040 25MHz

MIPS系[編集]

  • EWS4800/220 (1990年) デスクトップ、CPU:R3000 30MHz、メモリ:最大32Mバイト
    • グラフィックス:1280×1024ドット、自社製グラフィックスアクセラレータ装備
  • EWS4800/260 (1990年) デスクサイド、CPU:R3000 33MHz、メモリ:最大384Mバイト
  • EWS4800/120LT,130LT ラップトップ、CPU:vR3600 25MHz
  • EWS4800/210,210II 小型デスクトップ、CPU:R3000 25MHz
  • EWS4800/230 デスクトップ、CPU:R3000 33MHz
  • EWS4800/110LT,140LT,150LT ラップトップ、CPU:R4000PC 80MHz
  • EWS4800/310,320 デスクトップ、CPU:R4000PC 80MHz
  • EWS4800/330 デスクトップ、CPU:R4400PC 133MHz
  • EWS4800/310LC,320EX,330EX デスクトップ、CPU:R4400PC 150MHz
  • EWS4800/110N ノート、CPU:VR4200 80MHz
  • EWS4800/110NII ノート、CPU:R4600 120MHz
  • EWS4800/310EC オールインワン(液晶モニタ付デスクトップ)、CPU:R4600 120MHz
  • EWS4800/310PX デスクトップ、CPU:R4600 133MHz
  • EWS4800/310ECII オールインワン、CPU:R4700 133MHz
  • EWS4800/310LX デスクトップ、CPU:R4700 150MHz
  • EWS4800/350 デスクトップ、CPU:R4000SC 100MHz
  • EWS4800/380 デスクサイド、CPU:R4000SC 100MHz
  • EWS4800/360 デスクトップ、CPU:R4400SC 133MHz
  • EWS4800/320SX,360AD デスクトップ、CPU:R4400SC 150MHz
  • EWS4800/320VX,320PX,330PX,360EX,360SX デスクトップ、CPU:R4400SC 200MHz
  • EWS4800/360MP,360PX ミニタワー、CPU:R4400MC 200MHz×2
  • EWS4800/360PXII ミニタワー、CPU:R4400MC 250MHz×2
  • EWS4800/410 デスクトップ、CPU:R5000PC 180MHz
  • EWS4800/420 デスクトップ、CPU:R5000SC 200MHz
  • EWS4800/410AD デスクトップ、CPU:R5000PC 200MHz
  • EWS4800/430 デスクトップ、CPU:R10000 200MHz
  • EWS4800/460,470 ミニタワー、CPU:R10000 200MHz×2
  • EWS4800/430EX デスクトップ、CPU:R10000 250MHz
  • EWS4800/530 デスクトップ、CPU:R12000 300MHz
  • EWS4800/570 ミニタワー、CPU:R12000 300MHz×2
  • EWS4800/570AD ミニタワー、CPU:R12000 400MHz×2
  • EWS4800/570EX ミニタワー、CPU:R14000 450MHz×2

拡張スロットは、VMEバスAPバスPCI32ビット/EISA→PCI64ビットと変遷している。ノート型などはPCMCIA

[編集]

  1. ^ NECはPC-9801シリーズ用「GDC」など、当時グラフィクスプロセッサの先進的メーカのひとつだった。
  2. ^ 後に、X Window SystemがUnixのデファクトスタンダードとなったため、そちらも提供した。

関連項目[編集]