Microsoft Silverlight

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Microsoft Silverlight
開発元 マイクロソフト
最新版 5.1.50918.0 - 2019年1月15日 (5年前) (2019-01-15)[1] [±]
対応OS Windows
macOS
Windows Phone 7
Symbian OS S60
サポート状況 終了
種別 ウェブ アプリケーション フレームワーク
ライセンス Microsoft EULA,
Microsoft Public License(Ms-PL)
公式サイト msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc838158(v=vs.95).aspx
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Microsoft Silverlight(マイクロソフト・シルバーライト)は、マイクロソフトが開発したウェブブラウザ用のプラグイン2021年10月12日でサポートが終了した[2]

概要[編集]

Silverlightは当初WPF/E(Windows Presentation Foundation / Everywhere)と呼ばれていたアニメーション・ベクターグラフィックスの表示や音声・動画再生などの機能を備える、いわゆるリッチインターネットアプリケーション(RIA)プラットフォームで、Windows Presentation Foundationのサブセットの技術として発表された。

RIAプラットフォームとしての特長はWindows Presentation Foundationのサブセットとして位置づけられているように、開発環境や開発スキルに.NET Frameworkを生かせるところにある。WPFと同様にユーザー インターフェイスはXAMLで定義し、ロジックはVisual Basic .NETC#のほか、JScript .NETIronRubyIronPythonなどの動的プログラミング言語など、各種 .NET Framework上で動く言語に対応する。

ウェブブラウザはInternet Explorerでは現在も利用可能だが、Microsoft Edge[3][4]Google Chrome 45以降[5][6][7]Firefox 52以降[8][9][10][11]Opera 20以降[12]、及びLinuxAndroidiPhone上の主要ブラウザ等では利用不可能となっている。

Windows Phone 7のアプリケーション開発フレームワークとして採用されていた。Silverlight 5からはXbox 360にも対応させるという話もあったが[13]、結局対応させなかった[14]

Silverlightでは、動画再生で利点が多い。たとえば、広く利用されているWindows Media Video形式やH.264形式の動画ファイルを扱える点、IIS 7の拡張機能であるSmoothStreamingを利用して、テレビに近い感覚で動画をザッピングできる点(視聴者の再生環境の帯域と CPU の負荷状況に応じて、適切なビットレートの動画ファイルが配信される)、PlayReadyと呼ばれる同社の DRM 技術を採用している点などがあげられる。PlayReadyは既存のWMDRMとも互換性があるので、WMDRMで暗号化されている動画ファイルは再エンコードや再暗号化をすることなく、Silverlightで再生することができる。

バージョン[編集]

Silverlight 1[編集]

Silverlight 1.0は2007年9月6日に公開された[15]。JavaScriptを利用したプログラムのみに対応していた。Silverlight 1.1では共通言語ランタイム(CLR)や動的言語ランタイム(DLR)を利用したプログラミングに対応し、JavaScriptだけでなく.NETや動的言語によってアプリケーションを開発に対応する予定であったが、Silverlight 1.1はアルファ版までの公開にとどまった。

Silverlight 2[編集]

Silverlight 2は2008年10月14日に公開された[16]。このバージョンから小数点表記がなくなった。

Silverlight 3[編集]

Silverlight 3は2009年7月11日に公開された[17]。2009年3月18日(日本時間)にSilverlight 3のベータ版が公開された。また、ブラウザーのプラグインでありながら、デスクトップアプリケーションのように動作させられるOut Of Browserと呼ばれる機能が実装されている。表現力の面では、Silverlight 3になって疑似3Dやエフェクトをサポートし、Flash Playerに近づいた。DeepZoomやPhotosynthは他のRIAプラットフォームにはない特徴的な機能である。

Silverlight 4[編集]

Silverlight 4は2010年4月16日に公開された[18]。PDC09でSilverlight 4が発表され、同日からベータ版の提供が開始された。MIX10でRC版が発表された。Silverlight 4の主な新機能は、Webカメラ、マイクのサポート、オフラインのDRM対応、マルチキャストストリーム、コピー・アンド・ペースト、ドラッグ・アンド・ドロップ、マウスホイール、右クリック、印刷のサポートなど。さらに、ブラウザー外実行と呼ばれる機能が拡張されており、使用者権限の昇格モード(信頼されたアプリケーション)を備えることによって、ローカルファイルへのアクセスやアプリケーション内でのHTMLレンダリング、COMオートメーションなどがサポートされる。

Silverlight 5[編集]

2011年12月6日に公開された。

Silverlight 5では以下のような機能が含まれる。

  • 動画のハードウェア アクセラレーション
  • メディア コンテンツの変速再生(機能名:トリックプレイ)
  • パワー マネージメント
  • リモート コントロール
  • 文字の表示の改善とOpenType機能の完全対応
  • 印刷機能の強化
  • グラフィックのハードウェア アクセラレーション
  • アウトオブブラウザー機能の強化
  • 自動UIテストの対応
  • 起動の高速化と、Internet Explorer 9のハードウェア アクセラレーション機能の対応
  • 64ビット版ブラウザーの対応

米国時間2011年4月4日にSilverlightチームは2011年4月12日から14日までラスベガスで開かれたMIXでSilverlight 5ベータを発表する予定であることを明らかにした[19]

2012年5月8日にSilverlight 5.1をリリース[20]

開発の終焉[編集]

Silverlight 5をもって、Silverlightの開発終了の可能性が報道された[21]。サポート期限はリリースの10年後の2021年10月12日で、従来のバージョンよりもはるかに長い。ただし、未来の全てのウェブブラウザをサポートするわけではないとしている。Silverlight 4のサポート期限はすでに終了している。

そして、予定通りHTML Living StandardHTML5の後継)に移行する形で2021年10月12日にサポートが終了した。

普及率[編集]

2009年11月19日にはPDC09(Professional Developers Conference 2009)の基調講演において、「さまざまな有力なイベントの動画中継を担当することで、Silverlightの普及率は上がっている。2008年夏の時点で33%だった普及率が、現在では45%まで向上した」と発表されている[22]

2010年3月16日のMIX10の基調講演では、前年のPDC09のときに45%だった普及率は「いまは60%に近づくほど勢いが加速している」と発表された[要出典]

RIAStats.comの調査では、2011年3月2日時点における日本のSilverlightの普及率は約80%となっていた[23]

Moonlight[編集]

Moonlight
開発元 Xamarin
最新版
2.4.1 / 2011年4月6日 (13年前) (2011-04-06)
最新評価版
4 preview 1 / 2011年4月12日 (13年前) (2011-04-12)
対応OS Linux
サポート状況 終了
種別 ウェブ アプリケーション フレームワーク
ライセンス オープンソース
公式サイト www.go-mono.com/moonlight/
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Moonlightは.NET Frameworkのオープンソース実装であるMonoの開発プロジェクト主導により開発が行われているMicrosoft Silverlightのオープンソース実装である。MoonlightはSilverlight 2に基づいている。ただし、Monoプロジェクトはオープンソースであるため、Moonlight単体でDRM保護コンテンツがサポートされる見込みはない。DRM対応プレイヤーをオープンソースで実装することはDRMの技術的意義に馴染まないからである[24]

藍澤光[編集]

マイクロソフト台湾法人がMicrosoft Silverlightのプロモーションのために作った美少女キャラクター。

脚注[編集]

  1. ^ Microsoft Silverlight Release History”. Microsoft Corporation. 2019年1月18日閲覧。
  2. ^ 「Silverlight」のサポートは2021年10月12日に終了 ~IE10対応は来年1月まで 窓の杜
  3. ^ MS、「Edge」ブラウザで非対応の技術を明らかに--「ActiveX」「VBScript」など ZDNet Japan 2015年05月08日
  4. ^ 「Windows 10」の新ブラウザ「Microsoft Edge」はSilverlightをサポートせず - ITmedia ニュース
  5. ^ NPAPI deprecation: developer guide”. sites.google.com. 2017年7月30日閲覧。
  6. ^ The Final Countdown for NPAPI”. blog.chromium.org (2014年11月24日). 2017年7月30日閲覧。
  7. ^ Chrome バージョン 42 以上で NPAPI プラグインが動作しない - Chrome ヘルプ
  8. ^ Mozilla pledges cull of NPAPI and Silverlight from Firefox in 2016- The Inquirer
  9. ^ NPAPI Plugins in Firefox”. blog.mozilla.org (2015年10月8日). 2017年7月30日閲覧。
  10. ^ “Plug-in support has been dropped other than Flash”. (2016年10月4日). https://www.fxsitecompat.com/en-CA/docs/2016/plug-in-support-has-been-dropped-other-than-flash/ 2017年7月30日閲覧。 
  11. ^ Remove support for all NPAPI plugins (except Flash)”. bugzilla.mozilla.org. 2017年7月30日閲覧。
  12. ^ NPAPI Plugins - Opera extensions documentation”. 2015年9月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月30日閲覧。
  13. ^ Xbox 360のSilverlight は来週発表、WP7ゲームに対応? (蛇足: 最近の藍澤光さん) - Engadget Japanese
  14. ^ Xbox 版 Internet Explorer について | プラグインに関するヘルプ
  15. ^ Microsoft(R) Silverlight(R) 1.0正式版の提供を開始』(プレスリリース)マイクロソフト、2007年9月6日http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=31782011年4月6日閲覧 
  16. ^ マイクロソフトがSilverlight(TM) 2を提供開始、全世界で4人に1人のユーザーが既に導入』(プレスリリース)マイクロソフト、2008年10月15日http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=35562011年4月6日閲覧 
  17. ^ Microsoft(R) Silverlight(TM) 3に対応した日本語版開発ツールを、本日より提供開始』(プレスリリース)マイクロソフト、2009年7月16日http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=37282011年4月6日閲覧 
  18. ^ マイクロソフト、「Silverlight 4」正式版を公開”. Impress Watch (2010年4月16日). 2011年4月6日閲覧。
  19. ^ 米MS、「Silverlight 5」ベータ版を来週発表〜HTML5と両面展開の戦略”. Impress Watch (2011年4月6日). 2011年4月6日閲覧。
  20. ^ Microsoft Silverlight Release History
  21. ^ Will there be a Silverlight 6 (and does it matter) ? | ZDNet
  22. ^ 【PDC】Silverlight 4が早くもベータに、オフ・ブラウザー機能を大幅強化 - Tech-On
  23. ^ HTML5時代のRIA | Think IT(シンクイット)
  24. ^ 「オープンソースDRM」の不可能性について

外部リンク[編集]